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壱の魔術  作者: 川犬
第1章
9/38

梅雨前線停滞中-8

更新完了!これからもよろしくお願いします!

 外は相変わらず、ヒートアイランド現象だったが、そんなの今の俺には関係ない。


 俺は、絶対に魔石を手に入れると、さっき決心したのだ。ここで、考えを曲げるわけにはいかない。


 もちろん、この世界アナザーワールドから、俺達の世界ヤングワールドに戻りたいとは、思っているのだが、俺用の魔石を手に入れてからでも遅くは無いだろう。


「ちょっと待って!あんた、魔石ってどこにあるか知ってるの?」


 俺に手を引っ張られ、マイは、(おそらく)このヒートアイランド現象の性で顔を紅潮させながらも、叫んだ。それは、当たり前なことで知ってい……ない。


 俺は、車が前方方面に人が現れて、あわてて、ブレーキを使って、急停止するように、立ち止まった。それについていけず、マイは俺の背中に頭をぶつけ、「ごばぁっ!」と小さな悲鳴を上げた。


 そして、マイは鼻の辺りを押さえて涙目になりながら、こっちのほうを見る。涙腺が弱いのか。


 周りの異世界人が不思議そうにこちらを見てくる。俺たちが高校の制服で目立っている上に、異世界人には理解できなさそうな、日本語を話しているので目立たないようにしようとも、自然と目立ってしまう。これは仕方が無いものなので、俺は、ホテルを出たところから諦めていた。


 俺はとりあえず、すまんと言って、魔石のありかを聞き出す。


「それで、魔石はどこにあるんだ?」


「…本当に変なことに使ったりしない?約束する?」


「ああ、約束する」


「それから、あっちの世界に行っても、誰にも言わないで魔力をむやみに使ったりしない?」


 うぐ。それは、俺は口は堅いほうだが、言ってしまいそうだ。


 だが、魔石が手に入るのなら、我慢するのは楽勝中の楽勝中の楽勝で、誰にも言わないと約束できる。


「ああ、約束する」


 マイは、少しためらいながらも、南東(俺の予想)を指差しながら、話してくれた。


「ここから、300キロ先に魔石発掘場があるわ」


「さ、300キロも先にあるのか!?それじゃあ、いったい何日かかるんだよ。俺はこの街の外の砂漠と一体化してしまうぞ」


 俺が驚き戸惑うと、マイは俺に両手で待てよこっちの話を聞けとの合図をして、


「アーアー…少しは黙りなさい。分かってるわよ。私が瞬間移動テレポートをすればいい話じゃな……」


 マイは突然黙り込み、一時的にいつも通りの肌色に戻っていた頬を赤く染め出した。


 今度は、耳まで赤く染めていやがる。あいかわらず、何を考えているのだろうか。



 ハッ!まさか!!



「やっぱり…歩こうかしら」


 俺はマイの考えていることを自己解釈してみた。


 まさか、今日魔石発掘場では、|いちはち禁(18)的なことをしているやつらがわんさかいて……。そうかそうか、すまなかった。


「分かった。明日にしよう。今日は危険だからな」


「き、危険?きょ、今日は?あんたは、何を考えているの」


「ん?そりゃあもちろん、今日、魔石発掘場に行くと、俺たちまでもがピンク色に染められてしまうから、明日にしようとお前は考えていると思っていたんだが」


「だまれっ!この妄想男!!変態!!」


 マイの口から、黙れというワードが出てきたのに俺は、軽く驚き、よーくもう一度思考してみた。


 よくよく考えてみれば、俺たちが行くのは、魔石発掘場だ。断じて、×××××現場などではない。…ああ!俺は一体何を考えてしまっていたんだー!!??


 ……またまたまた、取り乱してしまった。もう恒例だから、謝らないぞ。逆に、受け入れてやる。


 とりあえず、俺はぷいっと俺の反対方向を向いて話を聞こうとする気配どころか、どこかに瞬間移動テレポートしそうな勢いだったので、スピーディーに謝った。


 もうこいつにはよく謝っていて、もう謝るのにも慣れてきた。


 それに、扱い方も分かってきている。ただいま89,00768パーセント解析完了。細かいって?当たり前じゃないか。俺はA型だ。面倒くさがりやだし、そういう意味不明なところで細かくなるな、この新種のゆとりめが、といわれたらそこで終わってしまうので出来れば言わないでもらいたい。


 そんなことより、マイは仕方がなさそうな態度でこちらを振り返り、それでも、顔全体が真っ赤だった。


 それに、目をそらしている。…原因は俺にあるのか?…いや、俺はそこまでこいつに好かれるようなことをした覚えは無い。


「ちょっと、…えと…ついてきて…」


 魔女に近しそうで遠い存在であるマイはさっきとは一変して、なんだか控えめなご様子であった。


「どうした?やっぱり、いけない理由があるのか?」


「な、ない!……わよ…」


「まあどうでもいいんだが。それじゃあ、俺はお前についてきてといわれて、どこについてけばいいんだ?」


 マイは、下を向きながら、無言でふらふらと歩みだした。


 俺も、なんとなく空気を読んで、無言で後を追った。無言で、というのは、何か話してもいつも通りのように、会話出来なさそうだ、と判断したからだ。


 そう判断していなければ、べらべらとまだ喋っていたことだろう。



@@@@@



 しばらく、俺とマイは黙って歩いて、建物と建物の間の隙間に着いた。14分かかった。


 建物と建物の間の隙間はどこにでもあるのだが、マイは、なぜか遠くのほうにある建物と建物の間の隙間へ向かった。


 そんなことには、俺は疑問に思っても仕方が無いので、思わないのだが、それにしても、この隙間は、人気がまったくない場所だ。ここで叫んでも低確率でしか、人間はやってこないだろう。


 防音対策かこのやろーと言われても、それまた違う。声が、いや、音が響かないのだ。やっぱり防音対策してんじゃねーか、などというお方はとりあえず、地球の終わりを見に行ってください。


 こんなところで、別に瞬間移動テレポートを使わなくてもいいと俺は思う。


 普通に、街中でも瞬間移動テレポートは出来たであろうに、一体どういう考えを持って、ここまでわざわざ来る必要があったんだろうか。意味なんて無い、ただ○○なだけさ、などといわれたら、たぶん俺は、バオウ・ザケ○ガを放つだろう。ネタが古い?何のことだ。


 考えても仕方が無いので、軽く放心状態になりかけているマイに、

「いつになったら、瞬間移動テレポート使うんだ?」


「…目を閉じて。絶対に何があっても、…黙ってて」


「?あ、あぁ…分かった」


 顔が熟したリンゴの様に真っ赤なマイは、相変わらず、目をそらしている。


 何度も言うが、なぜ目をそらす。俺はちゃんと服を着ているぞ。それともあれか。突然何の前触れも無く、透視できるようになってしまったのか。もしそれが本当だったら、すごいなそりゃ。


 俺は、目を閉じた。


 そして、マイが覚悟したようなオーラを目を閉じている俺にも分かるほど、発してきて、それを感知した2秒後。マイが俺との距離を遠くから、0センチメートルまで縮めた感触が伝わってきた。


 ……つまり、またまた抱きついて気やがったという訳だ。それ以外にこの感触をどう解釈できるか!!


ここの空間プレイスよ私達の存在を別空間へ移動ムーヴメントしなさい」


 なるほどそういうことか。つまり、あの時と同じように…と俺が思考するころには、マイは俺を突き放すようにして、離れていた。


「…はふぅ…目を開けなさい」


 マイがいつもの口調で、命令してきたので、俺はなぜか安堵して、目を開けた。


 そこは、洞窟の中だった。光源がひとつも無い暗闇の世界だった。


次回、新たな登場人物が!?

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