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壱の魔術  作者: 川犬
第1章
3/38

梅雨前線停滞中-2

どんどんいきますよー

あ、あとタイトルをびみょ―に変えました。こっちのほうがしっくりくるので。

 廊下のほうへ行くとそれをスネ○クのごとく息をひそめて待っていたのかどうかは知らないが、何者かが俺の首を腕で軽く締めると、ぶっとい声でこう言ってきた。


「言え」


 す、す、ス○ークだああああ!!と絶叫するわけでもなく、俺はいたって冷静だった。

 

 もうこんなことは何度もやられているので誰がこんな性もないことをしているのかは分かっている。それにこのぶっとい声にも聞きおぼえがある。この声を1度でも聞いてしまえば、一生忘れることはないだろう。少なくとも俺はもう認知症になったりしなければ、末期のがんのように忘れることは手遅れだ。


 俺は、とりあえず肘打ちをそいつにして、


「何の用だよ」


 と(なか)ば呆れたような声で聞いた。そいつ―――西車大太(にしぐるまたいだ)は、大げさにぐほおっと声を上げ、その隣にいる男子が、西車の堅そうな石頭を「おまえはスネー○か!」とツッコみながらひっぱだいた。


 ツッコんだ男子はこちらを向いた。


「やあ、加納君」


 その男子の特徴といえば一つしかない。


「おい!ポテト!!俺のことをたたきやがって―」


「お前がメタル○アネタ使って加納君を首絞めたからだ!」


 ポテト。そいつはそう皆から呼ばれている。その理由は、顔がジャガイモのように丸くて、誰がどう見てもジャガイモだろと言われればああそうだと返答することしかできないくらいに、シンクロ率が高い。というより、前世がジャガイモだったんじゃないかと俺は思う。……思ってしまう。


 西車は、さっきから連続で攻撃を受けて、絶叫して……いなかったがポテトの攻撃には少し痛そうにしていた。だがしかし、すぐに立ち直った。回復力が高い奴だ。自然治癒能力のおかげで、ポーショ○がなくても薬草がなくてもケ○ルという魔法が使えなくとも、すぐに立ち直ってしまう、恐ろしいボスではないだろうかと疑ってしまうね。ボスはボスでも、小ボスだが。


 西車は俺の存在を忘れ、「メタルギ○はサイコーにおもしれー噛みげーだ!」とゲームの宣伝をした……のか?まあともかく、


「漢字間違っているよ!噛みじゃなくて神だろ!読者さんに失礼だよ」


「? 何を言っているんだ。おまいは」


 と、こんな感じで漫才をしだす始末だ。この二人は何かある度に西車がボケ、ポテトがツッコむ。稀にものすごく面白い漫才をするのだが、大抵は、一般人には理解できなかったりして、微妙な漫才というよりもうコントをする。


 ポテトまでが俺の存在を忘れてしまっているので俺がうんざりと声を出す。


「……おーい」


 西車は今度はポテトをほったらかして、こっちに向き直った。どうやら、1度に二人の人間を相手するのはこの子にはできないようであります。


「ああ!!すまなかった。俺は、おまいにどーしてもききてーことがあったんだ!」


 いちいちテンション高く話すな。廊下にそのぶっとい声が響きわたって皆に迷惑だろう。



「何だ」


「ズバリィ!!どうやったら、おまいみたいにさっきみたいにあんな可愛い女の子と、しかも転校仕立ての奴と仲良くできるんだぁっ!!」


 ……いや、知らねーよ。ということより、


「……ちょっと待て。俺は、あんな奴となんか仲良くしていないぞ」


「ほーら―、あんな奴って言えるぐらいの仲になってーるーー!!」


 俺は予想外の返答に少々動揺して、沈黙を数秒間持続させてしまった。しまった!!俺の不覚!!しかし、弁解の処置あり。


「い、いや、だから違う!! どんなことが起こったとしても俺はあいつと仲良くするなんて、考えられない!!」


「そうやって向きになるところもなー」


「なっ」


 そこで俺は完全に沈黙した。ノックダウン。返せる言葉ナシ。もし、これがボクシングなら、さっきの西車の発言(アッパー)が決め手となっているはずだ。


 そんな俺のほうが圧倒的に西車より劣勢だという中、俺と西車の間にポテトが割り込んでくる。


「西車!加納君が返答に困っているだろ!」


 おお、やさしいなー、という感じで俺は感銘に浸っているとポテトは、


「本当は加納君はあの転校生さんと付き合いたいんだよ!だから、俺らがそんなことに首を突っ込んじゃだめだ!ちゃんと見守ってやらないと」


 ……。

 

 いや、|ジャガイモ顔のこの野郎サイテーポテトも何か勘違いをしているようだ。見守られんでもいいし、別にあんなやつと付き合いたいという気も沸き起こるわけがねええんだよこのやろおうううがあああ……すまない。あまりに勘違いされているので、ついキャラを変えてしまった。


 西車はにんまりと笑いながら、なるほどそうかといい、んじゃ幸せに~とも言ってきて、勝手に去って言ってしまった。ポテトも西車の後からついて行った。そんなものすごぉーく勘違いしているやつらをもう面倒くさいので、ほったらかしつつ、俺は、次の授業が始まりそうだったので、自分の席に戻った。


@@@@@


 俺の席の後ろには、マイが相変わらず不機嫌そうに座っていたが、俺が来た途端に溜息を吐いてきやがった。そんなことに何度も毎回のように声をかけるのも疲れるので、今回は何も言わないまま、自分の席に座った。


 すると、後ろから「む……」と声が聞こえてくる。話しかけてほしかったのだろうか。だが、マイさんよ。もう後ろを振り向くことはできないぜい?何せ授業開始、3秒前だからな。3秒で話し合えることとは何か。こっちが聞きたい。誰か知っている者、名乗り出てきて教えてくれ。名乗り出てきた者には、豪華プレゼントが、ある訳がーーーーーー無い。


 キーンコーンカーンコーン…


 ああ、鳴った鳴った。残念だったな。マイさんよ。と、思考していると不意に肩をグラグラと揺さぶられた。あまりに突然だったので、俺は持っていたシャープペンシルを床に落としてしまい、そのシャープペンシルが遠く彼方へ俺から逃げるように転がっていってしまった。俺のシャーペン、待ってくれ。


 それで仕方なく、後ろへ振り向いたところ、マイが不機嫌そうな顔でこちらを大蛇オロチの目で睨んでいる。意外と迫力は無かったが、とりあえずこれ以上不機嫌になってしまっても、面倒になるだけなので、少しだけ驚く。フリをする。


「な、なんだ?」


「教科書貸して」


「はあ?なぜ俺なんだ。あ、そうかお前はまだ友達が―――」


「あ、貸してくれるのね。じゃあ早く」


 俺の言葉を最後まで聞かずにマイは、俺から教科書を奪ってこようとする。俺はそれを必死に阻止しながら、シャープペンシルが隣の人が拾ってくれたようで、俺に向かって手渡してくる。俺もそれに応じようとするが、マイに阻害されてしまい、受け取れなかった。


「分かった。分かったから、とりあえず机を俺の横に移動しろ」


 そこで、おもちゃの電動型ロボットが電池切れで動かなくなるようにぴたっとマイの動きが止まった。そのうちに、俺はシャープペンシルを隣のいかにも優しそうな、マイとは大違いな女の子から受け取った。一安心だな。


 というわけにもいかなかった。マイは僅かに顔を赤らめながら、


「な、な、な、なんでそうなんのよ!?」


「何でそうなんのって言われてもだな。そりゃあ、この教科書はひとつしかないんだから、仕方が無いじゃないか」


「そ、そんなの関係ない!と、とにかく私に貸しなさいっ」


「……あのなあ。俺だって教科書を使うんだからそんなことするわけ無いだろ。俺の隣に机をただ移動すればいいだけの話じゃないか」


「いやよ!め、面倒くさい」「はあ?」「だから、机を動かすのが面倒くさいのよ!」


 授業中にもかかわらず、俺とマイは口論を続けている。俺の前の席にいるシンは苦笑しながら俺たちのことを見守っていた。いや、シンだけではない。周り(このクラス教師含めて全員)が、俺とマイのことを見守っている。


 このクラスの英語担当の吉空功矢よしぞらこうやまでもが青春だなあと、小さな声でつぶやいている始末だ。


 そんなことには俺たちは目にも耳にも鼻にも口にもくれず、口論を続ける。


「机を動かすのが面倒なのか!?なら、俺がお前のところに―――」


「こ、来ないでっ!」


 ……えー。と困惑するしかない。


「それじゃあどうすればいいんだ?」


「ぐ…………」


 マイはそのまま俯きながら黙り込んでしまった。こいつは、黙り込んでいる様子を絵にすれば結構良いんだが、マイは常に活動しているのでそういう訳にもいかない。


 そこへ、隣からさっきのやさしそうな女子が声をかけてきた。俺たちとはまったく無関係の人間が話しかけてくるなんぞ予想外だ。


「あ、あのぉ、朝垣さん。私が席を交換してあげてもいいですよ?」


 おおーー。やはりというべきか、予想通りというべきか、なんというか、その女子は行動もやさしかった。恩にするぜ。


「いいのか?」


 その女子はにっこりと微笑んだ。よく見ると、その女子の髪型はツインテールで、顔と性格がマッチングしていて、優しそうでおとなしそうでとてもかわいらしかった。身長は俺|(176センチメートル)より少し低いくらいで、165センチメートルいくかいかないかっていうところだろう。マイは俺の鼻より少し高いくらいなだけなので、155センチメートルぐらいだからこちらのお方のほうがやや上である。


 ああ、その女子の微笑が天使エンジェルのようにまぶしいぜ。


「もちろん」


「だとよ。ほらマイ替われ。えーと俺の隣の……」


「あ、名前、知らなかったみたいですね。秋色木葉あきいろこのはっていいます。コノハって呼んでもいいですよ」


 うおーーフラグ立っちまったか!?なはずが無く、とりあえず、分かりましたと言い、マイに向き直る。マイは少しだけ肩を震わせると、「わ、分かったわよ」と、やっと了承した。


 俺は軽く溜息をついた後に、コノハさんにお礼を言い、少しだけ嫌がっているようにも見えるマイを横の席に座らせ、教科書を見せた。教科書を見せている時に、マイの髪の匂いとでも言うのだろうか、そのいい香りがほんのりと漂ってきて、少しだけいい気分になった。というより、なれた。


 マイは、僅かに耳が赤いが、俺は、この部屋が暑いからだろうと思うことにして気にしないことにする。



@@@@@



 授業が1つ終わり、マイは俺から逃げるようにして去って行った。そんなことは別段、どうでもいいことなので、スルーしつつ、俺は、コノハのほうへ向く。コノハは、俺が向いてきたのを感じ取ってこちらを見た。


 礼を述べとくか。


「コノハ…だっけ?さっきは助かった」


 その俺の言葉はコノハに届き、コノハは、にこりと笑い、

「いえいえ、いいんです」


「そうか。…全くマイってやつは、どこまでわがままなやつなんだろうか」


「ふふっ」


 コノハのかわいらしげな笑い声に、俺は少しだけ目を丸くする。なんか面白いこと言ったか、俺?


「仲、いいんですね」


 どこがだ。


「仲は良くないと思うが」


「じゃあ、これから仲が良くなるでしょうね。毎日の学校が楽しくなりそうです」


「……。ま、まあ学校が楽しみなのは何よりだ。俺は毎日が苦痛だからな」


 俺はそこで、どんどん話の軌道がずれて、マイの話になることを少々恐ろしく思い、適当に会話を終わらせた。


 まあそんな感じであっという間に1日が過ぎてしまい、部活が無い俺とシンは一緒に|(むりやり?)帰ることになった。



ああ、スネ○くネタ使ってしまった。そういえば、メタルギ○って今度新しいのpspで出るらしいですねー

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