表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生した俺はインチキ教祖としてハッピーライフを目指す  作者: 朝月夜
第4章社陸幻鏡という女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/186

17.「三角縁神獣鏡」 前編

 すみません、また例によって文章が長くなりそうなので、前半と後半に分けて投稿します。

 後半は、早ければ明日投稿となります(というか、まだ作成中です)。


 →すみません。前編・中編・後編の三本に分けて投稿することになりました。(2025/09/15追記)

「フン!」


 ゲルメズは炎のゴブレット――アタシュ・バフラムを振るうと、炎が津波の如く襲い来た。

 ――ゴオオオオオオオ!


「ここは任せて、幻!」


 久奈子は臆せず、その炎の津波に突っ込んでいく。彼女は左手を大きく広げ、武器転送魔術を発動させるため、武器の名を唱えようとした。


「――銅剣(コッパ―ソード)・ファルシオン」


 そう唱えると、久奈子の手のひらに魔法陣が浮かび上がり、その中央から刀剣の柄のようなものが姿を現す。

 彼女は右手でそれを掴み、勢いよく引き抜いた。現れたのは――〝ファルシオン〟と呼ばれる刀剣の一種。


 武器名【銅剣コッパーソード・ファルシオン】――その見た目は、青銅で作られた片刃の剣で、全長はおよそ七十センチ。刃先がゆるやかに湾曲したその姿は、どこか中国の〝柳葉刀〟を思わせる造形だった。


「ヤァアアア!!」

 ――ズバッ!


 久奈子は掛け声と共に炎の津波を断ち切り、私様と自身の周囲に避け道を作るように、左右に炎の裂け目が走った。


「ほう……中々の太刀筋ですね」


 ゲルメズは素直に久奈子を称えた。

 そして、久奈子は――


「ええ! このコッパーソードで、あんたを()()()みじん切りにしてやる!!」


 ――ちーん


 せっかく戦いが盛り上がってきたところなのに、久奈子の一言で場はややしらける。


「……久奈子、貴様……」

「なるほど……某のファイア魔術を少しでも弱体化させるために、あえて寒いダジャレを――高度な頭脳戦だ」

「いや、きっと本人は面白いって思っているよ。見てよ、あのドヤ顔――絶対に決まったと思っているわよ」


 ゲルメズのフォローとザルドの中傷に、久奈子の肌は次第に赤みを帯びていった。


「なっ、げ、幻鏡/// こいつら許さないんだから、絶対に倒そう!」

「ああ、わかっている!!」


 私様も武器を出そうと両手を大きく広げた。だが――


鬼殺酒ハオマ


 アービーが放ったアイスウォーター魔術の水球が、久奈子めがけて飛ぶ。


「はっ!?」


 ゲルメズに気を取られていた久奈子は、反応が一歩遅れた。


(まずい! 久奈子を助けないと)


 私様は武器転送魔術を中断し、急いで人差し指を伸ばす。


金印きんいん


 放たれた光速のビームが水球をかき消し、そのままアービーの右目を撃ち抜いた。


「うがああああ! 目が――目が――っ!!」

「……間に合ったな」


 魔術名【金印】――これもフラッシュ魔術の一種。

 ダエーワ・ファミリーの屋敷に侵入した際に用いた潜入用の〝天岩戸〟とは異なり、こちらは直接相手を攻撃する、攻撃魔術に分類される術である。

 金印のみならず、フラッシュ魔術は光速であるため、攻撃魔術の中では最速だ。しかし、その分、威力は攻撃魔術の中で最弱。

 この威力の弱さを補うには、膨大な魔力を消費して威力を高めるか、先ほどのアービーのように、的確に急所を狙う工夫が必要となる。


「大丈夫か!? アービー? 今、回復させる」

「……ちくしょう、あのアマぁ……っ」


 ヒーラーのサブズが慌てて、アービーの右目を回復させる。


(やはり、敵にヒーラーが混ざっていると厄介だな……)


 どんな傷を負わせても、敵にヒーラーがいれば瞬時に回復される。

 最優先で倒したい相手だが、敵も生命線であるヒーラーを守るため、ザルドやシヤーフが取り囲むようにして防御している。


「幻、ありがとう!」

「よそ見するな! 敵に集中しろ!!」


 久奈子がよそ見した瞬間、ゲルメズが再びアタシュ・バフラムを振る。

 すると――火の粉が舞い、やがて形を成し、炎蜥蜴サラマンダー族のような炎でできた大型トカゲが二体ほど現れた。


「今度はこれでどうだ」


 すると、ゲルメズはアタシュ・バフラムから、炎でできた二体のトカゲは口から、それぞれ火炎放射器のように三本の炎を放った。


「あの量!? 捌ききれない?」

「久奈子、下がっていろ!」


 私様はついに武器転送魔術を発動するため、両手を大きく広げた。

 久奈子は私様の意図を理解し、すぐに背後へと回る。


「――三角さんかくぶち神獣鏡しんじゅうきょう


 両手から魔法陣が発生し、その魔法陣から現れた取っ手を掴む。

 現れたのは――二つの鏡。


 武器名【三角縁神獣鏡】――その見た目は、鏡の縁の断面が三角形をしており、背面には神や霊獣が刻まれている。一枚は金色、もう一枚は銀色で塗られた二枚組の鏡だ。直径はおよそ三十センチ前後。

 そして、この武器の性能は――


 ――ゴオオオオオオオ!

 暗闇全てを覆い尽くすほどの巨大な炎が迫る。

 だが私様は落ち着き、その二枚の鏡を構えた。

 ――キュィイイイイイイイイインン!!

 炎が鏡にぶつかると、その炎はまるで掃除機のように一瞬で吸い込まれた。


「――吸い込まれた? まさか!? その武器は……」


 流石はゲルメズ、私様の武器性能に感づいたようだ。


「気づいたところで遅い――倍返しだ!」

 ――ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


 先ほど放たれた炎の()()()()巨大な炎が、ゲルメズたちに襲いかかる。



 柳葉刀……? どこかの金髪エルフ族を思い出しますな。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ