13.「ダエーワ・ファミリー」 前半
すみません、また例によって文章が長くなってしまったため、前半と後半に分けて投稿します。
後半は23時過ぎ頃に投稿します。
大鬼族。
その姿は、男女ともに平均身長が二メートルを超える巨体。額からは太い角が二本突き出し、口元には獣じみた鋭い牙が覗いているのが特徴だ。
腕力の強さでは、砂漠に住むあのオーク族にも匹敵すると言われている。
そして今、久奈子に迫ろうとしている個体は、肌の色が青。
見た目の印象では、オーガというよりも、むしろ――青鬼のような雰囲気がしっくりとくる。
その衣装もまた、青い肌に合わせたように全身青く、長い布で覆われていた。
(間に合うか?)
私様は久奈子のもとへ駆け出す。
だが、その青鬼のようなオーガ族は、なおも口を開いたまま久奈子に迫る。
「させるか! 金い――」
「!? まって! 幻、違うの!!」
私様が人差し指を突き出し、フラッシュ魔術を発動しようとしたその時。
久奈子は私様に気づき、咄嗟にそのオーガ族を庇うように、前方へと飛び出し、大きく手を広げた。
「――久奈子!?」
「この人? とにかく、彼女は、あたしに助けを求めてきただけなの!」
そのオーガ族は、ブルブルと怯えるように小刻みに震えていた。
それは、私様に怯えているというよりも――何か〝別のもの〟に怯えているような、そんな雰囲気だった。
(……さっきは、気のせいだったのか。久奈子に噛みつこうとしていたように見えていたのだが)
ひとまず、私様はそのオーガ族の事情を聞くことにした。




