【総集編】第一章から第三章までのストーリーまとめ② ※ネタバレあり
創世記第1章真実教編・後編
「……はぁ……出家かぁ」
エルフ族が暮らす森――ナレーザで、一人のエルフの女性は深いため息をついていた。
彼女の名はジュダス・トルカ。
魔術訓練校での課程を修了し、数日前に故郷ナレーザへ帰郷したばかりだった。
しかし、帰郷した彼女を待っていたのは、変わり果てた故郷の姿だった。
ナレーザに暮らすエルフ族の八割が、真実教という新興宗教に入信していたのだ。
ジュダス自身も、自宅で信仰を続けるいわゆる在家教徒の一人だった。しかし、両親が出家してからは家族の関係が少しずつ不穏になり、やがて彼女の胸にも、真実教への疑念がモヤモヤと芽生え始めた――。
そんな折。
インチキ教祖「ジュダス、お前もお前の両親も騙されているぞ、その真実教に」
ジュダス「なッ!? なんですか! いきなり、騙されているなんて失礼な」
インチキ教祖「そんなことより、この俺の宗教――インチキに入信しないか?」
ジュダス「入信なんてするわけありません! そんなに真実教を疑うなら、我らの教祖ウンコウ・ガンダーラ様に会ってみればいいわ!」
こうして、ひょんなことから出会ったインチキ教祖とジュダスは、真実教の教祖ウンコウ・ガンダーラと対面することになる。
だが一方その頃――真実教内部では……。
真実教教祖ウンコウ(ジュダスが中々出家しないのう……しかし、余が直接「出家しろ」と命じることは表向き上できん……どうすれば……そうじゃ!)
ウンコウ「タマルよ、ジュダスには悪魔が取り憑いておるぞ!(もちろんでっち上げじゃが)」
ジュダスの母・タマル「悪魔が!?」
ウンコウ「左様。出家さえすれば悪魔は祓えるのになぁ~~。修行さえすればなぁ~~。……だが出家は本人の意思じゃからのぉ……(チラッ)」
タマル「……わかりました。必ずジュダスを出家させます。夫のカリオテとともに……」
【用語解説】
・宗教インチキ
主人公のインチキ教祖が立ち上げた宗教。
「インチキ」は、「イン」シュレイティド・「チ」ャリティ・「き」ょうの略称。
なお、通常の意味で使う「いんちき」は、区別のためひらがなで表記する。
主人公を指す「インチキ教祖」は、「イン」シュレイティド・「チ」ャリティ・「き」ょうの教祖の略。
どのような教えがあるのかは、今のところ不明。
・真実教
この世の真実を全て知り、真実を極めた男こと開祖ウンコウ・ガンダーラが立ち上げた宗教。
ナレーザを拠点とし、そこに住むエルフ族たちを次々と取り込んでいる。
教徒は「真実の道を極めるため、ウンコウの教えを絶対に疑ってはならない」とされている。
・一回目のインチキ教祖とウンコウの出会い
インチキ教祖「お前いんちきだろう?」
ウンコウ「なんじゃと――!? 余がいんちきじゃと?」
ジュダス「そんな……ウンコウ様がいんちきなんて」
ウンコウ「小童よ、これ以上おぬしに喋らせるわけにはいかない!」
ウンコウ「くらえ、余の魔術――涅槃寂静! おぬしはどこかに飛んでけ」
インチキ教祖「うわああああ!? やな感じー!!」
キラーン☆
ウンコウ(ふぅ……危なかった。真実教徒の皆にいんちき宗教だとバレるところだった)
ジュダス、ついにウンコウのマインドコントロールから解放される
ジュダス「私やパパとママ……いや、真実教徒全員、お前を信じていたのに……お前を許さない」
ウンコウ「フン! 騙される方が悪い。余に逆らうなら、小娘、おぬしを殺す」
ジュダスVSウンコウ 勃発!!
しかし、一瞬の隙を突かれ、ジュダスは敗北する……
ウンコウ「ここまでじゃ。おぬしにトドメを――」
インチキ「ジュダス!」
ジュダスが絶体絶命の瞬間、インチキ教祖が駆けつけた。
・二回目のインチキ教祖とウンコウの出会い
ジュダスはウンコウ打倒のため、スキルタイプ・コネクトであるインチキ教祖に膨大な魔力を渡す。
ジュダス「お願い……どうかウンコウを倒して」
インチキ教祖(ったく、信者が教祖のために体を張るべきなのに、教祖が信者のために体を張るなんて……まさに本末転倒じゃねえか)
インチキ教祖(だけど……なんでかな? それが悪い気がしないな。この娘のために頑張ることが……)
――インチキ教祖の内心は変わりつつあった。
自分の幸せのために信者を利用するのではなく、信者の幸せこそが自分の幸せにつながるのだと。
そのきっかけは、ジュダスとの出会いだった。
インチキ教祖「ウンコウ……俺の信者を傷つけた罪だ。教祖として、お前を倒す!」
インチキ教祖VSウンコウ 勃発!! そして、インチキ教祖はウンコウに勝利することに。
インチキ教祖の放った炎火系魔術が、ウンコウを容赦なく焼き尽くす。
死の間際、ウンコウの胸中に去来したものは──。
ウンコウ(そうか……余は死ぬのか……くそぉこのままタダで死にたくない……そうじゃ! この手があったわい)
ウンコウ「タマル、カリオテよ……余はここまでじゃ……真実……教をお、おぬしたちに託す……」
タマル・カリオテ「「ウンコウ様!!」」
こうしてウンコウを倒したインチキ教祖とジュダスだったが、不幸にもジュダスの両親は真実教に残り、ジュダスは真実教から去ることとなった……。
インチキ教祖「幸せになってくれ。何かにすがろうとせず、自分の意思で考え選択し、ジュダスにはジュダスの人生を切り開いてほしいんだ。だから俺の信者にならなくてもいい。渡した魔力だって、俺にかまわずジュダスの元に戻してもいい。元々ジュダスのものだしな」
ジュダス「……なら、自らの意思であなたの信者になる。そしてあなたがどんな教祖になるか見届けたい」
こうしてインチキ教祖に最初の信者ができた。
彼とジュダスはエルフの森ナレーザを後にし――二人の冒険、いや布教の旅は、今まさに始まったばかりである。
次回、第2章ザスジータウン編の総集編!
一話で纏められるのが理想ですが、果たしてどうなることやら。
7月から8月の期間、他作品
「ゾンビに襲われて逃げ込んだ家の夫婦がまさかのゾンビ!? ヤバ! でも奥さんが人間の意識を保ったままゾンビを操れる特殊能力持ちのようで……なら、嚙まれないように操ってもらえば、安心……だよね? 私たち?」
を執筆しました!
タイトル通り、ゾンビが登場するホラー作品ですが、興味があればぜひお読みください!!
涙あり、恋愛あり、バトルありのてんこ盛りです。




