夕暮れ祭の始まり。
夕暮れ祭編です!あまりシリアスは無いと思われます!
多分三つか四つに分けると思いますがお付き合いお願いします。
というかこういうの苦手です!何ででしょう!
朝。
見鏡は寝ぼけ眼を擦りながらおきた。
これだけ見ると中性的な顔立ちと長い髪のせいで女性に見えるときがある。
ふと、外を見るとまだ薄暗かった。
(あー・・・あれ、今何時だ・・・?)
枕元にある時計を見るとまだ午前六時。
武闘会まで半日弱ある。
(ドンだけ早起きしたんだよ・・・まぁ、昨日早く寝たしな・・・取り敢えず風呂入るか・・・)
ゆっくりとベットから出て立ち上がり、これまたゆっくりと衣装箪笥へと歩く。
(あー少し動きやすいのでいくか・・・)
武闘会もあるので、ということで選んだのは膝下まである灰色のズボンと真っ白な薄手の長袖に、長袖より薄い布地で出来たベージュの半そで。
(まぁ・・・今ある中では一番動きやすい組み合わせだろ・・・)
本当は他にもっと動きやすい服があったのだが、すでにかばんの中に入っていて出すのが面倒なだけという話なのである。なめきっているという事だ。
(取り敢えず風呂はいってくるか・・・)
****
同時刻。
「むむ・・・・」
伊井島は服を選んでいた。
昨日の夜は母親と口げんかして終わってしまったので大して準備は出来なかったのだ。
それもそのはず、大事な娘を知らない男に預けて旅に出すなんて不安でしょうがないはずだ。
「なかなかいい服が無いねぇ・・・」
元々インドア派の伊井島はアウトドア用の服が無かった。
しかしお金だけはあるので途中で買い足していけばいいと言う結論に至り、三着セットほどだけもっていくことにした。
****
ところ戻って見鏡宅。
(ふぅ・・・やっぱり風呂はのぼせるから入らないほうがいいな・・・)
髪を拭きながら洗面所から出てきた見鏡。
基本的に一人のときは心の中で呟く男らしい。
外を見るとさっきに比べかなり日が昇っていたのを確認したので、時刻を見ると八時。
単純計算で二時間も風呂に入っていたことになる。
(そら、のぼせるわな。)
あほか、と自分に悪態を付き、一応露天周りをする気があるのか開いたショルダーバッグに財布を持ち出す見鏡。
何故この時間から、と普通なら思うかもしれないが、夕暮れ祭は昼からやっているのだ。
もちろん、メインイベントの数々は四時前後に開催されるわけだが。
露店などは昼間から開いているのだった。
家に調理道具が無い見鏡は朝と昼を兼ねて露店で食事を済ませる事にし、取り敢えずソファに腰を下ろした。
(今夜は出発か・・・)
何故人の出入りが激しい今日にしたかと聞かれれば答えは簡単である。
人の出入りが激しいからこそ、大きな荷物を持って村を出ても遠くから来た人間なのだろうか、という話で終わるからだ。
普通の何も無い日に出て行ったらそれこそばれてしまう。
なるべく人知れずが好きなのだ。
今夜の計画を立てているとコンコン、とドアが叩かれた。
「おーい見鏡ーいるかー?」
この声は本条だろうか。
特に居留守を使う理由も無いのでドアを開ける。
「よっ」
右手を掲げて挨拶をしてくる本条。
「何の用だ?」
良い反応が帰ってこなかったのが少し悔しそうだが話を続けた。
「あぁ、いや、今日さ、今から露店周りするんだけど一緒にどうだ?俺と一緒なら可愛い子が沢山声かけてくるぞ?きっと。」
見鏡は前半はまんざらでも無さそうに聞いていたが後半の可愛い子~の下りからアァン?と文字が出そうな顔に変わっていた。
「あ、いやなんだ。別に女の子はいいんだ女の子は。取り敢えずお前とたまには遊んでみたくてよ。」
「待ってろ、財布とか持ってくるから。」
「あいよ!旦那!」
「誰が旦那だ。」
最後の茶化しに軽く反応しながら物を取りに家へ戻る見鏡
(それにしてもダメ元で言ったのがまさかOKをもらえるとはな。柄にも無く緊張してたのが何か損した気分だ。)
実は元々見鏡にも少し憧れていた本条は結構嬉しかったりしたのだが見鏡自身は全く気付いてないようだ。
(だってよ、あの一人の孤高な感じがかっこいいよなーしかもキャラ作りでなくて本物っていうのが分かるしな。全くあいつに何人惚れてることやら。しかも見た目もいいし。ちぇっ)
軽く嫉妬心を見せながら待っていると、見鏡が戻ってきた。
「おかえり。」
「ん。」
ん。って・・・はじめて聞く言葉だな・・・などと考えてながら祭りのある広場へと歩き始めると見鏡から声がかかった。
「ってか、お前金持ってるのか?」
「あぁ、それなりに。」
「いくら?」
「七万。」
「お前どんだけ食う気だよ・・・」
呆れたように言う見鏡をみると本条は笑いながら返した。
「いやいやぁさすがにこんなには食べれないって。露天には色々うってんだぜー?最近は武器も売ってるって噂だし。」
「それだと逆に買えないだろ・・・」
軽くため息を吐きながらかえされる
「でもよ、最近の武具は安いんだぜ?なんでも新しく坑道が出来たお陰で鉄が手に入りやすいんだと。」
どや、論破したろ?と多少誇った顔で見鏡を見ると見鏡は蔑むように見ていた。
「あのなぁ・・・坑道が出来たことぐらいしってるっつの・・・俺が言ってるのは、たかだか七万程度で買える武器なんざすぐに刃こぼれするわ折れるわでろくなもんが無いぞ」
「え゛マジで?」
「あぁ。」
「なんでぃ」
話していると今歩いている本道へ合流する形で作られている小道を歩いていた女子数名が歩いてきた。
その女子達は見鏡の顔を見ると軽く取り乱し、本条を呼び出した。
(何なんだあいつらは・・・)
これまた呆れた顔で見ていると本条が戻ってきた。
「何なんだったんだ?」
「あぁ、何でお前と見鏡が一緒にいるんだーだって。」
「は?」
「んで、祭り周るなら一緒にいいか?だって。」
「断ってきただろうな。」
「もちろん♪」
ネコのように真ん中と口の左右を吊り上げムフーと息を吐く本条。
「おい、お前それ気付いてるかどうか知れないけど、割と気持ち悪いぞ。」
「マジで!?」
心外だ!?と叫びながらも歩くことをやめない本条。器用なやつである。
そういったやり取りをしながら歩いていると、目的地へ到着。
まだ昼にもなっていないと言うのに広場は大賑わいだった。
それを見た二人は感心したように呟いた。
「すげぇ賑わいだな。」
「だな。」
「正直予想以上じゃね?」
「確かにな。ここまで人がいたとは思わなかったな。」
入り口で立ち止まってると、後ろから男と思われる声色の声がかかった。
「君達、入り口でたむろしてないで早く入りなさい。後から来る人に迷惑だよ。」
そこに立っていたのは鎧を着込んだ男性だった。20~25あたりだろうか。
黒い髪を首でまとめてあり、さっぱりとした印象を受ける。
「誰だアンタ。」
その言葉はその周辺にいた人間を凍りつかせた。
二人を除いて。
「ば、馬鹿!お前この人が誰だかしらねぇのか!?この人はレストナム騎士団騎士団長のスコール団長だぞ!」
「まさか、僕のことを知らないとはね、けれども今知ってもらえたので光栄だよ。レストナムを救った英雄さん。」
スコールの口から出た言葉に周りの人間は安堵の色を見せるが、またすぐに凍りつくことになる。
「あぁ、出撃までに何時間もかかるあの役立たずグループのお山の大将か。ご苦労なこって。」
本条はもう他人の振りをしようかと思ったが今やっても仕方ないという結論に至り傍観する事にした。諦観というのかもしれない。
流石に温厚なことで知られるスコール団長も怒るだろうと周りの人間は思っていたが、スコール団長の反応は更にその上を行っていた
「いやぁ、君の騎士団嫌いも筋金いりだね、レヴィア君に聞いたとおりだよ。今日の武闘会は参加するんだろう?決勝まで上がって来なさい。そうすれば私が相手できる。むしろ上がってきてくれ。ナル軍勢を一人で撤退させた実力を見てみたいからね」
確かナルの軍が来たことはオフレコのはずだがどうなっているのか、そんなに俺を公開処刑にしたいのか。
「ま、首を長くして待ってな。」
「そうしておくよ。」
そういって二人は分かれた。
スコール団長は武闘会会場へ、見鏡は露店の群れの中へ。
食べ物を買って食べていると、本条が尋ねた。
「おい、スコール団長に勝ち目はあるのか?」
その質問は意味があるのか?と小声で呟く。
「いやさ、俺も騎士団は大して行動力ないと思ってたからさ、この機に叩きなおしてほしいというかなんと言うか」
「ま、余裕だろう。」
「そうか?でもあのスコール団長、ここいらの国の中では一番強いんだろ?」
その言葉を聞くと見鏡はいささか驚いた顔をした。
凄いな、という意味ではなく。
「あの程度でか?」
思いがけない言葉が出てきたのに驚きながらも感想を言う本条。
「お前の自信も凄いな・・・」
「別に自信があるわけじゃない。二年前は世界一の人間と何回も戦ってたわけだしな。」
「ん?世界一?」
「なんでもない。そろそろ一時だ、参加書出しに行くぞ。」
そういってテーブルを立つ見鏡を追いかけるために急いでラーメンをかきこみ、勘定を済ませる。
いよいよだ。
あの時は戦いを直接見れなかったが今回は見れる。しかも対峙できるかもしれないのだ。
期待に胸を膨らませ見鏡のあとを追いかけていった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか夕暮れ祭編一章!
これも長くなってしまいましたが、今もっと読みやすく出来ないかと試行錯誤中です!きっとだんだん短くなってくれると思います。
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