表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談集「暗中」  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/17

落とし物とトラッキングタグ

 中野さんが、奇妙な体験をしたのだが、説明がつかないので考えてくれないかと連絡をしてくださった。なんでも、始めはタクシーの忘れ物から始まるらしい。通話アプリで話をうかがった。


「恥ずかしながら、深酒をして泥酔しましてね、タクシーを呼んで記憶も曖昧なまま乗って自宅の住所を告げたのは覚えているんです。ただ、何処のタクシー会社だったかまでは覚えていないんです。誰かにタクシーを呼んでくれと頼んだ記憶はあるんですがね」


 そうしてやって来たタクシーに乗ると、鞄を膝において自宅の住所を告げた。ドライバーは何も言わず、そのまま発進させた。


 酔っていてろくに覚えていないが、無愛想な運転手だとは思ったような気がするが、後になって思えばいつ吐き戻すか分からないほど泥酔した客を刺激しないようにしたのかと思う。


 そのままタクシーに揺られて無事家の前まで着いた、運転は荒っぽいとは真逆で、穏やかに上手な運転だったと思う。


 帰宅してから、ロクに思考出来ない頭で布団に倒れ込むとそのまま意識が無くなった。


 気が付いた時には翌朝で、頭はズキズキ痛んだが、頭痛薬を一錠、多めの水で飲むと多少は楽になった。自分でも珍しい深酒だったなと思いつつ、帰ってそのまま寝てしまったので普段着に着替えることにした。


 その時に気が付いたのだが、財布を出している時だ、チラリと見えた財布の中、カード入れに空きが見えた。まさかクレジットカードを落としたのかとヒヤヒヤしながら財布を確認したが、カードの類いは全部揃っている。では何がなくなったのかとしばらく考え、ようやく思いだした。


 財布を無くさないようにカード型のトラッカータグを入れていたところが空になっているのだ。


 タグだけ落とすなんて随分と器用なことをしたなと思いながら、スマホを手に取った。運が良ければ誰かが持っているか、落とした場所が分かるかもしれない。そう考えてスマホのデバイスを探すアプリを開いた。


 誰かが持っているようなことはなく、1カ所からまったく動いていない。タクシーに長距離乗ったわけでもないので取りに行こうと思えば行けるだろう。実際マップには町内が表示されている。


 何処に落としたのだろうと思い、トラッカーのある位置を拡大してみた。地図の細かいところが見えてくるのだが、その場所の名前が表示された時点で指が固まってしまった。


 広い地図が表示されていた時は一々細かいところの名前は出ていなかったので気が付かなかったが、拡大してみると、そこは町内の霊園だった。


 もちろんタクシーでそんな所によるはずもない。財布の中身も確かめたが、墓地に寄ったとしたら余りに支払ったであろう金額が安い。


「精々が数千円のものなんですが、私はとりに行くべきだと思いますか? 取りに言ったら何を見るか分からないし、わざわざ行ってどこにあるか確かめるより、タグを諦めた方が良いのかなとも思うんですよね」


 彼はそう言ってどうしようかと訊ねてきた。私は話を聞きながら当該タグをPCで開いたECサイトで検索していた。その値段は安いとまでは言えないが……


「そこまで高額ではないですし、無理をされなくても良いのではないでしょうか」


 そう言ったところ彼も納得したらしく、トラッカーは新しく買いますと言っていた。もし当なんだとしたらタグだけを抜き取るなんてどう考えてもおかしいし、危ういものに近寄らない方が良いのではないかというのが私の考えだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ