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If I wasn't me 俺が俺じゃなかったら  作者: VIKASH
Judicialz-ジャディシャルズ
3/24

「3」 新人・変人




「なあ、あかせ教室どこだっけ?」


 この時の俺は、何気なく聞いた。


 そもそも教室は、覚えてたんだよ。


 なのに聞くなんておかしいよな?


 まあ、どう思われてもいいからな。世間体気にしたってしょうがねえ。


 それに、なんというか不自然さを出したくなかった。だって、俺は……2週目だから?


 不自然なく自然に振る舞いたかったんだ。自然に振る舞えてるといいけどな。気にしてたってしょうがねえ?気にしてるじゃねえか。アホなのか。俺はよ。


 だから、いつまでたっても負け組だったんじゃねえか。地味。陰キャ。負け組。そんな言葉が、俺の頭をよぎり、目の前にいる輝かしい橙星に俺は、にらめっこするかのごとく、見つめてた。


「僕は、覚えてるよ行こうか」


 俺達は、3のVへと向かった。教室は、5つある。もちろんVは5つ目だ。誰に言ってんだかな。


 去年は、いや、俺が交通事故に会う前は、落ちこぼれのV組。そう呼ばれてた。クラスの全員が、揃いも揃って、ガキばっかだった。当然、俺も例外じゃねえ。頭が良いとか、悪いとか関係ねえのよ。性根から腐ってた。だから、前に進めねえし、協力もできねえわ。努力もできねえわ。根性ねえわ。で、俺が気がつけば、クラスはお釈迦もいいとこだった。


 照らしくれよ。橙星、お前がいなきゃな、始まんねえだろ?


「おや? まだ、誰もいないね。僕らが一番最初かな」


 最初?だといけどな。俺は、教室内を確認する。見渡したが、やはり誰もいない。どうも俺らが最初らしい。


「みてえだな」


――ガラガラ


 俺が、橙星に一言添えると……教室の扉が空いた。


 あら、扉開いたのに誰もいねえな。


 これは、怪奇現象でもなんでもない。俺らの次に入ってくるクラスメイトの音だ。


 ひょっとしたら、先生かもしれねえな。わかんねえけど。俺とあかせは、その動く扉に釘付けだった。


Hey Akase(やあ橙星),How(調子どう?) are you?」


I'm(かなり) pretty(いいですよ) good.」


 シルエットが現れたかと思えば、英語!?何言ってんのか全然わかんねえ!


  俺が聞き取れんのはあかせだけだ!


「これは、驚きました。英語……できるんですね。橙星(あかせ)さん」


 本当だよ。すげえな。何者なんだよ。さっきの地下鉄の時の話と関係あんのか?


「やあ、エリオット。昨日ぶりだね」


 エリオット!?


 こんなヤツいたか?


 なんで俺は覚えてねえんだよ!


 超特徴的じゃねえか!


「これはこれは、史也(ふみや)さんじゃないですか」

 

  俺のこと知ってんのか!


 マジで、なんで知ってる?


 初対面だろ?


 あ、昨日俺はいたんだよな。あかせが言ってたな。ということは、会ったことあるってことだよな。会ったていで話さねえと。


「あ、おう。どうも。エリオットだっけか?」


 まさか、俺に英語で話してきたりしねえよな。俺はちょっとビクビクしてた。にしても何言うんだろうな。


「素敵ですね。赤いジャケット。かっこいいです」


  褒められた!?


 この俺が?


 俺かっこよくねえけどな。生まれてこのかた初めてだぜ。『かっこいい』なんて、言われたのはよ。まあ、これ。父親のおさがりだけどな。つーかよ、何着てんだ?源高校は確かに制服自由だけどよ。個性的すぎねえか?


 いや、でもよ。褒められたら、褒め返すってもんが道理だぜ?


 俺もとりあえず、エリオットを褒めるとするか。


「エリオットだっけか? その、青い戦闘服みたいなのも格好いいよ」


 我ながら、笑えてくるぜ。青い戦闘服だ?


 学校に何しに来てんだよ。ってツッコめよ俺。


 それによ金髪にロン毛?どこの国出身だよ。


 あのロボットで戦うアニメのパイロットみてえなんだよな。あのー、あれだ。何とかタム!


 なんだっけな?忘れちまったな。


 こんな人本当にいんのな。たまげたぜ。まるで、フィクションを体現したような見た目をしてやがる。


Are(それは) you() being() sarcastic(かい)?」


 アーユービーサカステ……ィ…なんだ?


 おい!日本語できるんじゃねえのかよ!


 俺の嫌な予想を的中させるんじゃねえ!


 てか、英語できねえよ!


 しゃあねえ、わからないつっとくか。


「ソーリー。わからんのよ。」


 苦し紛れに出た英語がなんで、ソーリーなんだよ。


 髭剃りでもしとけ!


 髭生えてねえけど!


「あ、すいません。その、史也さんも英語できると思ってました。皮肉ではなさそうですね。ありがとうございます」


 いや、イケボ。かっこよ。


 エリオットは、俺に握手をしてきた。戦闘服の上からも体格はわかったが、しっかりとした握手だった。


「僕は、アメリカの大学から来た留学生で、他にも4人いますよ」


 4人………つまり、5人か?


 なんか、多くねえか?


 まあ、いい。


 俺たちが話していると、続々とクラスメイトと思わしき人達が入ってきたが、誰も彼も初めましてばかりだ。


 俺は、新入生か、もしくは転校生か。あのよお、俺、セルフツッコミしてる場合かよ。


 にしてもよ、あの時から、俺は少し変だ。誰も覚えちゃいないんだ。まさか、忘れたのか!?


 いや、そんなまさかな。あ、やべえわ。笑えねえわ。はは。



 橙星が覚えているってことはだ。俺は昨日ここに来ている。


 待てよ、違うのか?


 ひょっとして来たことになっている。ってことなのか?


 なら、橙星に聞けばいいじゃねえか!


「あかせ」


「皆さん席に着いてください。はい、そこ。静かにお願いしますね」


 いや、アサシンかよ。


 先生影薄くね?


 先生なんだよな?


 とりあえず、謝っとくか。


「すいません」


 いつのまに……


 立ってるの俺だけじゃねえか。


 俺が椅子を引いて、席に座ると隣にくノ一みてえな女がいる。


 黄色をベースにした、派手な衣装だ。高校生にしては露出が多い。


 これで校則に引っかかんねえのが不思議なくらいだ。


「皆さん、今日で2日目ですね。おはようございます。驚かれた方もいるかもしれませんが、本日より、 (わたくし)が担当いたします」


  教室中がざわついている。有名な先生なのか?


 でも俺は知らねえぞ?


 なんでだ?あれ、でもこの声――聞いたことある気がするのはなんでだ?


 思い出せ!いやあ、出てこねえ。俺の頭の悪さに腹が立つぜ。


 まったくよお!勘弁してくれよ。

 

「紹介が遅れましたね。私は、この高校を設立し、今や、巨大企業郡となった。AMTの一企業の源グループの元代表である源創立(みなもとあらた)です。以後お見知り置きを」


 お、なんだ。誰か挙手してるぜ。


「質問してもいいですか?」


 この話し方、留学生か?5人のうちの1人だ。


「どうぞ」


 何聞くつもりなんだよ。気になるぜ。


「あなたは、Living(生きる)Legend(伝説)と呼ばれる方だ。ここで、なにをしているんですか?Mr.Minamoto(源さん)?」


「私は、一大プロジェクトに取り組むために、ここにやってきました。マルチバース規模のプロジェクトです」


That(なるほど) make a sence.私達全員が参加できるのですか?」


「今は言えません。皆さん、一企業英雄はご存知ですよね?英雄が働き手を募集していますので、成績優秀者には、英雄での所属を約束しましょう。一般企業に就職希望の方や、進学希望の方は、挙手をお願いします」


 俺は、手を挙げた。教室内を見渡してみると、もう1人手を挙げている奴がいた。


「お二方にお(たず)ねします。ご理由はなんですか?」


 もう1人の奴が目線を向けられていた。


 肌は、褐色に焼けていた。そいつも隣のくノ一と同じでなぜか黄色い、でもってタンクトップを着ていた。


「俺はバスケがしたい! 創立(あらた)先生!」


 はい?


 はい?


 あったま大丈夫ですか?


 なんなんだよこいつ。


 いきなりなんなんだ。


 教室がざわめいている。


 ってよお、そりゃそうだろ?


 なんで、就職希望か進学希望なんですか?って聞かれてんのに、バスケがしたいなんだよ!


 意味わかんねえよ


「ここで、宣言しておく、俺はNBAに行く!」


 いや、知らねえよ。

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