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物語の始まり

僕には前世の記憶がある。

特に死んだ覚えも無いし神様にあった覚えも無いが気がついたら赤ん坊になっていた。


意識がはっきりしてからそれなり経って自分の置かれている状況が把握出来てきた。


今の状況よりも重要なことがある…お腹が空いた…起きたらお腹が空いている。お腹が空くと悲しくなる。悲しくなるとどうしようも無くなって泣いてしまう。どうやらこの体は自分のもつ理性よりも本能の方が強いらしい…

「オギャー、オギャー」

泣いていると、女性に抱きかかえられる。

「あらあら、ライラお嬢様どうされました?」

女性の発言から分かるように今の僕の名前はライラだ。

そして性別は女だ…

また家は自分がお嬢様と呼ばれるような家柄であるのだ。


「おしめは汚れてないし…そろそろお腹がすかれたのですかね…」


ちなみに自分の世話をしてくれている女性は母親では無い。

簡単に言うと乳母とかメイドとかそういうアレだ。しかし意識をもってからの関わりは母親以上だ。

昔は貴族の乳母が影響力を持ったこともあると聞いたことがあるが子供にとってもう1人の親なのだ、愛着がわくのも分かる。

情報は少ないが部屋の様子や服装を見るに現代では無いのは確かだ、いわゆるヨーロッパ風の世界というところなのだろうか。


乳母から母乳を貰いながらボーッと考えごとをしていたがお腹が満たされた。


「もうお腹いっぱいですか?それでは、お休みいたしましょう」


乳母の優しさ声とともにお腹が満たされた体は眠気に支配される。前世の意識はあれど起きていられる時間は短いのだ…



ーーーー



2歳の誕生日を迎えてから半年が経った。


この期間、家の外には出るとこが出来なかった。どうやら自分は病弱なようなのだ…

熱は出すし、吐き戻すし、不快感に襲われ本能を抑えられず大泣きすることが多々あった。

たがそのおかげで自分は出会うことが出来た、魔法というものに。


熱が出たようで泣いていた私を乳母のリリアがあやしてくれていた社会で時にマントを羽織った女性が部屋に入って来た。


「リリアよ、ライラお嬢様はいかがか」

「アドゥレア様戻られたのですね、ライラお嬢様は熱が引かず氷で冷やしているのですが中々…」

「そうか、では後は私に任せておけ」


そう言うとこちらに向けて手をかざしてきた。

その手に光が集まり、その集まった光が体に降り注ぐ。

すると今さっきまで苦しかったのが嘘のように無くなりスッキリとしている。

熱とそのキツさから泣いていたのではっきりとしていなかったが魔法であったと気がついた。

もしかしたら有るのでは無いかと思っていたがとても驚いた。ファンタジーの世界だと理解した瞬間でもあった。


この世界の治療法はやはりそこまで発達してはいないようだ。

しかし魔法がある。

病気には苦い薬を飲まなければならないが、辛くなったら魔法を受けることで一気に楽になった。コケて出来た怪我もすぐに治った。

魔法を使える人は多く無いのかも知れないが家にはアドゥレアさんという専属と思われる人がいる。おそらく父か母と共に行動しているようで普段から家にいる訳では無いが非常に安心できる。

現代日本のような医療が発達し衛生面が整えられた社会で無い場合は幼児期は命の危機になりやすい。ただでさえ自分は病弱なのだ。

本当に魔法万々歳である。



ーーーー



その後、この世界では魔法と魔法を使った道具魔法具があることがわかった。

部屋によく分からない家具があったのでリリアに聞いてみるたのだ。


「ねぇリリア、あれなに?」


舌ったらずな言葉だったがリリアは微笑みながら真面目に答えてくれる。


「はい、ライラお嬢様。あれは部屋の温度を変える為の魔法具で火の魔法使いが魔力を注ぐことで暖房になり、水の魔法使いが魔力を注ぐことで冷房になるのですよ。風の魔法使いがいるとより効果が有るそうです」


なるほど、アレはいわゆるエアコンなのか。

他にも疑問に思ったので質問してみようか。


「リリアは魔法使いなの?」

「はい、私は火の属性と水の属性を持った魔法使いです」


ほう、2属性持ちとかいるのか。


「珍しいの?」

「そうですね…2属性といっても基本属性ですからそこまで珍しくは無いかと思います」

「魔法使いっていっぱいいるの?」

「魔法は才能さえあれば使えますから魔法使いはかなりいますよ、基本属性以外は珍しいですが」

「そっかぁ…それでね、えっと…」

うーん、いろいろと聞きたいが纏まらない…

難しい言葉を避けているのもあるが言葉が出てこない…


「ライラお嬢様、魔法についてはいずれ学ぶ機会がございますので、ゆっくりと覚えていきましょう」


リリアにそう諭されてしまった。気にはなるがゆっくりと覚えていけばいいだろう。まだ3歳にもなっていないのだ。



ーーーー



もうすぐ5歳になろうというころ私は自分の置かれている状況が分かり始めた。

まず家は貴族らしい、それも公爵家。公爵と言ったらあれだ貴族の中ではめっちゃ偉いヤツだ。

よく分かっていないがめっちゃ広い領地を治めているようで家にはいるのが少ないのも仕事が大変だからのようだ。父自ら領地を巡っているらしい。母は優秀な魔術師らしくその補佐についているようだ。やはりアドゥレアさんも同行してるようだ。


魔法についてもいろいろと知ることができた。

魔法には基本属性と呼ばれる火の属性、水の属性、土の属性、風の属性、そして根源属性と呼ばれる光の属性と闇の属性が存在する。その他に希少属性とか上位属性とか言われる雷の属性や氷の属性があるようだ。変わり種だと毒の属性とか鋼の属性なんかがあるらしい。


好奇心に押され5歳にもならないうちにここまで理解し、言葉も巧みに話してしまった私は周りから天才だと持ち上げられてばかりだ。

母親など


「きっと私とアルフに似て優秀な魔法使いになるわ」


なんて会うたびに言っているのだ。ちなみアルフとは父の名前であり母の名前はマリーと言う。

リリアもそれに同意し親バカっぷりを発揮している。実際普通の子供なら凄いのだろうが中身が中身だけに何とも言えない。

せめて期待を裏切らなようにしたいものだ。


ちなみに魔法はまだ使えない。使うためには自分の属性を、調べ訓練しなければならない。

そして、3日後の5歳の誕生日に属性を調べるのだそうだとても楽しみだ!

これから異世界でのファンタジーライフが始まるのである!


…なんて調子に乗ってたら熱が出ました。まずは病弱な体を治したいなぁ。




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