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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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縁を切りたい相手とは……

 ある日そのメールはいきなり届いた。差出人はメールアドレスのみになっており、PCから送ってきたのだろうが、どうもその方は機械に慣れていない方のようだった。


 始めに自己紹介から始まっており、内藤さんと名乗る方は今現在悩んでいることを書いてくれていた。


 なんでも、メールの内容によると、彼の住んでいた地方ではあまり余所者を歓迎してくれていないようで、定年を迎え地方に移住した彼には余り優しくはなかったそうだ。


 ただ、妻に先立たれており、冷たく当たられるのが自分だけだったのは、申し訳ないとは思いつつも、妻にとっては良かったのかもしれないと思っていた。


 しかし、住み続けているとそこの住人にも慣れるもので、地元の商店街で買物をして、町内会の活動にも参加して、寄付などもしていればそこの人たちも受け入れてくれるようになった。


 こうなるとなかなかに居心地が良くなってきたのだが、町に情がわいていた頃だ、有る一軒の家に家族が引っ越してきた。その家は割と普通の家族で、特別何かがあったわけでは無い、ただ、彼らは都市部で住みづらくなった理由があるらしく、自分のように好きで引っ越してきたわけではないようだった。


 ソレが悪かった、何しろ始めの扱いはともかく、住んだ理由は好き好んでからだ、彼らは好きで引っ越してきたわけではないので近所と仲良くするつもりはないようだった。


 そのおかげでその家は一家揃って村八分になってしまった。両親の方はともかく、その一家の子供はただでさえ数少ない地元の子供達が誰も遊んでくれなくなった。親はまだ車でどこかに行くことも出来るが、子供は自分だけで行ける範囲に友達がいないというのは辛かっただろう。


 申し訳ないのは、地域の空気を読んで、それに馴染んでしまったため、その幼い子供に優しくすることも憚られた。子供なりに辛いだろうとは思っていたのだが、地域総出で見ない振りをしているのに、自分だけ優しくしたとして、この年で村八分に巻き込まれるのには耐えられない。


 必死に見て見ぬ振りをし続けたところ、ある日高級車が何台かその家族の家の前に停まっていた。まさか金の無心でもないだろうと思っていたのだが、その日を境にその一家はいなくなった。


 口さがない者達は、どうせタコ部屋にでも連れて行かれたんだろうと言っていたが、家族全員がいなくなる事態を笑い飛ばす彼らが一番怖かった。


 それからしばらくして、住人達の中に麻疹にかかるものが出てきた。皆、子供がかかる病気にどうしてかかっているのか不思議がっていた。


 と言っても、麻疹は大人でもきちんとワクチンを打たないと普通にかかる病気なのだが、何しろ高齢者の多いところだ、麻疹は子供のかかるものという常識が出来上がっていた。


 そして高齢者が多いところで麻疹が流行ると次から次へと寝込む人が出てきた。運良く死者こそ出ていなかったが、寝込むのは当たり前で、中には後遺症の残るものも出てきた。


 ただ、一番恐ろしいのは、麻疹にかかる前に、夢の中で自分たちが村八分にしたあの家の子供が出てくると言っていたことだ。当然その噂は広まって、あの子供の呪いでは無いかとなった。


 そこまで書いてあったのだが、この話の結末は書かれていない。これを送ってきた内藤さんは、とある町から一番近い縁切り神社を教えてくれと書いていた。なんでも、そこで縁を切って自分に累がおよばないようにしたいそうだ。


 私は検索で出てきた縁切り神社の地図を画像で付けてそのメールに送り返した。なお、彼が縁を切りたいというのは、その夢に出てくる子供ではなく、あの狭い村なのだそうだ。あそこにいると自分もいずれ危ないのではないか、そう思って逃げ出し、今は別のところに住んでいるのだという。

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