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壱の魔術  作者: 川犬
第3章
32/38

7月7日 曇り後――、-1

なんかずいぶんと待たせてしまってすみません…


夏休みに入ったから、自由時間大量ヒャッホイ! かとおもってたら、真逆でした…


部活とか夏季講習とか祭りとか花火とか……


でもまあなるべく、更新したいと思いますです


 7月5日午後1時21分16秒。俺は、あるものを見て口を閉じることができない状態に陥ってしまっていた。あるものとは……、パンダ。ではなく、パンダがこよなく愛する笹だ。ただ単に笹を見る分には俺は平気だ。ただ、その笹が設置されている場所がおかしいのだ。


「はあ……」


 確かに明日は、7月7日。七夕だ。七夕ってなあに? ってやつは、ウィキペディアで確認するといいだろう。ずらーーーーっと目が痛くなるぐらい詳しく掲載されているぞ、よろこべ。


 ついこの前まで、あんなことやこんなことがあったのに、またこんな厄介物を持ち込んできやがって……。


 俺は、指を顔に当てて、顔をしかめた。


 立派な笹が俺の部屋に設置されてある。


「おい、マイ。これをやったのはおまえか?」


 俺は、部屋のスペースの半分以上を占めるベッドの上でにっこりと可愛らしく微笑んでいらっしゃるマイ殿へ目をやる。


 中学生と間違えられそうなマイは笑顔のまま、

「そうよ! いいでしょ。明日、七夕だし!」


「あのなあ……、いつ、だれが、ここに、笹を置いていいと言った!」


 肩まで伸ばしている茶色い髪をわずかに揺らしながらマイは、表情をがらりと変えて、

「何? だめなの?」


「当たり前だ。後片付けが大変だろう」


「えー、別にいいじゃない」


「よくない」


「よくなくない!」


「よくなくなくない」


「よくなくなくなくない!」


「よくな――、」


 俺が永遠に続くと思われる言い合いを継続させようとしたが、これまたなぜかベッドの上にいるコノハがばつの悪そうな顔で、叫ぶ。


「け、喧嘩はだめです! 私が悪いんです! 笹を持ち込むこととなった状況を作ったのは、わたしなのです! 叱るなら、私を……」


「よし許す」


「ありがとうございます」


「なんでよ!?」


 その天使のような声を聞いてしまったら最後、何でもかんでも(とはいっても常識の範囲内だが)、許してしまうという病気にかかってしまうんだ……。許してくれ、マイ。


 俺は深呼吸を一度してから、部屋の中にやさいたくさん! おにくたくさん! なレジ袋を持った状態で、入った。そして、いったん、レジ袋をベッドの上に置き、笹を見ながら腕を組む。


「それにしても……だな。どこからこれを取ってきたんだ?」


 俺の予想その壱。涼宮ハ●ヒのようにかっさらってきた。……いや、これはあり得ないだろう。もし、俺の予想その壱とおりだったら、著作権に引っかかるかもしれないぞ。そこらへんは、マイも熟知しているはずだ。


 マイは、満面の笑みでこう答えた。


「かっさらってきた!」


 …………はあ。予想その壱でおわっちまった。俺、泣きたくなってきたぜ。もうこの小説は終わりだ。みんな今までありがとうな。さようなら! というはずがなく、まあそれでも悲しいのは確かである。


 どうしてこうなった。だとか、そういう声が読者さんから聞こえてきたがあえてほっとこう。そうしたほうがなんか都合がいい。


 コノハは、マイが満面の笑みでかっさらったと答えたのを見て、あちゃー、と頭を一瞬抱えた。が、すぐに戻り、俺のほうへ、天使のようなこれから弁解でもするかのようなうるうる目で見てくる。


「ハジメ君……。私が悪いのです。私が、『そういえば、もうすぐ7月7日ですねー』って言ってしまったせいなんです。許し―――」


「許す」


「ありがとうございます」


 マイが、ベッドから転げ落ちそうになった。


「だから、なんでよ!? どうなってんの!?!」


「なんだ。許してほしくないのか? なら、許さないでほしいのか」


「い、いや、だからそんなんじゃなくて……その……えと……」


 マイは、顔をほんのりと赤らめ黙り込んでしまった。


 そんなんじゃなくていったい何なのだろうか。全くわからない。だから気にしないでおこう。


 俺は、はあ、と小さなため息をついた後、何気なく笹に視線を移すと、2つの紙のようなものが吊してあることに気がついた。あれしかないだろう。あれしか。


 俺は笹を指差して、

「なんて書いたんだ?」


 と聞きつつも、『あれ』に手を伸ばそうとして、


 バッシィィィィィンッッ!! とコノハとマイに手をはじかれた。


「見るんじゃないわよ!」「そうです! 絶対に見ないでください!」


「……」


 何なのだろうか。このお二人さんの息の合ったダブルパンチは……。だが、こうも俺に見せたくないとなると、よほど俺が見たらまずいことが書かれているのか。たとえば、『ハジメが早く病死しますように……ヒヒヒ』だとか、『ハジメが早く事故死しますように……フフフ』だとか……。


 ……予想すればするほど、俺自身悲しくなってきた。モウヤメヨウ。


 俺がしょんぼりしたのを見たのかどうかは知らんが、ツインテールの髪を揺らしながら、コノハが弁解を始めた。


「ちがうんです! 別にハジメ君が悪いんじゃないんです。だから、そんなに悲しそうな目をしないでください」


「なら―――」


 バッチィィィィィィィンッッ!!


 俺が再び手を伸ばそうとした瞬間、コノハにビンタされました。


 一瞬状況がわからなくなった。い、今のは……!? ……すまない。記憶がぶっ飛んだようだ。なにがあったんだ? ははは、何があったんだまったく。俺は何も覚えてないぞ。覚えてないからなー。絶対に覚えてないからなー。……ックゥ。


 俺の頬にきれいな赤いもみじが形成されたところで、コノハが上目づかいでこちらをみてきて、

「ご、ごめんなさい! わたっ、私こんなことをするつもりじゃ……、違うんです! 今のは忘れてください」


 どうやら、コノハ氏は今のはなかったことにしようぜ! と言いたいようだ。


 コノハは、しばらくわたわたと慌てていて、しばらくするとなんと泣き出した。マイ(大蛇)は、エモノをギロリとにらみながら、コノハを慰めている。俺は動けない。


 ……俺が悪いのだろうか。いや、きっと俺が悪いのだろう。そういうことにしておかなければ、この話は終わらない。


「分かった。俺が悪かった。あれはもう見ないでおく」


「はじめっからそうしておけばよかったのよ。まったく」


「……はいはい」


 俺は、はあ……、と大きなため息を吐き出しながら、とりあえず、狭いキッチンに移動しレジ袋から食材の数々を取り出していく。冷凍食品という邪道なものではない。れっきとした畑から大事に大事に育てられた野菜や、養豚場やらなんやらで育てられてきた豚肉などなどだ。勘違いするなよ。


 とりあえず俺が願うのはこれだ。


 『これ以上、俺を巻き込むような大事件が起こりませんように……』


 正直、疲れる。それに怪我もするし、学校に行った時に、西車やらシンやらポテトやらに問い詰められるのがつらい。全く、いいことなしだぜ。



@@@@@change



 『ゼロ』の拠点跡地。青年は外に出て、悲しそうな表情のまま空を見上げていた。


「僕は死んでない……」


 青年自身わけがわからないようでいた。


「だって僕は……僕は……姉さんに殺されたんだよ? なのにどうして生きてるんだ?」


 青年は何かを思い出したようで、首につるしてある魔石を手に取る。


「まさか……」


 魔石を握る力をより一層高めた。


「まさか、この魔石の力? ……そうか。この星嵐石スターハリケーンの力が――、」


 再び空を眺め、


「人を生き返らせるというものだったんだ」



@@@@@change



 それは、まだ始まりに過ぎない。始まりにしか過ぎなかった。7月7日に起こる惨劇のハジマリ。誰が悪いでも。俺自身が悪いわけでもない。信じたかった。そう信じたかったんだが。


 なにはともあれ俺視点のプロローグはこれで終わりだ。とりあえず、7月7日の夜の地点で俺が祈ることはこれだけ。



 『みんなを返してくれ』

 

 頼むからマジで。

さあさあ次回はギャグ回!



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