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If I wasn't me 俺が俺じゃなかったら  作者: VIKASH
Judicialz-ジャディシャルズ

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8/24

「8」 明日(あす)まで・東(あずま)で

 あなたに用がある。あなたにいい話がある。あなただけに言う。あなたのために言っている。


 どれも綺麗事ですね。


 もし、言えたのなら、さぞかしかっこいことでしょう。


 嘘でなかったらの話ですが。


 騙す人間はいつも言う。騙される方が悪いと、その通りだ。騙される方が悪いのだ。


 では、騙す人間はどうか?悪くないのだろうか?


 無論、悪いに決まっている。


 彼らは、善と悪の区別がつかず、自分の悪を肯定化しているにすぎない。


 だから、彼は決めたのだ。


 嘘を見極める賢さを手に入れると……


 と、僕は言いました。



































                ◁TURN BACK▷























































「フミヤ、話しておきたいことがあるんだ」


  ここは、橙星(あかせ)と会った時だ。橙星は、殺されるのか?俺は、周囲を確認した。もちろんここには、誰もいない。いるのは、俺と橙星だけ。

 留学生達の動向も気になった。今何しているんだろうか。橙星がいるということは、留学生達もいるのではないか。様座な憶測が浮かんだ。

 過去に来たからには、確かめなければならない。橙星という人物を。そして、あの五人を。確かめる必要がある。

 ガラガラと扉を開けると、橙星(あかせ)が先に教室に入り、背を向けたまま話し始めた。


 何度目なんだろうか?背を向けて話始めるのはよ。なんかよ、嫌な予感がするぜ。俺の予感が的中しないといいけどよ。もしかして、これが最後なんじゃないかって考えちまうのはなんでだろうな?


 その時の気持ちと言ったら、まるで、俺の大大大大大好きなアニメが作者や出版社の都合により、打ち切りになって、最終回まで見れなくなったような。そんな気分だ。まあ、それどころじゃないのは、直感でわかっている。

 もし仮に急に、主人公が亡くなっちまうアニメがあったら……そんなのよ……


 特殊条件下でしか、成立しないぜ?


 俺はきっと、頭がおかしい。

 なんでかって?

 なぜならよ、橙星(あかせ)が、橙星じゃなかったらなんて考えちまうくらいにな。

 ひょっとすると、こいつは橙星じゃないのか?

 別人なのか?

 他人が他人じゃない。

 いや、違うな。俺が………………


 俺は、橙星(あかせ)の背中を見ていた。胸の奥に熱いものを感じた。


 なんなんだろうな、この気持ちは、愛か母性(ぼせい)か父性(ふせい)かそれとも友情か……?


 後ろから抱きしめてやりたくなった。


 一応言っておく、俺は男に興味はない。


 俺は、橙星を重(おも)んじている。


 ただそれだけだ。


 一応それらしく振舞(ふるま)っておく。


「――なんだよ。急に」


 その気持ちをぐっと抑(おさ)えて、堪(こら)えた。

 心に蓋(ふた)をしたんだ。

 俺の中では、一年の歳月(さいげつ)が経過(けいか)している。

 そんな、今だからこそ蓋(ふた)をすることができた。

 幽体(ゆうたい)になれる今、この胸に、もしくは頭に心が……そんなものがあるかどうか、知ったこっちゃないが、目に見えないものもそこに存在しているんだろうな。

 もう訳がわかんねえよ。変に期待はしない。期待すればするほど、損した気分になるからだ。


 ましてや、今の俺には殺意はない。あるのは橙星(あかせ)に生きててほしいという渇望。橙星が橙星であってほしいという願望。のどのかわいた人が水をほしがるように、存在するかもわからない橙星に。心から待ちこがれ望んだ。


 その渇望(かつぼう)は、ぐるぐると頭の中で、回り続ける。

 渦(うず)を描いた水が、穴にすうっと、吸い込まれていくように…


 渦が5回回った時、橙星(あかせ)が口を開いた。


「――今、話しておかないと僕が後悔するからね。」


 後悔する?

 ああ、よく言うよな、後悔しない生き方をしろだの、後悔しないために勉強しろだの、でもそれよ結局自分のためじゃねぇかよ。


 でもよ、今なら言える。今だからこそ、言える。勉強しても、後悔はする。学力よりも大事なもんが、ここにはあるんだよ。俺は、学力を捨てんたんだ。なぜならお前と、いや、橙星と大学に行きたいからだ!


 自分で言うのもなんだが、他人のために生きるのが、1番かっこいいぜ。橙星(あかせ)、気づけよ。


 あの時のお前は知ってたじゃねえか。なんで今のお前は知らねえんだ。


「なんなんだよ。明日まで待てねえのか」


 やっと、こっちを向いたな。橙星(あかせ)が、振り返った。

 どうも気に食わねえ。

 なんだよ。

 あの目つきはよ。

 狂ってんのか。

 俺の狂ってんのかという台詞は、橙星を指しているわけじゃねえ。

 俺の目が狂ってんのかって意味だ。

 人間の瞳孔は、普通あんな色には、ならねんだよ。


「――明日まで?待てないさ。言っただろう。今言っておかないと後悔するって……」


 そうだったな。二度も言う必要はねえよな。御託(ごたく)だぜそんなのよ。


「――僕の一族は、優秀な人物が多くてね。親類である。お母様もお爺様も優秀だった。でも、僕は優秀じゃないんだ。お爺様は、あのAMTを牛耳っていたとも聞くよ。お母様は、足利グループの一企業の1つ、京世良(きょうせら)の代表でもあるんだ。皇(すめらぎ)という一族は、このとおり優秀なんだ。僕を除いてね。まあ、君は知っているかもしれないけど……」


 皮肉にしか聞こえねえ。


 ん?どういう意味だ?


「英語もできるし、頭もいいだろ?充分優秀じゃねえか」


「なんで知ってるの?」


「おかしいよね?」


「……だんまりなのかい。」


「そうかい。まあ、勉強は簡単さ。頭を良くするのだって、簡単さ。でも、こればっかりはね……」



《時間軸が変わった》



 久しぶりだな。なんだと?変わった?


 一旦、ここは冷静に分析する。

 今ここに、ヴァイヴァロスの声が聞こえるのは、どう考えてもおかしいことだ。

 それに、ヴァイヴァロスはなんて言ったと思う。


『時間軸が変わった』


 これはもう、嫌な予感しかしない。

 死亡フラグ立ちまくりだろ。

 俺が、ナツキ・バルスだったら、きっと、やり直さない。

 なぜなら、死を覚悟してないからだ。人間、死んだら終わりじゃんか。あの作品は本当に面白かった。この目で見れてよかった。ああ、まだ結末を知らないのに。最後まで見たかった。いっそのこと、俺もゼロから始めてみるか?

 ったくよお、こっちは死にたくねえんだよ。胸糞悪い。人が、死ぬとこ見て喜ぶアホがいるのか。

 俺でも、吐くぜ。こっちはもうおかしくなってんだよ。どうしろってんだ。誰か、なんとかしてくれよ。


 誰か、俺の心を治(なお)してくれよ。


「――ニトロゼウス。起動してくれ」


 橙星(あかせ)は、オレンジ色の、光沢のある指輪を触っている。

 ただの指輪じゃない。宝石がついてるわけでもねえのに、不気味に光ってる。その光が、俺達に希望をもたらすか、終焉(しゅうえん)をもたらすかは、瞬時(しゅんじ)に分かった。

 わからなかったら、俺はもう……


――ここにはいない。



「ニトロ……なんだって?」



 俺は時間を稼(かせ)ぎたい。

 なんとしても時間を稼ぎたかった……

 やはり……

 俺は、もう……


「――君を、君の存在を消しにきた」

「――僕が代わりになる。フミヤ」

「――君に選択肢(せんたくし)はない」

「――さよなら」


「は? どういうことだよ? 話し合えば、わかるって! 待てよ! おい! あかせ!  聞けって! 俺の話聞けよ! 意味わかんねえって! おい! あかせえぇぇ」



《逃げろ》



 逃げろって言うけどよ。


「そんなのわかってんだよ」



《逃げろ》



 黙れ。黙れ。だまれ!うるせぇって!


「キサマをハイジョする」


 その瞬間。

 俺は全てを理解したような気がした。

 橙星(あかせ)が犯人なのか。


 あのオレンジ色のロボットを差し向けたのは橙星だったのか。


 どうしたらいい。


 俺は、俺はどうしたらいい。

 俺の心が音を立てて、壊れていく。

 あの狂った微笑みを……

 顔を……

 ぶん殴ってやりてえ……


 思い出せよ橙星、お前はそんなヤツじゃねえだろ?


『好きなものは、オレンジです』


 間違いねえな。あの時の橙星の声だ。そういえば、自己紹介の時、言ってたよな。布石(ふせき)はあったんだよな。

 しかも、こんなにもわかりやすいのがよ。俺が、探偵だとしたら、失格だぜ。でもよ、あの眼鏡(めがね)君も言ってたけどよ。真実はいつもひとつなんだよなあ。


 なんでだよ橙星。

 俺は何も失いたくない。

 俺は痛みを感じたくない。

 命乞(いのちご)いかよ。

 狂ってんのは、俺のほうか。

 死にたくない。

 死にたくねえ!

 死にたくねえ!

 生きたい!

 生きたい!

 生きてえ!

 こんなことで、死体になってたまるかよ!


「まったくよお。鬱(うつ)になりそうだぜ。誰だって生きてえだろうがよ」


 俺が、聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟(つぶや)く。


 何が排除(はいじょ)だ。

 ふざけんじゃねえ!


 排除されるくらいなら、自殺したほうがマシだろうがよ!

 もちろん、そんな勇気は、今の俺にはないがな。

 やはりそうか。そうなんだな。

 人間はいつだって、何かを得たい。それは、富かもしれない。名声かもしれない。権力(ちから)かもしれない。


 だがよ、今なんとなくわかった気がする。失うモノがない奴が、一番強いってことを。俺は、身を持って感じた。


 俺には、友人がいる。家族がいる。そして、一番大切な自分という不変の概念がある。

 誰だって、自分が一番大切だろう。


 だから、俺は、死にたくない……


『この世の中で、死に不安のあるやつはそういねえ。危機感が足りねえ』


  数義(かずよし)だっけか。そうだな。もう死ぬことなんてないって思ってた。安心してた……


 死は、平等だ。万物の生物に訪れる。生物を生物たらしめる所以(ゆえん)でもある。生物から死が除外された時、それは生物とは呼べないかもしれねえ。

 だから、俺は人間の形をしているのか。俺、人間なんだよなあ……


「やってやるぜ。このクソみたいな世界に抗(あらが)ってやる。クソったれ……もう、どうにでもなれ」


 今の俺にできるのは、時間の操作。ここで息絶える必要なんてねえな。他にもあるはずだ。いつだって、冷静に。学がないわけじゃない。

 でも、今となっては、ないのと同じ。

 

 俺は、全てを捨ててここに来たんだ。橙星(あかせ)という可能性に賭(か)けてた。


 人はいつだって、裏切る。

 裏切るのは、簡単だ。

 裏切った方は、覚えてねえのに。

 裏切られた方は、どうなる?

 気が気じゃねえ。



 冷静になれ!



 俺は、自分で自分の頬を叩き。鼓舞(こぶ)する。


「ヴァイヴァロス! 俺の質問に答えてくれ。今、この状況下で何をするのが適切だ。何が最適解だ?」



《時を飛ばせ》



 は?飛ばす?

 つまり、進めるってことかよ。

 過程(かてい)を飛ばすって解釈で合ってるよな?

 その方法は試してねえな。

 やってやるよ。

 でも、そしたら橙星は……


――いなかったことになる。



 どうする……?



 橙星に二度と会えなくなる。

 でも。今は敵なんだ。やるしかねえよな。グズグズ悩んでる隙なんてなかった。


 俺は頭の中でイメージする。未来の世界を!


『ふっ飛べ』

























           ◁INSTANT TRANSMISSION▷






















「その、目を瞑ってくれないか?ふみ♡」


「は? 黙れよ? てか、お前誰だよ?」


 俺は、自分の部屋のベッドの上にいた。

 目の前に、あの黄色いくノ一がいる。


 東菊(あずまぎく)だっけか?なんでいんだよ?しかも目瞑ってやがる。何してんだ?


「つれないぞ♡ なにとぼけてるんだ?」


 とぼけてる?は?


「え、いや、だからなにがだよ?」


 挙動不審になるなあ。どした?


「えっと……忘れたのか?」


 忘れてないふりをしとくか。


「いや、なんでもねえよ」


 え、なんで嬉しそうなんだよ。


「そうか♡ なら続けるぞ♡」


 喋り方が、違う。なんつーか、声色(こわいろ)が違う。甘いんだ。


 ん?唇も甘い……俺、何してたんだ?


 待てよ、コイツの服……はだけてねえか?

 そういうことか!


「待て待て待て! 俺らそういう関係じゃねえだろ」


 俺、こいつとやったのか!

 他人だろ!


「冗談でも怒るぞ? ふみ」


 声は、戻ったけどよ。ふみ?

 俺の呼び方か?

 彼氏みたいな呼び方はやめてくれ。


「いつから、俺は、ふみって呼ばれてんだよ」


「うう。酷いぞ。ふみ! 私、この喋り方でも女なんだぞ! 泣いてしまうではないか!」


「わりいな。覚えてなくてよ」


「出てけ!」


「いやー、俺の家だしな。なんで、服はだけてんだ?」


「き、貴様がやったんじゃないか!」


  語気(ごき)がつええ。やってねえんだが、つうか、覚えてねえ。俺はコイツと付き合うのか?


「まさか、告白も忘れたと言うんじゃなかろうな! 自分から告白しといて、こんなのあんまりだ! うう」



マ ジ か よ



  未来の俺、何してんだよ。


「わかったよ。出てくよ。頭冷やしてくるわ」


「1人にしないでくれ! うう」


 いや、どっちだよ。困ったな。そうだ。いったんトイレ行きゃいいよな。


「わりい。トイレ行ってくるわ」


「うう。わかったぞ。待ってるぞ。うう……」


 すまねえな。

 帰ってこれねえ。

 彼女なのか。

 コイツが?

 過程をふっとばして、未来に行くもんじゃないな。笑えねえな。

 俺は、トイレへ行くと、ヴァイヴァロスに話しかける。


「どうすりゃいい?ヴァイヴァロス」


  あれ?なんも聞こえねえ。

 どういうことだ?ヴァイヴァロスはどうした?


 やっぱりだ………ヴァイヴァロスは、不在だ。


「おい! ヴァイヴァロス! 返事しろよ!」


 あの時に似ている。ひょっとすると、これは……


 嫌な予感がする。繋がっちまう。俺の思考が……

番外編

「8.5」 勧誘(かんゆう)・蛮勇(ばんゆう)


 時間は、卒業式が終わった後である。つまり、歴史也(れきふみや)が、時を飛ばしてやってきた。三月である。

 そんな中、東菊は一人勧誘活動に勤しんでいた。


「やあやあ、諸君、東菊(あずまぎく)だ。」


 こんな感じでいいのか。お師匠も変なことを考える。


「諸君。忍びになる気はないか? 楽しいぞ?」


 いや、その楽しくはないんだが……まあ、いい。本気にするものもいないだろう。


 にしても、何件目だ。もう十件は回っているぞ。


 それにだ。小学校に行った時、BBAと言われたのはどういうことだ!


 気に食わん。私はピチピチのJKだ。かすりもしていない。せめて、JDだろう!


 今日は、ふみとおうちデートの約束だったな。


 なぜ、私は卒業式の後、勧誘をしている!


 これも全てお師匠のせいだ。


 自分でやればいいものを……


 ぶつぶつ言っても、埒(らち)が明かない。


 私は、もう切り上げるぞ。


 なぜなら、彼ぴっぴとデートがしたいからな!


 今のJKは彼氏のことをなんて言うんだ?


 私はどうも、JKらしくない。


 小学生の頃から言われてきた。


 「じゅりちゃんって、なんかかっこいいよね!」


 かっこいいなのか……


 かわいいとは言ってくれないのか。


 生まれてこの方、かわいいとは言われたことがないぞ!


 これも全てお師匠のせいだ。


 こう見えて、髪、肌には気を使っているのにだ! なぜだ!


 はあ、私は一人で何を考えている。


 もう、ふみの家に着いたではないか。


 私は、1人暮らしなのだが、確かふみは父親と暮らしていたような……





 そして、本編へと続く……

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