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異世界に転生した俺はインチキ教祖としてハッピーライフを目指す  作者: 朝月夜
第4章社陸幻鏡という女

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10.「君がこれから生きていく新しき世界の案内人さ」 後半

 新しき世界? 魔術? 魔力のスキルタイプ? 一体何の話をしているんだ。


「色々と気になるだろう。だが、ちゃんと順を追って話す――と、その前にこれだけは言っておこう」


 白き世界の何者かは、前置きするかのように言った。


「うん?」

「君がこの白き世界に居られる時間は限られているんだ。君たちの時間単位で表すなら、約10分だ。10分ほど過ぎたら、君は新しき世界へと飛ばされる。だから、僕の話はちゃんと聞いた方がいいよ。当然、僕もわかりやすく説明することは心がけるけど」

「というのも、前回、僕がそのことを忘れていてね……てら、いや、インチキ教祖君には大分迷惑をかけてしまったからさ」

「――インチキ教祖? ハッ、おかしな名前の奴もいたもんだな」


 何者かの話よりも、「インチキ教祖」という名前のインパクトに反応してしまった。

 これは私様が教祖をやっていたから、余計に反応してしまったのだろうか。

 教祖ということは、何かしらの教団の長をやっているのだろうが、自ら「インチキ教祖」と語るということは……ひょっとしてギャグでやっているのか?


「彼の話は……よそう。話が脱線するし、プライバシーに関わるしね。まあ、運が良ければ新しき世界で会えるかもね」

「いや……別に会いたくはないのだが」


 話の流れから、その「インチキ教祖」とやらも新しき世界にいるのだろうが、別に会いたいと思うほど興味はない。

 いや、そもそも私様は、その新しき世界とやらにまったく興味がないのだ。

 何者かの話は続く。


「よし、そろそろ本題に入ろう。まず魔術のことだが――『いらん』」

「えっ?」


 当然と言えば、当然かもしれないが、何者かの声に戸惑いがあった。


「くだらん。私様は、魔術も魔力のスキルタイプとやらも、まったく興味がない。聞くだけ退屈だ」

「さっさと――その新しき世界とやらに、私様を飛ばせ!」

「…………ええっ!? ちょ、ちょっと待って! 君が生きやすくするためにも聞いておいた方がいいよ? 一応ね! 新しき世界の法則ルールは、君がいた前の世界とはまったく違って――」

「だから、いらん! 私様は、別に生きていたいわけじゃないし――それとも、制限時間を過ぎないと、新しき世界とやらに行けないのか?」

「いや……そんなこともないけど――僕がその気になれば、すぐにでも新しき世界へ飛ばすことはできる」

「……でも、君みたいなタイプは初めてだよ。普通は、皆、制限時間まで情報を得ようとするのに……」

「私様は、ゲームのチュートリアルが嫌いなのだ……操作方法も、ゲームの進め方も、プレイしながら体で覚えたい派だしな。興味が持てない長話なんて、聞いていられない」


 私様の返答に、何者かはしばらく黙った。

 当然、新しき世界では、己の命がかかっているだろうから、ゲームと違って生き返り(やり直し)はできないのだろう。それくらいのことは理解している。


「本当に……いいんだね?」

「ああ」


 でも、死ねばそれまでの話だ。私様は己の選択に後悔などない。


「ハァ~~、じゃあ、わかった。君を新しき世界に飛ばそう。今すぐに」


 何者かは、説得に応じないとわかると、すぐに折れるようなトーンで言った。

 すると、私様の身体はだんだんと透明になり、白き世界から消えていった。それはつまり、新しき世界へと飛ばされるということだ。


「だけど――」


 今にも消えかけている私様に向かって、何者かがまだ話しかけようとする。


「なんだ、話はまだ続くのか?」

「だけど――君の〝魔力のスキルタイプ〟とその〝特徴〟、この二つだけは君の頭にインプットしておこう」

「一応、この白き世界では転生者にスキルタイプを教えることが法則ルールなんでね。悪いけど、無理矢理でも理解してもらうよ」


 ――キュィイイイイイイイイン


「な、なんだ!?」


 私様の頭にチップを埋め込まれたように、()()()()()()()()()()に襲われた。

 そして、その正体は情報だった。私様は無意識にその情報の内容を口にした。


「私……様の……スキルタイプは――」

「――それでは、行ってらっしゃい。この先は君の目で確かめてくれというやつだ」


 その言葉を最後に、私様の視界は、白き世界から死んだときに見た暗黒の世界へと変わっていった。


 ◇


「行ったか……」


 幻鏡が、白き世界から消え去った後、何者かが、一人で呟く。


「……まさか、驚いたよ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……これは史上初じゃないか?」


 何者かは、何かを悟ったのか、「フフ」と小さく笑った。

 そして、次に予言めいたことを告げた。


「インチキ教祖と幻鏡――彼らなら本当に出会うかもしれない」

「スキルタイプ・コネクト……新しき世界で、それに該当する者と出会うのは、本来、一生に一度あるかないかほどの確率だが……」

「なぜか、コネクト同士はいつの時代も出会ってきた。それは、運命の赤い糸のように、宿命の定めかのように……まさに『コネクト』という名前に由来するように」

「――もっとも、出会った先が、幸か不幸かは……それは彼らの選択次第だ」



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