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If I wasn't me 俺が俺じゃなかったら  作者: VIKASH
Judicialz-ジャディシャルズ
11/24

「11」 イレブン・レイブン




「え、何のことですか?(たちばな)君。本来ならあなたは、僕に昨日ぶりだな。(すめらぎ)。と言うんじゃないですか?どういうことですか?」


 その口から吐いた台詞はあまりに空虚で、別人のようだった。とても橙星(あかせ)の発言には思えなかった。やっぱり………俺の予想は当たっているのか?アカセは橙星じゃない?本当なんだとしたら、俺でも腰抜かすぜ。


「は!?」


 NBA野郎も動揺してんな。今のは、(たちばな)の声だ。迫力のある声だった。例えるなら、その一言に気がこもってるみたいにな。気といえば、ドラゴン………なんでもねえ。煩わしいか。俺のアニメ好きがこうじてる。気にしないでくれ。


「とぼけんな!俺の代わりになるだとか。俺の存在を消すとかどうとか言ってたろ!あれよ、お前が言ったんだよな?お前が言ってたんだよなあ?だとしたらおかしいぜ。なんでその当人であるお前が覚えてねえんだよ。」


 俺は、橙星に畳みかける。言わせてもらったぜ。ここで言わなきゃ男じゃねえよな。にしてもよ、ここでしらばっくれる気かよ。とんでもねえな。絶対逃がさねえ。

 待て待て、一旦冷静になれよ俺。別の可能性でアプローチしてみる。よくよく考えてみれば、あのロボット達を操縦していたのは、橙星に他ならない。

 つまりだ。教室を埋め尽くすほどロボットがいたんだから、精神的な負荷がかかってもおかしくはないわけだぜ。ということはだ、橙星はその精神的負荷により、今現在記憶喪失になっているかもしれねえ。

 そして、もうひとつ………俺には気になることがあった。


「本当に覚えてねえのか?証拠もなんもねえけど、確かに俺が覚えてんだよ!どういうことなんだよ!待てよ、証拠ならあるじゃねえか。この目の前の荒れ果てた教室。この惨状は、どう説明する?大災害がこの教室にだけ来たとでも説明するのか?それはおかしいだろ?」


 気になること………それは色だ。あの、艶の良い髪の色じゃない。そのオレンジ色の髪とは正反対の橙星の瞳の色………緑じゃねえか。

 さっきは…さっき近づいた時、それこそ瞳の色が見えるぐらいに近づいた時には、橙星の瞳の色は紫だったんだ。にしてもよ、このイケメンフェイスなんでも似合うなって、そんなこと考えてる場合じゃねえな。どういうことなんだ?


 俺はここで、気づくべきだった―――事態の異常さに。見て見ぬふりをする。

 それとはまた違ったが、見たのに、見ていない。その言葉が一番適当かもしれない。


「ぼ、僕は一体………教室が滅茶苦茶だ。まさか、僕のニトロゼウスが………?ちょっと待ってください。ニトロゼウス………ニトロゼウス………反応しない?どうなってるんですか?」


橙星(あかせ)。それはこっちの台詞だぜ。」


「いや、違うんですよ。ニトロゼウスには、カメラが搭載されているので、確認しようとしたのですが、何も………残っていないんですよ。まるで、何もなかったかのように………」


 なんだって?記録されていない?

 俺は、工学については詳しくはないからな、ロボットがなんたるかを説明するのも怪しかったが、俺の見聞(けんぶん)から話せば、ニトロゼウスというロボットには、人型故に頭部に顔のようなものがついている。おそらく、その目にカメラがついているのではないか。と、踏んだ。

 今、橙星は何度もあの指輪を触っている。どうしたんだろうか。ひどく焦っている。

 まさか、故障なのか?カメラが作動していないとなると、故障しているとしか考えられ………  

 待てよ。もしかしてだけどよ、誰かが意図的に切ったんじゃ………わからねえけどよ。ありえない話じゃねえぜ。瞳の色から察するに、橙星は、幻術のようなもので操られていたんだ。

 てことはだ。その術師が、ロボットを操作している、橙星を操り、カメラを切ったとしか………確証は持てねえな。聞いてみるか………


「なあんだよ。暴走か。(すめらぎ)。対処しとけよ。まあ、それにしても本気でも俺には敵わねえみたいだけどな。目屎鼻屎を笑うじゃねえけどよ。自分のことぐらい知っとけよな。」


 めくそはなくそをわらう………11文字か。どうでもいいか。

 ロボットの暴走………なるほど。それなら、説明がつくな。やっぱり。この橘、ただのバスケ好きだと思ってたが、只者じゃないな。俺よりも早く、最適解を出したか。やるな。ここはひとつ、聞いておくか。


「その、聞いてもいいか。」


 俺は、橘に質問する。


「誰だ?ああ、自己紹介の時に手挙げてたやつだろ?名前は確か………」


歴史也(れきふみや)だ。なんで(すめらぎ)って苗字を覚えてる。俺の名前も覚えてねえのに。」


史也(ふみや)だったか?そいつは、本人から聞いてくれ。」


 え?なんでだよ。本人に直接聞く?なんでだ?それなりの理由があるのか?


「ぼ、僕にですか?まあ、いいですけど。僕の一族は、橘さん程ではないですが、由緒ある一族で、お爺様は、あの巨大企業群AMTを牛耳っていたとか聞きますね。ちなみに、母は、AMTの一部である京世良の代表でもある………皇螺旋(すめらぎらせん)なんですよ。あれ?どうしたんですか?」


 俺は、すっとぼけた顔をする。


「何度聞いてもわかんねえわ。AMTってなんだよ。」


「知らないんですか。」


「おいおいそれ、マクドナルドを知らないって言ってるのと同じだぜ。その反応はびっくりだぜ。史也だったよな?調べたことぐらいあるだろ?足利、源、徳川の三大………」


 頭の中で考えて、橘の話が頭に入ってこない。かろうじて聞こえた徳川から幕府の話でもしてんのかと、俺は推測する。まあ、いいか。


「わかった。後で調べとく。にしてもよ。さっきの化け物はなんだよ。たちびなだっけか?」


 俺は、橘の七面倒な話を遮り、名前をわざと間違える。橘の反応が知りたいからだ。それに「あやかし」とやらのからくりも気になったが、俺の質問に対し、どんな返答をするのか。どう受け答えするのか。俺は、少しばかり期待していた。この橘という男に………。


「おい。(たちばな)だ。間違えるな。さっき、名前呼んでなかったか。まあ、いいが。いいか。よく聞けよ。俺はな、(あやかし)の力を借りられるんだ。妖に興味を持ってるようだな。見せてやろうか?」


 なるほど、自己開示か。悪くないな。自己開示は、コミュニケーショにおいて、必須のスキルだ。これができるやつは、まちがいなくコミュ力が高い。

 まさか、橘も優等生なのか?思い返してみれば、俺が事故に会う前、こんな奴はいなかった。随分と優秀なんだな。文武両道を体現したような男だ。


「いや………その………今はいい。」


「と、とりあえず。源先生に報告しましょう!」


 皆、橙星に賛成だった。滅茶苦茶になった教室を出ると、職員室へ向かった。職員室へと繋がる階段を三人で下りていると、下から階段を駆け上がってくる音が聞こえる。どう聞いても女性のものだった。カツン。カツン。と、ハイヒールの音が階段に当たる度、下から聞こえてくるのだ。

 俺の記憶が定かなら、俺のクラスメイトにハイヒールを履いた女子はいない。となると、外部の人間か。俺は、ぶらさげていた腕を上げると、戦闘態勢と思わしき格好を取ってしまったが、先に歩いて行った2人の様子を後ろから見てみると、呆然と立ち尽くしている。橙星に関しては、後ずさりしていた。


「え、母さん。」


 母さん………?


「え?橙星(あかせ)?何しとるん?そいや、ニトロゼウスはどしたん?この前あげたやんか。」


 てことは、さっき言っていた京世良の代表の皇螺旋(すめらぎらせん)か?なんでいる!?この人が、皇螺旋その人なのか。美人だな。髪色は赤毛だった。地毛か、染めたのかはわからないが、橙星のように、瞳が大きい。目力があるとでも表現すればいいのか。そういった点から見ても、似てなくもないか。橙星の母さんなんだよな。でも、よくよく考えてみると髪色が違う。なぜなら、橙星はオレンジだからだ。ひょっとしてだが、橙星は父親に似ているのか?


「その、それが………あはは。」


 橙星は、茫洋とした表情で頭を搔いている。


「ええ?ニトロゼウスは最高傑作やからね?わかっとるん?」


「言いづれえ………」


  言ってんじゃねえか。橘が困窮してんじゃねえか。さっきまで自信ありありだったのによ。


「お母様。すみません。暴走しちゃって………」


 あれは………本当に暴走だったのか?


 瞳の色に関しては俺だけが気づいていたが、今は言う必要はないな。と、俺は判断した。


「なわけ………うーん。確認できてなかったかもしれん。ところで、お母さん。先生になったから、よろしく。」


「はあ!?」


 俺たち三人の内、橘と俺だけが驚いた声を出した。


「あれ?聞いてないん?ワタリガラスのレイブンで手紙出しといたけどね。」


「そ、それが………僕の所にも来てないんです。お母様。」


「なんやて!一大事やわ!創立(あらた)先生と話してくると。」


「はい!」


「………行っちゃいましたね。すみません。お母様!」


 誰に向かって言ってんだか、橙星は誰もいない空間に向かって「お母さま」と言い放つと、深々とお辞儀をしている。敬意の表れなんだろうか。角度は、ピッタリ90度だった。


「いや、いねえよ。なんで皇が謝ってんだ?壊したの俺だろ?」


 そうなんだよな。庇ってんだよ。とても敵になってたとは思えねえんだよなあ。マジでどういうことなんだ?

 謎は増えるばかりだ。ニトロゼウスの暴走。同じくニトロゼウスのカメラの故障。橙星(あかせ)の俺に対する意味不明な発言。

 そして………瞳の色。瞳の色に関しては、特にあり得ない。 加齢によって、虹彩の機能が低下するなどで眼の色が変化するが、緑から紫だ。黒から茶色、灰色ならまだしも………様子を見る必要がありそうだな。橙星からは、目を離せないな。瞳だけに………俺は、つまらないことばかり思いつくな。でもよ、紫の瞳の人間………どこかで、見たことあるような気がするのはなんでだ?

 どっかで見たんだよあ。一体いつだ?記憶が多すぎて把握しきれねえ。まあ、そのうち思い出すだろ。あれ?他にもなんか忘れてねえか?

 あとは………あれだ。じゅりも気になるな。どういう経緯を経てあの関係性になるのか。見当もつかねえ。だって、まだ話してねえんだぜ?時間ってのは、不思議なもんだな。

 今の俺は、濃い霧の中にいるみたいだ。


史也(ふみや)。何考えてるの?」


「いやー、そのな。ん?」


「ん?」


《衝撃に備えろ》


「ヴァイヴァロス!!」


 咄嗟に名前を言ってしまったが、変に思われないだろうか。まあ、小さなことを気にしても仕方ない。テキトウに理由を言っておくか。


「ヴァイヴァロス?誰ですか?史也。」


「な、なんでもねえ。俺の好きなアニメだ。」


 喋ってる場合か。逃げねえと。


「みんな。逃げろおお!」


「え?なんでですか?」


「おい、どうした?」


 間に合うか?間に合わないか。どっちだ?今は、時間操れるのか………


《操れる》


《が、待て》


とま………危ねえな!本当によ。時止めるとこだったぞ。


《すまないな》


Within(対象圏内) target area.Gotcha(了解).」


 どこからともなく、その声は聞こえてくる。


Hey(おい),motherf〇ck(くそったれ)er!!Screw(くたばれ) you!!」


「ウィリアム?ですよね?それに、その言葉遣いどうしたんですか?」


 その間、1秒もなかった。


 BANG(ドカーン)


 な、なんだよこれ。校舎に四角い穴が空いた。七メートル四方の立方体を切り取ったみたいだ。


I'm(私は) micron.(マイクロン)


「日本語の方がよさそうですね。みなさん。ごきげんよう。」


「誰からにしますか?」


「おい、史也。逃げろって言ったのはこいつが来るからか、なんでわかった。だが、今はよ聞いてる場合じゃねえな。『宿禰(すくね)』頼む。………………任せとけ。涼将(りょうすけ)。こいつが相手か。さては、留学生か。眼鏡野郎。学校の使い方教えてやるよ。もちろん拳でな!」


Justice(正義) enforce(執行)ment!!」


「ああん?なんだ?」


 どうする。いつでも時は止めれる。もう止めちまうか。いや、でもよ。橘がウィリアムを倒せる可能性もある。どうする………どうする………俺………。







番外編

「11.5」バナナ・オレンジ


その昔、かの有名な仏陀(ブッダ)は言いました。


「私は、あなたの言葉を受け取らない。受け取ってしまえば、あなたと同じ机で料理を食べていることになるからだ。」


と、やはり………歴史上の人物は、皆賢いのですね。


おっと、申し遅れました。皇橙星すめらぎあかせです!


今日も本を読んでいます。


僕は、いつも5時に起きて、朝からコーヒーを沸かしシナモンロールを食べています。朝食から、シナモンロールを食べる方はあまりいないかもしれませんが、糖分が不足しているので、朝食にシナモンロールは打ってつけなんですよ!


1番いいのは、バナナなんですけどね。まあ、僕はオレンジ派ですが………


シナモンロールの話題が出ましたので、申し上げておきましょう。


休日の学校がやっていない日には、もちろんスターバックスに行きます。


スターバックスのシナモンロールは絶品なのですよ!


いつも、財布と相談をして何個にするか決めているんです。


財布は喋りませんけどね。


今日は、土曜日です。もうそろそろ10時ですかね。


今日は、本を読んでいます。僕は、自己紹介でも言ったかもしれませんが。本が好きです。


小さい頃から、家に本棚が沢山ありました。


どうでしょう。冊数はおそらく、500冊といったところでしょうか。


あ、もちろん全部は読んでいませんよ。


年数を重ねても、とても読める量ではありません。


今日手に取ったのは、『コンビニ人間』という本ですね。


とても面白いです。


主人公はコンビニで働くパートの女性。


そんな彼女が、コンビニでとあるペットと出会うのですが、これがまた摩訶不思議で………


おっと、喋りすぎてしまいましたかね。


ネタバレは厳禁ですよね。


ミステリにおいても、鉄則です。


ところで、この作品は純文学に該当するわけなのですが………勘のいい方なら、わかったかもしれませんね。


芥川賞受賞作です。


そういった理由からも、読み進めています。


おや、読んでいるうちに、お昼になってしまいまたね。


時間がもったいないですね。


「時を戻そう!」


なーんて、言ってみたり。


まあ、戻りませんけどね。


時を戻せたらなんて、言わない方がいいのでしょうね。


まあ、僕は………


おっと、喋りすぎましたかね。


それでは!





次回までどうぞよしなに!

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