7月7日 七夕その2
「それで、ボツリヌス様。
どんなことを短冊に書いたんですか?」
「ぬふふ。
まあ、見てみよ」
『魔力がたくさんほしい』
『なんぴとにも負けぬぱわーを』
『内政ちーとできるほどの知識を』
『ぼん・きゅっ・ぼんになりたい』
「素晴らしい願い事じゃろう」
「成程。
……さて、ここでボツリヌス様に問題です。
七夕の願い事は、誰が叶えるのでしょうか?」
「……え?」
「正解は、諸説ありますが、こと座のベガ。
即ち、織姫様ですね」
「そうなのか……。
ていうか、織姫って、大したぱわー、持ってる気がせんのじゃが」
「織姫の名前の通り、裁縫や機織り。
あえて言えば書道や芸事などの、『上達』を願うものだったそうです」
「……何が言いたいのじゃ、オーダーよ。
いや、言わんでいい」
「簡単に言うと、七夕の短冊は、『わたし、これを頑張る!』という決意表明に過ぎません」
「言わんでいいっていったじゃろう!」
「さあ、その観点でボツリヌス様の願いを見てみましょう」
「や、やめて―!!」
『魔力がたくさんほしい』
『なんぴとにも負けぬぱわーを』
『内政ちーとできるほどの知識を』
『ぼん・きゅっ・ぼんになりたい』
「……」
「……」
「全て実現不可能な決意表明ですね」
「ぼ、ぼん・きゅっ・ぼんは、分からんじゃろうが!」
ひとくちメモ:短冊の願い事は、どちらかというと決意表明に近い。