連続する戦い
ドン!という音と共に御者の周囲の地面から粉塵がまった。
「その御者の中に生贄はいるのかな?」
一番口が達者であろうレヴィアが担当することになった
「何なんだ貴様たちは・・・」
白装束の中では一番地位が一番高いであろう男が答えた。
「オイ、御者の中に人間はいないぞ。それはブラフか?」
今まで自然に振舞っていた白装束の男達の動きが固まった。
「ま、おおかた例の餓鬼が邪魔でも仕掛けてきたら面倒だからってところかな?」
図星を突かれたからか、目に見えて白装束の一行に動揺が走る
「い、今更分かったところでどうにもならないぞ!」
「つまりもう儀式が始まっている・・・と」
「チッ・・・能力開放・・・・!間に・・・合え・・・・!」
バン!という轟音と共に見鏡の姿が掻き消えた
「さぁ、あいつがいれば時間稼ぎぐらいはしてくれんだろ。俺らはこいつらから話を聞くことにしますかい?レヴィア隊長」
その質問にレヴィアは笑った。
「馬鹿言うな。こいつ等に事を聞いたところで何が変わるわけでもない。さっさと見鏡のところへ向かうぞ。」
そういって見鏡のところへ走り出すレヴィアの後を追うようにシンリア達が走り出す。
「俺が知っているこの街は・・・もっとあの化け物に抵抗してようとしていたけどな。全く。5・6年で堕ちるとこまで堕ちたな」
そう吐き捨て、見鏡の所へと走り出す本条。
****
「僕も戦うよ!戦わせて!」
少年が叫んでいるのは、黒曜石のような真っ黒な祭壇の向こう側に崖が壁のようにそそり立っているという儀式場のすぐ近くの茂みの中だった。
「ダメだ・・・君には危なすぎる。大人しくここにいなさい!」
「でも・・・!」
二人で同じやり取りを何度か繰り返していると、後ろから声がかかった。
「ったくくだらねぇ言い合いしてるんじゃねぇよ。オイ餓鬼そんなに役に立ちたいなら今すぐお前の姉に向かって走れ。今すぐにだ」
「き・・・君!」
「お前は化け物と戦ってればいいだろ。」
切り捨てるように吐き捨てた。
しかしいまだ魔物は見えなかった・・・のだが。
祭壇の向こう側の暗闇から角を持った巨大な二メートル級の魔物がいた。
「グルニアス・・・だと・・・?」
「馬鹿言うなあんなのはグルニアスじゃない。もっと下級な・・・あってベヒモスあたりだろう。」
なんだ・・・と胸をなでおろす男。
「そら、姉が喰われるぞ。早く行け小僧。」
「う・・・うん!」
体がかなり震えていたが、ここで引いてはダメだ、と本能で感じ取ったのか儀式の祭壇へわき目も振らずに走っていく。
それにあわせ男がベヒモスへ一直線に突撃する。
少年を止めるべく、白装束の大人たちが走り寄るがその全てを見鏡が首を叩き意識を遮断させる。
「餓鬼が命張って姉助けようとしてるんだぁ。野暮ッたらしい事してるんじゃねぇよ」
問題はあの魔物か、といまだ戦っているであろう祭壇へ顔を向けると。
決着はすでについていた。
男の勝利ではなく、ベヒモスの勝利で決着がついていた。
そして餌が増えたと歓喜しているのか、嬉しそうに口をゆがめ祭壇の二人を見下ろしている。
「雑魚がいきがるから・・・」
そういってポケットからコインを取り出す。
「レールガン・・・ってか?」
ドン!という音とともに手からベヒモスに向けて閃光が走った。
その閃光がベヒモスの顔に当たるが、多少よろけるだけに終わった
「ま、原作の10%ってんだからこんなもんか・・・」
大してがっかりした風でもなく告げた
「ま、注意がこっちに向いただけでもいいか。」
その言葉通りに、ベヒモスの注意が見鏡へ向いていた。
まるで新しいおもちゃを得たかのように笑っていた。
「おら小僧、はやくそこのお前の姉を連れてけよ。他の人間はいい。お前の姉を連れて行くことだけを考えろ。」
「は・・・はい!」
さっきまで無力な少年の顔だったのに、今ではすでにすっかり一人前の男の顔になっていた。
「あ・・・ありがとうございます・・・」
「感謝はいらねぇよ。それにお前を助けたのはお前の弟だ。しかも俺は宿に泊まりたいからこいつを殺しに来ただけだからな。」
「お兄ちゃんてそんなに喋る人だったんだね。」
「余計なお世話だ。さっさと行け」
タッタッタッと軽快な動きで駆けて行く二人を見送ると、ベヒモスに向き直った。
「ヒーローは柄じゃないんだがな。まぁたまにはいいだろ。」
少し笑いながらそう呟いた。
「そら、いくぜ!」
ドン!と言う音と共に一直線にベヒモスの顔へと飛んだ。
具現化させた透明な剣に電気を帯びさせそのままベヒモスの顔へと叩き込んだ。
バチン!と言う音と共に、剣の雷属性が消し飛んだ。
「なっ・・・・」
驚く間も無く、ベヒモスに足をつかまれそり立つ崖へと投げ込まれた。
「いって・・・どーなってんだあいつ・・・」
ぱらぱらと体の上に降り積もった小石や石を落としながら打開法を考えるが、その余裕をベヒモスは与えてくれなかった。
とても二メートル級の魔物とは思えない速度で詰め寄り、見鏡のいる崖ごと見鏡を叩き潰した。
ボスン!という音と共に土煙の中から見鏡が飛び出した。
「ゲホッゲホッ・・・なんだあいつくそはえぇぞ・・・」
ベヒモスの姿を確認するが、追撃は来ないようだった。
「あいつ跳べない・・・のか・・・?」
もしや
「飛べないから頭上の防御を強く・・・?」
ありえる・・・のか?
だが頭部しか攻撃しいて無いことを考えると、ありえなくも無いといったところか。
「なら・・・!」
地面へ着地すると、そのまま魔物へ向かって走り出す
二回の腕の攻撃をかわし、胴体へ雷を纏った斬撃を繰り出す。
パチン!と言う音と共にまたしてもディールークルムに通した電気が掻き消された
が、斬撃自体は通ってるようだ。
体勢を立て直すために一旦引いた。
「なるほどな・・・あながち間違ってはいなかったってことか・・・?」
電撃が通らないならばまとう必要がない
倒すためには連撃が必要と判断すると、背中からオレンジがかった半透明な剣を引き抜いた。
「これで・・・終わりだ・・・!」
体に電気を流し筋肉の動きを活性化させ、ベヒモスの懐へと飛び込んだ。
「ラアァアァァアッァアァアァアアアアァ!!!」
まず二本の剣で思いっきり斬撃をいれ、それで怯んだ所へ続けてさらに攻撃を入れる。
体勢を立て直させる暇も与えないように、次々と攻撃をする。
かなり少しずつだが、相手の体に傷が見られるようになってきた。
「障壁かなんかも耐えられなくなったんじゃねぇかぁ!?」
さらに次々と攻撃をする。
その数はすでに100を超えていた。
「これで!終わりだ!」
ディールークルムで大きく攻撃をした後体勢を立て直し、全体重をかけ両の剣で胴体を切りつける。
剣は背骨まで達し、そこで止まった。
ここまで切れば十分と判断したのか、そのまま切り抜けた。
ドチャッと言う音と共に臓腑を周りに撒き散らしながら地面へ落ちた。
「チッ・・・体が言うことをきかねぇや・・・」
体中の筋肉を酷使しすぎたのか、そのまま倒れこんだ。
「クソッ・・・タレ・・・」
最後まで読んでくださってありがとうございます!
村人救出編はまだ終わったりしていなかったりします。
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