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壱の魔術  作者: 川犬
第1章
8/38

梅雨前線停滞中-7

まさかの展開ですよ

@@@@@change


 時は遡る。


 私、湯川シンは、親友である加納ハジメを待っていた。西車がハンマー投げをして、1年4組の中に投げられたサブバッグをハジメは取って来ると言い残し、去って行ってしまった。


 私が拘束しておいている西車は、私が拘束をやめた途端、「明日こそ加納の弟子になってやるっっ!!」と張り切りながら、軽い足取りで帰って行った。


 そこで、校門に一人残された私は、何もすることがなく、困っていたので仕方がなく、1年4組へ向かうことにした。途中でハジメにあって、一緒に帰ろうとするためだ。


 1年4組は2年生の層につながる階段の付近にあるので2階から降りてきてハジメを驚かせましょうか。うん、それがいいですね。GOODを超えてGREATです。


 私は思いついたらすぐ実行派なので、早速、校舎の外階段を使って、2階まで上がり、校舎の中に入った。


 それから、2階から1階に下りることのできる校舎内の階段を見つけて、降りました。ハジメの仰天する顔が目に見えるようで、楽しみです。


 降りる時も、私は音をたてないように慎重に降りた。


 そして、1年4組は、階段の角の向こう側に存在するので、ゆっくりと私は、顔だけを出した。見てみると、ハジメが1年4組の前で止まって耳を1年4組へ傾けている。


 1年4組の中も、女性の声で騒がしい。一体何でしょうか、と私は疑問に思ったが、すぐにやめた。こんなことを疑問に思っても仕方がありませんからね。


 とりあえず、さらに音を立てないように私は厳重に注意をしながら、ハジメや1年4組の中の女性達の声に耳を立てた。


「…だからなの。分からない?だからこそ、この世界を変えなくてはいけないってことぐらい分からないの?」


 知らない女性の声ですね。それに、世界を変える?つまり、総理大臣になりたいと、ふふふ。面白いですね。


「あら?反論できないんですね。それじゃあ私は」


「待ちなさい」


 この声は誰か知っています。確か、転校してきた朝垣マイさんですね。


「今度は何?」


「ここで私はあなたを捕まえる。もし捕まえられなくたとしても、上からその場合はあなたを殺してもいいって許可を得ているんだから!」


「あなたに私が殺せるのですか?面白いこと言うんですね」


 …これはなんだか危険な香りがしますね。どうやら、総理大臣になるのではなさそうです。


 ハジメはさっきまでは、私と同じように耳を立てて、1年4組の中の女性の争う声を聞いていたのだが、こいつらを止める!!とでも思ったのだろうか、バッと1年4組の中に勇敢に入って行った。


 そして怒鳴りつけるような大声で、


「おい!何があったかは知らんがお前ら何やってんだ!」


 そこで私は、息を殺しながら、ハジメがさっきいた場所まで移動して、しゃがみこんだ。そこから丁度、1年4組の中が見えたので、観察することにする。


 しばらく経って、マイの震えている声が聞こえた。


「あんた…どうして…」


 その声は、なんだか悲しそうだった。


「…ふふふ。ねえ、この子を魔術で苦しめたらあなたは、どういう反応をするか…教えてよ」


「うお!?な、なんなんだ!」


 それから、机が倒されるような音が聞こえ、マイがハジメに抱きついた。うわ……ものすごく大胆な行為をとりましたね。


異次元の世界アナザーワールドよ扉を開け私達を連れてトラヴェリングいきなさい!!」


 マイが魔術・・を唱えた次の瞬間、マイとハジメが光に包まれ、消えた。


 私はすべてを理解した。何もかもすべてが。これはいったい何なのか。それから、なぜ、ハジメとマイが消えたのか。


 その後、見知らぬ仮面女は、仮面を取り、消し、杖のようなものロッドを消し、蛙型の可愛らしい携帯電話を取り出して、誰かと通話し始めた。


「―――様、残念ですが逃げられました。…はい。朝垣マイに。それと、少年が、いえ、加納ハジメという者も…え?全部見てた?それなら話は早いですね。…これからどうしましょうか。…はいわかりました。私もあちらの世界に行ってまいります。…はい。さようなら。―――様」


 私の顔には、さっきのふざけた様な笑みはまったく無かった。


「……ふふふ。今行くからね。私を楽しませてね。異次元の世界アナザーワールドよ扉を開け私を連れてトラヴェリングいきなさい」


 これで確信した。……なるほどそういうことだったんですね。つまり、彼女は逃亡者ディサーター、ですか。……さてどうしましょう。私はもうすでに、逃亡者ディサーターの顔もその人が誰かも知っちゃっています。そのまま逃亡者ディサーターを捕まえてもいいのですが、…ふふふ。ここは、横取りしないで、ハジメとマイさんに任せておくとしましょうか。


 それで、私はその光景を見守る。どうやら、今回は・・・私、神判隊ジャッジメントポリスの出番は無さそうですね。まあ、それがベストなんですが。


 私は、今までで一番困り果てたような苦笑をした。



@@@@@change



「これはうまいな」


 俺、加納ハジメは、マイと、「BONOBO」で食事をとっていた。正直言って、めちゃくちゃ腹が減っているので、何を食べてもおいしく感じる。俺の舌が故障したようだ。


 すでに食べ終えているマイは、俺ががっぽがっぽ食べているのを見て、頬突きをしながら、「あんたって、そこまで食い意地悪かったっけ…」


などと軽く絶望していらっしゃる。別にそんなことで絶望されたっていいさ。食べ物さえあればな。ああ、うまい。


 最初この店に入ってきた時は、客がまったく(1人も)入っていなくて、正直引き返そうかと思ったが、マイが面倒くさいからここでいいと反論してきたので、仕方が無く料理を適当に注文して、一口食べてみたものの、あまりのおいしさにこのとおり食が進みまくっているのだ。


 俺が見たことも無いような料理を食していると、ここの料理長らしき人物が来て、マイに向かってなにやら話し出した。


「○#$¢ё?¢☆И¥!」


「いえ。もう結構です。こんなやつなんかにこれ以上料理を作る必要なんてないわ」


 料理長らしき人物は、わけの分からん異世界語を話しているのに、マイは日本語でそれに対応している。


 …日本語通じるのか?もし通じるのだとしても、それなら俺にもわかるように料理長モドキも日本語で話せばいいのに、と俺は不思議がる。それになんだか、料理長モドキが何をマイに向かって言っていたか、マイの話で分かったんだが。


「おい、さっきたぶんお前は、料理長モドキからもう少し食べるかと聞かれ、断っただろう。俺はまだ満腹になってないぞ。もう少し注文を追」


「バカじゃないのあんた。そんな満腹になるまで料理を食べ続けたら、ここの食べ物にまだ慣れていない胃が破裂しちゃうわよ」


「はれ、つ……?それはマジなのか」


 さらっと恐ろしいことを言うな、マイは。マイ……恐ろしい子っ!……すまない、どうやら、また心の中でおかしな発言をしていたようだ。もうしませんといっていたのにな。俺の学習能力はどうなってんだか。


 マイは、ぶっと吹き出しながら笑顔で、

「あはは!何真剣な顔して信じちゃってんの?そんなわけ無いじゃない!そりゃまあ、腹を下すことはあるかもしれないけれど。あんた本当に面白い!」


「なんだその程度か。まあそんなことより、ここの世界アナザーワールドの奴等って日本語通じるのか?さっきお前と料理長らしき人物が会話していて思ったんだが」


 それをマイは聞くや否や、再び爆笑した。いやあ、ムカつく……ムカつく……ムカつく……。このお嬢様を呪いたい。誰か、わら人形を持っていないか?俺の怨念のこもった釘で打ってみたくなったぞ。


「そういえばそうよね!あんたからみりゃあそう聞こえるものね!…ここの世界アナザーワールドの人たちは日本語は通じ無いわよ」


「それじゃあさっきは」


「それは、魔力で言語を変換させながら会話していたからよ。これも基礎魔術のひとつよ」


 うおーーー!!何だそのむちゃくちゃ設定!そこまで、魔力で補えるのか!便利だなそれ!!


 よし。俺は覚悟を決め、マイをまっすぐ一直線に見た。


「マイよ。俺の魔石マジックストーンを手に入れにいこうか」


「え?ちょちょちょちょっと!いきなり手を引っ張らないでよ!わわわっ!」


 俺は顔を赤らめているマイの左手をぎゅっと握り締め引っ張り、「BONOBO」から外へ飛び出した。



諸事情で明日とあさってはおそらくうpできる可能性がものすごく低いです。ですが、なんとか暇な時間を作って1話ぐらいはがんばってうpしたいと思いますので、応援(感想)よろしくーーっ!

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