episode3:超弩級戦艦建造・下
2週間以上投稿が後半遅れてしまった
だが反省はしない(キリッ
轟ッ!
そんな爆音と衝撃波で眠っていた僕の体は面白い様に後ろに転げ、壁に頭をぶつけて目覚めた。
「痛ってぇ....」
頭を摩るが痛みなど取れようもなく、鈍い痛みが頭を襲う。
それよりもだ、なぜ僕がここまで吹っ飛ばされたのか。訳が分からない。
いや、本当は分かってはいる。誠に不本意だが。
突然の爆発で発生した爆圧と爆風のせいで転んだ事は分かっている。
多分恐らくこの馬鹿げたことを敢行したのはあの痴女(神?)の他居るまい。実質ここには僕と痴女(神?)しかいないのだから。
「死んだらどうするんだよっ!?」
僕は200mぐらい先にある艦橋の淵に腰掛けている痴女(神?)を睨むが、何故か目線が明後日の方に向いている。
まるで『私は悪くないもん、私が創ってる間に寝ていた貴方が悪いもん』とでも言っているかのようである。
僕は体を起こすため、床に手を付いた。
だからと言うべきか気が付いた、床の感触が木であると。
つまり木造の床に居る事。
そしてかなり濃い火薬が燃えたような臭いがする方を向くと目の前の明らかにかの大和より大きいであろう九つの艦砲から煙が立ち上っている事に。
つまり僕が今いるところは上甲板であることも
更に見上げれは大きな艦橋が威風堂々と佇んでいた。
何を今更?とお思いだろう。
僕だって聞きたい。これはなんなのだろうと。
「おい痴女....、これはどういう了見だ?詳しく教えてくれないか?」
そう問いかけるが痴女(神?)は未だにそっぽを向いている。
雰囲気的に痴女の事を撤回し、神様と呼ばねばならないようだ。
しかし僕は重大な事を聞いていない。
この痴女はなんと言う名前の神で何を司る神なのか一切知らないのである。
あれか、格好で言えば全ての痴女を司る女神か?
名前もチ・ジョーなのかな?
「私の名前はチ・ジョーじゃない。それに痴女なんて司ってなんてない」
だからと言って僕の心の声を読み取るのをやめて欲しい。
これでは隠し事が出来ないではないか。
そしていい加減そろそろこちらに顔を向けろ、痴女め。
「そもそもここにいる時点で隠し事はあってないようなものだから隠す意味が無い。それと私は痴女ではないと何度言えば分かる?」
だから人の心を読むな、と何度言えばわかる。
神様と敬って欲しければ、痴女と見間違うような露出過多な格好はやめろ。
「けど実際に貴方の望んだ物はものの15秒で造った。それに貴方の心の声も丸分かり。隠し事は無意味よ?」
こちらに向き直した顔には神だから当然でしょ?とでも言いたげである。
おそらく建造されたこの戦艦もあながち嘘ではないだろう。
認めたくないがな!
しかし....、良い艦だ....。
これはある種の芸術とも呼べるだろう....。
「そして私の真名は破壊と創世を司る神キナールレイン。略称はキナールで良いわ。以後よろしく」
「キナールレイン....」
ここで僕は初めて聞いた名前を繰り返した。
その直後にキナールは眩い光を発し、中世ヨーロッパの衣装から派手でもなく素朴でもないがそれでもやんごとなき方が着る服装に変わっていた。
それにキナールは言った。
自分は破壊神であり、創造神である、と。
キナールは未だに甲板にあぐらをかいている僕の頭に手を乗せて、
「相良七洋。本来なら貴方の魂は生命を司る神アシュタレインの元に逝く事になっていた。だけど私は、いや、我々神々は互いの不可侵領域に干渉する事は原則として固く禁じられている。下手をすれば主神であるヴェハヂーラァベ様から粛清されかねない程に。しかし私はそれを自らの意思で犯した。貴方に私の傑作品の最終部品として」
そう宣言すると突如僕の頭が痛くなり始めた。
ついさっき、頭をぶつけた時の鈍い痛みが引いたと思えば、今度は針を突き刺すような痛みが襲い、その痛みも徐々に強くなり、座る事を余儀なくされ、呼吸も困難になった。
されど、意識ははっきりあるが体が言うことを聞かない。
そしてとうとう僕の体が倒れた事で触れていたキナールの絹のような手が僕の頭から離れた。
「今の貴方は意識は生きているけど死んでいる状態。所謂植物人間と変わらない状態になっている。」
「しょ、植物・・・・人間だと・・・・?」
「あら、そうとう強めに『束縛』を掛けてたけどまだ喋れるの?まぁそうね、植物人間。でも大丈夫。ちゃんと身体の方は治るから」
何か含みが有るキナールの言葉。
絶対に裏がある筈だ。
「けど、今の貴方では容量限界なの。だから余計な物を削除させてもらうわ」
「容量....限界だと....?い、要らない物...だど...!?」
「そう、例えば記憶、感情、人格とかね....。うふふふ....。」
「....っ!?」
キナールは三日月状に裂けた嗤い声を上げながら僕に近づいてくる。
「や..め..!やめ...ろ....っ!やめて...くれぇ!」
迫り来るキナールレインの手から逃れようとするが体が動かす事も困難。芋虫のように這うようにしか移動できない。
「うふふふふ、無様に這いつくばる今の貴方は本物の芋虫のようだわ....」
更に迫るキナールの手。
とうとう僕の頭に再び手を置いた。
全身から脂汗が止まらない。
動悸が激しい。
嫌悪感がすざましい。
何より―――恐怖という束縛で体が思うように動かない。
「悪い子は躾が必要なのかしら....ふふ」
キナールの憫笑が聞こえる。
その聞こえ方がまるで自分に向けられたものではなく『相良七洋』と言う肉体に対して憫笑してると自分に言い聞かせる。
そうしないと――――自分が自分でなくなってしまうと思ったからだ。
「じゃあまずは感情から消していこうかしら」
そう言うキナールの前に透明な画面が現れた。
そこに書かれていたのものは
『SYSTEM COMMAND
UNIT NAME:SAGARA NANAMI
EMOTIONS UNINSTALLATION:YES/NO』
「やめろやめろやめろやめろやめろやめろ........」
「ブツブツつぶやていも無駄よ♪アンインストール開始ぃ♪」
僕がどんなにやめてくれと懇願しても耳を貸そうとせず、画面のYesコマンドを無慈悲に押すキナール。
『SYSTEM COMMAND
UNIT NAME:SAGARA NANAMI
EMOTIONS UNINSTALLATION
[▇▇ ]10%』
「さて、次は記憶だね」
「お前!また弄ぶつもりかっ!」
「意味記憶は傑作品の運用に支障が出るし....」
「聞いているのかっ!?」
「五月蝿いわね。でもいいわ。どうせあと40%で貴方の感情データが一掃される訳だし。さて、次はエピソード記憶を消すから」
早い。
僕の感情が消えるのが早すぎる。
『SYSTEM COMMAND
UNIT NAME:SAGARA NANAMI
EPISODE MEMORY UNINSTALLATION:YES/NO』
それをキナールは再び躊躇いもせずにYesコマンドを押した。
「やめ!やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
アンインストールのパーセンテージが増えれば増えるほど家族・友人・知人の名前や姿、思い出が次々に消えていく。
そしてゲージが全て溜まった時僕は記憶は知識のみとなった。
『SYSTEM COMMAND
UNIT NAME:SAGARA NANAMI
EMOTIONS UNINSTALLATION
[▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇]100%
EPISODE MEMORY UNINSTALLATION
[▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇]100%
DESIRE UNINSTALLATION
[▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇]100%』
そして僕は目の前にいる彼女の魔の手から逃れることもできず、僕は生きながら死を迎えるしか出来なかった。
次こそ超弩級戦艦完成予定です(フラグ)
9/8 最後のシステムコマンドに|DESIRE《DESIRE UNINSTALLATION[▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇]100%》を追加いたしました