第6話
重い気分のまま、次の日が巡ってきた。
グフタスは約束通り、魔道を持つ者を謁見の間に集めていた。
だが、部屋には、たった9人の男性しかいない。
「初めまして、スフィアと申します。聞いているとは思いますが、次期姫を捜し出すのに力を貸してくださる方を捜しています。一緒に姫捜してくれると言う方はいませんか?」
何をどう頼めばいいかわからず、とりあえずストレートに頼んでみたが、誰もがお互い顔を合わせるだけで了承の声は上がらない。
仕方ないので、まず、端にいた人から順に聞いてみることにした。
「あなたは私と一緒に行く事は出来ないのですか?」
年齢は30代半ばというところだろう。
体系のいい、いかにも剣士という感じの男性は私の言葉に軽蔑の眼差しを向けた。
「魔道力は限られた力。この魔道力があるということで我々はそれなりの地位を持ち、それなりの待遇を受けている。つまりこの力を奪われるということはこの生活を失うということです。私には出来ません」
「ですが、姫がいなくて困るのは貴方達なのでしょう?」
「もちろん、困りますが、なぜ自分だけが犠牲にならねばならないのです?」
当然のことを言っているといわんばかりの表情。
男の言葉に開いた口が塞がらない。
この人たちは自分達の国をどうしたいのだろうか?
「姫を見つけるのに魔道が使える人が必要なんです。誰かが一緒に来てくれないと姫を探しに出られません」
「次期姫を探し出すのは貴女の役目。その為に召喚されたのでしょう。ご自分で方法をお考えられればいい」
冷たい一言。
しかし、その場にいる全員がそう思っているのか、誰も言葉を発せずにこちらを見ている。
「貴方達は虚しい心の持ち主なんですね……。他者の力を当てにし、自分の力は失いたくないと恥かしげもなく言う。この国を救うのに私1人だけで救えると思っているのなら、貴方達は考えを改めるべきです」
「他を当ってください」
「……」
言いようのない虚しさと悲しみで胸が痛む。
この国はいったいどんな国なのだろうか?
誰も何もしないのに、この国を救えと言う。
私1人で出来る力など、何もないと言うのに……。
どうしたものかと、途方に暮れはじめた時だった。
突然1人の男性が私の前で膝をついた。
「失礼いたします。スフィア様。どうぞ、わたくしをお連れ下さい」
「貴方は?」
「魔道騎士セイディーン・ローランと申します」
グレーの髪、緋色のマントを肩に巻いているセイディーンと名乗る男は、まだ若く、私より少し年上のようだ。
「あなたは私と一緒に行ってくれるんですか?」
「はい。この国の為にお心を砕いてくださるスフィア様の為なら、ぜひ、自分の力を使って欲しいのです。たとえこの力が尽きても、私にはまだこの体と剣の腕があります。何とでもなりましょう」
顔を上げて、優しく微笑むセイディーンに、私の心がトクンと音を立てる。
たった一人ではあるものの、一緒に行ってくれるというのは心強い。
「ありがとうございます。では、宜しくお願いいたします」
「では誓約を」
「誓約?」
「忠誠を誓う誓約です。裾を失礼してよろしいでしょうか?」
「は、はい……」
一緒に行くだけなのに、何を誓約するというのだろうか?
しかし、彼は騎士だと言っていた。
何か私の知らない儀式のようなものが必要なのかもしれない。
「それでは、失礼させていただきます。……わたくし、魔道騎士セイディーン・ローランは、女神ルーディアの娘、スフィア様に忠誠を誓うことをここに誓約します」
セイディーンは誓約の言葉を述べ、「失礼」と言うと私のドレスの裾を掴んでその裾にキスを落とした。
これで、セイディーンが旅に同行することが決まった。
しかし、まだまだ道のりは険しかったのだ……。
・・・ふう、こっちも相手がやっと登場。




