24.「私は……私は……」
ジュダス、ウンコウ、タマル、カリオテはインチキ教祖を見ると驚いていた。やがて、ウンコウの口が開く。
「小童、おぬし生きて負ったのか!?」
ウンコウに問われるも無視するかのように、インチキ教祖の視線はジュダスに向けていた。ジュダスもインチキ教祖に視線を合わしていた。
「(インチキさん!? どうして……ここに?)」
ジュダスは、考えていた。彼がどうしてここに自分がいることがわかったのか、何のために来たのかなど。自分が魔力譲渡した際にインチキ教祖の中の魔力に自分の魔力が混ざっている感覚があるため、彼が近くにいる場合、ジュダスは認識できるのだが、インチキ教祖もまた自分の居場所がわかるようになっているのだろうかとそんな複雑なことを考えていた。だが、ジュダスはそんな理屈を考えるよりもある思いをインチキ教祖に抱きつつあった。
「あ、悪魔め。もう復活したのか。あ、あなたなんてウンコウ様の手にかかればぁ~」
タマルは親の仇を見るかのような顔つきでインチキ教祖を見る。ウンコウよりタマルの方が今にも襲ってきそうな雰囲気を感じるほどだ。ウンコウはインチキ教祖の登場に驚いたものの、気を取り直すかのようにフっと笑う。
「今更小童程度が現れたところでどうにもできんわ。見るがいい。今からジュダスを殺――いや祓う。次はお前の番じゃ。悪魔の小童よ」
「な、ジュダスを殺す気か!?」
これから起きるジュダスの運命に動揺するインチキ教祖。理屈で考えるよりもインチキ教祖も戦おうと動こうとしていた。すると、呼吸を整えたジュダスはインチキ教祖に向けて猛ダッシュで駆けつけてきた。
ジュダス以外、突然の動きに一瞬固まった。ジュダスはインチキ教祖まで着くとインチキ教祖の首に手を掛ける。そしてインチキ教祖の顔を目の前で見つめるジュダス。インチキ教祖は驚きながらも、ジュダスを見つめる。
「(私が知っているコネクトの四、のルール。ウンコウに対抗するには、これに掛けるしかない!)」
ジュダスが注目した四、のルール。それは後者のルールだった。
四、譲渡の際にコネクトに対して奉仕の度合が強ければ強いほど、単純な足し算ではなく、渡した魔力以上にコネクトの魔力は大幅に強化される
「ママ。パパ。ウンコウ。私は……私は……真実教を脱会して、インチキの信者となります!!!」
そう宣言すると、ジュダスはサン・サーラで魔力を大幅に上げる。
「お願い……どうかウンコウを倒して」
そう言うと、ジュダスは目を閉じ、インチキ教祖に口づけをした。
突然のジュダスの行動に驚くインチキ教祖、ウンコウ、タマル、カリオテ。
ジュダスのキスはただ口と口を触れ合うものではなく、舌を入れ、ジュダスなりの濃厚な口づけとなった。
ジュダスにとって、初めてのキスだった。幼少の頃、父と母がしていた濃厚なキス。ジュダスは両親に見つからないように隠れてそのキスを見ていた。ジュダスはその鮮明な記憶を思い出しながらインチキ教祖にキスをする。そして口を通して、膨大な魔力を彼に渡していたのだ。
その時、インチキ教祖の魔力のオーラが爆発的に跳ね上がろうとしていた。それは、ジュダスがサン・サーラを使ったときよりもウンコウが魔力を噴き出したときよりも大きなうねりとなるような予感をさせるほどに……
明日の話は転生前の白き世界の続きからとなります。
以下の話の続きとなりますので、まだ読んでいない方、または、読んだけど話の内容を忘れちゃった♡の方は、読み直してから明日の話を読むのがオススメです!
5.「スキルタイプ」
6.「今の俺には目的があるからだ!」