「24」 Judicialz―公正達
〈H.O.P.E〉
見あたす限り、地平線。果てしなくどこまでも広がっているような地平線がそこにはあった。ここはどこなんだろうか。この地球という星の誰にもわからない場所で、それは始まる。何も無いかのように思われたが、崖があり、波が打ちつけている。ぶつかる時には激しくて、戻る時に優しい波は、何かを表しているのだろうか。崖からはっきりと見える双眸のようなそれも、何かを表すのか。双眸と一言で言っても、わかりずらいものだ。双眸とは、私たちの顔についている両の眼のことである。そこには、ポツンと双眸だけが、まるで幻想かのように、佇んでいる。何かを待っているのか。いや、私達を待っていたのか。そこに双眸があることに疑問を抱かなければならない。光り輝きながら、双眸のみが現れる。不自然な光景。私達は、それを目の当たりにした。
太陽が黒い時、その双眸達は現れるという。また、いつぞやの彼も訪れるという。彼とは誰だろうか。我等が主人公。歴史也だろうか。いや、違う。もしかすると、皇橙星君なのかもしれないが、断言することは決してできやしないのだ。例えば、それが、曖昧である時。私達は、ひどく落胆する。曖昧が故に落胆するのだ。私達が求めているのは、明確な答えであり、疑問ではない。いつだって答えを求めて、人生という大きな免罪符に烙印を推す。
ましてや、それが明確である時も、私達は期待を背負っては、拍子抜けする。なんだこんなものだったのか。と、期待が事実をうわまってしまい、拍子抜けするのだ。私が言いたいのは、つまるところ、人生には、価値があるが、捉え方次第で、どうにでもなる。可塑性なのだ。ここで、可塑性について、紹介しておきたい。可塑性とはなんだろうか。考えてもみてほしい。ここにひとつの輪ゴムがあったとする。その輪ゴムは、私達が普段使うものを思い浮かべてみてもらって構わわない。色?なんでもいい。まあ、白色としておこう。その輪ゴムを頭の中で、引っ張ってみてほしい。果たして、どうなるのか。みなさんは、どのように引っ張っただろうか。両手で引っ張ったか?もしくは、どこかに引っ掛けて、片手で引っ張ったか?頭の中だから、自由自在に輪ゴムを引っ張ったかもしれない。それも、手を使わずに。さあ、引っ張ったら、輪ゴムはどうなるだろうか?伸び続けるのか?いや、違うであろう。元に戻るのだ。パチンと勢いよく、引っ張ったところの反対に、吸い付けられるように、はたまた、磁石のように、もしくは、別れた恋人が何かに惹き付けられて、復縁するように、元に戻るのだ。これが、「弾性」である。元に戻る作用を「弾性」と呼ぶのだ。ここまで、読ませておいて、何の話をしているのだと、思われたかもしれない。では、元に戻らないものはなんだろうか。と、みなさんは考えただろうか?輪ゴムのように弾力がなく、引っ張っても、どれだけ、力を加えても、元に戻らない。あれ、それって時間じゃないか?勘のいい貴方なら、わかるだろう。それ即ち、「可塑性」である。人生とは、即ち「可塑性」であり、起因を起こせば、起こすほど、それは変化していく。そうだ。まるで、私達の脳のように。
話を戻そう。私達は、今崖にいる。そこから、1歩でも足を崩せば、落下してしまうような、崖にいる。あれは、なんだろうか。双眸の周りを何かが覆っている。4つの眩い輝きだ。その光は、声を発するとされる。光が声を発することに異変を感じる者は少なからず、いるだろう。安心してほしい。あなたはその声を一度聞いている。もしくは、読んでいる"かも"しれない。
「なんですって?私を知らないですって?私を呼んだんじゃないの?いい?私はHEレンよ。よろしく。」
口がないのに喋るとは、これまた奇妙だが、私達の目の前で、その「キセキ」は起きている。うっすらとシルエットが見える。身長は高校生と変わらない。170cmもないだろう。少なく見積っても、150cmだろうか。ブロンドの髪だろうか。ここからでは、はっきりと見えなかった。双眸から、視線を上にズラしていくと、額らしきものが見えた。何故か、彼女の額には、十字傷があった。十字傷と聞き、キリスト教を思い浮かべるものもいるはずだ。
だが、この次元にキリスト教が存在するとは限らない。あるかもしれないし、ないかもしれない。みなさんは、シュレディンガーの猫をご存知だろう。簡単に説明すると、箱の中に猫がいるかどうかは、箱を開けてみなければ、わからないというものだ。
ここで、彼女の額の十字傷について、考察していきたい。誰かにやられたのか。意図して、傷をつけたのか。傷をつけられたのか。生まれた時から、痣として、額にあったのか。私達が知らないということは、誰も知らないのと同じこと。知ってるはずがなかった。知る方法などないのだ。
この次元に辿り着く者など、こちらの次元にはいないのかもしれない。あるとするならば、紙という媒体を通して、もしくは電子機器で、感知するくらいだろうか?
彼女は救済者なのか。突如として現れた黒い太陽を前にして、何をするのか。予測がつかない。十字傷は何を表しているのか。きっと意味があるに違いない。彼女の行動全てに意味があったのだから。否定されようとも、私は意味があると考えている。
「なんだか、暑くなってきたわ。そういった意味でも、このチーム最高にHOTね。でも、何か足りない。そう、圧倒的に。」
洒落ている。うまいこと言っているが、気が利かないのも彼女の一面だ。何が足りないのだろうか。
みなさんは、覚えているだろうか?以前、ニュートンという人物が、ホーリーという救済者について話していたが、おそらく美人のHEレンは、HOーリーを知らない。HOーリーもまた、HEレンを知らない。彼女たちは、同一人物か。誰にも、わからない。
そして、またしても双眸は現れる。こちらは、鋭かった。
「呼んだか?Oトラルだ。劣っているだと、面白い。そういった意味では、私も劣っているかもしれんな。私を知っている者は少ないがな。いいか。現時点での私も、まだ存在していない。未来の私に比べれば、劣っているのだ。賢者よ。説法を説いたか。なあ、賢者よ。これでいいのか?」
彼の質問の意味が理解できないが、それにしても恰幅のいい男だ。僧帽筋が発達している。筋肉質な体型をしている。光からちらりと覗かせた左腕に濃く刻まれた十字傷。この男にもそれがあった。それ即ち、十字傷である。十字傷には意味があるのだろう。このチームのマークか。もしかすると………
「PIットです。PAルテナは関係ないですよ。翼も生えてないですし。この光なんなんでしょうね。へ………HEレンさん。でも、僕思うんですよね。奇跡って人為的に起こせるんじゃないかって、奇跡を偶然じゃなくて、必然にしたいですよね。じゃなきゃ、僕たちの存在意義。ないですから。こんな昔から、女性全盛の時代があったというのに。何してるんですかね。」
少年のような人物。見るからに美青年だ。ああ、たしかに。天使の輪がついていない。光で見えないが、彼の背中には、やはり、十字傷があった。光で見え隠れでしてはいるが、確かに確認できる。これで3つ目の双眸だ。
おっと、双眸が四つ現れた。これは………?
「ふんぬ!Eドワードだ。皆の衆よろしく頼むぞ。なんだと、もう始まっていたか。グハハハ。おいおい。グラグラはしないだろう。それにニューゲートという名前でもない。」
時は、1789年。1789年といえば、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。まるで狙ったかのような。7と8と9が並んだこの年に、誰もが知る。米国の独立戦争が起こった。
そしてこの次元では、未来から救済者達が訪れる。もちろん未来のアメリカを救うために。もし独立戦争が成功しなければ、アメリカ合衆国は存在しなかったことになる。彼らこそが希望だ。※世界大統領 の命令により、未来から送られ、「JOE」と名乗る。ちなみに、「JOE」とは、「Judge Of Evil」 の略称である。「悪を裁く者」として、彼らは存在するのだ。また、彼らの頭文字を合わせるとHOPEになることからも、ホープとも呼ばれる。彼らこそが、Judicialzの創世記であり、源であり、根源であり、最初なのだ。そのため、「Justice」と同じ、「J」が使われている。もちろん、JOEにも、JUDICIALZにもだ。
四人とも光に関する力を扱う。
光を放つ。
光を吸収する。
光を屈折させ、姿を消す。
光の速度で移動する。
光を具現化する。
光そのものとなる。
宇宙空間で活動する。
星となる。
闇を打ちのめす。
救済する。
確認されていないだけで、他にも光の力は存在するかもしれない。
謎多き存在。光系概念情報体のホープはこの四人を集め、光の力、つまるところ救済の力を与えようとしたが、何度も失敗する。その後、何度も試みた結果。
一つの力を四つの器に分けることで、光の力を与えることに成功する。
後に、四つの力はあまりに強大だと、彼らによって、自ら封印される。
これに目をつけたのがアクシオムであり、歴史の暗黒時代が訪れる。戦争。差別。環境破壊。
アクシオムは、意のままに人を操り、人間の心の奥底にある闇に付け込むことで、欲を支配する。三大欲求等容易い。アクシオムに操れられた人間達は、顔がやつれていき、次第に隈がひどくなっていき、死を望むようになり、怒りに駆られ、他者の気持ちを考えず、自分本位になり、人を傷つける。
その、穢れた口で、薄汚い拳で、操られている最中は、自覚はあるのだが、客観的になれない。
ましてや、自分が正しいと思い込む。この世には、無知の知というものが存在する。知らないことをどれだけ知っているか。それを知っているかどうかが、賢者への分かれ目だが、自堕落な生活をし、三大欲求を半強制的に満たされている人間は、自分の愚かさを知らない。人間とは愚かなものだ。それ故に、何度も繰り返す。仇のため。そして、自分の為に。あのダークヒーローKもアクシオムに操られていたことは言うまでもないだろう。
『あ?なんだって?呼んだか?無名がよ。』
私は失礼する………
―Googolplex―
やあ、みんな!僕だよ。数多京さ。とある理由から、今僕はアメリカに来ている。まあ、もちろん走っているんだけどね。
僕はさりがなく、OKサインを作った。なぜって?9に見えるからさ。反対にしたらね。
待って、僕に着いてくる人間がいる。何者なんだ?この僕に追いつけるのかい?なんてことだ!ん?ちょっと待って、中指立ててない?気の所為だよね。そっちがその気なら、ほんの腕試しするよ。
プライム、準備はいいかい?
《いつでもどうぞ》
「4thインパクト」
僕は、足に力を込めて、地面を踏みつけるとその余波が彼にも当たり、停止すると思った。正体を確かめたかったんだ。コンクリートが崩れていく。その亀裂が彼にも当たると思われたその時。
彼は、赤子の手をひねるように宙返りすると、その衝撃の余波を簡単に避けては、姿をついに現した。
その胸に書かれたアルファベットを見て、僕は言葉を発する。
「G?」
でも、大丈夫さ。僕には、プライムがついている。プライム、データベースにアクセスして。
《かしこまりました。彼の名はMr.G ジャディシャルズの元リーダーです。》
「ジャディシャルズ………君がそうなのかい?Mr.G」
侮ってはいけない。そう直感で感じたんだ。
「ほう。実際に見るのは初めてか?それしても、スーツが似ているな。白ベースなのは同じだ。危ない。なんて言わないからな。なんのつもりだ。HERO=K」
「君こそ、なぜ僕を追うんだい?追うからには、何かしらの理由があるとしか思えないよ。」
日本語上手だね。誰から教わったんだろう。
「理由?理由などいらない。あるのは存在意義だけだ。」
「ちょっと待ってくれ。君は戦うことで、存在証明をしているのかい?」
グラディエーターかい?古の戦士みたいじゃないかい?
「俺の本当の力を見せてやる。」
「知ってるよ。その俊足かい?」
僕は、わざとすっとぼけた。だって、ワクワクするじゃないか!
「目に物見せてやる。」
「ちょっと待ってくれないかい?どうして、君はそんなに好戦的なのかな。頼むよ。僕は1秒でも惜しいんだ。」
「なら、戦え。」
「『Googolplex』」
「さあ、どうしようかな?」
たちまち、Mr.Gが増えていく。地面が見えなくなるぐらいに。視界から、街並みが消えていく。そこにあるのは、Mr.Gの姿だけさ。
様子がおかしいね。これってまるでナンバーズ8………
《ナンバーズではございませんよ》
プライム、今の僕達に何ができる?
《勝つことですね》
「来なよ。」
「You know what I mean?」
「本物ですね。いいでしょう。」
『なあ、おい。ここから出せ。』
え?僕の声だ。確かに、世界には自分と同じ顔の人間が3人いるとはよく言うけれど、今、どこから聞こえた?
「誰なんだ君は!」
『俺だよ。お前の心の内に眠る闇だ。』
僕は、悪に屈しない。この声は僕なんかじゃない。
『俺も正義だ。同胞だろ?なあ?』
でも、正体は知っている。解放しなくちゃならないのか!
『嬉しいなあ。良いこと教えてやるよ。もちろん、出したらな。まあ、出すがな。』
彼は灰となったはずだ。人は死ぬ時、灰となり、土に還る。九さんから、話は聞いていた。彼は死んだんはずじゃ、いや、そんな、まさか。彼を決して外に出してはいけない。彼を出す時、君はすべてを失うことになることを覚悟したほうがいいと。
『出さなければ、内側から破壊する。』
わかった。わかったから。僕はその禍々しく光るパラメデスを取り出すと、胸に収納する前に、せめて彼に………
「Mr.G、警告だ。聞いてほしい。」
「おい!待て!なんの真似だ!」
「僕はもう誰にも止められない。だけれど、頼むよ。僕を止めてほしい。」
駄目とわかっていても、震えが止まらない。誰か助けてくれ。僕の体はもう僕のものじゃない。
”凶”に乗っ取られた。
ガシャン
俺の時代だ。来い。ジャディシャルズ。
「俺の名は、数多凶。またの名をダークヒーローK、終焉をもたらす者。」
「2ndスピード。」
俺たちの拳がぶつかる。拳がぶつかったと思っただろうな、顔面にも、腹にも一撃をくらわしてやった。
「くっ、はあはあ。聞かせてくれ、二重人格なのか。なぜ、スーツが黒い。なぜ、目が赤い。俺は本気で行くぞ。」
「『OVER DRIVE』」
「いいかよく聞けよ。京は表。ここまで言ったらわかるよな?外国人!つまるところ、俺は裏だ。全てを滅するまで。戻らない。憎悪、恨み、辛み、悲しみ、人間には感情がある。俺は不自由だった。閉じ込められていた。聞こえるか。京。一部始終を見届けるといい。お前の言ったとおりだ。俺は、誰にも止められない。」
「一見、無限増殖に見える。だが、そうなんだろう?全て残像なんだな。なあ、そうだよな?」
「数で、敵わないなら質だ。この言葉は嫌いじゃない。」
「おいおい。舐めてんのか?」
「言え。通信機に向かって、俺が言ったセリフを吐け!!」
「わかった。」
「緊急招集だ。ジャディシャルズ集まってくれ。」
「敗因は、俺が誰にも見えないことだ。」
「俺の正義を執行する。」
―Apfel―
――1年前――
俺はこっそりと気づかれないようにパラメデスから様子を伺っていた。
「ん?合ってます?時間って本当に複雑なんですよね。ですが、私は間違えませよ。あなたは………」
奴の周りだけ、時間が。というより、背景が歪んでいた。何をしたかは、知らないが、只事じゃねえな。京は、スーツを装着した。どこの技術か知らねえが、もしかして京世良じゃねえだろうな。おっ、京が身元を隠すためか、自身の声を変えたな、ここにいると、奴の精神がどんな行動を取るのか。また、どんな思考なのか。伝わってくる。まさに、一心同体。この時から、俺は体を乗っ取るチャンスをうかがっていた。体さえ手に入れば、こっちのもんだ。できれば、京にとって最悪のタイミングで手に入れたいとそう思っていた。お、冷静に行くつもりか。
「おかしいね。」
「おかしい?何がですか?」
「これは、なんらかのトリックかもしれないからさ。一見すると君が、突然と現れたように感じられる。しかし、もし僕の家に潜んでいたなら、それは可能だ。ベッドの下。押し入れ、さては………天井だったりしてね。」
「おもしろいですね。そう簡単にはいきませんよね。私は、ストーカーみたいなものですね。」
「いつからここにいたんだい?それにしても、なんで僕の住所を知っているんだい?僕は今から大学なんだよ。これじゃあ、遅刻するじゃないか。」
「簡単な話です。私達の技術をもってすれば、情報を得ることなんて、容易いです。ええ、もちろん戦う気はありませんよ。遅刻だって、私なら、帳消しにできるんですが、いかがですか?」
俺は凶だがな。
「君の名前は?」
「ヒーローK。私は、アプフェルといいます。」
知らねえな。誰だよ。浮いてるな。どう見ても、日本人には見えないが、海外にもパラメデスは出回ってんのか。
「何の用だい?」
「時間を歪ませて、1年後からやってきました。」
なあ、京。聞こえるか。
「てっきり、時間を超越してるのは僕だけかと、で?なんだい?アプフェル君。」
聞こえねえのか。
「私と組みましょう。」
は?
「ん?なんだって?」
「名前はなんでもいいんですけどね。」
「何がいいですかね。近々予定のあった。
マグニフィセント。ジャディシャルズの私を筆頭に、あなたを加える。本物のヒーローはどちらなんでしょうか。あなたか、それともセブンスターか。
NGM。これは、単純にNumberとGravityとMeasureを合わせたものです。私達は3人で一組ですからね。もちろんこの場合ヒーローK、あなたがリーダーですよ。
Fantastic③。ファンタスティックには
素敵、とてつもない、奇抜、異形、とてもすばらしい、希代の、稀代の、奇なる、奇体な、奇態な、浪漫的といった意味合いがあります。いかがでしょうか。おっと、各所から怒りを買ってしまいそうですね。やめておきましょう。
ノーカラーズ。我々には、色がありません。"色の無い者達"どうですか?かなり響きが好みなんですが。ですが、ありきたりですよね。もしくは、『襟なし』なんて、いかがでしょう。『モノクロム』なんてのも、いいかもしれませんね。『ダークサイド』はやめておきましょうか。
ブランク。空白を埋める。だから、ブランク。"彼"は、わかりませんが。私達は、時間を超越できます。そうですよね?さてと………どうしましょうか。」
ダークサイドで決まりだろ。ん?彼ってのは、誰だ?
「ちょっと待ってくれ。勝手に話を進めないでくれ。」
「あ、すみません。未来のあなたは、既に私の仲間なので。先に名前だけ決めても、問題ないかと。」
「決定事項なんだね。仕方がないなぁ。」
「そういえば、もう1人いるんですよ。」
おそらくだが、チームの3人目。途中で出てきたチーム名から察するに、Measureの力を持つもののはずだ。一体誰なんだ?
「もう1人とは?誰だい?まさか、セ…」
なあ、京。セブンスターとでもいいてえのか。なわけねえだろ。メジャーって言ってたろ。尺度だよ。尺度。セブンスターに興味をそそられるのは、わかるけどよ。俺の次元では悪に堕ちたぜ。
「私は、グラビティ。あなたは、ナンバー。そして、尺度、メジャーが必要ですよね。そのメジャーの力を持つ者が見つかったんですよ。」
ほらな、俺の予想的中だぜ。
「失礼、物?君は今、物って言ったのかい。」
くだらねえことを。大学生なら、もっとマシな文言思いつくだろ。それじゃ、酔っ払いのおっさんと変わらねえぜ。
「二本足で立ちますが、彼は人間ではありません。」
非科学的。且つ魅力的な発言だな。人間じゃねえか。戦ってみてえな。
「ちょっと待っててよ。スキップはしたくない。いつも、残念な結果になるし、簡単に勝てちゃうからつまらないんだ。」
おい、スキップしろ。手っ取り早いだろうよ。相変わらず頭かてえな。
「Oh, my my ネタバレしてしまいましたね。記憶消して起きましょうか?」
「いや、怖いよ。やめて。」
何が怖い?ついでに、トラウマも消してもらえ、ああ、そうだな。記憶の共有もしている。俺はここにいるだけで、京の記憶にダイブできる。京の記憶の中でも、中学生の時の記憶が1番重い。誰かさんが、語ってたような。過去に執着しないとか言っておきながらよ。たまに、夢に見るんだよな。よくうなされてる。
「では、1年後源高校の校門でお待ちしていますので。」
「え?」
消えたな。行きてえが。体の自由が利かねえ。
―Face of TRANSCEND―
で、話はさっきに戻る。ここだな。体は俺が支配している。源駅から本当に近いな。記憶によると………我王獅子丸の母校。源高校か。確か、三好青空の母校だったよな。おっ、誰かいるな。チャコールグレーのズボンに黒いタートルネック?暑くねえのか。季節間違えてんだろ。冬じゃねえぞ今は。あ、そっちはチゲぇな。京のフリしてやるよ。
「やあ、ニュートン君。1年ぶりかな。彼に会いたいんだけど………」
「どこにいるのかな?………でしょうか?」
「おっと、誰ですか?凶って。」
は?なんなんだよ。まさかだけどよ。読まれてるのか?
「誰をお探しでしょうか。数多凶さん。」
おちょくってんのか?
「お前、誰だ?ポール・ニュートンはグラビティ。重力野郎だぜ。変身野郎じゃねえ。」
「変身?何を言ってるんですか。未来予知ですよ。」
はぁ?こいつ、アニメ見すぎだろ?
『な、なんだ?呼んだか?』
出てくんな。歴史也。
「ダークヒーローK。いや、数多凶さん。あなたは、今日、Mr.Gを倒した。どうやったか、知りませんが。そして、その黒いパラメデス?を使って、高速で移動して、遥々源高校までやってきた。そうしたら、校門に私がいた。そうですよね。違いますか?」
ことごとく、当てられたな。つけられていた?そんな、まさかな。どんなトリックだよ。
「どうやった?………と言いたげですね。簡単ですよ。『予測』するんです。ただし、的中率は……」
「やあ、トランセンド。何してるの?」
と、とらんせんど?誰だ。
「AZ。邪魔しないでくださいよ。僕は、勧誘している最中だったんですよ。」
「ごめんね。」
次から次に、困るなあ。俺は戦いてえ。うずうずするぜ。
「お前は誰だ?」
「ヒーローネームをトランセンド。エリオットと言います。数多凶さん。」
「さりげなく握手してんじゃねえよ。」
「顔を戻しますね。これが、僕の本当の顔です。」
イケメンかよ。反吐が出るぜ。この外見至上主義の世の中でよ。いいご身分だな。しかも地毛で、金髪だと?くっ。ぶん殴ってやるよ。その綺麗な顔面をな。
「よろしくお願いします。」
がっしりと、力強い握手をした。この野郎。握手じゃねえ。手刀だ。
「彼は、アズです。」
「よろしくです。凶さん。」
「何がよろしくだ。緊急招集されたんじゃなかったのか。」
「我らのリーダーは、ヒーローKと肩を並べますから。」
「セブンスターだろ。こっちは何の能力なんだよ。」
―AZ―
そんなこんなで、俺とアズは、セブンスターの元へと向かう。
『凶………』
出てくんな。俺の番だ。京。
「大丈夫ですか?京さん………」
「ジャディシャルズをぶっ潰す。」
「あなたがやぎなら、僕はおおかみですかね。」
「それとも反対でしょうか。」
「かかってこいよ。アズだったか。ちょうどいいなあ。あずにゃんとでも呼んでやるよ。」
「みなさん、ここは僕に任せてください。」
「これでも、ジャディシャルズの一員ですから。」
「こちら、セブンスター。頼むよ。アズ。」
京に似てんな。まさか。こっちのセブンスターは親類か?おいおいおい、嘘だろ?
「はい。」
いや、「はい」じゃねえよ。
「では、行きます。ジェネレーション・ノンフィクション」
僕はアズ。僕の能力は、フィクションをノンフィクションにすること。
おーい自分語り始めんな。
「あなたは老いる。数多凶。」
あれ、おかしいぞ。心の声が老けてる。
まるで、じじいみたいだ。
「何をしたんじゃ。」
喋り口調までじじいに。
「僕は、言葉を発しただけです。それ以上も。それ以下もしてませんから。」
この声からして、70代か。
パラメデスは、自分にのみ適用される。
おいぼれになんもできねえ。
だが、肉体は数多京のモノ。
ここで、もどれば・・・
いや、今の俺なら空気さえ武器だ。
「3rdパワー。タイムズ。」
筋力強化の倍。それをアズにゃんめがけて、放つ。
そして・・・
「2ndスピード。タイムズ。」
「俺の勝ちみたいだな。」
造作もないな。
「こちら、セブンスター………」
「アズにゃん?聞こえるかい?」
余裕かよ。真似すんなよ。俺は、通信機を手に取った。
「セブンスター。俺だ。俺と戦え。」
「君は・・・」
「京に似てんな。なあ、ナナセくん。」
「どうしてだよ!………と言うと思ったかな?後ろを見てごらんよ。」
「は?」
―Micron―
「私の出番ですか。セブンスター。」
「ああ、僕は京君とは戦えないだろうからね。情には勝てないさ。」
「麻酔を使いますか?」
「拘束してほしい。」
「わかりました。」
いいぜえ。わったよ。使う。『アクシオム!』
「アクシオム。コイツを乗っ取れ。ん?反応しねえ。」
「させません。」
「『ACCELARATION』」
オレンジ色?おそらく、高速だ。万能の征服者こと、マイクロン。そっちが、その気なら、俺だってよ………
「2nd、スピード」
どちらも引けをとらないスピードだが、俺にはわかる。俺の方が速い。
「タイムズ」
さらに、さらに速く。
倍にして、加速する。
跳べ。
「お前の弱点は知ってる。範囲内でしか。力を使えないこと。外に出てしまえば、その力も無効化される。」
「違うか?」
「『POWER POINT』」
「Start of power supply」
「このスーツの動力源は、電気なんですよ。」
何だ?赤い発光?いや、違う。青と赤だ。
「どれだけ速くても、重い一撃にはかなわない。」
いてええ。やるじゃねえか。
「かはっ!!おもしれえ。やるじゃねえかよ!!」
プラトンを使うか。しかし、使えば戻る。どうする。待てよ。思いついたぜ。俺は、プラトンを取りだし、胸に収納する。少しの間なら………
「7th、ラッキーを使う。」
《想像してください。誰でも呼ぶことができます。》
数多凶。そして、意識は京に。
―I’m 7th―
肉体が構築されていく。ラッキーは名前を呼ぶだけで。助けを求められる。まさかよ、自分を呼ぶことになるとはな。
「安心したよ。僕が7番目でね。おっと、君は7番目を使ったみたいだね。初めまして。そっちのK」
「京はどこかな?」
「どう考えても、不利だ。教えるわけねえ。」
「僕には、触れないほうがいいよ。」
は?触れねえと攻撃できねえだろ。
「まあ、触れたらわかるよ。」
一撃必殺で行くぜ。
「やめろ」
こ、この声は………
「まだ繋がっているんだ。思考は繋がったままだ。君の記憶が流れ込んでくる。辛かったんだろう。僕達はそういう宿命なのかもしれない。今まで、辛かっただろう。ねえ、セブンスター会えてうれしいよ。でも、僕に任せてほしい。」
「京なのか?」
「そうさ。僕は、君を知らなかった。君の記憶を追体験したんだ。そしたら………う………なんでだろうね。涙が止まらないんだ。君はそれを、戦うことで紛らわしているんだろう。もう戦わなくていいじゃないか。」
泣くなよ。なんかよ、俺まで悲しくなっちまうだろ。思い出すじゃねえか。どうしたらいいよ。俺はよ。別に助けを求めてたわけじゃない。戦わないか………そんな選択肢俺には、なかったな。だけど、今思うと真っ当な気がしてきた。
俺は、何を求めていた?
『あなたはやり直せる』
『まだ、始まったばかりだ。』
『もちろん助けますよ。』
『今がその時だ。』
よせよ。俺は、俺はジャディシャルズをぶっ潰すんじゃなかったのか。
そこに、セブンスターがいるんだ。倒せば、だがよ。ちょっと待ってくれ。
『どこに行くのかな?』
『邪魔になるだろうからな。ジャディシャルズをぶっ潰してくるぜ。』
『君に何ができる。何もできないじゃないか。』
『あのよお、俺だって必死なんだ。俺の名前に刻まれた十字傷は何かを表してる。彼らみたいにな。俺だって、ジャディシャルズだった。もういいんだ。辞めてやる。だって、上手くいかねえ。そこに続ける理由はねえよ。だから、俺がこの手で終わらせる。ケジメをつける。あんたは、自分が正しいと思ってる。真似してなんになる。いいか。よく聞けよ。傾聴しやがれ。最初は真似できねえんだ。だから、先駆者は偉大だ。だから、皆偉人と呼ばれる。それに伴ったモノが与えられる。俺は、偉人じゃねえが、ここで話してやってもいい。なあ、スターフィールド。』
『僕は、何も知らないんだ。』
明らかに動揺していた。その同様を隠せないでいた。地上に打ち上げられた。魚のように、口をパクパクとさせて、何かを喋っているに違いない。聞こえてこないがな。
『違うのか?今は、アンタだろう。スターフィールドさんよお。望めばなんだって手に入る。どんな逆境でも上手くいく。何度だってやり直せる。その力を、手に入れたんじゃねえのかよ。俺は、なったかもしれねえが、本人には、知らされない。それが、世界大統領だろ。だから、自分で気づくしかない。優しく教えてくれるやつもいる。例えば、本のタイトルにしたり、曲の中にヒントを与えたり、他にもあるだろう。噂をしていると思ったら、自分のことを言っていると感じられたら、それはミスリードで、反対にしたら、実は、これから起きることを予言していたり、と、俺は、誰が決めたか、知らねえがよ。どうも、世代ってやつが現れてからおかしいぜ。もう始まってんのか?』
『世界大統領は―――なんだね。』
『わからねえよ。俺は、歴文也がドミヌスだと思っていた、世界大統領だと思っていた、何故かって?死なないからだ。おかしいだろ?交通事故にあったのに、死なないなんてよ。何かに守られてるとしか、思えねえ。あとよお、ひとつ気になることがある。ヴァイヴァロス、インヴィクタス、カイザー、アクシオム、スプレマシー、ホープだったよな。こいつらが、世界を創ったんだよなあ?おかしくね?』
『何が言いたいんだい?』
『ヴァイヴァロスは、Vだろう。インヴィクタスは、Iだ。勘のいいやつなら、ここでもうわかる。カイザー、アクシオム。KAになる。で、スプレマシーとホープときた。SHってなんだ?』
『まさか………』
『VIKASHってなんだよ!!!』
『わからないよ。何かの名前じゃないかい?』
『でよお、視線を感じるのはなんでだ?誰か見てんのか?』
俺は、後ろを見る。そこにズタボロの数多京がいた。なあなあなあ、やられたのか。俺は、未来を知っていた。俺がぶっ飛ばして、セブンスターも俺がぶっ潰すはずだったのに。まるで、そこに新しい時間が現れたのかように。俺の知らない。京がいたんだ。
「
『なあ、俺が禁忌を犯したのか。何がどうなってる。』
上手く喋れなかった。まるで、神の怒りに触れたのかのように、俺は、ありとあらゆる痛みを感じ、スターフィールドと京が戦っているところを見た。
「目を覚ますんだ。彼は僕なんだ。」
「違うじゃないか。君は1人だ。たった一人だ。目を覚ますのは君の方だ。」
あれ、俺、誰だっけ?あれ、俺、何しに来たんだっけ?あれ、俺は、今現実を見ているのか。
あれ?俺、生きてんだっけ?
『そこまでだ。君は死んでいない。生きてるじゃないか。』
違うんだ。俺は確かに、うぅ、内臓を洗われてるみたいだ。
『不老不死の実験に相応しい人間がいる。』
『痛みを感じないのか?何度目だ?』
『記憶を消せ。思い出されては、困る。』
『強君、頑張ったね。君、本当に強いんだね。』
『俺、ヒーローになる。』
俺の声か。声変わりする前だ。いつん時だ。
『臓器は摘出したか?』
なんか聞こえるな。誰だ?
『麻酔はするな。』
何を言って………
『もし、気づいたら、どうする?』
『永遠の生だ。』
待ってくれ。
俺がそうなのか?不老不死なのか?
『僕は怒ってるよ。スターフィールド、君がやったんだろう?』
『違うんだ。彼なんだ。』
『頼むよ。ねえ、教えてくれ。僕は、死ぬ運命なのかい?なんで、彼の胸に大きな穴が空いているんだ。』
ちょっと待ってくれよ。俺、生きてるぜ。なあ、京。俺、死んでねえよ。穴?何言ってんだよ。俺生きてるだろ?死なねえんだよ。俺は、死んでねえ。生きてるって。だって、お前が生きてるじゃんか。
だがよ、胸に違和感があった。空虚で、空白みたいな違和感。
俺は、胸に手を当てようとする。だが、触れられなかった。そこには、穴が開いていた。まるで、大砲で、撃ち抜かれたみたいにな。人の拳が余裕で貫通できる程の穴だ。そこには、人間にあるはずのものがなかった。俺の心臓はどこにある。心臓がないのに、血が流れている。俺の胸には、心臓の代わりに12面体が入っていた。体は再生すると、その12面体を覆った。
「………るか」
なんだ?なんて言ってる。
「………こえるか。」
「ああ、聞こえてるぜ。はっきりとな。」
「遅かったか」
「歴が残ってるだろ。」
「頼んだ」
「任せろ」
※世界大統領…こちらについては、「20」を参考にしていただきたい。
「㐂」New World Lorders
Ultimatesより:我王獅子丸
「準備はいいか。挙手しろ。全員の手が昇りし時、日は沈む。挙げたな。これより会議を始める。俺が執り行う。随所より、それぞれのリーダーに集まってもらった。俺が何をした以下は、わからないだろう。話すべきは、この次元の今後だ。そして、歴史也について。」
Judicialzより:数多七星
「えっと………皆さん、初めましてですね。よろしくお願いします。数多七星と言います。ジャデイシャルズでリーダーをしています。能力については、開示しません。まだ、話すべきではないと判断しました。時が来たら、話します。」
AMTより:数多京
「おっと、七星。久しぶりじゃないかな?僕も数多です。名前は京です。どうも皆さん。僕の正体を知っている人は少ない。彼も、歴史也君も知ってる。セブンスター君は歴史也君をどうしたいんだい?おっといけない。僕の能力は、ナンバー。神の創りえし全ての1つにして、日本という国なら、最強さ。負けなたことがないね。いやいや、もちろん。挑発じゃないよ。AMTの最高権力としての誇りだよ。」
数多七星
「京くん。仲間にしたいとは思ってるよ。」
???より:―――世代
「えっと、何から話しましょうか。世界大統領は来ていますか。おっと………」
Magnificent(仮)より:Mercator Meter
「Got it. Let's talk in English. Are these meetings being recorded? Apparently, it doesn't matter if you're an enemy or an ally. I am Mercator Meter. It's an honor.」
???より:ZEN
「私を呼ぶとは、いい度胸をしている。話の展開から考えても早すぎるだろ。いいか、本来なら、私はこの章が終わってから登場する予定だった。メルカトルもそうだ。それが、何者かにより、登場せざるを得なくなった。ここには、名前を明かせても、正体を明かせないものが多くいるはずだ。誰が、私達を招集した。そして、何を企んでいる。」
次回までどうぞよしなに!
Please wait until next time :-)




