25.「原罪」
「蛇にそそのかされ、人類最初の女と男は禁断の果実を口にした」
「神に問われたとき、男は、女のせいだと、女は、蛇のせいだと他責に走った。その結果、神の怒りを買い、人類はそれ以降、生まれながらの罪を負うことになった」
「これが原罪」
我輩は目の前の十字架に顔を向けて話しているが、後ろの席にいる十一使徒たちにも聞こえるように話している。
「気に食わない……我輩はこの教えが前から気に食わなかったのだ。神の偉大さを持ち上げるために、偉大な人間を貶すようなこの教えが……」
「本当に神が偉大ならば、人間を下げなくても、その偉大さを語れるはずだ。思うに人間が生命の頂点として素晴らしすぎたために、神の存在が霞むから、人間を必要以上に下にする教えができたのだろう」
「何かを持ち上げる為に他を下げるようなやり方……反吐が出るではないか」
「だから嫌いなのだ。原罪という教えが」
我輩は怒りでプルプルと利き腕の左拳を強く握る。
「この新しき世界でも人間が種の頂点だと確信できた。スキルタイプ・コネクトは人間である我輩と……そして、癪だが、あのインチキ教祖もそうなのだろう。なんとなくそう感じたのだ」
我輩はサングラスをクイっと直す仕草してから持論を続ける。
「やはり、神に最も近い生き物は……人間だ。スキルタイプ・コネクトが人間だけ該当しているところからも、この主張を裏付けていると言えよう」
バキッ
我輩は目の前の十字架を殴る。そして、殴った痕からヒビが発生し、その十字架は崩れ、周りの礼拝堂までヒビが連鎖する。
十一使徒は、ペトロス以外露骨に動揺している。フン! 情けない弟子たちだ。
ヒビが止まったところで、我輩はそれを皮切りに宣言する!!
「たった今! 我輩は神への信仰を捨てる!! そして、人間こそが……我輩こそが神だ!!!」
渡した魔力から、インチキ教祖たちはもうすぐ来る。ならばぜひ歓迎しようではないか。
同じ人間同士、種族の頂点同士。果たして我輩とお前、どちらが上か。
我輩は最後の決戦に向けて礼拝堂の扉を開けて出る。
最終決戦きたるッッ!!!




