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超弩級戦艦、異世界にて出航せよ!  作者: 峰原樹也
第一章 惑星ヘイズル
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episode5︰屈辱の過ち

いやー三ヶ月ぶりの投こ…う……あれ?半年!?半年ぶりの投稿なの?!


あ、アイェェェェ……



とう言うわけで久しぶりの投稿でごわす




サブタイ変更しました


(Anti)魔術(Magic)弾頭(Warhead)───通称A.M.Wの使用。

これが使用される事態と言うのは大抵艦対艦戦闘の始まりの合図であるのだ。

 この世界の軍艦は長年の研究の果てに開発した魔導式艦載砲が主流であり、その威力の高い魔導式艦載砲を無力化又は減衰化させる特殊兵装の開発も同時に行われていた。

A.M.Wには一から三までの型あり、それぞれが別々の効果を宿している。

 今回の戦闘で使用される【一式対魔術弾頭】は発砲から一定の距離まで離れると爆散する仕組みで、弾頭中心にある爆薬を囲う様に詰められた吸魔石と呼ばれる魔石粉末状に加工したものがあり、爆散した周辺にその粉末が舞い、作戦展開地域の自由魔素を吸収する兵器である。


 つまり一式対魔術弾頭は相手の魔術砲撃に宿っている魔力を吸収し、減衰させる兵器なのである。


 そして、先ほど紹介した吸魔石の特性としては読んで字のごとく【魔力を吸収する石】でなのである。

この特性は無機物有機物関係無く物質に内包しているものや大気中の魔力を見境無く吸い取り、ある一定の量にまで達すると吸収しなくなる。

そんな特性を持つ吸魔石を粉末状にし、弾薬として作られたのがこの一式対魔術弾頭なのである。

 その対魔術弾頭を使用した砲撃の準備は着々と進み─────


「奴の動きを止めろ!全門撃ぇ(ファイヤ)!」


 マクドウェルの号令で全ての砲門が煌めいた。



~第5試験艦隊随伴艦【ゼネラル・レーゼン】~



一方その頃。


 マクドウェルが戦闘する事を決意した一方で、ネスト大陸に向かっている一隻の艦がいた。

その艦は新造艦ヤバルギア級重巡洋艦【クァールツァパーゼ】を旗艦とする第5試験艦隊に所属している随伴艦(駆逐艦)の一隻で、【クァールツァパーゼ】の公試運転をしていたスツェール洋で偶発的に発見した謎の艦に関する報告をマクドウェルの命令で本国へ帰投している最中である。


 そしてマクドウェルの命令により本国へ報告する人材として貴族出身のメイデーア・レヒュン・マグクリフ中等海尉と平民出身のカウェン下等海曹であるが、第5試験艦隊旗艦【クァールツァパーゼ】から帰投命令が出されたクォーツァー級駆逐艦【ゼネラル・レーゼン】へと転属となった。

その【ゼネラル・レーゼン】の艦橋内では人組みの男女が言い争っていた。


「今すぐに艦隊に戻れ!副司令官権限を行使する!」


 だがあくまで騒いでいるのは女の方であり、男の方は困惑した様な表情をしていた。


「早く艦隊に──」

「言っておきますが」


 女がまだ何か言いかけた事に対し、男の方は困惑した表情と打って変わり言葉を遮り、真剣な表情を浮かべる。


「確かに貴女はこの艦隊の副司令官かもしれない。だが私はここの艦長であり、マクドウェル司令官から直々に命令を受けた身だ。つまり、最優先で守るべき命令は貴女ではなく司令官なのですよ。お分かりいただけたでしょうか?メイデーア・レヒュン・マグクリフ元副司令官殿」


 そう言うとメイデーアは押し黙る。

【ゼネラル・レーゼン】の艦長が言う通り、以下に艦隊を指揮するマクドウェルの副官とは言え、一度その席を外された以上その権限を持ち合わせていない。


 【ゼネラル・レーゼン】の艦長────ボーウェン・クルツナイツァー中等海佐は押し黙ったメイデーアを一瞥すると前に向き直る。

そして目の前にある伝声管に顔を近づける。


「総員に通達。これより本艦は予定通り我が母国であるローゼンシュタイン帝国に帰投する。繰り返す───」


 こうして、【ゼネラル・レーゼン】はローゼンシュタイン帝国があるネスト大陸に向かうのであった。


~第5試験艦隊旗艦【クァールツァパーゼ】~


「奴の動きはどうなっへぶるっ!?」


 第5試験艦隊が砲撃を始めて半刻たった頃、マクドウェルは司令塔から自前の単眼鏡でクァールツァパーゼが放っている触れるものを死へと追いやる魔法弾や音速を超える鉄塊の着弾地点でいるある標的(謎の艦)に向かって飛んで行くのを観測していた。

 しかし、”観測”と言いつつも実際には辺りの霧が濃く、標的の艦影が見えないのでマクドウェルがやっている事は全く以て無駄である。

それを見るに堪えなかった臨時副官であるブルード・レゾントール中等海尉は、マクドウェルが前のめりになったことにより突き出した尻を蹴りあげた。

 蹴りあげられたマクドウェルの方はと言うと、先程のメイデーア中等海尉に向けていた殺意あるいは殺気は嘘のようになく、やや涙目でブルード中等海尉に顔を向けて、


「ちょっおまっ上官にたいs 「艦長、今現状で無駄な事は省くべきです。生憎の天候で視界が遮られてる中、まともに前を進めないのに単眼鏡を覗き込んでも意味がありません」…はい」

「(メイデーア(あいつ)といいブルード(こいつ)といい上官に対して不敬過ぎるんじゃないか?)」

「もう1度尻に先程の倍の威力で受けてみますか?」


文句を言おうとしたがブルードが真面目過ぎて反論もできず、自分自身もふざけていた事を認めた。

しかし、やはり腑に落ちない所があり小声で文句を言っていたが、ブルードの地獄耳がそれを許してはくれなかった。


「それはさておき、先程の質問の事ですが目標に目立った動きは特に無く、我々第5試験艦隊の攻撃()当たってます」

「あ、やっぱり?」


 マクドウェルはブルードの報告に対し、自らの予想が当たっていたかのようにその返答は軽かった。

一方ブルードもマクドウェルの返答が簡素なものに対しても特に反応する事も無く、驚くことはしなかった。

何せこの状況を一番理解しているのは彼らなのだから。


「艦長、これはあくまで私の持論なのですが」


 ブルードは、自らが考え感じた事を全て伝えるとマクドウェルは腕を組み身を瞑った。


「うーん、俺も薄々気がついていたんだよなぁ」

「ではやはり?」

「可能性はない訳では無いよ?けどやっぱりねぇ」

「有り得ない、と」


 その発言を受けたマクドウェルは閉じていた目を開け、ブルードと顔を合わせる。


「そりゃそうだよ。だって、普通に考えれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて不可能なんだから」

「えぇ、確かに。しかし、かの者達(・・・・)ならそれは可能性ですね」

「者と言うより()だね」

「確かに」


 大型艦艇クラスの防御魔法を実現出来る人物を思い浮かべながら、砲撃している方向に視線を向ける。

そして魔砲弾や砲弾が目標に飛んでいる方向から光が煌めいた。


「ん?今なんか光らなかった?」

「えぇ、確かに今ひかr」


 ブルードが「光りましたね」と言う前に事態は急変した。

 彼らが見た光が煌めいた数秒後、旗艦【クァールツァパーゼ】の隣で砲撃を敢行していたクォーツァー級駆逐艦23番艦【シュミッツァー】が左舷側中心部に膨大な熱量を持つ光の線(レーザー)で撃ち抜かれ、大穴を晒した。

それが魔砲撃と知るのは後ほどになる。

 そして、シュミッツァーは1人も搭乗員を避難させることを果たせぬまま、轟沈していった。


「…はっ!?残存艦艇に告ぐ!機関最大!全力で取り舵又は面舵を実行した後に当海域を離脱する!」


 その光景を目の当たりにして、若干の硬直していたマクドウェルはすぐさま立ち直ると、先程まで攻撃をしていたクォーツァー級駆逐艦22番艦の【ナーシェ・ホルン】に指示を出した。

 しかし、現実は非情なもので、再び煌めきが見えた次には面舵旋回していた【ナーシェ・ホルン】の艦尾から艦首にかけて甲板を抉るように魔砲撃を受け、司令塔に至っては中央部に大穴を開けており、搭乗員の生存率は絶望的でそれに追い撃ちをかけるように炎上・轟沈していった。


「ヤバイヤバイヤバイっ!これは非情にヤバイって!」


 そして【ナーシェホルン】【シュミッツァー】両艦が轟沈した今、残る艦艇は現在取り舵旋回し、本国の向けて航行している第5試験艦隊旗艦ヤバルギア級重巡洋艦【クァールツァパーゼ】しか残っておらず、下手をすれば撃ち沈められる可能性がある。

いや、むしろ撃ち沈められる可能性しかないと言うべきだろうか。


 そして三度、あの謎の艦が煌めいた。


「取り舵いっぱぁぁいっ!!!」


 マクドウェルは伝声管に向かって吼えた。

それも人生で最大級の雄叫びを。

 マクドウェルの指示を受けた【クァールツァパーゼ】は再び面舵旋回をした。

旋回した次の瞬間、【クァールツァパーゼ】に激しい揺れが生じた。

謎の艦から放たれた魔砲撃が艦尾に受け炎上したのだ。


「今の判断には褒められてもいいと思うんだ…」

「艦長、今の判断は珍しく英断でした」

「ハハッ…褒めているのか貶しているのかどちらかにしてくれよ…はぁ…」


 珍しく真面目なブルードが貶しとも取れる賞賛をマクドウェルにしていた。

そして先程吐いた溜息はひとまず即轟沈しなかったことに対する安堵の溜息なのか、はたまたこの先の事を思い考えた事に対する気苦労の溜息なのかは本人しか知らない。

 今まで出した事がないくらい大声で叫んだので、声がやや枯れてしまったがそれでも尚ふざける態度を改めない姿勢は流石というべきだろうか。

…もっぱら、今の彼にはそんな余裕はないだろうが。


『艦長!』


 そんなこんなしている最中にも様々な伝声管からマクドウェルを呼ぶ声が殺到している。

どれもこれも艦の現状報告と事後の指示を待っているのだ。


「こちら司令塔から全部署へ!直ちに退艦準備に移行せよ!繰り返す、直ちに退艦準備に移行せよ!異論は認めん!」


 そう伝え切ると伝声管の蓋を閉めた。


「艦長、退艦なさるおつもりで?」


 ブルードが後ろから睨めつけるようにマクドウェルを見る。

その理由が先程の退艦命令である。

ブルードはこのおちゃらけた艦長がいの一番に逃げるのではないのか、と疑っているのだ。

そう思われているとはちょっと…いや、かなり癪だなと思った。


「退艦したければすればいい。俺は腐っても艦長だ。この一つの艦に何百人の命を乗せている事に対して責務をしっかり果たさないといけねぇ。俺が退艦するのは本当に最後でいい」

「艦長…家のことは宜しいので?」


 マクドウェルは自らの家の事を知っているは【クァールツァパーゼ】

搭乗員なら誰でも知っている。

だが、本人達は楽しそう(?)だから知らぬ存ぜぬを通していたのだが。

 ブルードからいきなり家の事を聞かれたマクドウェルは片眉をピクつ「余計な事を気にせずにさっさと退艦しろ」とやや低めの声で命令する。


「そうですか、では……失礼しますッ!!」

「……ン゛ッ!?ヴぅぇぇ!」


 そう言うとブルードは一気に距離を詰めるとマクドウェルの鳩尾に渾身の一撃を叩き込み、流れる様な動作でアッパーカットを決め、意識を刈り取った。


「では、退艦しましょう」


 ブルードはマクドウェルを担ぎ、救命ボートに乗り、冒頭に戻るのであった。

あと一巻あるよ(ハート

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