武闘会決勝。
ギャグ・・・難しいですorz
今後頑張って入れるようにします!
「レディー・・・・・ファイ!」
開始の合図と共に他の三つのステージで木と木のぶつかる音がした。
しかし見鏡のいるステージは双方とも動かなかった。
敵の背丈は210cm前後。そして敵の武器はアックス、対してこっちは太刀のような大きさの剣が二本。
剣一本での鍔迫り合いになったら十中八九こちらの負け。
恐らく武器を木にしたのは資金の差を無くすために採られた対策だろう。
「さて、どう攻めるか。」
しばらく逡巡するが、面倒だから正面から突っ込むことにした見鏡。
「目とかみりゃぁ・・・何とかなんだろ・・・・!」
地面を蹴りつけ、腰程度の高さで飛び男に斬りかかかる。
図体が大きい分懐に入られれば手も足も出ないはず・・・だったのだが。
敵の動きは予想以上に速かった。
サッと体を引き間合いを調節し、正確に顔を潰すべくアックスを振り下ろす大男。
「クソッたれ・・・・が!」
見鏡はその攻撃を、木刀を地面に突き刺しそれを支点にし体の位置を変えると言う離れ業をやってのけた。
しかし男もその一撃で終わるほどの勝負だと思ってなかったのか、振り下ろしたアックスの軌道をそのまま横にずらし、追撃を掛けてきた。
その間に足をつけた見鏡は後ろにとびずさった。
(さて・・・あの尋常じゃない反射神経やら筋力やら・・・ふざけてんだろ・・・)
「だけどな・・・俺だってあれが限界じゃあねぇんだよ。」
目にかかった髪をかき上げ、ポケットから髪紐を出し、首の後ろで縛る。俗にいう本気モードだ。
「さぁ、悪いが、死んでもらうぜ?」
不敵に笑った。と思った次の瞬間には男の視界から見鏡が消えていた。
「!?」
何処へ行った、と周りを見渡すがいない。
「上だ、あほが。」
声に反応しとっさに上を向くがすでに手遅れだった。
見鏡は、限界まで両の剣を引き絞り、男の鎖骨へ放った。
殺す事も厭わないというレベルの一撃だった。
そして男は沈黙した。
見鏡の勝利だった。
控え室へ戻ると、予想通りレヴィア、委員長、本条が残っていた。
「あの無言男かなり強敵だったぜ・・・」
「あぁ、こっちの男もそれなりに強かった。」
さすがは本選、といったところか、しかし他の二人はハズレくじを引いたようだった。
「こっちは一瞬だったぞ。」
「私のほうもよ。」
二人とも多少すねてるようだったが、まぁ仕方の無いことなのだろうか。
そう話しているとまた例の受付嬢が入ってきた。
「次の組み合わせを発表します!」
一組目。見鏡氷雨VS秋乃茜
二組目。レヴィア・シンVS本条 幹人
以上。
「ふむ。僕は本条君とか。いずれ戦いたかったよ。君とは。」
「ま、確かにな。俺もお前と白黒付けたかったところだ。ここらで付けようじゃねぇか。」
「えー私こいつとー?こいつも骨無さそうだなー」
「安心しろ、少なくともお前よりはある。」
「な・・・なんですって・・・?」
口喧嘩また始まりそうになったところで受付嬢が口を挟んだ。
「はいはい!もう始まりますよ!見鏡さん武器もって!」
「あ、いや俺はいい。素手でやる。」
「あ・・・アンタ私に手加減するつもり!?」
「ちげぇよ、俺はいつでも相手が素手だったら自分も素手でやるつもりだ。そっちのほうが戦いやすいしな。」
「そ・・・そう・・・」
意外と理にかなった答えにしどろもどろになる委員長だった。
「では、ステージへと案内いたします。今回のステージは先程のステージを二つ分使います。つまり大きさは倍になります。そこのところを把握しておいてください。」
そして各自返事をし、ステージへ上がる。
「へぇ、髪を縛ってるってことは、私のことそれなりに強敵とは思ってくれてるんだ。」
「まぁな。」
「言っとくけど、私はさっきの男じゃ比にならないくらい強いからね。よろしく。」
「ああ。」
そして、開始の合図が鳴った。
「先手必勝!」
叫んで飛ぶのは秋乃。やはりこれも腰の高さである。
ただ突っ込んでくるだけと思っていたが違った。
見鏡の直前で上半身を起こし、空中に立っているような体勢になり、顔へ右のストレートを放ってきた。
恐らく予選はこれで勝ち抜いてきたのだろうか、これで決めるという意志が込められていた。
しかしこれは本選。しかも相手は見鏡。
多少意外ではあったがこのパンチを危なげも無くかわし、ついでに腹にカウンターを放ったが、これは間一髪でかわされた。
空中では勢いを殺せるはずも無く、見鏡の後ろへ飛んでいく秋乃。
見鏡はそれを逃がさず追撃した。
「ッ!」
右手でのストレートは秋乃の左足の鞭のような蹴りで弾かれた。そして秋乃はそのまま回転し、右足の踵で追撃をしかけた。完全に捕らえた。はずだった。
パシ。
という音と共に止まる右足、何が起こったのか一瞬分からなかったがすぐに分かった、見鏡は手を弾かれた後追撃を予想し、身をひねっていた。そのため仰向けの左手で踵を止めていたのだ。
「どこまで付いて来るのよ・・・ッ!」
受け止めと同時に更に体を回転させ踵落としの勢いを消し、右手で更に攻撃を加える。
流石にそれは意外だったのか、顔にクリーンヒットした。
そしてそのまま場外へ飛んでいった。
「このステージが縦長なのを怨むんだな。」
その台詞が終わると、観客がワァァァと言う歓声とともに立ち上がり拍手を送った。
「やるじゃねーか二人とも!」
「よかったぞ!」
「おぉ!」
という歓声を背に控え室へと歩いていく見鏡。
秋乃は恐らくまだ負けたことが無かったのだろうか、悔し涙を流していた。
しかし、顔は笑っていた
「完敗・・・ね。あ~あ。全く女の子の顔殴ってくれちゃって。もぅ。」
清々しい笑顔だった。
控え室へ戻ると、そこに待っていたのは本条だった。
「やっぱりお前か。」
予想通りだったのか、対して驚きもせずに告げた。
「なんだ、もっと驚くと思ってたのによ。」
「だってお前いつも本気出さないからな、もしかしたらあのスコールとか言うやつより強いんじゃないか?」
それはさすがに過大評価だと笑いながら答え、武器を手にし立ち上がる本条。
「そろそろ行こうぜ。」
それに答えず、出口へ向かうという態度で答える見鏡。
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「フェッフェッフェ。まさかあの小僧がレヴィアに勝つとはの。」
玉座に座った男は言った。
「えぇ、少し意外ではありますがかなり互角の戦いだったのでこういうこともあるとは思っていましたが。」
「そうか、やはりお主は人の実力を測るのがうまいのう。」
「いえ、そんなことはありませんよ。」
「では聞こう。この決勝戦、どちらが勝つと思う?」
「それは恐らく――――」
その言葉は途中で観客の歓声で掻き消された。
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「では、始めてください!」
開始の合図がなるが、両者ともピクリとも動かなかった。
どちらも相手の様子を見ているのだろうか。
観客席も静まり返っている。
10分ほど経っただろうか、最初に動いたのは本条だった。
腰に刺していたダガーの大きさをした木刀を抜き、走ってきた。
速さはすでにレヴィア、秋乃のそれを軽々と抜いていた。
「ハァッ!」
気合の言葉と共に左から右へと切り払うが、それは空を切った。
「初撃はあまり大振りじゃないほうがいいと思うんだが。」
本条の横へ回りこんだ見鏡は腰への一撃を放つ。
ガン!という木と木のあたる音がした。
「お前・・・背中に剣仕込んでんのか?」
少し離れたところで止まった本条へ声を掛ける。
「その通りさ。」
「今のは試した、ってところか?」
「ああ。」
その言葉は見鏡をやる気にさせた。
武闘会でまだ一度も使っていない二本目の剣を抜いた。
それを見ると、流石に試すだなんだと余裕を保つことは難しいと判断したらしく、ダガーを捨て、背中の大きな両手剣を模した剣を抜いた。
「行くぞ。」
今度は見鏡が走っていった。
それを迎えるべく、両手剣を左から右に切り払うがそれをジャンプしてかわし、本条の後ろへ着地し、背中を突くべく突き出すが、本条は先程放った横薙ぎの勢いを殺さず、そのまま後ろへの攻撃へと転用していた。
その攻撃を剣二本で受け止めるが、両手剣の勢いを止めきれずに2・3メートル程吹き飛ぶ見鏡。
だがすぐに体勢を立て直し、追撃を警戒するが、本条の姿が何処にも見当たらない。
上か、と判断し上を向くと案の定上で剣を引き絞った本条がいた。
「ハァァァァアァァアアァアア!!!!」
気合の言葉を吐きながら一気に剣を振り下ろす。
それを間一髪でかわすと、剣が地面へあたり、ボキ、という音と共に破砕した。
この大会のルールに武器の破損は無条件で敗退というルールがある。
まだダガーがあるのだが、本条は諦めたのか、それとも違う思惑があるのか、動きを止めて降参と言った。
そして見鏡へ向き直り、言葉を言った。
「やっぱりお前・・・つえぇなぁ。しかも今ので本気じゃないんだろ?勝ち目ないしこれ以上やると殺し合いになりかねないからな、俺の負けだ。」
「いいのか?」
「ああ。」
(それに・・・俺は見鏡が伊井島を守れるのか、俺たちが付いて行くほどの人間なのか見たかっただけだしな。)
「只今をもって!優勝者を見鏡選手とします!」
ワァァァァという歓声と共に送られる拍手に見鏡は全く関心を示さなかった
その代わりに、王と共にいる騎士団長、スコールを睨みつける。次はお前だ、と言わんばかりに
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「おぉ、なんと、本条が負けたのぅ。武器の破壊が決着となるのは些かふまんがあるがまぁよい。スコール、お主のことを睨みつけているぞあの小僧。実力の差と言うものを見せ付けてやれ。」
「はっ。」
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(さぁて・・・騎士団長とやらの実力・・・見せてもらおうか。)
最後まで読んでくださってありがとうございます。
夕暮れ祭編はあと①~②話で完結します。
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