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異世界に転生した俺はインチキ教祖としてハッピーライフを目指す  作者: 朝月夜
創世記第1章真実教編

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10.「ウンコウ様」

 今回のお話はntr描写あるため、苦手な方は注意。

 車輪状の中央に目を描いたシンボルマークが目立つ大きな施設が二つあった。


 一方は真実教男性教徒のみが暮らす(かん)()素朴(そぼく)な作りと思わせる施設。

 もう一方は、女性教徒と教祖ウンコウ・ガンダーラが暮らす(ごう)絢爛けんらんな作りと思わせる施設に分けられていた。


 真実教の戒律には、煩悩によって修行が妨げになるのを防ぐため、男女別々に住むことを徹底されていた。しかし、男性であるはずの教祖ウンコウが女性教徒と同じ屋根の下で暮らしている。

 他でもない教祖が戒律違反しているように見えるが、これについて異を唱える者などいるはずがなかった。


 そして、ウンコウの部屋で二人の男女がベッドで横になっていた。


「ハァハァ……ウンコウ様、本日も私に真実の禊を施して頂きありがとうございます。私の()()()()はいかがだったでしょうか?」


「フム……悪くなかったぞ。タマルよ。おぬしの奉仕のおかげで溜まっていたものは出せたが、余の魔力はまた一段と溜まったぞ♡」


「もうウンコウ様ったら♡」


「ハハハ。真実ジョークじゃよ。ところでタマルよ。娘の件はどうじゃ?」


「ジュダスですか!? 出家を勧めていますが、いまだに本人が乗り気ではなく、申し訳ございません。早めに出家させるようにあの子に言い付けておきます」


「タマルよ。無理矢理はいかんぞ。出家とはあくまで本人の申告制じゃ。世俗の生活を捨て、ここで真実への道を極めるにはそれ相応の覚悟がいる。お前とカリオテのようにな」


「ウンコウ様……」


 夫婦であろうと、出家したからには戒律を守ってもらうため、ジュダスの父カリオテ・トルカと母タマル・トルカも例外なく男女別々で過ごすことになっている。


 戒律だけではなく睡眠時間が一、二時間程度しか与えられない上、食事もほぼ一日一食のみ。それ以外の一日は真実への道を極めるために修行の時間に充てられる。


 そのようなハードスケジュールの中、二人が会話する機会などほとんどなく、最初の頃はともかく、カリオテもタマルも離れていた状態を()()()()()()()()()()()


「そう出家とは、教徒の意志で申告し、教祖である余が出家するに相応しいか見極める。それが出家における真実の在り方じゃ」


 タマルはウンコウのお話に頷きながら聞き入っていた。


 ウンコウはベッドから起き上がると裸のままカーテンまで向かい後ろに手を組みながら話を続ける。


「が、しかしタマルよ。ジュダスの件については厄介な事が起きておる」


「厄介な事?」


 タマルは驚き聞き返す。


「左様。ジュダスはどうやら悪魔に取りかれているみたいじゃ。これが厄介でな。早くこの悪魔を取り除かないと、ジュダスの身のみならず、周りに破滅を及ぼすのじゃ」


「詳しく話すと、ジュダスとお前とカリオテはまず死ぬ。そして家族のみならずジュダスと近しい者たちは悪魔の呪いによって死ぬんじゃ。無論、余も真実教徒たちも例外ではない。つまりこのままだと教団はまず滅びる」


 ウンコウが告げる衝撃の真実にしばらく言葉を失うタマル。


「そんな……あの子と会っていますが、特に異常などなく、いつものあの子に見えますのに……もしかして、()()()をジュダスだけが使えることが関係しているのでしょうか?」


 母親としてなのか、それとも真実教徒としてのプライドなのか、娘が悪魔に取り憑かれていると聞いて、気付けなかった自分を恥じるような態度を見せる。


「いや、あの術はこの件に関係ない。それに本人に取り憑かれている自覚はないのじゃ。これもまた悪魔の厄介なところでな、表面上の魔力や姿はいつものジュダスかもしれないが、呪いは確実にジュダスの身体をむしばんでいる。これは真実の目を持つ余だからこそ見破ることができた。タマル。今のお前の修行レベルでは、見破れるのも無理はない」


「ウンコウ様……」


 タマルを擁護するような意見を聞き、タマルは救われたような顔でウンコウを見つめる。


「ジュダスと皆が救われるには、出家し、真実カリキュラム(教義)を受け徹底的に修行するしか道はない。修行することによって悪魔は弱体化し、やがて自然に祓われるようになるのじゃ」


 ウンコウはジュダスが出家すべき理由を述べる。


「しかし、どんなに出家した方がいい理由があったとしても、それで教義に背いていい理由になるはずもない」


()()()()()()()()()()()()()()()()が、ジュダスにできることはなにもない。残念ながら、このまま滅びの道を受け入れるのもまた真実かもしれないのう……」


 ウンコウの言葉にハッとした顔で何かを思いついたような顔になるタマル。


「……ウンコウ様。真実教の教えの一つに、()()()()()()()()()()()()時にはその人が嫌がっていたとしても、その人のためになることをせよ。それが〝真実の愛〟だという教えがありますよね?」


 タマルの発言に一瞬フンとほくそ笑むウンコウ。ウンコウの顔はカーテンに向けられているため、その顔をタマルが見ることはない。


「左様。子供が勉強を嫌がっていたとしても、立派に育つために勉強させるように大切な人のために本人の意思を反してでも、正しいことをさせる。それが真実の愛じゃ。じゃが、今その教えがこの話にどう関係するというのじゃ?」


 ウンコウの問いかけにタマルは慎重に言葉を選ぶように話す。


「例えば、娘ジュダスは出家する覚悟ができていません。しかし、このまま本人の意思に任せたままだとジュダスは確実に呪い殺されます。これを防ぐため、本人の意思関係なく今すぐ出家してもらう。これは真実教の教えに背く行為でしょうか? 私如きでは判断がつかず……」


 タマルの発言に考え込むような態度を見せるウンコウ。


「確かに難しい話じゃ。まず大前提に生とし生けるもの皆真実教を学ぶべきじゃ。これは真実じゃ。なにせ真実教の教えに従えば、皆が幸福に暮らし、この世に争いはなくなるからじゃ」


 ウンコウの説法は続く。


「しかし、真実に向き合う気もないままに真実教に入信させるのはその者のためにならない。例え、無理矢理に入信させたとしても、途中で真実の道を放り投げる可能性があるからじゃ。真実教から脱会することは許されない。脱会してしまうと脱会した者。そして脱会した者と関わりがある者、例えば家族まで死んだとき、永遠の地獄の苦しみを味わうことになるからじゃ。これは余が許さないというわけではなく、この世の仕組みでどうすることもできん」


 真実教から脱会は許されない。この教えをあらためて説かれ、タマルは緊張する。


「出家も同じ理屈じゃ。脱会までいかなくても出家を放棄して、在家に戻るなど真実への道を遠ざけるようなもの。よろしいことのはずがない。確かに、大切な人のために時には強引にでも出家させることは教えに沿っていると言えよう。しかし、肝心の本人はその後逃げずに修行は続くかね? 在家に戻りたいなどと言わないだろうか? 途中で放り投げたらそれこそジュダスのためにならないぞ」


 ウンコウからの懸念に対して、タマルは顔つきを変えて答える。


「大丈夫です! ジュダスは必ずや出家を受け入れます! 私がそのように変えさせます! 修行から逃げようとした教徒を真実の愛のために教育室行きにさせるようにジュダスもそうすればいいのですから。それにあの子は根が強い子です! なので、最後には心を変えて修行に取り組むはずです!!」


 タマルは胸に手を当てて、覚悟を決めたようにウンコウにジュダスをここに連れてくることを宣言する。


「私が、家族を! 真実教を! そして……ウンコウ様あなたを守って見せます!! だからどうか……どうか……ジュダスを強引に出家させることをお許しください」


 娘を無理矢理出家させてくださいと涙ながら懇願するように土下座する母親。そんな態度にウンコウは慈悲のような表情を見せる。


「もうよい。顔をあげなさい。タマルよ。おぬしの覚悟は伝わった。そこまで言うなら余は止めない。ジュダスはお前に任せたぞ」


 ウンコウが励ますようにタマルの肩に手を置くと、満面の笑みで顔を上げるタマル。


「出家したら我らは家族同然。ジュダスも真実教の出家教徒として逃げられないように余も愛を与えようぞ。そうじゃ! タマルとジュダス一緒に真実の禊をしようぞ。ジュダスも禊を受けられる年齢になったことだしな」


「ジュダスも禊を?」


 真実の禊。それはウンコウが受けに値すると選ばれた女性教徒限定の特別な修行。

 教祖と特別な修行をすることで、体のけがれは取れ。その魂は磨かれ、真実の道に一気に近づくとか。教団内で女性教徒が男性教徒より地位が高い傾向があるのはこれに影響しているとか。タマルもその一人である。


 ちなみにこの真実の禊、この修行法を知っているのは、教祖ウンコウと修行を受けている女性教徒のみである。特別な修行ゆえ、その内容をウンコウの許可なく口外してはならず、口外すると今まで修行した分が無駄となり一気に魂が穢れるとか。


「左様。そういえば、ジュダスは異性とそういった経験がないのだったな? これは不幸中の幸いだ。穢れを知らないものが禊を受ければ、修行効率がさらに良くなる。ジュダスに取り憑いている悪魔も一気に弱体化するだろう」


「とはいえ、はじめての体験にジュダスも色々と戸惑うだろう。そこはタマル。お前が母親として、女性教徒の先輩としても色々と教えてやるのだ。ジュダスのためにおぬしと余でジュダスを救うのだ」


 母と娘同時に行為をするというおぞましい提案に母として、一人の女性として嫌悪感を超えた拒否反応なり怒りを見せるのが普通だろう。しかし、タマルは拒否反応でもなく、怒りでもなく、ウットリした顔になる。


「はい。ぜひお任せください。私が見本になれるようにジュダスに手ほどきをさせます。ウンコウ様と共にあの子を……」


 ウンコウはタマルの言葉を聞くと、タマルに口付けをし、やがて舌を絡め合う濃厚なものへとなっていった。



 遂に登場する。教祖ウンコウ・ガンダーラ!

 ジュダスを巡るインチキ教祖と教祖ウンコウの三角関係が勃発するのか!?

 君はどちらの恋を応援する!?

 11話は明日21時投稿します!


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もう色々すげえwwこれから毎日の楽しみが出来ました!
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