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異世界に転生した俺はインチキ教祖としてハッピーライフを目指す  作者: 朝月夜
第4章社陸幻鏡という女

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2.「シン・マーヤ・ヒーラーズ協会」

「レウコスは倒した。門徒たちに掛けたファントム魔術も、もうすぐ解ける頃だろう」

「さあ、早く中に入って、ご家族のもとへ迎えに行ってあげて!」


 館を出た私様と久奈子は、ある者たちと合流する。


「えっ、本当ですか!?」


 それは、館に住む門徒の家族関係者たちだった。


「それはそれは……大変な戦いだったでしょう。お怪我はありませんか?」


 そして彼らのそばには、「シン・マーヤ・ヒーラーズ協会(略称:SMH)」という団体の姿もあった。

 名前の由来は、ここ、山岳地方の「シン・マーヤ」で発足したこと、そして構成員のほとんどが、精神関係の医学ならぬ、癒学に詳しいヒーラーたちの集まりであることにちなみ、そう名付けられている。

 主な活動としては、知識の(ナレッジズ・)ゲートのようなカルトによるマインドコントロールの被害を受けた信者たちを支援することにある。イメージとしては、「日本脱カルト協会」のようなNPO法人と思ってくれればいい。


「ありがとうございます! 本当にありがとうございます。なんとお礼を申し上げれば……」

「ああ……」


 人間族、ドワーフ族、獣人族……と門徒の家族関係者である方に握手をされ、お礼を言われるばかり……なんだか戸惑うな。


「いえいえ、それほどでも~~//」


 久奈子は照れながらも、悪い気はせずに握手に応じていた。


 いい雰囲気になっているところ悪いのだが、これだけは言っておかなければ。


「安堵するのはまだ早いぞ……いや、真に大変なのは、ここからだろう」


「SMHの者たちならわかるだろうが、カルト信者のマインドコントロールを解くのは一朝一夕ではない。それは、数日で解ける場合もあれば、一年、十年……いや、下手をすれば永遠に解けないことだって考えられるぞ。それでも貴様らは……向き合っていけるか? 覚悟はできているのか?」

「……ゴクン」


 私様の問いに、唾を飲み込む音が聞こえる。


「幻の言う通りかも……最悪、門徒たちがレウコスの後を追うような行動を取らないか心配――」

「そんなことはさせません!」


 久奈子が私様の意見に同意しようとしたところ、割って入る声があった。

 その声の主は、SMHの一員であるドワーフ族のリック・アランだった。


「門徒たちの心のケア、その後の社会復帰などは、我々SMHにお任せください!! そして、門徒の家族である彼らも、長く苦しい戦いになることは承知の上です。それでも――それでも向き合うと、彼らは答えたのです!!!」


「……そうだ。もう、一生会えないかもしれないと思っていたんだ。あの時は守れなかったが、今度こそ絶対に守ってみせる!」


「ええ! あの子に教えてあげなければ……館の外に出たって、大丈夫だって。まずは、あの子に向き合って、ちゃんと言葉を聞きたいの」


「ああ! その通りだ!!」


 リックの力強い宣言に、やがて家族の者たちも次々に同調していく。

 知識の(ナレッジズ・)ゲートは、表向きには種族を問わず、孤児や身寄りのない者を受け入れる居場所とされている……もちろん、孤児や本当に身寄りのない者もいたが、それでも館に住む多くの者たちは、本当は家族や帰るべき場所がありながらも、長い間、会えないままでいた。


 それはマインドコントロールが解けるのを防ぐために――

「館から出たら生きてはいけない」

「館の外に暮らす者たちの声に惑わされてはいけない」

 と、レウコスによって教え込まされていたからだ。


 ……皮肉なことに、「門徒」と呼ばれた彼らは、館の門の外へ徒歩あるくことすら許されていなかったのだ。


 しかし――それもようやく再会おわりだ。


 孤児や身寄りがない者も、SMHならなんとかしてくれるだろう。

 ――もう、私様と久奈子にできることはなさそうだな。


「そうか……なら、あとは任せる。行くぞ、久奈子!!」

「ええ!? い、行くってどこに……ちょ、待ってよ!」


 久奈子は私様の後を追い、門徒の家族たちとSMHのメンバーに向かって振り返った。


「皆さん、それではさよなら~~っ! 門徒たちをよろしく~~」


 今度こそ、門の外へ――門徒たちが自由に徒歩あるけることを願いながら、私様と久奈子は旅を続ける。



 もし、あなたがカルトに困っているなら、身近な人や信頼できる専門機関に相談してください。一人で抱え込まず、助けを求めることは決して恥ずかしいことではありません。

 早めの行動が、あなた自身や周囲の人を守る大切な一歩になります。

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