17.「ジュ・ダァ・スゥ~」
説法会が終わり家に帰宅しようと道場から出たジュダス。ジュダスは吹っ飛ばされたインチキ教祖を心配していた。
(インチキさん。大丈夫かな? 私の魔力は渡したままのはずだから、即死しない限りは、命に別状はないはずだけど)
インチキ教祖のことを考えたとき、ジュダスは、自宅で彼に言われた言葉をまた思い出した。
――いいでしょう。その説法会とやらに行きましょう。……正直言ってあなたが真実教にそこまで深く信仰しているとは思いませんでした。ならばいい機会だ。その説法会でウンコウとやらのペテン師っぷりをその場で暴きましょう。そしてこのインチキこそが最高に素晴らしい宗教だと証明してみせよう
――その代わりと言ってはなんですが、もし真実教がカルト宗教だとあなたが分かってくれたなら、代わりにインチキへと改宗して貰いますでしょうか? インチキならば、真実教なんかよりも幸せになれると断言できますから
(インチキさんはコネクトなのに、ウンコウ様はコネクトじゃないって否定した。あのウンコウ様が間違えた? 全ての真実を見抜けるはずのウンコウ様が……でもインチキさんもコネクトなのにコネクトじゃないって嘘をついた。どうなっているの?)
(ウンコウ様とインチキさんどちらを信じればいいの? あるいはどちらも信じてはいけないの? 私はどうすればいいんだろう?)
ウンコウが間違えたことを教徒の中で唯一知っているジュダスは悩んでいた。
悩みながら歩いていると、知っている声が聞こえた。
「ジュ・ダァ・スゥ~」
振り返ると、母タマル・トルカが笑顔で立っていた。
だが、その笑顔は自然な感情で作られた笑顔ではなく、どこか無理して作っているような不気味さを感じる笑顔だった。
「あの悪魔、いえジュダスが連れてきた人間の男性さんいなくなっちゃたねぇ~。これでやっと親子水入らずで話せるねぇ」
「ママ。ええ。ごめんなさい。私も彼があんな行動するとは思わなくて。大事な説法会が台無しになって本当にごめんなさい」
大事な母親だが、ジュダスにとって今一番会いたくない人物だった。ウンコウが間違えた件を話しても恐らく信じようとせず、小一時間くらい説教されるのがオチだろうから。
「会ってくれて嬉しいけど、ママ大丈夫? 出家教徒はこれから極限まで修行するんでしょ? 私と話している時間なんてないんじゃ?」
「大丈夫よ。ちゃんとウンコウ様に許可を取った上でジュダスと話す時間を設けて貰ったわ。それよりも、はぐらかさないでママとお話しましょ」
気味が悪い程を感じるタマルの笑顔は崩れない。
「真実教やめるって聞いたとき、ママ驚いちゃったわ~。でも、どう? あれから考え直してくれた?」
「うん。その件だけど、色々誤解があって、でも……私の中で色々と気持ちに整理がつかなくて、悪いけど、今回は一旦帰らせてくれないかな? 後日ちゃんと説明するから。その時に今まで先延ばししていた、出家する、しないの最終決断もするようにするから」
「後日なんてないわよ。そうやって先延ばししているのも悪魔がお前を操ってそうさせているのね……ママはね。もう決めたのよ。一刻も早くウンコウ様によって救済されるために……」
タマルが手を挙げた。すると父カリオテがジュダスの後ろの木から急に現れた。父カリオテだけではなく、男女の教徒がジュダスの左右に急に現れた。ジュダスは四方八方に囲まれた状態になった。
「えっなんか怖いよ? ママ? パパ? 他の教徒もどうしましたの?」
「……今日からあなたを出家させることに決めたわ! お前たちやれぇ!!」
タマルが合図すると父カリオテ含めた教徒たちは、右の掌を前に突きつけ
「「「涅槃寂静」」」
「うぐっ! ……マ……マ……な……に……を?」
インチキ教祖も喰らった涅槃寂静の術。ジュダスは、その場で立ったまま動けない状態にされた。
ウンコウがインチキ教祖に対して行った涅槃寂静はまるで身動き一切できないほどの威力だったが、教徒たちの涅槃寂静の威力は数段落ちるため、やがて少しずつ抵抗され、カリオテ含めた教徒たちはジュダスの拘束に苦戦していた。
ジュダスの抵抗する姿に、タマルは頬に人差し指を当てながら感心するような表情になった。
「流石ね。不意打ちで喰らったのに、拘束を振り解くのも時間の問題かしら。ナレーザ最強は伊達じゃないわ」
「……でも数秒止められれば充分よ」
タマルは右手をジュダスの顔に近づけると、「睡瞑想」と唱え指パッチンした。
タマルが指パッチンしたときに、小さな紫色の煙が発生し、ジュダスの顔を覆った。
(しまったぁ! ……幻惑……系……魔……術か……)
ジュダスの思考は途切れ、気絶するように眠ってしまった。
ジュダスの運命はどうなるんでしょう?
明日も20時40分に続き投稿します。




