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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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簡単なメール

 矢野さんは現在悩まされていることがあると言う。話を伺いに行ったところ、彼はげっそりとやつれた顔で私と落ち合った。なんでも、お祓いが上手い神社を教えて欲しいと言うことだ。


 その理由を聞くと彼はポツポツと話してくれた。


 なんでも、その日は給料日で、仲間達と飲み明かすように大量の酒を飲んで泥酔していたのだそうだ。ただ、その時に運が悪かったのは、偶然にも某首塚の近くを通って飲み仲間達と帰っていたことだ。


 その時、中でも一番泥酔していたヤツがスマホでそこの写真を撮ろうと言いだした。全員の顔と首塚が写真に入るようにスマホのインカメラで撮影した。ちょうどその時のメンバーは全員同じ機種のスマホを持っていたので共有機能で撮影したヤツが全員にその写真を配布した。


 大学生がタダヤンチャをしただけの、武勇伝くらいの軽い気持ちでその写真を保存していたのだが、翌週、撮影をしたヤツが交通事故に遭って怪我をしたという。揃ってお見舞いに入ったのだが、ソイツは車にぶつかった怪我はほとんど無かったものの、道路の出っ張っていた部分の上を滑ったので背中に長い切り傷が出来ていた。通り一遍の励ましをしてから病院を出たのだが……


「なあ、アレって刀か何かで切られたみたいだったな」


 そう言ったKを苦々しく見た。誰もが思ってはいたことを言いやがったというのがその時の思いだった。武将が祀られている首塚で刀傷、連想しない方がおかしいというものだ。


 全員に『気のせいだよ! アイツだって命に関わる怪我じゃなかっただろ? あそこが『本物』だったら今頃死んでるよ、生きてるんだからあんなの関係無いって』そう自分に言い聞かせるように全員に言った。


 みんな頷いてそうだよなと納得してくれた、いや、納得したかったのかもしれない。


 ソレからも写真に写っていたヤツは一人一人怪我をした。何も無い場所でころんで骨を折ったり、きちんと工具を使って作業していたのに、運悪く電流計が故障していて感電したり、酷いのになると料理をしていて鍋を振ったらあり得ない勢いでアブラが飛んで顔にかかってしまい、やけど跡が残ることになったヤツもいた。


「それでお願いがあるんですが、まだ俺だけ何も起きてないのでその手の祟りを祓えるところを知りませんかね」


 そう言われたのだが、あそこを鎮められるところなど伝手が全く無い。そんな無茶な頼み事をされても困るのだが、気休め程度に霊能者を紹介した。ソイツに力なんて何も無いが、とにかくお祓いをしてくれと言うヤツに、形だけのお祓いをしてもらい満足させることの出来るヤツだ。


 彼のことを紹介すると、私に頭を下げて連絡先を書いた紙をひったくっていってしまった。


 気休め程度にはなるだろうと思っていたし、その後彼から連絡も無かったので、やはり気のせいか偶然だったのだろうと思っていた。


 しかしそれからしばらく経って、メールを受信すると『うそつき』とだけ書かれたメールがメールボックスに届いていた。誰からだろうとしばし考えてから、発送のアドレスで検索すると首塚の彼からのものだった。


 私はできることはしたし、彼がどうして結構な時間が経ってからひらがな四文字だけのメールを送ってよこしたのかは考えたくない。出来ることなら、彼がそれ以上の長文を送れない状態にはなっていないといいのだが、とは思った。

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