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異世界に転生した俺はインチキ教祖としてハッピーライフを目指す  作者: 朝月夜
第4章社陸幻鏡という女

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14.神族継承戦争

 今回は、世界観の説明もあります

 神族継承戦争。

 後世において、その大戦はそう呼ばれるようになった。

 全種族の頂点――〝神族〟の座をめぐり、人間族、エルフ族、ドラゴン族、オーガ族をはじめとするあらゆる異種族が、誇りと覇権を懸けて激突した。

 その戦いは百年近く続き、ちょうど一世紀前に幕を閉じた。

 勝者は、()()()()()()()()()だった。

 現代においては「異種族同士の争いや差別をなくそう」という方針に変わりつつある。

 しかし現実には、人間族による支配の色はなお濃く残り、一部の異種族は今も人間族に対し、根深い敵意を抱き続けている者もいるとされる。

 そして、大戦の後の時代というのは、いつの世でも経済と生活が乱れ、社会不安が渦巻く。

 前の世界での人類の歴史がそうであったように、この新しき世界においても心の拠り所が揺らぐような時代には、新興宗教のような存在が増え、その中には悪質なカルト団体が混ざることもある。

 その影響は、現代においても色濃く残されている。


 私様たちは、アービーの友を助けるため、ダエーワ・ファミリーのアジトへと向かっていた。


「アービー、そのダエーワ・ファミリーの構成員の特徴を知りたい……たとえば、見た目、スキルタイプ、どんな魔術を得意とするかなど、詳しく聞いておきたい」

「それによって作戦を立てられる……万が一、戦うことになったときのためにも必要だ」

「確かに! 特に、アービーさんの友がどんな見た目のオーガなのかは、あたしも知りたい!」


 私様たちは歩を進めながら、情報を求めていた。


「わかりました。メンバーは順を追って説明します。ただ、スキルタイプから先に申し上げますと……ヒーラーは一名。それ以外は、わたくしや友を含め、全員がオールラウンドです」

「ということは、ヒーラーが一人、オールラウンドが四人……計五人ということね」


 久奈子がうなずき、アービーの言葉を受け止める。そこから、アービーは一体ずつ説明を始めた。


「まず一体目、名はドゥルジ・サブズ。全身緑色の男性オーガ。スキルタイプはヒーラー。得意魔術は回復系ヒーラー魔術。……ヒーラーゆえ、強さで言えばメンバー内で最弱です」


「二体目、名はジェー・ザルド。黄色の女性オーガ。スキルタイプはオールラウンド。得意魔術は雷電系サンダー魔術――彼女が、わたくしの〝友〟です」


「三体目、アカ・マナフ・シヤーフ。黒色の男性オーガ。スキルタイプはオールラウンド。得意魔術は幻惑系ファントム魔術」


「四体目は、わたくしことアエーシュマ・アービー。見た目は省きますが、スキルタイプはオールラウンド。得意魔術は氷水系アイスウォーター魔術です」


「そして最後の五体目、アフリマン・ゲルメズ。赤色の男性オーガ。スキルタイプはオールラウンド。得意魔術は炎火系ファイア魔術。彼がダエーワ・ファミリーの教祖にあたります……もっとも、わたくしたちは彼を『教祖』ではなく、『おにがしら』と呼んでおりますが」


「……なるほど。実質、敵となるのは緑のサブズ、黒のシヤーフ、そして赤にして鬼頭のゲルメズね」

(馬鹿、久奈子! 敵は五体かもしれないぞ。このアービーが私様たちを教団に誘う役なら――黄のザルドだって敵になりうる。いや、そもそも今の話が全部()()()()なら、敵の数はもっといるかもしれない)


 理解した気でいる久奈子に、私様は心の中でツッコミを入れた。


「とにかく、その黄のザルドさんをどうやって助けるかだよね……幻はどう考えている?」


 久奈子に話題を振られる。


「そうだな……まず以前の知識の(ナレッジズ・)ゲートとの戦いみたいに、ファントム魔術で一網打尽ってわけにはいかないだろうな……ヒーラーなら、ファントム魔術にかけられた仲間を救うことができるし、黒のシヤーフがファントム魔術の使い手なら、その対策もばっちりかもしれん」

「ただし、それはあくまで正面から挑んだ場合の話だ。――私様には別の策がある。だが、それを成功させるには……アービー、貴様にも力を貸してもらわなければならない。ふたりとも、聞いてくれるか?」


 私様は久奈子とアービーに確認を取る。


「策? なんなの幻の策って?」

「……聞かせてください。幻鏡さん」


 ふたりが応じるのを見届け、私様は()()を伝えた。


「ええっ!? そんな作戦が成功するの?」

「盲点でした……ですが、やってみる価値はあります」


 しばらくして――

 あたりがすっかり夕暮れに包まれたころ。


「ここです、久奈子さん、幻鏡さん……この山岳牧場が、ダエーワ・ファミリーのアジトになります」


 アービーの指さす先を、高台から見下ろす。

 そこには畑や放牧場が広がり、家畜らしき生き物も見える。まさに、彼女の言う通り牧場のような場所だった。

 そして、その中央に一軒の木造家屋。

 おそらく、あそこに黄のザルドが捕らわれているのだろう。


「ふたりとも……作戦の準備はいいか?」


 コクンと頷く久奈子とアービー。


「よし! 行くぞ!!」


 こうして私様の策の下、「黄のザルド救出作戦」が動き出した。


 補足)

 今回登場した名前――ゲルメズ、アービー、ザルド、シヤーフ、サブズ。

 これらはいずれも現代ペルシア語に由来しており、日本語に訳すと以下の通りとなります。


 ゲルメズ → 赤

 アービー → 青

 ザルド → 黄

 シヤーフ → 黒

 サブズ → 緑

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