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story in story  作者: 初谷ゆずる
物語の始まり
16/46

神柱とは

見鏡がベヒモスを倒した頃。


村には大人たちに囲まれた少年がいた。


「おい、どうやって逃げてきたんだ?」


「ふざけんな!お前のせいで村が襲われたらどうすんだ!」


「そうだそうだ!」


口々に罵倒を浴びせかける村人達。


しかし、少年もベヒモスに立ち向かい何かが変わったのか、言われるだけではなかった。


「うるさい!あんた達みたいにただ言うとおりに村の!しかも昨日まで友達だった人間を平然と差し出す人間になんかなりたくないんだよ!」


少年にそこまで言われ頭に来たのか大人たちがぞろぞろと拳を構え近づいてきた。


袋叩きにするつもりか、と考え少しでも抵抗するために拳を構えるが大人たちが少年に拳を振るうことはなかった。


「オイオイ。流石に少年少女相手に大人数人で囲むってのは、どうなんだ?」


いつの間にか、少年と少女を囲むように五人の人間が立っていた。


「相手なら私たちがするわよ?」


それぞれの武器を取り出し、構える気も無いようにだらりと下げたままで言った。


「そこまでにしなさい。皆さん。」


村人が今にも襲い掛かりそうになったところで、輪の外から男の声がかかった。


その声に反応するように、村人がザザァ と男の道を開けた。


「君たち、流石に子供のわがままでは済まされないことをしたね?」


「あぁ?」


「君たちの取った行動でこの村が壊滅するかもしれない、そのときはどうするつもりなんだい?」


その台詞は、お前達のとっている行動はただの自己満足だ。それによって他人が迷惑している。


と言っていた。


しかしレヴィア一行は全く怯まなかった。


「なぁに言ってるんです?ここの村が襲われて人間がいなくなったら困るのは貴方ですよね?神柱さん。」


その言葉に、村人たちがざわついた。


「僕達はさっき調べさせてもらったよ。全くうちの一行の能力が高すぎるのも嬉しいね。一瞬で調べ物が終わったよ。」


正体を知られても全く動揺していなかった。男も多少興味が出てきたのか、質問をした。


「神柱を知っているということは君たちはそれなりに権力のある人間だと言うことかい?」


調べたことには全く興味がないという質問だった。


「いや、今の僕達はただの旅人さ。今は、ね。」


男はそれだけ聞くと興味をなくしたのか。踵を返しながら言った。


「まぁいい。あの魔物さえいれば村の制圧など簡単だ。」


暗に今からお前達をあの魔物で殺すぞ、と言っているようにも取れるその台詞は、よろよろと歩いてきた見鏡の台詞に否定された。


「ざーんねん。お前の頼みの綱の魔物はついさっき俺が殺したところだ。」


ドサッと岩に座り込みながら訂正の言葉を入れる見鏡に流石に少し動揺したのか、瞳が不自然に揺れた。


「ふむ、なら私が直接手を下すまでだよ。」


そういうと見鏡たちに向き直った。


「さぁ、一方的な力を知りなさい。」


ブワァ・・・と男の周囲の空気が変質した。


と思った次の瞬間。パキンッという音がした次の瞬間、視界が赤く染められた。


状況を把握するまでに一瞬の時間が必要だった。


視界を赤く染めているのは火だった。


とてつもなく大きな火。


しかし実際は熱を持たない幻覚だったのだが、脳がそれを理解する前に炎が消えてしまい、それを知ることは出来なかった。


視界が晴れるのに十数秒かかった。


視界が晴れた頃には、男の姿はなかった。


その代わりに地面に文字が彫られていた。 殺すには惜しい人材だ。せいぜい生きなさい。と


「チッ・・・あの野郎・・・ミカエルの柱か・・・」


後ろで呟いたのは見鏡だった。


「ミカエルってことは・・・かなり上位の神柱か。」


「あぁ。」


一行が何かに納得したように頷いていたが、少年は何が起こったのかわからなかったのだろう、神柱の説明を求めた。


神柱。


ナル帝国の頂点に君臨する王を守るために組織されたグループである。


それは天使や悪魔の名前を模した階級を与えられる。


例えばミカエルやドミニオン、マステマなど。


それぞれにその天使や悪魔の持っている能力が与えられる。先程の男で言えば炎。


もちろん、天使の階級が高ければ高いほど、その天使の名を与えられた人間の地位も上がるというシステムだ。


「全く・・・人間に天使を宿すなんざ考えることがぶっ飛んでやがる。」


「全くその通りだよ。」


見鏡とレヴィアの二人は呆れたように言った。


そこで、神柱には元々興味がなかったのかシンリアが口を開いた。


「ねぇねぇ、村人はなんかいつの間にかいないけど、明らかに敵視されたよね。宿屋に泊まれないよね」


シンリアが現状の確認をしようとそれを口にすると、少年の姉がそれに答えた。


「あ、それなら是非うちに泊まってください。うちならこの人数なら泊められると思います。」


それは都合が良いと言うように同意の意を示す見鏡一行。


かくして姉弟の家に泊まることとなった。

レ「それにしても、何でそんなにボロボロなんだ?お前。」


見「ベヒモス・・・のような何かと戦ったから。」


伊「何か・・・・?」


見「あぁ、あれはベヒモスより弱かった。明らかに。まぁそれでも十分強かったがな。」


本「なんなんだろうな。」


見「さぁな。」

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