7.「我輩の名はノオウ・ザスジーだ」
はるか上空、俺とジュダスはある乗り物を乗っていた。そこから見えるザスジータウンの景色は結構な眺めだ。夕焼けの景色も相まってなおさら。
その乗り物とは、ルーベンスという名のドラゴンの背中に俺たちは乗っている。
「なぁ、ルーベンスさん。ザスジーってどういう奴なんだ? 種族は人間なのか? エルフなのか? それともアンタと同じドラゴンなのか?」
全長十八メートルはあろうこの赤き竜に俺は話しかける。種族ドラゴン。その見た目はヘビのような長い首とギザギザな鱗、ライオンのような鋭利な牙と爪、さらにはコウモリのような翼をしていた、まさしく西洋系のザ・ドラゴンという姿をしていた。
この世界のことやファンタジー作品にそもそも詳しくない俺でもイメージ通りの姿をしていた。
そのドラゴンは長い首から俺に視線を向けて巨大な口を少し開く。
「オレたちはマスターと呼んでいる。どんなお方については、そりゃ会ってからのお楽しみというやつだ。一つ言えるとするならば、ここで暮らすつもりでいるなら失礼のないように対応することだ。なにせマスターは偉大なお方なのだからな」
「なにが、どう偉大なんだ? それもマスターとやらに会えれば教えてくれるのか?」
ルーベンスは思わせぶりなことを言うわりには、必要以上に話そうとせず、視線を戻して前に向かって飛び続ける。
「見えたぞ。そろそろ降りるからしっかりと捕まっておけよ」
ルーベンスは、そう言うと前方に栄えていそうな集落を見つけた。
シートベルトはないので、振り落とされないために、俺たちは背中にある棘のように尖っている突起物を強く掴む。見た目は刺されば、痛そうに見えるが、意外とゴムのように弾力があって、尖っているところに指を当てても痛くない突起物だった。どうでもいい情報かもしれないが。
ゆっくりと降り立ったルーベンス。
「よし降りていいぞ」
降りる許可を貰ったので、俺たちは地面へと着地する。
「ありがとうな。ルーベンスさん」
「ありがとうございます。ルーベンスさん」
俺たちはここまで送ってくれたルーベンスにお礼を言う。ザスジータウンがどんな場所か上空から見渡すことができたことと、純粋に空を飛べる快感を味わえたことだしな。
「ああ。礼には及ばないぞ。オレはマスターからの指示を守っただけだしな。それとインチキ教祖とジュダスよ。さっきオレが言ったことを忘れるなよ」
さっき言ったこととは、「マスターに失礼のないように対応すること」だろう。
俺はルーベンスのその言葉には約束出来なかった。なぜなら、マスターは、ヴェダを苦しめている者かもしれない。
場合によっては、ここでマスターと戦闘になるかもしれないから。もし、戦闘になれば、このルーベンスとも戦うことになるのだろうか? そうなれば、送ってもらった恩を仇で返すようで、少し心が痛むな。
その後、ルーベンスが行く道を「あっちだ」と顔を動かしながら指し示したので、その方向へ足を運ぶ。
俺とジュダスは歩いていくと、住民が見えてきた。そこで暮らす種族は先ほど見た種族たちよりバリエーションが豊富だった。
先ほど見た種族である、エルフ、ドワーフ、ゴーレムは引き続きこの集落にいた。
そして、最初に案内されたときにはいなかった新しい種族として、サイズは、俺の顔よりやや大きい程度で昆虫の翅ようなもので飛んでいる妖精のピクシー、溶岩を身体に纏っている巨大なトカゲのサラマンダー、そして俺と同じ人間までいた。他にも見渡せば、色々な種族がいそうな雰囲気だった。
多種多様な異種族がここに住んでいるが、共通していることと言えば、俺とジュダスを真顔で黙ったまま見つめているということだ。今もなお。
俺たちはこの真顔で見つめられることに言いようがない不気味さを感じるが、それでも奥へと進み続ける。ここの長であるマスターに出会うために。
すると、複数のピクシーたちが俺たちの前で立ちふさがる。
「なんだ。何か用か? そうやってただ黙って見つめているだけじゃなにもわからないぞ」
俺が少し強い口調でピクシーたちに向けて問う。するとピクシーたちは少しずつ、口を開き……
「「「「カーモン……ベイビー……カーモン……ベイビー」」」」
「うん? なんだ、ボソッと話していてよく聞こえないぞ」
ピクシーたちは何かボソボソと話しているが、よく聞こえなかった。俺が何を言いたいのか確認するためにピクシーたちに聞き返した、だが、次の瞬間、ピクシーたちは表情を笑顔に変え、急に大声で歌いだした。
「カーモン ベイビー! カーモン ベイビー! カーモン ベイビー! カーモン ベイビー!」
それに合わせて、他の異種族たちも祭りの騒ぎのように「フ~」とテンションを上げて、踊りだした。先ほどまで静かに俺たちを真顔で見つめていたことが嘘のように。
「「「「「「ん~ようこそ! ザスジータウンへ ここは全種族の夢の楽園よ~」」」」」」
「な、何だ!? こいつら! ディ〇ニー映画やミュージカル作品のように急に歌いだしたぞ!!!」
「!?」
俺は住民たちの180度変わったテンションについていけず、驚きの声をあげる。ジュダスは黙ったまま、ただ困惑していた。
「「「「「「ぽっかぽっかででみんなやさしい~差別も偏見もない唯一の居場所~ 」」」」」」
「「「「「「う~う 私ここに来られて良かった~な~ぜなら」」」」」」
「「「「「「馬鹿にもされない 安全で みんな 仲良くなれるから~」」」」」」
「「「「「「暮らすなら ここザスジータウン一択でしょ」」」」」」
「「「「「「やぁ~だからあなたも怖がらないで」」」」」」
「「「「「「暮らそう 全種族の夢の楽園 ザスジータウンへ~~~~~~~~」」」」」」
俺たちはただただ、こいつらのテンションの高さについていけず、ポカーンと口を開いたままあっけにとられていた。
歌い終わった後、住民たちは、今度はニコニコで俺たちを見つめる。だが、その笑顔は自然な感情で作られた笑顔ではなく、どこか無理して作っているような不気味さを感じる笑顔だった。
まるで誰かに笑っていろと脅されて作ったような笑顔だ。
そう、まさに、カルト教祖から、操り人形のように笑うことを命令された信者のように。
「うん! 今日もいい歌だった!! 我輩は感激だ。お客様も喜んでいただけたかな?」
前方に大きな声と拍手が聞こえた。すると住民たちは、声が聞こえた方向から一斉に道を開けるように退けた。
すると、前方に身長190cmはありそうな長身の人間がパチパチと拍手しながらそこに立っていた。
見た目は、漆黒のサングラスと司祭平服のような真っ黒なコートを身につけ、黒髪ロングの男性であった。肌が白いこともあり、より対照的に黒い色が目立つ印象を持たせるような人だった。
サングラスを着用した長身の男性は俺たちの近くまで歩くと拍手を止め、俺たちに話しかける。
「いや、喜びよりも驚きの感情の方が強いかな? そうなら申し訳ない。なにせこれがザスジータウン流の歓迎でね。住民たちも悪気はないのだ」
「……お前がマスターか?」
「いかにも! 我輩がマスターと呼ばれている者だ! 申し遅れたな!! 我輩の名はノオウ・ザスジーだ。このザスジータウンの長をやっている」
「君と同じ人間だよ。ミスター・インチキ教祖」
マスターと呼ばれているノオウ・ザスジーとやらは、自己紹介しながら挨拶のように握手を求めてきた。
なんとなくだが、俺はこの握手を無視し、手を差し出さないことにした。
「悪いね。俺はインシュレイティド・チャリティ教の教祖をやっているインチキ教祖だ。教祖という立場上、握手する相手は選ぶもんでね。己の信念に従い、握手したいと思った者のみ、手を差し伸べることにしているんだ」
ザスジーは、俺が握手をしないと、口をぽかっと開いたままあっけにとられていた。
「そうか。それは残念だ。ノオウ・ザスジーだ。ミス・ジュダストルカ」
ザスジーは次にジュダスに向けて握手を求めてきた。だが、ジュダスも握手に応じなかった。
「申し訳ございません。私はインチキの信者でして。教祖が握手をしないなら信者の私も立場上、握手するわけにはいかないのです。ご理解ください」
ジュダスは一応、頭を下げて握手を拒否した。
すると、ザスジーは先ほど同様に、口をぽかっと開いたまま突っ立っていた。その後、中指でサングラスをクイっと直す仕草をした後、少し悲しそうな表情へと変わった。
「そうか……いや、こちらこそ申し訳ないな。お互いのことをよく知らないのに、いきなり馴れ馴れしかったな。握手できないのは正直残念だ。しかし、宗教上の理由とならば、それを尊重しないわけにはいかないからな」
ザスジーは露骨に寂しそうな声のトーンで俺たちに謝ってくる。握手を拒否する俺たちは第三者から見て薄情に映るかもしれない。
だが、俺は忘れていない。こいつがヴェダをいや、もしかしたら支配者として、ここの住民全員を苦しめている元凶かもしれないということを。迂闊に心を許したら、そこからカルトのマインドコントロールのように操られていくかもしれない。
それにこの世界には様々な魔術が存在する。俺が知らない魔術だっていくらでもある。
例えば、握手をした相手に呪いをかける魔術だってあるかもしれない。たかが、握手だと思って応じたらそれが命取りになるかもしれない。そういった、魔術を警戒する意味でも用心するに越したことはない。
「なら、気を取り直して、ミスター・インチキ教祖とミス・ジュダス。今回お誘いしたのは、君たちを客としてもてなすためだ。改めて歓迎しよう! ようこそザスジータウンへ!」
ザスジーは両手を大きく広げて、ウェルカムポーズする。
すると他の住民たちは、テンション高く「イェェェェッェェェエエエエエイ!!!」と大げさ過ぎるほど、テンション高く大声を発し、大きな握手をパチパチパチパチと鳴らし続けていた。ザスジーが左手を上にあげて「止め」のような合図をするまでは。
(明らかにザスジーによってテンション高く歓迎するように命令されているな。正直、テンション高すぎてついていけないのだが……)
「ところで、お客様を立たせたまま会話するのは悪いと我輩は思う。よろしければ向こうの席で、座りながら語り合おうではないか」
俺たちはザスジーたちの熱烈な歓迎にドン引きしながらも、ザスジーが示したイスがある場所に移動する。
「よいしょっと、さて来客の立場として色々と聞きたいところがあるだろう。質問あるならどうぞ?」
「なら私から。このザスジータウンに訪れた際に門番と一言二言会話した程度で入れるようになりました。なぜ、もっと私たちの素性を調べもしないで、このタウンに入れたのですか?」
「門番との会話の内容から私たちを入れる判断を決めたのは、マスターであるあなたのはずですが?」
意外にもジュダスから手を上げて質問した。しかも俺も気になっていたところだ。このタウンの責任者というなら、俺たちがタウンに仇なす者かもしれないのに、大して調べもせず、通したのは、流石に杜撰ではないか。
現に俺は、場合によっては、ザスジーと戦闘する覚悟でここに来たことも確かだしな。
「フム……いい質問だ。いかにも。君たちをタウンに入れる許可を下したのは、この我輩だ。なぜ、入れたのかというと、そもそもこのザスジータウンは去る者は追わず来る者は拒まずというスタンスだ。だから、君たちが特別危険な存在と思えない限りは、慣例に従い入れた。それだけに過ぎんよ」
ザスジーは、俺たちの反応を見るよりも自分の話を続けた。
「いや、こう言うと、こう思うだろう。『危機意識がなさすぎるのではないか?』とかね」
「本当に君たちが危険でないかどうかもう少し確かめてから、タウンに入れる許可を下すべきではないかと。確かにそう言われたら痛い。だが、この慣習は譲れないのだ……なぜなら、我輩には夢があるからだ! 例え、シーカーズたちにいくら邪魔されようともな」
「夢? シーカーズ?」
夢とシーカーズ。気になるワードを聞いた。
夢とはなんだ? この男になにか夢があるということか? ただのほほんと暮らしているわけではないのか。
そしてシーカーズとは? これに関しては前にも聞いたことがある。このタウンに入れる前に門番のエルフがちょろりと口にしたキーワードだ。
俺が疑問に思っていると、その考えを見透かすようにザスジーが俺の疑問の答えを説明する。
「フッフッフッ。気になるか? 我輩の……いやタウンの住民全ての夢が……お客様のあなたたちには元から説明する気でいた」
「まず夢。それは全ての種族が手を取り合い、共存していく楽園をここに築くことだ。それがザスジータウンを設立した理念であり究極の夢だ」
ザスジーは左手の拳をギュッと強く握り、演説するように声のトーンを上げる。
「我輩や住民のように、全種族分け隔てなく一つになろうとする考えを我輩は種族統合主義者と呼んでいる!」
「種族統合主義者!?」
インパクトあるフレーズに思わず、オウム返しする俺。ザスジーは狙い通りという顔でニヤリとする。
「フッフッフッ。自分で言うのもなんだが、いい響きだろ? 種族統合主義者という名は」
「話を続けよう。夢を実現するためにも、どんな種族だろうと我輩は受け入れたい。実際に危険な思想や特定の種族に差別意識を持っていた者もここに来てから、考えを改めて種族統合主義者へと変わったケースもある」
「また、たとえ過去にどんな罪を犯した者であろうとも、このタウンで皆と共存する意思があるなら、我輩はチャンスを与えたいのだ。いい例がそこにいるエルフたちだろう」
ザスジーは、女性のエルフたちに向けて手を差し伸べるように右手を伸ばして指し示す。女性のエルフたちは指し示されるとペコリと軽く会釈する。
「あの女性エルフたちは4年前、タウン設立当時からの古参のメンバーだ。だが出会った当初は、「ダークカイト」という女性ダークエルフで構成された盗賊団の一員だったのだ。特に裕福な人間たちを標的に脅したり、時には軽い暴力を用いて金品や食料を奪い取って生活したらしい」
「我輩と出会った当初は、我輩が人間なこともあり、当然このエルフたちには警戒された。だが、我輩は、諦めずに対話を図りこのタウンで共存共栄への道を提案し続けたのだ! それなりに時間はかかったが、我輩の思いが通じ、盗賊行為を止め、今では立派なタウンの住民だ!!」
ザスジーは誇らしげのようにエルフたちを褒める。エルフたちもザスジーと褒められて嬉しいのか、黙ったままだが、笑みを浮かべていた。
「なるほどな。いい話じゃないか」
大層なお話だが、ザスジーが女エルフ盗賊団の話をしたときから、どうしても俺はヴェダのことを思い浮かべていた。
ヴェダもかつては、盗賊団の一員だったらしいし、グループ名は聞いていなかったが、おそらくあのエルフたちと同じダークカイトの一員だったのだろう。
だが、その肝心のヴェダは、ここにはいない。このタウンに入ったときからチラホラと探していたが、ヴェダは見当たらないのだ。
このタウンは広いから単純にヴェダが住んでいる場所が違うだけというオチならいいのだが。
(とりあえずヴェダが危険な目にあっていなければいいが……俺たちはヴェダのことを知らないという設定だ。ヴェダの安否を聞くこともできないのは……どうももどかしいな)
俺が心の中でヴェダを心配していることをよそにザスジーは、得意顔な表情から中指でサングラスをクイっと直す仕草をした後、今度は神妙な面持ちの顔つきへと変わった。
「だが世の中そう上手くはいかないものだ……残念だが、中にはいくら対話を持ちかけても、考えを変えない者もいる。さきほど話したシーカーズ共がまさにそれだ!」
遂に出たキーワード。シーカーズ。門番が俺にいや、人間そのものに対して警戒していたことにどう関わるのだろうか。
「シーカーズ……正式な組織名は狩人たちという名らしい。奴らは、人間以外の異種族を標的に狩猟する組織だ。構成員は人間のみで作られている」
「我輩がザスジータウンを設立してしばらくした後に見かけるようになった狩人集団だ。生死を問わず、異種族を狩り、それを売買するクズな奴らだ。……過去に住民も奴らの被害を受けたこともある」
「だが、不思議と人間だけはターゲットにするつもりはなく、邪魔さえしなければ、傷つけるつもりはないらしい」
「!? ……人間だけは? インくん。もしかして、お昼ごろ襲ってきたあの集団って、ザ・シーカーズという連中では?」
「ああ! ……あのザ・ならず者集団のことか。思い出した。……まあ、俺から攻撃したはずだから、どちらかと言えば、あいつらが襲われたという表現が正しいかもだが」
すっかり忘れていたザ・ならず者集団のことを。ジュダスが話題に出してくれたおかげで思い出せた。
「なに!? ……会ったと言うのか? ザ・シーカーズに?」
俺とジュダスの話を聞いていたザスジーが驚いたような反応を見せる。
「……確証はないですが、おそらくその一味かと。……そういえば、連中の一人が死ぬ前に気になることを言っていました。『俺たちは人間なら殺すつもりは無かった』っと。戦う前もインくんが人間だからか。初めは、言葉で脅してインくんを退けようとしていましたし」
「人間なら殺すつもりは無かった? ……間違いない。ザ・シーカーズだろう。奴らは人間以外の種族に対しては、血も涙もない連中だが、人間に対してだけは、博愛主義者の如く優しいのだから。……しかし、そんな連中を相手によく生きられたな。君たちは強いのだな」
ザスジーは俺たちを褒めるがなぜか嬉しそうな表情をしていない。その表情は少し硬い表情で、なにかを堪えるような表情だった。心なしか左こぶしもグッと強く握っているようにも見えた。
「俺から攻撃したと聞いて、俺が危険な存在と誤解されても困るから弁明する」
「あいつらはうちの信者、ジュダスをあからさまに狙っていた。俺は警告したのに、立ち去ろうとしなかったから攻撃した。それだけだからな」
ザスジーは俺の弁明を聞きながら、サングラスをクイっと直す仕草をしする。
「いや、分かっているさ。奴らは異種族を襲うということになると、まるで話を聞かないからな。現に我輩も何度か奴らと接触し、対話を試みた」
「『ここの住民たちは平和に暮らしたいだけだ!!』『今までのことを忘れるからこれ以上関わらないでくれ!』と説得したが、住民を狩ることを止めなかった。それどころか、『他の種族を庇うなら人間のお前でも容赦しないぞ』と脅された」
「奴らは異常だ。我輩たちが種族統合主義者とするならば、奴らは人間至上主義者と言えるだろう。」
ザ・シーカーズの話を聞いて、門番が人間の俺に警戒していた理由がやっとわかった。俺もザ・シーカーズの一員かもしれないと考えたのだろう。だが、門番の対応に納得したことでさらにある疑問が浮かんだ。
その疑問を解消するために俺はザスジーに問う。
「なぁ……なぜ人間の俺をタウンに入れたんだ? アンタは、俺がシーカーズのスパイだと考えなかったのか?」
ザスジーは俺の疑問を聞き、キョトンとした表情になっていた。やがてフっと小さく笑ってから俺の疑問に答える。
「簡単なことだ。奴らは異種族と仲良くしようとしないからな。このタウンに潜入する目的があったとしても、異種族と仲良く演技して、タウンに入ることは決してない。それは奴らのプライドが許さないからだ」
ザスジーはジュダスに指を差す。
「エルフ族のジュダスと共にいること。そしてジュダスが君を信頼していることは我輩も見て分かる。そこから君が奴らの一味でないことは当然分かるさ」
果たしてヴェダはどこにいるのでしょうか?




