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壱の魔術  作者: 川犬
第1章
12/38

梅雨前線停滞中-11

まだ早すぎるかもしれませんが、第二章のサブタイトル決定。あ、第一章はこれのことです。

それで、第2章はのタイトルは……「無魔術師―ゼロ・マジシャン―」です。お楽しみに~~

「ねえ、ハジメ。ちょっといい?」



 今日の最後の授業が終了して、俺は西車やポテトなどにものすごい追及を受けていたが、マイが俺に話しかけてきたところでそれは終わった。


 俺は、西車とポテトを払いのけながら、おお、手を差し伸べてくれたのかありがとうと思いつつ、「なんだ?」とマイに問う。


 マイは、普通の声調でさらりとこんなことを言った。


「今日の放課後、この教室に残って」


 俺は口を開いたまま閉めることが出来なくなった。肩の筋力が低下していくほどの脱力感に見回られる。


 西車がいるというのにこんなこと言ってくるなんて、バカか?バカだろう。もうバカバカバーカッッ!!


 そんな俺が、終わったぁぁぁぁと諦めて肩を落としている中、西車が入り込んでくる。


「おおおいいいっ!!おまいはどうやったらそんなフラグを立てられたんだあっ!!昨日何があったあっ!!申してみよ申してみよ!!言えいえいえええぇぇっ!!」


「うるさい」


 耳元で大声で叫ばれたのでとりあえず、西車に肘打ちを5連発放っておいた。


 それにしてもマイはここまで空気が読めなかったのか。それとも俺を困らせるためにわざとそんな問題発言をしたのか。それともただ単に天然キャラ化したのか。最後のは、少しありえないだろうが、一応可能性はある。


 俺は、西車の反撃をするりとかわしながら、マイの話を仕方が無く、聞くことを決意する。


「それで、なぜ俺が放課後、教室でお前を待たなくてはいけないんだ」


「話があるの。とっても重要な。あー、あんた一人だけで待っててよ。誰かと一緒に待っていたりしたら首吊りの刑ね。それほど重要な話なの」


 俺はマイが真剣に話してきている様子を見て、少々汚れている制服の内ポケットに入っている弱泡石プチバブルを意識した。


 こいつの重要な話といったら、きっと異世界アナザーワールドが関係することだろう。それ以外だという可能性はほぼ皆無かいむに近い。


 俺は、しばらく考え込むようなそぶりを見せた後に、マイの目を見て、うなずいた。


 マイは安心したような柔らかい表情になって、はじめて俺にありがとうと、お礼を言ってきて、帰りの支度をしだした。


 となりで、ポテトと西車が漫才を始めたが真剣モードに突入した俺は無視する。


 大事な話、か……。一体何の話なんだろうな。基本魔術を教えてあげるだとかそんな類のことだろうか。


 ……違う。マイがもし、基本魔術を教えてあげるだとかそういう類のものであれば、あそこまで真剣な表情にはなり得ない。


 だとしたら一体何か。……。…分からん。


 俺は、思考するのをやめて、とりあえず、帰りのショートホームルームが始まる前なのだが、トイレを済ませに行った。考えても仕方が無い。どうせ、放課後になれば分かることなんだしな。



@@@@@



 放課後になり、今日はノー部活動デイなので、皆ちりちりになりながら、帰宅して行く。


 そんな中、俺はいつも一緒に帰っているシンに用事があると告げて、シンを帰らせた。シンはいつ仲良くなったのかまったく詳細は不明だが、西車やポテトと一緒に帰っていった。


 そして、1年4組の教室にはシン達を最後にして俺とマイ以外誰もいなくなった。



@@@@@change



 帰り道。透明な雨傘を差しながら、シンは、西車のボケとポテトのツッコミに困笑しながら、頭の中ではまったく別のことを考えていた。


 朝垣さんは確か逃亡者ディサーターを捕獲する任務にあたってましたね。やはり、昨日は異世界アナザーワールドに移動して、難を逃れたんですね。となると、これは私の推測ですが、ハジメももう既に魔術が使えるようになっているはずです。つまり、朝垣さんはハジメにも逃亡者ディサーター捕獲を協力させるつもりなんでしょう。


 ……朝垣さんとハジメ、後は任せましたよ。私は影で見物していますから。あなた方が、特にハジメにどんな力が隠されているのかを・・・・・・・・・


「ななななにいぃっ!?シンが笑ってないだとおおぉっ!?ポテト!おまいのギャグさっむ!!」


「違うだろ!君の面白そうで意外とつまらないスネ○クネタのせいだ!!いい加減、同じ手法で繰り返し使うのよせよ!!そういうのを悪徳商法あくとくしょうほうっていうんだよ」


「物売ってねえし!!おまいは、スネ○クをバカにしやがってええっ!!」


「うっせえええええよ!!耳元で叫ぶな!!」


 となりで、西車とポテトがぎゃーぎゃーわめいているが、確かにその時のシンは、いつの間にか失笑していた・・・・・・



@@@@@change



 俺は、誰もいなくなって静まり返った教室を一周見回した。それから、マイのほうを真正面に立つようにして向いた。


「それで、大事な話ってなんだ?」


 マイは俺と同じように、誰も本当にいないのか確認してから、俺をまっすぐと見て、

「あんたに、逃亡者ディサーターを捕獲してほしいの」


逃亡者ディサーター…?聞きなれない単語だな。誰か、どこかに逃亡したのか?そして、どうして逃亡したんだ?」


「…じゃあ簡単に逃亡者ディサーターについて説明するわね。まずは、誰か。…逃亡者ディサーターは…思い出してみて。昨日の教室で、仮面女と私が言い合ってたじゃない」


「あいつが、逃亡者ディサーターなのか」


「そうなの。で、どこに逃亡したのは言うまでもなくこの世界ヤングワールドのこの学校。逃亡理由は、向こうの世界アナザーワールドのオルタースって言う国の国家財宝である封黒龍石シールブラックドラゴンオーブを盗んだからよ。封黒龍石シールブラックドラゴンオーブっていうのは、召喚石サモンズストーンという種類の魔石マジックストーンよ。これが盗まれたってほかの国にばれると、戦争で攻め入られてしまって、オルタースが滅びてしまうの」


 マイは一気に話をして、一度深呼吸をしてから、再び口を開く。


「…誰かなんだけれど…、神判隊ジャッジメントポリスが教えてくれたわ。ああ、神判隊ジャッジメントポリスってのは、警察みたいなものね。それで、逃亡者ディサーターの本名を言うわ。あんたの知っている人。かなり言いにくいんだけれど…」

 マイは一間空けて、空気を手で握るような勢いで、はっきりとくっきりとこう言った。



「――――よ」



「な……」


 俺は、絶句した。静まり返っている教室と同化するぐらいに。


 あいつが…。俺とマイが困っているところを1度だけだが、助けてくれたあいつが、そんなことをするわけない…、と俺は言えなかった。あいつは、いいやつだと思っていた。そんなことは、する訳が無いと思っていた。俺は、恋愛感情は流石に芽生えてはいなかったが、いいやつだという認識はあった。


 ……だまされた。そんな感情が芽生えてくる。


 そして、悲しかった。おそらく、今迄で一番悲しいと今感じているだろう。


 同時に、助けてやりたいとも思った。救ってやりたい。これ以上悪に手を染めさせはしない。


 マイは俺の顔を覗き込んできた。


「おねが、い…できる?」


 俺は……、俺は……、あいつを救ってやりたい!


 俺は顔を上げ、炎メラメラな目でマイを見る。



「もちろんだ」



次回!!誰がディサーターなのかがわかります!!

あと、感想ください!!自分が見ても、悪い点が分からないときが結構ありますから。


1月1日は流石にやすみますw

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