32.「三位一体」
「間奏 42秒~♪」
「始まったぞ。ダンテの曲が……」
「ええ。プーラン。皆と最期に一緒に過ごせて良かった」
「ヴェダがここにいないのが、悔いが残るけど」
「私たち最期にヴェダに酷いことしたよね……今日が死ぬ日だと分かっていたら、ヴェダに罰なんてしなくても良かったのに」
洞窟の奥の方から声がボソボソと聞こえた。アタシのことを話しているということは、中にいるのは間違いない。元ダークカイトのメンバーのはずだ。やっぱりここにいたんだ。
この洞窟は元ダークカイトのメンバーの秘密基地のようなところ。タウンに入ったばかりの頃はザスジー・バイブルの教えは今より厳しくなかったこともあり、よくみんなでここに集まって遊んでいた。
だが、ザスジー・バイブルの教えが厳しくなることと、そもそもみんなと話す機会が減っていったこともあり、二年前からはここに集まることはなくなっていた。
アタシは迷わず洞窟に向かって声を掛ける。
「お~い! プーラン、マミー、みんな~アタシッス~ヴェダッス」
「「「「「ヴェダ!?」」」」」
アタシに気付いて、洞窟からプーラン、マミー、アンナ、スザンナ、エルザの元ダークカイトの全メンバーが出てくる。
「あんたどこに行っていたの!? 探したのよ」
アンナとスザンナがアタシに声を掛ける。
「ヴェダ……アンタ」
マミーが申し訳なさそうな顔でアタシに話しかける。
「第九地区にマミーがいなかったから……もしかしたらみんなを集めてここにいると思っていたッス」
「当たってよかったッス」
アタシは笑顔を見せて回答したつもりだが、やっぱりマミーの表情は浮かない顔だった。
「なっ!? お前らは?」
プーランはアタシの顔を見てほっとしながら洞窟を出るが、両隣のインチキ教祖さんとジュダスさんを見て、もっと驚いていた。
「誰かと思えば、門番のエルフか……ジュダスによって気絶させられていたはずだが、いつの間にここに来ていたとは」
インチキ教祖さんがプーランにそう言った。今の言葉で、なんとなくインチキ教祖さんとジュダスさんとプーランの関係性を理解した。
「話は後だったッス!! とりあえず治療する。治療泉」
こんな状況じゃなければ、積もる話もあるが、状況は急いでいる。アタシはさっそくみんなを治療する。
「これは……!?」
プーランたちはやっぱり自分の身体の異変に戸惑っていた。
「カーモン ベイビー カーモン ベイビー
ん~ようこそ! ザスジータウンへ ここは全種族の夢の楽園よ♪」
「ヴェダ!! 回復させているところ悪いが、始まったぞ!起爆曲が!!」
「魔法陣の瞬間移動を活用していくにしても、この曲を終えるまでに、住民皆を救えるのか!?」
インチキ教祖さんは焦りながら言う。
そんなことは分かっている。そのためにも、野原でみんなに頼んだ放送の件、早く始めて欲しいのだけど。
「えー。タウンの全信徒たち聞こえるか!? 今タウンの全域に放送しているー。繰り返す。タウンの全信徒たち聞こえるか!? これはタウンの全域に放送しているー」
「始まったッス! 放送が」
待っていた放送の件が遂に始まった。だが、ザスジーが流している曲と被っているから聞こえづらいかもしれないのが懸念だ。どっちにしろ、この放送を信徒全員が聞いていることを祈るしかない。
「はあああああああああああああああああああ」
アタシはある準備のために、杖に魔力を注ぎ溜める。できる限り、最大限に。
「ぽっかぽっかででみんなやさしい~差別も偏見もない唯一の居場所♪」
曲が流れる中、アタシが頼んだ放送の件はアタシの言うとおりにメッセージを伝える。
「全信徒たちに告ぐ。家や施設の中、室内にいる者は今すぐ外に出ろ。繰り返す。全信徒たちに告ぐ。家や施設の中、室内にいる者は今すぐ外に出ろ」
「間奏 42秒」
「これはヴェダからのメッセージだ。生き残りたければ、外に出るんだ!!」
「(ありがとうッス。後はアタシにできるだけの……ううん。絶対にみんなを助ける。たとえ、この命に代えても!)」
「うううううううううん」
アタシは杖に魔力を注ぎ続ける。思わず唸り声が出るほど魔力を注ぎ続ける。
―信徒とはペットだぁ!!! 教祖という主人に媚びるように生き、要らなくなれば捨てる。それがペットのあるべき姿!!―
―ペットは主人に逆らってはいけないのだ。マックスもヴェダも我輩の思い通りに生きればいいのにどいつもこいつもぉ~―
アタシは城の外でザスジーの言葉をふと思い出した。
「ふざ……けるな……ザスジィィイ」
あの時は、ショックで怒りが湧いてこなかったけど、後から思い返してみたら全身に力が入るほど、怒りが湧いてきた。
「(アタシたちは、アンタのペットじゃない!! アタシたちだって生きる権利がある。アタシたちだって自由がある。これ以上アンタの思い通りに歩みたくはない。アタシはもうアンタを信じない!!!)」
アタシはこの怒りをもこの杖に注ぎ込むようにする。そしてアタシは杖を天に向けて高く持ち上げる。
「みんなに届け!!! 治療泉」
今までは、石突を地面に叩くようにして、射程範囲内の信徒たちを治療するようにしてきた。
だが、今度はやり方を変え、杖の先端を天に向けて、そこからアクアブルーのオーラをボール状にして放つ。はるか上空からそのボールはパキンと分裂し、タウンに向けてザァァァと雨のように降り注いだ。
「なるほど! この雨に打たれた者を治療させるということか! だから、放送で住民に外に出るように伝えたのか!!」
インチキ教祖さんが、アタシの意図を理解してくれた。アタシは今の魔術で「ハア……ハア」と息を切らせたところもあり、返事が出来なかったけど、頷いて当たっていることを示す。
「でも、今の規模では、タウン全域には届いていないでしょうね……特に奥の地域に住んでいる住民やそれぞれタウンを守っている門番にはこの雨が当たっていないはず」
ジュダスさんの懸念通り、今のルルドではタウン全域に降っていない。だから、何度でも何度でも魔力が尽きるまで、ルルドの雨を降らせるだけだ。曲が終わるまでに。
「う~う 私ここに来られて良かった~な~ぜなら♪」
「ヴェダ。一番の歌詞が終わって、二番の歌詞が入ったぞ!! 二番の歌詞が終われば、次は三番の歌詞が入る。間に合うのか!?」
プーランがアタシに聞いてくる。プーランには説明していないが、全信徒の漢方爆薬の治療をしていることを見抜いたようだ。
「絶対に間に合わせる!! これ以上ザスジーなんかのために、信徒を死なせてたまるかぁぁぁぁあ」
「もう一度ッス!!! 治療泉」
アタシは再度、タウンの上空にアクアブルーのオーラをボール状にして放つ。そしてそこからタウン全域に向けて雨のように降らせる。降らせた後、アタシは次の発動に向けて魔力を杖に注ぐ。
「ヴェダ……アンタ本気で……みんなを救おうと」
マミーがアタシを心配しながら声を掛ける。
「な、なんで……私まで助けたの!? アンタにあんな仕打ちをしたのに……」
あんな仕打ちとは、刑罰所でアタシを痛めつけた件だろう。あの時のマミーは罪を犯したアタシへの怒りと同時にタウンでの暮らしのストレス解消も含めて、楽しみながら過剰にアタシを痛めつけた。少なくともアタシにはそう見えたところもある。アタシは魔力を杖に注ぎながら返事する。
「正直、マミーがアタシを必要以上に痛めつけた件、赦していないところがあるッス。……罪を犯したのはアタシだけど、全てを簡単に受け入れて水に流すほどアタシは優しい女じゃないッス」
マミーが緊張しているかのように、つばを飲み込む音が聞こえた。
アタシは軽く笑みを浮かべながら次のことを話す。
「だから全て終わったら、マミーの顔面を殴ら……いや、蹴らせろッス。絶対に鼻血を出させるくらい思いっきり蹴ってやるッス。一発でアタシの心がスッキリしなければ、何度でもマミーの顔面を治してスッキリするまで何度でも蹴る。完全にスッキリしたら……顔面を跡形もないように治すから……」
「それまで覚えていろよ。マミー」
言葉にするとかなりの恨み節を込めたような発言に聞こえるかもしれない。
だが、この時のアタシはダークカイトの時代を思い出しながら軽口のつもりでマミーに喋った。
マミーはアタシの気持ちが分かったように、一つの涙がポロリと頬を伝った後、涙を拭いながら笑みを浮かべて、言い返す。
「うん……わかった。絶対に蹴ってもらうから……覚えておくよ。だけど、ヴェダ。アンタもやり過ぎたら私もキレるかもよ?」
アタシとマミーのやり取りにプーランも笑みを浮かべながら言う。
「お前たちの喧嘩が度を越すようなら……やれやれ。私が止めねばな」
あの頃は、よくマミーと喧嘩していてプーランがアタシたち二人を拳骨で止めるのがお決まりだった。
こんな状況だけど、アタシたち元ダークカイトの全メンバーはあの頃に戻ったように笑いあった。出来ることならこのままずっとみんなで笑い合いたい。だけどアタシはやるべきことを忘れないためにもう一度天に向かって杖を上げる。
「暮らそう 全種族の夢の楽園 ザスジータウンへ~~~~~~~~♪」
「治療泉」
二番の歌詞が終わりのときと同時に再度上げる。でもこれでもタウン全域に雨が降り注ぐことはできない。
「間奏 42秒」
そして、三番の曲が入る前の最後の間奏が始まった。
「ねえ……今更なのですが、ヴェダのようにヒーラーが漢方爆薬を治療できるなら、放送で全ヒーラーに呼びかけて、治療に動いて貰った方が、効率的だったのでは?」
「確かに! 何もヴェダだけがこんなに負担することないじゃない!!」
エルザが疑問を投げかけ、スザンナが同調する。
「いや、おそらくそれはできないだろう」
プーランが回答する。
「「な、何で!?」」
エルザとスザンナが疑問を投げる。
「漢方爆薬を解毒のように回復させるには、成分の特定とそれに対する無毒化の方法を確立させる必要があるからだ。つまりヒーラーとしてかなりの技量がなければできない。この短時間で、治療できるのは、ヴェダと十一使徒のヨハネア様くらいだろう」
アタシの代わりにプーランが解説してくれる。有り難い。正直、自分の呼吸を整えるのが精一杯で、回答できる余裕はなかったから。
「それにタウンのヒーラーを説得したとしても治療に動いてくれるとは限らない……こんな状況になってもまだマスターを信じている者もいるだろうからな……」
プーランが諦めを感じるような物言いをする。
「だ、だけど、タウンの全信徒の治療なんて本当に間に合うの? ……いくら魔力量が多いヒーラーでも流石にこのタウンの全域に治療なんて魔力が足りるはずが~」
「絶対に間に合う!! いや間に合わせるッス!!!」
マミーが話しているところをアタシが遮る。
多分次の治療泉が魔力量でも時間的にもラストチャンス。次でタウン全域に治療の雨を降らせなければ、全信徒の治療に間に合わない。失敗は許されない。アタシは魔力を杖に注ぐ。
「なあ、ヴェダ。お前に聞きたい」
今まで黙っていたインチキ教祖さんがアタシに問う。
曲の間奏はもう間もなく終わり。そろそろ三番の歌詞に入りそうなタイミングだった。
「本当にタウンの全住民を救いたいのか?」
インチキ教祖はアタシに確認を取ってくる。
「な、なにをこんな状況で!? 救いたいに決まっているからヴェダは頑張っているんでしょ!」
「俺はヴェダに聞いているんだ!」
アンナが即座に答えるがインチキ教祖さんが黙らせる。アタシはインチキ教祖さんの問いについてその意味を考えていたこともあり、まだ回答できていなかった。でもアタシの回答は決まっている。
「……救いたいッス」
「それは命を懸けてもなのか? 寿命を削ってもなのか?」
インチキ教祖さんが試すように質問を続ける。それでもアタシの回答は変わらない。
「命にかけてもッス。そのためならここで魔力を使い果たして死ぬとしてもみんなを助けたい。これ以上信徒の命をザスジーの思い通りにさせたくない……」
「そのためなら、寿命くらい削るのなんてへっちゃらッス」
アタシは真っすぐインチキ教祖さんの目を見て回答する。インチキ教祖さんはしばらくアタシの目を見つめた後、「そうか」と答えた。
そして、右手を握手するようにスッと手を差し伸べた。
「ヴェダ……お前の魔力を俺に渡してくれないか?」
手を差し伸べた意味を理解した。これはコネクトの魔力譲渡というものだろう。昨日インチキ教祖さんからコネクトについて教えて貰っていたから理解していた。今思えば、ザスジーに魔力を渡していたときもこのように握手して渡していた。
そのこともあり、インチキ教祖さんが手を差し伸べる姿は、ザスジーが手を差し伸べる姿と重なって見えるところもある。
だけど……だけど……アタシはインチキ教祖さんを信頼し、その手をガシっと握った。魔力を渡す意思を持ちながら。
そして、アタシの血液が彼の身体の中に入る。そして彼の血液と混ざった感覚を味わった。これでインチキ教祖さんは正真正銘アタシの魔力を持つようになった。それは即ち彼はアタシの魔術を使えるようになったことを意味する。
「ジュダス。お前も必要だ。付き合ってくれるか?」
「ええ。付き合いますよ。教祖様」
インチキ教祖さんはアタシの手を握ったまま左手をジュダスさんに手を差し伸べる。ジュダスさんは迷わず、その手を握る。
すると、今度は、インチキ教祖さんに渡したアタシの血液の一部がジュダスさんの身体の中に入る。そして、ジュダスさんの血液と混ざった感覚を味わった。それはつまり、ジュダスさんまでアタシの魔術を使えるようになったということ。
「これが最後だ。ジュダスの魔力をヴェダお前に渡す」
そうすると、今度はインチキ教祖さんから血液がアタシの身体の中に入った。そして、アタシの血液と混ざった感覚を味わった。インチキ教祖さんの言葉を信じるならアタシはジュダスさんの魔術を使えるようになったということ。
「Death ついに来てしまった。この時を♪」
三番の歌詞が遂に流れ始めた。
「これで俺とジュダスはヴェダの魔術を使えるようになった。ヴェダはジュダスの魔術を使えるようになった!!」
「ヴェダ! ジュダスの魔術の中には魔力を増やす魔術がある。それを使うぞ!!」
インチキ教祖さんにそう言われて、自分の魔力の情報を本を開くように読み取る。すると確かにあった。今この状況で最も欲しい魔術が。
「分かったッス!!!」
「よし始めるぞ!」
そう言うとアタシは杖を前に差し出す。インチキ教祖さんとジュダスさんはアタシの左右に並び、持ち手を重ねる。そして。
「「「サン・サーラ」」」
アタシたち三人は魔力を増やし、それを杖に注ぐ。すると杖には今までにない程の魔力が溜まるようになった。それは単純に三人の魔力を注いだからではなく、サン・サーラという魔術の影響もあるだろう。
これで準備はできた。最後の治療泉の準備が。
「ヒーラーのヴェダだからこそ実現できた独自の解釈とその治療法」
インチキ教祖さんがアタシの顔を見つめながら解説する。
「オールラウンドの中で天才であるジュダスだからこそ覚えることが出来た超高難度の魔術サン・サーラ」
インチキ教祖さんがジュダスさんの顔を見つめながら解説する。
「コネクトとして俺が二人を繋げる架け橋となるための魔力譲渡」
「これが俺たちの三位一体だ」
アタシたちは杖を天に向け、息を全力で吸い込みこの魔術を同時に唱える。
「「「治療泉」」」
今まで見たこともないもない巨大なボール状のオーラが天に放たれた。そして、天空でそのボールはパキンと分裂し、タウン全域、いやまるでこの世界全てに祝福の雨を降らせた。そう思わせるほどの圧倒的な範囲でザァァァァァァァァァと降っていった。
「インくん。ザスジーもこの雨を浴びていたら爆発しないけどどうするの?」
ジュダスさんは、笑みを浮かべながらインチキ教祖さんに尋ねる。インチキ教祖さんも笑みを浮かべながら回答する。
「その時はその時だ。またザスジーと戦えばいい。大丈夫。俺たちなら勝てるさ」
そして、インチキ教祖さんはアタシに顔を向けて話しかける。
「ヴェダ。俺たちは出来るだけのことはやった。全員が室外にいるならこの雨を浴びているはずだ」
「あとは、室内に残っている住民がいないことを祈るしかない」
「そうッスね……」
アタシは、この時、インチキ教祖さんがルルドの雨に濡れている姿を見たとき驚いた。
濡れている影響なのか別の理由かわからないけど、インチキ教祖さんが光っているように見えたのだ。神々しいほど、確かに光って見えた。それは、アタシの中でザスジー以上の信仰心を感じるほどに。
「まだ魔力が残っているなら、その身体の傷、治してもいいんじゃないか?」
「あっ」
インチキ教祖さんに言われて思い出した。
刑罰所で受けた傷を未だに治していなかったことに。
―過去を忘れる者は過ちを繰り返す……罰で受けたその傷、忘れないようにその身に刻んでおけよー
ザスジーから傷を治さないように言われていたが、もうアイツの言うことを聞く必要がない。
アタシは自分の身体の傷を回復系魔術で治療する。
「う~う それでは皆さんさようなら。また会える日まで。マスターとかわいい信徒たちよ♪」
「三番目の歌詞が終わる頃よ」
ジュダスさんが言う。アタシたちは爆発を止めることが出来たのだろうか。それを祈るばかり。だが。
ボン!
「なっ」
タウンの最北部で大きな火柱が発生した。それ以外の地域に爆発はなかったが、確かに爆発したのだ。
「そんな……」
アタシは救えなかった命に絶望する。
インチキ教祖さんはアタシの肩に手を乗せて慰める。
「ヴェダ……俺たちは出来ることをした。後から考えれば別のやり方もあったかもしれないが、今できることを精一杯しただろ? だから自分を責めすぎるな。お前だけの責任じゃない」
インチキ教祖さんはそう言うがアタシはそう簡単に割り切れない。アタシは自分の目から流れる水を止められなかった。
「こ、これは……」
プーランが何かの異変に気付いたように言う。他の元ダークカイトのメンバーも口に出していなかったが、自分の身体に戸惑っているように見えた。
「どうしました?」
ジュダスさんがメンバーに問う。するとマミーが答える。
「ま、魔力が……私の魔力が戻ったみたい。そうマスターの魔力から私の中に戻った!」
「インくん! これはどういうこと!?」
ジュダスさんがインチキ教祖さんに聞く。
「俺にもわからない。ザスジーから住民に魔力返却が起きたとしか考えられない……だが、ザスジーが自主的に住民に魔力を返すとは考えづらい。」
「これは仮説だが、コネクトが死ぬと、今までコネクトに渡した魔力も元の譲渡者に戻るのでは?」
仮説をもとにインチキ教祖さんはこう結論付けた。
「つまり、ザスジーは今の爆発で死んだ」
第二章ラスト三話となります。
三十三話は2/1に投稿。三十四話とエピローグは、2/2に投稿予定となります!




