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story in story  作者: 初谷ゆずる
物語の始まり
17/46

増える仲間達

「え・・・・?」





「え・・・・・・・・・・・・?」




珍しく目を丸くして包帯に包まれているのは見鏡 氷雨だった。


「おぉ、起きたか。」


その傍らにいたのは本条だった。


「何がどうなってるんだ・・・?何でベットに括り付けられてるんだ・・・?説明を要求していいですかね?」


珍しく敬語のようなものを使った見鏡に多少驚いたものの、流石にかわいそうなので説明を始める。


「いやさ、あの姉ちゃんが家に泊めてくれるっていうから歩き出したときにお前岩から立ち上がったと思ったらすぐバッタリと。」


煎餅をかじりながらあまり心配はしなかったぞというアピールも忘れずに説明をした。


「あぁ・・・なるほど。俺が意識を失った理由は分かった。だけど何でベットにくくりつけられてるんだ?」


体全体を包帯で蓑のようにぐるぐる巻きにされ、身動きが取れない上にその上ベットと見鏡は包帯で同化させられていた。


「あぁ、それは「僕が頼んだんだよ。」台詞取るんじゃねぇよ馬鹿」


かろうじて動く顔を動かし下を見ると、レヴィアがスタスタと歩いてきていた。


「いやぁ女同士の話には中々入りにくいものがあるね。」


「そんなのはどうでもいい。速く包帯を取ってくれ。」


こんなに厚く巻かれたら逆に傷直り辛くなるだろ。


「フフフッ。そんなに口が回るほどの元気があるなら自分でほどいてみたらどうだ?」


ニヤニヤとキャラに似合わない表情でベットの足元から見鏡を見下ろす形でたつレヴィア。


「テメェ・・・何時か殺す・・・!」


そう叫ぶが今は何もできないと思っていたのだろうか、レヴィアは口を止めない。


「あまり強い言葉を言うなよ。弱く見えるぞ?」


どこかの某メガネさんみたいなことを言ったのは不味かった。


見鏡が本気で怒り始めた。


「能力使用開始・・・」


そう呟くと、次の瞬間。


パン!と言う音と共に包帯が破裂し、そこにはすでに見鏡はいなかった。


流石にここまで力技で来るとは思っていなかったのだろう、かなり動揺していたレヴィアだったが、ベットの隣で煎餅を食べていた本条は至って冷静に三枚目の赤黒く染まった煎餅を取り出して辛そうだ・・・などと感想を呟いていた。


ガッ!と言う音が鳴ると、レヴィアは見鏡の寝ていた部屋の壁に顔を掴まれ押し付けられていた。


「よ わ く み え る だぁ?」


だんだんと命の危険を感じてきたのか、体中から冷や汗を流し始めるレヴィア。


ちなみに、見鏡が高速移動した際に起こった風邪が激辛煎餅の粉末を飛ばし本条の目と鼻にゲットインして地面を転がり泣き喚いているのは後でからかわれるネタになるのだった


「い・・・・いやぁ、あれだよ。あれ。漫画に出てくる台詞は誰でも一度は言ってみたくなるじゃん?だからちょっと格好付けてみたかったんだよ。」


それを聞くと、少し納得したように頷いた。顔を掴んだまま。


「まぁ、相手が悪かったな」


ニコッとふきだしを付けたくなるような顔をした後に、ゴゴゴゴゴというこれまたふきだしを付けたくなるような顔をして、死刑宣告をした。


「じゃあな♪」


ゴキゴキゴキ!というもうそれ生きて無いでしょ明らかに、という突っ込みを入れたくなるような音を立て、レヴィアは崩れ落ちた。


あーすっきりしたーというような感じで首をコキコキと鳴らしながら居間であろう場所に向かい廊下を歩いていると、先から女子勢の声から聞こえた。


「うっそー!マジで!?」


「春だー!春が来たよー!」


なんだ騒がしいな・・・と体を解しながら居間にはいり、この騒ぎの原因を聞いた。


「おい、何でそんなに騒いでんだ?」


居間の中心に置かれたテーブルにすわり談笑している女子四人に声を掛けた。


すると、少年姉を除いた女子全員が一斉にこちらを向いた。しかも目にはきらきらと星が輝いていた


(おぉう・・・一瞬引いちまったじゃねぇか・・・)


「あのね!あのね!ルイちゃん好きな人がいるんだって!」


「ルイちゃん・・・?」


「そう!この子ルイって言うんだって!」


机の一角に恥ずかしそうに座っている女子を指差しながらはしゃいでいた。


「好きな人・・・ねぇ。」


「そうなんだよ!春に告白したんだって!」


「春・・・・?」


「そう!春!春は全てが始まる季節!希望の季節!暖かい風流れ!そこには初々しいしんにゅう(以下略)」


長々と春について熱く話すシンリア。こんなにテンションが上がるやつだったが。


「春に全部始まる・・・ねぇ・・・」


「そう!そうなのよ!」


「全てが始まるってことは、冬に終わるんだな。」


ピシッと空気が凍った。


何か不味いところを突いてしまったのか、ルイという女性のところから負のオーラが湧き出していた。


が、特に気にしてい見鏡は着替えでもしようかと服の置いてあるところを探そうとするが、いつの間にかレヴィアと来ていた本条に後ろから頭を叩かれた。


「なぁに言ってんだお前。」


「あぁ?」


少し怒気を含んだ声で言い返すと、テーブルの一角に座るルイが呟いた。


「い・・・いいんですよ・・・本当のことですから・・・春に告白して・・・まだ待ってくれって言うから待ってたら・・・冬に・・・・別に好きな人がいるからって・・・・ふられたんです・・・」


(((((春に告白して・・・冬に振った・・・だと・・・・)))))


流石にひどい仕打ちだと見鏡を含めた全員が思っていると、本条がフォローに入った。


「い・・・いやぁ、でもさ?男っていうのは星の数ほどいるし・・・ね?」


「でも・・・星には手が届かないですよね・・・?」


(((((返しが上手い・・・!)))))


上手いというよりはただの屁理屈なのだけれど。


そこで、痺れを切らしたように見鏡が言った


「別に失恋なんざ人生で何度も経験することだろ?それにそのお前を振った男だって別にお前の半身な訳でもないんだし、それにそいつがいなかったら死ぬって訳でもないんだから、まぁ次に目を向けたらいいんじゃないか?」


「お前、失恋経験あんのか?」


「ねぇよ。」


「だよなー」


うん、それでこそ見鏡だ。と、本条が頷きかけたそのとき、気付いてはいけないことに気付いてしまった。


失恋をしていないということは、すでに恋が成就している可能性がある。


つまり、伊井島と・・・・


そこまで考えたところで、ありえないだろそれは流石に、と頭を振り、話題を切り出した。


「で、何時出発するんだ?」


「ふむ、僕は今すぐにでも出たいところなんだが、どうかな?氷雨。」


「ああ。俺もそうしたかったところだ。」


それに続き、見鏡一向全員の賛同が得られたところで、レヴィアがルイに話を切り出した。


「今まで世話になりました。身支度を整えたら出発しますね。」


「あ、はい。」


何か言いたそうに口をパクパクと開閉してたが、それを無視して話を続ける。


「じゃあ、身支度しようか。」


****


男勢の服が置いてあるところに着くと、本条が口を開いた。


「おい、いいのか?なんか言いたそうだったじゃないか。」


「うん。気付いたよ。でも中々切り出せなかったって事はまだ迷ってるのかもしれないだろ?だからまぁ言うまでまとうかと思って。」


「なるほどねぇ。」


そんなもんかなぁと本条が納得すると、見鏡がそこで口を挟んだ。


「ま、そんなに待つ必要は無い見ないだな。」


チラ、と部屋の入り口を見ると、少年がドアに隠れて立っていた。


「出て来いよ。お前がさっきから後をつけてたのは気付いてる。」


言うと、おずおずと姿を現した。


「あ・・・あの・・・えっと・・・」


言うかいわないか迷っているのだろうか、いまいちハッキリしない物言いだった。


いつもなら見鏡がさっさと言え、と言うのだが、今回は何も言わなかった。


「旅に・・・つれて行ってはもらえないでしょうか。」


覚悟を決めたのか、そう切り出した。


「なんでだ?」


見鏡は本心ではすでに結論が付いていたが敢えて聞いた。


「えっと・・・ここにいると、村の人達に暴力を振るわれそうで、怖いんです。この村の人は異様にあの化け物を怖がってて・・・」


「つまり、この村にいても暴力を振るわれるだけだから連れて行ってくれ。と。」


「はい・・・」


見鏡は長い髪をまとめながら言った。


「言っておくが、俺たちの旅はそこらの商人みたいに安全な道を選んでちまちま行くようなたびじゃないぞ。」


「分かってる・・・」


「命の保障は無いぞ」


「それも分かってる・・・」


「いざとなれば人を殺す事になるぞ。」


「それは・・・どうにかする・・・」


もう聞くことはない、と思ったのか、ため息をついた。


「ならいいんだ。どうせお前の姉もだろ?だったら姉はしっかりお前が守れよ。少年」


「は・・・・はい!」


少年は意気揚々と部屋から出て行った。


こうして、またさらに仲間が増えたのだった

本「少年だってよ、プププ」

ゴキャ!

本「スイマセンでしたもうしません」


最後まで読んでくださってありがとうございます!

こんなに仲間を増やしてるのにはちゃんと理由があるのです!実は!


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