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【連載版】確かに幼馴染みをかわいいと褒め続けてきたのは俺だが、ここまで自己肯定感爆上がりするとは思ってなかったんだ  作者: りんご飴ツイン


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第十四話 中学校時代 その八

 

 夏祭り。

 それもわざわざ隣の県まで足を運んだのは雪菜が『やっぱり夏といったら花火だよねっ。極大で超絶でギラッギラなのがいいよっ!!』と言い出したからできるだけ祭りと一緒に派手な花火をやっているところを選んだのもあるが、一番は知り合いとばったり遭遇するのを防ぐためだ。


 何せこの頃の雪菜はすでに学校のアイドルだからな。幼馴染みとはいえ俺みたいな凡人と二人きりでいるところを見られたらロクなことにならない。


 雪菜が外聞を気にすることなくはしゃぐためにはこれくらいしないといけねえってわけだな。


『さあて、お祭りだよお祭りっ。どこぞのおばかさんのせいで夏休みだってのに家にこもってガリ勉三昧だったからね!! 今日は遊ぶぞおーっ!!』


『馬鹿で悪かっ、うおっと、いきなり手を引っ張るなっての!』


 淡い蒼の布地に雪をあしらった浴衣姿の雪菜はもう初っ端からテンションマックスで、人目も気にすることなく俺の手を掴んでお祭り会場めがけて駆け出した。


『大和っ! せっかくのお祭りなんだし、勝負しようよしょーうーぶーっ!!』


『勝負? こういうところって基本割高だからあんまり金かけたくねえんだが。確か雪菜は花火が見たいんだろ? だったら花火まで適当に見て回って時間潰せばよくないか?』


『という言い訳で天才雪菜ちゃんに負けるのが怖くて逃げるんだー? へいへいビビってるうー!!』


『あ? 誰がビビっているって!? 上等だこんちくしょうコテンパンにしてやるよコラァッ!!』


『……なんだかんだでお祭りの熱気にあてられてワクワクしているようで何よりだよ。普段だったら適当にあしらわれていたはずだしね』


『何だって!? 声を張って言ってくれないと周りがうるさくて聞こえねえぞ!』


『ぎったんでめったんでぶっちゅんと捻り潰してやるって言ったんだよーっだ!』


『よっしゃあギャン泣きしても許さねえぞ!!』


 こうして俺たちの夏祭りは始まったんだ。



 ーーー☆ーーー



『第一勝負は射的で決まり! 勝敗は、うーんっと、五発ぶっ放してゲットした景品の合計金額でどう?』


『生々しいな、おい。まあどれだけ途中経過で差がついてもデケェの一発で大逆転できるから最後まで楽しめそうだし、それでいいぞ』


『じゃあ、まずは私からっ。かわいい私は森羅万象に愛されているから一発で景品総崩れからの全ゲット間違いなし!!』


『……駄菓子一個とか反応に困るなあ』


『むっぐう!! ゲーム機狙いだったのにい!!』


『あれは撒き餌みてえなもんで絶対取れないようになっているだろ。まあゲーム機に跳ね返されて隣の駄菓子が落ちたのは不幸中の幸いだが、ぷっぷ。こんなの勝ち確じゃねえか!!』


『むぐぐ。勝負はまだわからないもんっ! さあどうぞ!!』


『はいはい。駄菓子一個以上でいいなら、適当にとれそうなのを撃ち抜くだけで俺の勝ちだってーの』


『で、見事に全弾外した男がこちらでーっす! ぷっぷうーっ! ねえねえ今どんな気持ちいー?』


『こ、この……ッ!! 次は絶対俺が勝ってやる!!!!』


『いや次とか何とか話を逸らさないでよ。勝ち確とイキってボロ負けした男のおー今のお気持ちをおー教えて欲しいんだけどおー???』


『……顔から火が出るかってくらいこっぱずかしいっつーの』


『わっはっはあ!! どんなもんよっ!!』



『次の勝負は型抜きだ』


『うんうんべっつに何でもいいよー。どうせかわいい私が勝っちゃうし☆』


『挑戦回数は三回。型の種類での難易度は店のほうでランクづけしてくれているから、三回でより難易度が高いヤツを成功させたほうが勝者ってことで』


『同じの二人とも成功させたら?』


『もう一つ上を挑戦して先に成功させたほうの勝ちってことで』


『まあいいけど。ふっふん。手先の器用さで私に勝負を挑むとは笑止千万っ。かわいい女の子は手先が器用だって古来から決まっているのよ! というわけでもちろん私は三回とも一番上の難易度に挑戦するから!! 初手にて必殺、ここで成功させれば最悪でも引き分けになるし! まあかわいい私は可憐に一発でクリア……ってえ、何でえ!? すみっこが削れているってそれ本当!? どうしてこれで失敗なのお!?』


『やらかすと思った。型抜きって成功したら難易度に応じて報酬がもらえるわけだが、ジャッジするのは店主だからな。店側が大損する最高難易度とかどれだけ綺麗に抜いたって難癖つけて失敗扱いにするんだ。というわけで一番簡単なのを成功させて俺の勝ちっと』


『ちょおっ!? そんな姑息な勝ち方で大和は満足なわけ!?』


『勝ちは勝ちだ。つーか姑息も何もお前が勝手に勝ち目のないもんに手を出して自滅したってだけだろ』


『ぐぬぬうーっ!!』


『なあ負け犬。無難にそこそこの難易度に挑戦して成功させていれば俺に勝てたかもしれないのに、無駄に最高難易度に手を出して自滅した今のお気持ちはどんな感じだ?』


『くーやーしーいーわよお!!』


『はっはっはあ!! ざまぁねえな!!』


『完膚なきまでに滅殺してやるう!!』


『いや怖いな、おい』



『焼きそば美味えな』


『ぷっぷぷうー☆ 大和ちゃあん。基本割高だからあんまり金をかけたくにゃーいんじゃーにゃかったっけにゃあー?』


『にゃんにゃんうるせえな! 予定外に身体動かして腹が減ったんだから仕方ねえだろ!!』


『そーゆーことにしといてあげるにゃーにやにやにゃんにゃん☆』


『つーかお前色々と買いすぎじゃねえか? そんな両手いっぱいに買い込んで金足りるのか?』


『ふっふん! 実はもうすっからかんなんだよねえこれが!!』


『つまり不戦勝で俺の勝ちってことか』


『やだやだそんなつまらない幕引きやだあ!! というわけでかわいい私に尽くすのは幸せだよね奢ってにゃんにゃん☆』


『金の切れ目が縁の切れ目という言葉もあってだな』


『まってまって奢りじゃなくて貸してくれるだけでいいから後でちゃんと返すから最終手段でお年玉貯金もあるし絶対に返すからお情けをちょうだいお願い大和様あ!!』


『ばっ、おまっ、こんなところで土下座しようとしてんじゃねえ!! わかったわかった、俺の財布に手ぇ突っ込んでいいからさっさと顔を上げやがれ!!』


『ふっ。流石はかわいい私。強情な大和もこれこの通りってね』


『よくもまあ土下座寸前でしてやったりなドヤ顔できるな』



『うーむ。なんか大和祭りについて詳しくない? 私と一緒で今日が初めてのはずなのに。ハッ!? まさか他の誰かと来たことあるとか!? かわいい私を置き去りにして!!』


『これくらいネットの知識でどうとでもなるだろうが!! くだらない勘違いで噛みついてくるな、ばかっ!!』


『……つまり下調べしてきたってこと?』


『ぐっ』


『ふっ、ふふっ、そうなんだ、はははっ。それくらい今日が楽しみだったんだね!』


『ああそうだよ悪いか!?』


『まーさかっ。そっか、うんうん、ご期待通り楽しかった?』


『期待以上だよ、クソッタレ!!』


『わあーっはっはあ!! それは何よりだよっ』

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