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流石ヒロインだね。3話

今日はお父様とお母様と一緒に食事だ。

楽しくお話しながら食事を終えるとお父様が改まって話を切り出した。


「ライラ、こんど収穫祭がエルティナで行われる訳だがウチの家でも領の関係者たちを招いてパーティが行われるのは知っているね」


「はい、お父様。もちろん、知っています」


パーティは毎年この時期になると開かれている。収穫祭は朝からあるがパーティは昼過ぎからだったはずだ。

領を運営するにあたっての関係者や商人達を招いてのパーティだったはずだ。

とはいえ、私は参加したことは無い。

私は人から嫌われる。

闇の属性を持つからだということは理解している。

記憶を盗み見られる。だから後ろ暗いところのある人は嫌がる。

気持ちを操られる。だから善良な人でも私を信じきれる人は少ない。信じることそのものが操られている可能性を捨てきれないからだ。


闇の属性を持つことが広まっている現状では、私がパーティに参加することを遠回しに断られる。

公爵家に正面切って言えるのは王家くらいだろうし、王家であっても公爵の娘である私を拒否することは難しいかも知れない。

無理すれば参加できるだろうけど、除け者にされることを可哀想だと思った両親はあまり参加させようとはしなかった。


実際に闇属性の魔法をそんなに使っているのかと言われると困る。だって結構使ってしまっているから…


魔法はイメージが重要。

完成のイメージ、自分が魔法を使えるイメージさえあれば発動できる。

初めはなかなか出来なかったが心が読め始めると一気に深い思考まで読めるようになってしまった。

できるだけ使わないようにと意識しても、魔が差しすと気になって使ってしまう…

確かに、私は私利私欲の為にこの力を使っているがそれは定めらた死を回避するために利用する。

それ以外には使いたく無いのだ。


ゲームでのライラはフィーリアと仲良くなることも無く人と接さずに箱入り娘のままだったから学園でも普通に魔法を使い一気に人間不信になり、優しさと勇気の塊だった主人公の勇者に傾倒していくんだったな。

私は気をつけたい。


「ライラ、話を聴いているかい?」

「ごめんなさい。考え事をしてました…」

「そうか、会話をしている時は人の話はしっかりと聴かなければならないんだよ。大事な言葉があるかも知れないからね」


考え事をしているとお父様から叱られでしまった。

会話の途中で考え事はダメだ。

一般的道徳というより貴族的駆け引きの叱責だったが。


「今年は顔見せとしてライラにも参加して貰いたいんだ。家の一員として色々な人と関わることになるけど良い人達がほとんどだし、これからの練習だと思ってね」

「はい、参加させて頂けるのなら精一杯頑張ります」

「あぁ、ライラはもう我が家の一員として恥ずかしくない態度がとれているよ。もう少し子供っぽくあっくれてもいいくらいだからね」


お父様は本当に優しい。

その優しさにあまえてみようかと思わされる。

ふむ、それならしたいことがあったんだった。


「あの、お父様。ひとつ甘えてもいいですか?」

「お、ライラが甘えると言うなんて珍しいね。子供なら確認なんて取らずに甘えてもいいものなんだ。言ってみなさい」

「実は街のお祭りに行ってみたいのです。出店が多く出てとても賑わうと聞いています。できればフィーリアと周りたいと思ってるんですが…」

「何だそんなことかい?もちろん良いよ、領地の人々と関わることは大切な事だからね。だけど2人だけというわけには行かないよ」

「もちろんそれは分かっています」

「ふふっ、流石賢い子だね。護衛も用意しておくから午前中か2日目に周るといいよ」


今賢い要素があったか分からないが親バカは今更である。私の子供っぽくない言葉も今更だが。

お父様から許しをいただいたのだ。フィーリアにも伝えよう。


私とフィーリアがお祭り行く。

それは最早デートではないだろうか!

何だかおかしなテンションだが、お祭りに行けることは純粋に楽しみだ。


ーーーー


「フィーリア!お父様からお許しがいただけたよ」

「では、お祭りに行けるのですか?」

「ああ、そうだよ」

「お祭りは友達と周るものだと聞いていました。親友のライラ様と周れるなんて幸せです!」

「私もだよ、初めて出来た友人と初めてお祭りを周る。今から待ち遠しいね」


産まれのせいで、お互い以外には友人らしい友人のいない私たちは妙に祭りを友人と周ることにテンションを上げていた。


「お父様が護衛もつけて下さるから安全も心配しなくていいし思いっきり楽しもう」

「お祭りの時は私が全力で幸運の加護をつけますから悪い事なんておきませんよ!いえ起こさせません!」

「確かにフィーリアな幸運の加護は凄いけどあくまで運が良くなるだけだからね…そこまで大幅に効果は出ないものなんだよ」

「もぅ…ライラ様、流石に私だって分かってますよ。そういう勢いの話ですよ」


文句を言いながらも楽しそうだ。フィーリアとは友達に成ろう宣言からかなり打ち解けた話ができるようになった。

リリアは乳母だったし、ミミやノルルは打ち解けてはいてもメイドとして一線がある。

フィーリアとの関係は新鮮さもあり、前世を思うと懐かしくもある。

今の感覚的には仲のいい後輩くらいかな?

前世のパーソナルな記憶はいまだ漠然としてるがフィーリアとの関係は大切していきたいな。



ーーーー



さて今日はお祭りの2日前。

パーティでの私の動きは簡単で出ている時間も長くは無いので大体の準備は終わった。

今はお祭りを周る時の護衛の人との顔合わせだ。

お父様が紹介してきてくれた人達だ。


「はじめまして、ライラ様。明後日に護衛を務めさせていただきます。ナーセサス・ダフォンディルです。今は剣を握って荒っぽい仕事をしていますが魔法学園の出身でアルフ様のの後輩に当たります。ですから魔法の腕も自信がありますのでご安心してお祭りをお楽しみ下さい」


柔らかい微笑みに丁寧な口調だが、ピタッとした服装な為引き締まっているがくっきりと強靭であろう筋肉がわかる。

お父様の後輩とうことだし安心して任せることにしよう。


「私はライラ・ハルカミナです。お父様からお話は伺っています。2日間よろしくお願いしますね」

「ええ、こんなに可愛らしいお姫様のナイトをできるならいつまででも護衛をしたいものです」


ナーセサスの言い回しに苦笑いしてしまう。


「そこまでは言い過ぎですよ。当日は私だけで無く侍女見習いのフィーリアも一緒ですから、フィーリアのことも見ていて下さいね」


ナーセサス達は子供だけだと危ないのでお目付役としての意味もあるし、保護者のような扱いでもあるのだ。フィーリアのことも気にかけておいてもらわねばならないだろう。


「もちろんですよ。フィーリア様もとても可愛らしい方です。目を離すなんてできませんよ」


何でいちいち気障ったらしいんだろう…

まぁ悪い人では無さそうだし、お父様のお墨付きでもあるのだ信頼しようではないか。



ーーーー



お祭り当日、午前中はまだ出店も出きっていないが私達は周り始めた。

午後からはパーティがある。出番に間に合うように戻ればいいが準備の時間を考えるとあまり遅くまではいられない。

フィーリアとのお祭りを全力で楽しむのは明日にして今日はめぼしいものを見つけておくのだ。


「まだ早いのに人は結構いるんだね」

「お嬢様、それはそうですよ。このお祭りは街の人達にとっては1年間で1番盛大なお祭りのなんですから」


私の疑問にナーセサスが答えてくれる。横でフィーリアも納得したように頷いていた。


「では行こうか、お金は無駄遣いできないが明日のことも考えて周るとしよう」

「ライラ様と周れるだけで楽しいですがお祭りも満喫したいですからね!私頑張ります!」

「お二人はお祭りに集中して満喫して下さい。荒事、揉め事は私が対処いたしますから」


ナーセサスの自信たっぷりの言葉とともに護衛に囲まれて私たちは移動を開始した。



ーーーー


ナーセサスはとても有能だった。騎士とはいえ女性が数人と子供の組み合わせだ。酒も振る舞われ気も大きくなる祭りの場で、変な輩が現れない訳がなかった。そのチンピラをナーセサスは剣すら抜くこと無く制圧し警備兵に引き渡していた。

不意打ちすら当たらなかった。

予想以上の強さである。


「ナーセサスさんってとてもお強いんですね」


やはりナーセサスが気になったフィーリアは話掛けに行くことにしたようだ。


「ええ、小さな頃から鍛えていましたからね。」


ほう、どれくらいから鍛えたというのだろう。

私も気になりたずねる。


「小さい頃からというと、騎士の家系だったりするんですか?」

「いやいや、それどころか宮廷魔法使いを輩出する魔法使いの家系だったよ」

「ぇ!それじゃ反対とかされなかったんですか!?」

「もちろんされたよ、家出同然で出てきてアルフ様に拾っていただかなければ大変な目にあうところでした。今では家とも交流が戻ったので笑い話なんですがね」


などと実際に笑いながら話すが全く笑い事では無いように聞こえる。


「なぜ、そこまでして家を出たんですか?」

「うーん、そうですね…理由はいくつもあって、積み重なって家を出たんですが、1番は私は剣を振ることがが好きだったからですね。」


楽しそうに剣について語るナーセサス。ふむ家を捨てでもやりたいことがあることはとても素敵なことだと思う。

もちろん捨てずにすむならそれが最高だろうが。

そんな風にナーセサスの話を聴いていると、そこに私にとっての爆弾発言が飛んで来た。


「まぁ、飛び出したそのものの理由は婚約を無理やりさせられそうになったからなんですが」

「え?そうなんですか?」

「ええ、そうなんです。それなりにいい家の出だと結婚はついてまわりますから、今の職業に就けば逃れられると思ったんですよ。」

「結婚…」

「 ライラお嬢様はまだかもしれませんが、婚約などはいずれお話があるのでは無いでしょうか?」


晴天の霹靂すぎて言葉が出ない。


なぜ今まで意識してこなかったのだろうか、私は令嬢だ。ならば政略結婚なんてザラだろう。弟が出来たことから家は継がずに済むだろうがだからこそ嫁ぐことになるのだろう…

私は令嬢だが中身は男だ。

精神的な同性愛は私は望んでいない。

肉体的な同性愛は周りの目と偏見が辛い。

私にとっては独り身が1番楽なのかもしれない…


「ライラお嬢様も結婚や婚約がお嫌ですか?もし逃げたい時はお手をお貸ししますよ」


なんて最後に冗談めかして言っていたが私にとってはそれどころじゃ無い…


今日のお披露目だって将来への布石なのだろう。


これは運命に定められた死よりは重要度が低いかも知れないが、私の人生においては重要なことだ。


これからはこちらも対策と作戦を考える必要があるな…


フィーリアが結婚について肯定的な意見をナーセサスに訴えかけていだが所詮は7歳の言葉うまくなだめられていた。


ふむ、フィーリアを見ているとモヤモヤが襲ってくるが同時に楽しくもなってくる。

うん、今日はせっかくのお祭りなのだ。思考は中断しフィーリアのように全力ね楽しむとしよう。


こんな風にプラスに考えられるのもフィーリアのヒロイン力のおかげだろうか?


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