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超弩級戦艦、異世界にて出航せよ!  作者: 峰原樹也
第一章 惑星ヘイズル
10/14

episode1:艦長命令

遅くなりました。

誤字・脱字がありましたらご報告お願いします。

 惑星ヘイズル最大の海であるスェツェール洋で中サイズの艦一隻と小サイズの艦三隻の計四隻の軍艦が航跡を残しながら航行していた。


「うーん、潮の香りはいい匂いだよ。そう思わないかい?メイデーア」


 四隻の内、中サイズの艦の甲板に立って、潮風に吹かれる度にはためく黒い防寒トレンチコートのボタンを開放し、両手を大の字に拡げ、アキレス腱を伸ばす運動を彷彿させる格好をした、このヤバルギア級重巡洋艦「クァールツァパーゼ」の艦長であるマクドウェル・シュナイツァー上等海佐が巡洋艦唯一の女性副艦長であるメイデーア・レヒュン・マグクリフ中等海尉に問いかける。


「貴方の茶番に付き合っている程、私は暇ではありません」


 が、冷淡にそう切り捨てる。

事実、男爵家であるマクドウェルより伯爵家であるメイデーアの方が貴族として位が高い。

 しかしこの貴族社会における爵位制度も軍に入れば軍階級が物を言う。

その為、必然と男爵家のマクドウェルが爵位が上である伯爵家のメイデーアに対しても軍階級が下である以上、上官であるマクドウェルが命令できる立場もであるのだ。


「ひゅ〜、つれないね。メイデーア・レヒュン・マグクリフ伯爵令嬢殿」


 おどけた調子でマクドウェルはメイデーアに右足を半歩下げ、右手を体に添え、左手を横方向にせず手がフラフラと遊ばせながら貴族の礼儀であるボウアンドスクレイプを取る。


「....私はお前のそういう所が嫌いだ。忌々しいシュナイツァー男爵家め」


 一方、メイデーアはマクドウェルの取った行動が気に食わず、忌々しげに顔を歪め、額には青筋を浮かべ、霧で何も見えない空を見上げる事しか出来なかった。

 そして、更にメイデーアが被っていた仮面が剥がれたのか、マクドウェルの呼称が「貴方」から「お前」に変わっていた。

それにメイデーアは貴族の権力を使おうにも使わなかった。いや、使えなかったと言う方が正しいのか。


「おいおいメイデーア、眉間にシワを寄せてどうしたんだい?せっかく綺麗な顔が台無しだよ。それとも君も父君と――――」

「調子に乗るなよシュナイツァー。この軍規と国政さえなかったら貴様を断罪してやれたものを!」

「ふーん....。で、どうする?」

「知れた事!今すぐ貴様をここで――――断罪する!」


 お互いの売り言葉に買い言葉に、マクドウェルは静かに、メイデーアは激しく、お互いが闘気を(みなぎ)らせながらメイデーアは腰に差していた突きに特化した一振りのレイピアを手にかけ―――


「っ!?艦長に副艦長!?お二人は一体何をしているですかっ!?」

「チッ」

「ふぅ…」


―――る前にやって来た1人の男性乗組員の一言でメイデーアは舌を打ち、マクドウェルは安堵の溜息を吐き、お互い漲らせた闘気を抑え始めた。

つまりマクドウェルとメイデーアの一発触発な雰囲気が霧散したのは彼のお陰であろう。


「んー?君は確か音響班の?」


 そして先程一発触発な二人に割って入った男性乗組員――カウェンはビシッ!!と言う擬音が鳴りそうな勢いで敬礼をしていた。


「はっ!音響班のカウェン下等海曹でありますっ!!」


 もっとも、先程の二人の闘気に当てられたのかは知らないがカウェンの顔色が優れず、汗を吹き出していたが。


「んで、その音響班の一海曹が僕のところに来て何の用だい?」


 マクドウェルは先程漲らせていた闘気を抑えながら、カウェンにここに来た訳を問いただした。

問いかけられたカウェンは慌てて敬礼を崩し、ここに来る顛末を話した。


「つまり我々の第5試験艦隊がいる海域の付近に魔力動力炉を搭載した船。しかもこの〈クァールツァパーゼ〉より大型の船がこの付近にいる、って事かな?」


 話を聞いたマクドウェルは思案顔でカウェンを睨め付ける。

一方、睨め付けられたカウェンはと言うと全身に冷や汗をかき、顔色は優れず、小刻みに震え、今にも泣きそうな顔で頷いていた。


「ふむ、この話が本当ならヤバイね。まぁ、商連の船だとありがたいけど....」


 マクドウェルはつい先ほど聞いた話を反芻しながら、希望的観測を言う。

曰く―――自分達の艦隊の魔力振動以外何も聞こえなかった音が聞こえ始めた。

曰く―――それの正体は推測ではあるが大型の船であること。

曰く―――魔力動力炉を搭載してあること。

曰く―――その所属不明艦の魔力振動がいきなりなり始め、こちらに近づきつつあること。


「(――――そんなことがあり得るのか?)」


 ふとそう考えてしまう。確かにこの世界には《転移魔法》なる物はあるが扱える者は少く、人一人を転移させるのに一般魔術士で100人、王宮お抱え魔術師五人、世界に五人しかいない最高峰の魔導師が一人でギリギリを扱える燃費の悪い魔法でもあるし、なおかつ術式が複雑という理由もあるのだ。

更にこの《転移魔法》は重量や体積、密度の変化で消費する魔力量も変わり、最高に燃費が悪くなる。

 ましてやこのクァールツァパーゼより大型の艦を転移させようとすれば一体何百人分の魔力、否、何千人分の魔力を消費するのか想像に難くない。

 そしてマクドウェルの口から出た〈商連〉とは惑星ヘイズルの各国が加盟し、魔力動力炉を軍隊以外に使用しているのが〈商業協同組合連盟〉の事。

つまり、魔力動力炉を搭載した船は各国の軍部か商連しかないというわけである。


「さて、できればその謎の船とこの深い霧の中でドンパチは勘弁したいなぁ」


 おどけ口調で苦笑を浮かべているのだが、その目は全く笑っておらず、まるで砲撃戦が起こることを見通しているようだった。

そしてマクドウェルは「やれやれ、お仕事の時間か....」と呟き、壁に設けられた伝声管を引っ張り出し、


「総員直ちに第二種戦闘準備。繰り返す、総員直ちに第二種戦闘準備。それと今は霧だから発光信号で所属確認をしてみろ。さぁ、諸君!仕事の時間だ!」


 艦内放送でそう伝えると伝声管を元の場所に戻し、後ろにいるカウェンとメイデーアに向き直る。

 一方、向かれたカウェンはタジタジとするが彼にそっちの気はない。

寧ろ出る所は出て、締まる所は締まっている奥ゆかしい女性が好みなのは公然の秘密である。

他方メイデーアはマクドウェルを背にしていたが自分が見られていると言う視線を感じたのか振り向きつつ「チッ」と舌打ちをするのを忘れない。


 マクドウェルはそんな2人にとある命令を下した。

その命令とは―――


「2人は今から退艦しろ」


――――退艦命令だった。

マクドウェル陣営の話は次で終わる予定です。

マクドウェル陣営の話が終われば主人公陣営に戻りたいと思います。

12/3 サブタイトルを変更しました

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