14.「コネクト」
「おぬしのスキルタイプはコネクトだ。どうだ違うか?」
ウンコウの発言に黙るインチキ教祖。しかし、周りの教徒たちはウンコウの発言に落ち着かない様子でざわざわと雑談していた。
「コネクト……コネクトって最も希少なスキルタイプと言われているあのコネクトか!?」
「嘘。なんであんな人がコネクトなのよ。というか実在したの? コネクトって作り話じゃないの?」
「たしか、コネクトって唯一魔術が使えないスキルタイプじゃなかったか?」
周りの教徒たちは、驚いていた。無理もない。スキルタイプ・コネクト。それは実在そのものが疑われている程の幻のスキルタイプだ。無論、真実教の教徒たちの中でコネクトに該当する者は誰一人としていない。
善政を施した王や悪名高き魔王と呼ばれた者。良い意味でも悪い意味でも頂点に立ち歴史に名を残した者の中にはこのスキルタイプに該当したのではないかという一説もあるが信憑性は薄いのが現状だ。
このご時世、他三つのスキルタイプの全貌が判明されている中、このコネクトだけが、未だに全貌が判明されていない。
しかし、そんなあまり知られていないコネクトでも有名な特性が一つある。
それは魔術が使えない唯一のスキルタイプということ。
周りの教徒たちの雑談が終わらない中、インチキ教祖は依然黙ったままだ。
「どうじゃ。見事に当てられて息を吞む状態かな? 正直言っておぬしがコネクトだと見抜いて余自身驚いている……だが確かにおぬしはコネクトなのじゃ。どうだ違うか?」
断言するウンコウに対して、インチキ教祖は目を閉じ、腕を組みながらフフフと余裕を出すように笑い出す。やがて、アッハッハッハと豪快に爆笑するインチキ教祖。笑いが収まると、目を開け、腕をほどき……
「バカめ。違うわ。俺はコネクトじゃねえ。正解は――オールラウンドだ!」
インチキ教祖はしたり顔で言い返す。その言い返しにウンコウは狼狽する。
「なっ、なんじゃと! おぬしはコネクトではないじゃと!?」
「そうだ。もう一度言うが、俺のスキルタイプはオールラウンドだ。試しに証拠を見せてやろう」
インチキ教祖は左手を突き出し。手をアイアンクローのような形にした。そして……
「火天」
と唱えると左手から火球を飛ばした。その火球はウンコウより後ろにある真実一路という文字が描かれた扁額を燃やし尽くした。
「お、おぬしめぇぇぇえええええええええええ」
ギリっと歯を食いしばる表情を見せるウンコウに対し、不敵な笑みを浮かべるインチキ教祖。
「おい。あいつ。火天を発動したぞ。あの火力といい、狙い通り扁額に飛ばした技術といい、確かにオールラウンドでないとあれは説明できない」
「コネクトって魔術が発動できないのよね? でもあの人はして見せた……えっ、ということはウンコウ様が間違えたってこと!?」
教徒たちもインチキ教祖が魔術を発動したことに動揺していた。その流れに乗るようにインチキ教祖は勝利宣言のように叫ぶ。
「ハッハッハ。ウンコウさん! あんた間違えたな! この俺のスキルタイプを! みんなぁぁぁ。これで分かっただろう? コイツはいんちきだ! コイツは真実を見抜けなかった!! 真実教はみんなを騙すいんちき宗教だ!!!」
ジュダスからスキルタイプはコネクトだと聞いた女性教徒、その女性教徒から合図を貰った男性教徒はジュダスに『話が違うじゃないか』と言わんばかりに責めるような目つきでジュダスを睨む。
ジュダスはインチキ教祖とウンコウの一連の流れを見て、インチキ教祖に対して憤慨していた。
「(信、信じられない! み、見損なったわ。インチキさん! コネクトなのに……オールラウンドなんて嘘をつくなんて!)」
ジュダスには、インチキ教祖がコネクトだと確信している理由がある。
「(彼は確かに魔術を使った。でもそれは、私が魔力を譲渡したからなのよ!)」
謎に包まれたコネクトの力。明日判明する!?
明日も21時に続きを投稿します。