襲撃。
主人公は漫画や本等をたくさん読んでいる設定なのでもしかしたら皆さんの知っている台詞や、能力、行動が出てくるかもしれません。
そこも含め是非楽しんでいってください。
時は深夜。
場所はナル軍駐留地。
そこにあるテントの一つに伊井島はつかまっていた。
自分は殺されるのだろうかと怖がっているとそのテントの入り口が開いた。
入ってきたのは男だった。
いよいよ殺されるのか、と警戒心を強くする伊井島だったが男が脇に抱えているものを見るとそこには本条がいた。
(あれ・・・本条君・・・だよね?)
「良かったな、仲間が増えたな。」
皮の鎧、所謂レザーメイルというものをきた男は言った。
「仲間って・・・」
「どうやらこいつお前を助けようとしてここへ向かってきたらしいぞ。」
何故私なんかを助けようとしたのかが分からない。
どうして?という疑問が渦巻くが答えが出ないのでその疑問は放置することにした。
問題はどうやって二人でここを脱出するかだった。
伊井島が返事を返さないことを悟ると男はテントから出て行った。
そして思考に集中するために目を閉じておよそ十分。
自分の前、テントの中心から声がかかってきた。
「おいおい、本条も捕まったなんてかっこつかないだろ」
そこには椅子に腰掛けテーブルに肘を着いている見鏡がいた。
「なっ・・・・!」
驚きで声を上げそうになったが、見鏡が距離をつめ口を塞いだ。もちろん手でだ。
「あんまり大きい声出すと俺がここにいるのばれちまうだろうが。」
しまった、という顔をしながら小さな声で伊井島はたずねた。
「アンタなんでこんなところにいるのよ。」
その質問に、見鏡は呆れた顔をして答えた。
「なんでって、お前らが捕まってるからだろ。」
「危ないじゃない!」
「あのなぁ・・・お前気付いてるかどうか知らないけどさ、ナルの駐留所があって、レストナムの住人が捕まって、これは完全にナルがレストナムを足がかりにしてナイトファルを落とそうってことだろ?つまりどっちにしろ命の危険はあるんだ。だったら自分で飛び込むほうが好ましいだろ。」
その一理ある説明に一応納得したのか、一度はおとなしくなったものの、また疑問が出てきたのか質問した。
「なら、何で騎士団とかつれてこなかったの?」
面倒な質問だ。と顔に出るほどに表情を歪ませ。
「騎士団の連中には言うなよ。」
「え?う・・うん。」
「ぶっちゃけて言うと、足手まとい。」
「は?」
「だから、足手まといなんだよ。あいつ等、足遅いし剣も大して強くないし変な体制にこだわるから邪魔だしそれなのにプライドだけ一人前に持ってやがる。」
「で、でも、アンタ一人でやるよりは明らかに安全でしょ?」
見鏡は軽くため息をついた。
「馬鹿言うな。この程度の規模の軍なんざ―――――千五百秒で終わらせられるぜ。」
そういうが速く、見鏡は伊井島と本条の手と足にある縛り縄を切り、開放した。
「んじゃ、行って来る。人殺しデビューってな。全く愉快な話だ。」
そういいながらテントの入り口に向かう見鏡に伊井島は声をかけた。
「どんな秘策持ってるのか知らないけど、絶対に生きて帰ってきてね。」
その言葉を聞くと見鏡は軽く右手を上げ、
「わぁってるよ。」
これから戦いに行く人間のものではないような調子で言った。
***
そして見鏡はテントの入り口に近づくと、見張りの兵の会話が聞こえた。
「まったくよぉw一人で助けに来るなんて馬鹿にもほどがアルヨなぁw」
「ほんとだぜ、多分あの女のことが好きなんじゃねぇか?だから助け出して好感度アップを狙ったんじゃねぇか?」
「あーなるほどなwあの年頃のやつなら一度は想像しそうだもんナ」
見張りの二人は本条のことをネタに笑っているようだった。
「全く・・・」
ため息と共に長く伸びた真紅の髪を縛り、腰から腕の長さほどの剣を抜きテントの扉越しに二人の首を裂いた。
そして兵士の体とテントの扉が地面へ落ちていく。
「俺が言えたことじゃあねぇが。精一杯頑張ったやつを笑うんじゃねぇよ。クソッタレが。」
そして救出の後の戦いが始まった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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