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ヒロインでした。3話



それから数日して、帰ってきたお父様とお母様に呼び出された。


「お父様、お母様おかえりなさい!それにアドゥレアさんもおかえりなさい!」


結構久しぶりだから嬉しい、普段はリリアやメイド達がいるから寂しくは無いがやっぱり恋しくなる。


「ライラ元気にしていたかい」

「ええ、もちろんよ。最近は身体の調子も良いの」

「それは良かったわ、お母さんは少し心配していたのよ」

「ええ、マリー様は良くライラ様を気にしていらっしゃった」

「お母様ったら心配性ね、もうこんなに大きくなったんだから」


なんて家族の会話をしていたが、すっかり子供っぽい言葉と女言葉が身についてしまったが気にしない方向性で行こう。

もうメイド達に丸洗いされるのも何も感じなくなったあたりで諦めはついている。


「ライラ、お前に侍女見習いの女の子をつけようと思っているだ。お願いできるかな?」


父の発言に首をかしげた。


「侍女見習いですか?」

「そうだ、将来的にはお前の専属の侍女になるかもしれない」

「えーと、私は構いません。どんな人なんでしょうか」

「お前と同い年の子だよ。実は光の属性を持っているんだが魔力暴走を起こしたらしくて訓練出来ないそうなんだ。」

「魔力暴走ってなんでしょうか?」

「ああ、魔力暴走っていうのは言葉の通り魔力が制御できず肉体や精神へダメージを、与えてしまう状況のことなんだ」

「それは治らないんですか?」

「訓練すればコントロール出来るようになるだろうけど、力が強すぎて出来なていないんだよ。魔力暴走が起きるってことはそれだけ大きな力を抱えているってことだから訓練させてあげたいんだ。魔力暴走はその属性を相殺できる魔法使いがいれば問題ないからね」

「光の属性…つまり私の闇の属性で相殺できるということですか?」

「そうだよ、流石我が娘だ。飲み込みが早いね。


ふむ、光の属性は治癒や幸運のエンチャント、悪霊払いなど非常に有効だが根源属性な為伸びにくい。

そんな中分かりやすく才能がある子がいたら伸ばしたいものだろう。

それが我が家ににとってもプラスになるだろうし…


しかし属性の相殺か…

光を闇で打ち消せるなら闇も光で打ち消せるだろうか…


はっ!もしかして…その子がいればっ!


「ライラは気がついたがようだね」


ばっ!とお父様に顔を向けると柔らかい笑顔が私に向けられていた。


「ライラの闇の属性の魔法を無効化できる子が近くにいるということは多少は噂の改善に繋がると思うんだ」


お父様の笑顔を見て、決心して質問する。


「これからの魔法の訓練はどうなるのでしょうか」


「侍女見習い候補の子と一緒に続けてもらうことも出来るよ、もちろん嫌なら辞めたって問題無いからね」


優しい言葉だ。だからこそ私は言う。


「訓練は続けたいと思います」


続けなければならないと内なる私が言っている気がするから。

闇属性なんて十分に中二病な感じだが、だからこそ自分を信じてみたいと思ったから。


「ライラは本当に6歳とは思えないほどしっかりしてるね。自慢の娘だよ」

「そうよライラ、あなたは自慢の娘よ。でも嫌なことも心のうちに溜め込んでしまっているのでしょう?もっと甘えていいのよ?」


優しいお父様とお母様との時間は幸せを感じられた。



ーーーーー



それから1ヶ月ほど経った頃、例の侍女見習い、兼光の魔力持ちの子がやって来た。


それが私にとって、そして彼女にとっても幸せに繋がると良いなと思いながら私は応接間に向かうのだった。


応接間に行くと可愛らしい女の子がいた。ふわふわした短めの金髪、同い年とはいえ人形のような女の子とはこんな娘のことを言うのだろうと思わされる子だ。


何故だか無性に腹がたつというか嫌な感じだ…これは私が本当に思っているわけでは無いはずだが。


私が入るとスッと立ち上がり勢いよくお辞儀をして挨拶をした。


「私はエンジオ・タキーナムの娘でフィーリア・タキーナムと申します!本日から侍女見習いとしてお世話になります!」


なんと空元気というか空回ってるというか緊張していることがアリアリと分かる。

まだ6歳とはいえ、ほとんど外に出ずに人と関わらず生きてきたのだ。仕方が無いだろう…



・・・なぜ自分はフィーリアのことを知っているんだ?

いや、知っている。


彼女に嫌な感じがしたのは?


その感情は植えつけられた様なものでしか無い。


私は何を知っているの?


これからの道筋を知っているの?


何故?



だってそれは…



ここは「あのゲーム」そっくりの世界だから…


私が大切なことに気がついたと同時に世界が回った。

いや自分の目が回ったのか。


とにかく私は立っていられなくなり、そのまま倒れこんでしまった。


そして私は気がついたのだ、何となく知っている様な気がしていたことは本当に知っていたことだった。

今はまだわずかだが、これからもっと知っていることが多くなる。

だって本当の物語が始まるから。

主役は私では無い。

彼女、フィーリアでも無い。

見知らぬ誰か。



ここは私/僕が前世でプレイした男性向け恋愛シュミレーションゲーム「6人の神子と神導の勇者」にそっくりの世界だった。


そして私はそのゲームの中で、どのエンドに進もうと、メインルートだろうと死ぬことが決まっているヒロインだったのだ。





やっと話が始まります。続くとは言って無い。

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