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大都市『ファルファラ』


「スフィーダファミリーに行くぞ」


 俺とリヒトは西へ向かってコソコソと街を駆けていた。なんでコソコソしてるかって?そりゃあスクーザとヴェスパに見つからないようにする為さ。

「あーあ、こんな事になるなら最初に『陰影外套』貰っとき

 ゃ良かったな。」

「まあまあ、そんな事言わないでよ。鎌を選んだから、

 君もいい経験が出来たでしょ?」

「人殺しの良い経験・・・ね・・・。」

何だか複雑な気分だ。


 リヒトは走っている最中ずっとニコニコしている。疲れないのだろうか。

「なあ、お前、ずっとニコニコしてて疲れないのか?」

「ん?いーや、全然。僕笑ってるの?」

「ああ、ずっとヘラヘラしてる。なんでだ?」

「そんな事ないでしょ〜」

真面目に答えてくれない。はぐらかしたい事なのか?まぁ、人は誰しも秘密の一つや二つくらいあるよな。


  ー数日後ー

「やっと着いた・・・。」

スラム街を抜け、大きく栄えた街に辿り着く。

「ここは何処なの?」

リヒトがキョロキョロしながら訊く。

「ここは『ファルファラ』という街だ。この辺りで一番

 大きい街で、スフィーダファミリーの拠点がある場

 だ。」

「ふ〜ん。あれ?検問かな。」


「検問か。まずいな。俺身分証持ってないんだよな。」

そう。俺は身分証明書を持っていない。スラム出身なんだから当然だろう。

「あー!やっぱ陰影外套貰っときゃよかったー!」

「まあまあ、もう過ぎた事だししょうがないよ。とりあ

 えず僕の姿は消しておくから、ダメ元で行ってみた

 ら?」


 リヒトに言われるがまま俺は検問に向かい、検問官に話しかける。

「えっと・・・街の中に入りたいんですけど・・・」

「名前と年齢、出身を教えてくれ」

スラム出身と言って大丈夫だろうか・・・

「レオンです。18歳。スラム出身です。」

「そうか。よし、通って良いぞ。」

「え?」

予想外の返答に思わず声が漏れた。

「何だ?まだ何かあるのか?」

「いや・・・その・・・スラム出身でも入っていいんです

 か?」


 検問官はニッと笑って、

「もちろんだ。」

と言った。

「その・・・何でですか?」

思いがけない返答にしどろもどろと訊く。

「ここの領主は自由気ままな人だからな。前科とかが無

 い限り誰でも入れるんだよ。さあ、もう用が無いなら

 行った行った。」

俺は言われるがままに街の中に入って行った。


「随分とオープンな街なんだな・・・」

屋台通りを歩きながらリヒトに喋りかける。

「そうだね〜。あ!秋刀魚(さんま)の塩焼きがある!いこ

 う!レオン!」

 リヒトは屋台の方は走って行く。まったく・・・たまにはアイツも見た目に合った子供(ガキ)らしいとこあるじゃないか。この前ギャングから金品を剥ぎ取ったお陰で金は結構あるからいいけど。

 

 塩焼きを食べつつ、街の中央の一番大きいビルに向かう。頭と内臓を残してゴミ箱に捨てる。昔から苦手なのだ。

「リヒト、そろそろ目的地に着くぞ、いつまで食ってんだ?って、全部食べたのか!?」

リヒトの手の中にある棒を見ると、綺麗さっぱり木の棒だけになっている。残り(カス)も一切ない事に驚いた。コイツ、綺麗に食うな・・・

「それで、目的地って何処だっけ?」

リヒトは秋刀魚が刺さっていた棒を片手間にゴミ箱へ投げ入れつつ、訊いた。

「お前は何回同じ事を訊くんだよ・・・スフィーダファ

 ミリーのビルって言っただろ?」

「ああ、そうだったね。ごめんごめん。」

 

 ー歩く事数分ー

「着いた。」

「へぇ〜、これが目的地のビル?」

俺とリヒトは高いビルを日光を片手で遮さえぎりながら見上げる。すると・・・


「オイ!お前!」

声が聞こえる。まあ、話し掛けられる様な事はしていないし、他の誰かだろう。

「オイ!お前だよ!そこの茶髪のやつ!」

俺か?声が聞こえた方へ向く。そこに居たのは朱色の燃え上がる様な色の髪をした長身の男だった。

「何か用か?」


 朱色の髪の男は、こちらを睨み付け、ズカズカと寄って来た。

「お前、さっきから怪しいぞ?」

怪しい?何がだろう。

「怪しいって、何が?」

「お前、ここが何処だか知らないのか?知ってる奴から

 したらここをウロチョロしてるのが怪しいんだよ!」

男は人差し指を俺の鳩尾(みぞおち)に突きつけて、怒鳴りつける。恐らく彼の言う『ここ』というのはこのビル自体の事ではなく、スフィーダファミリーのビルという事なんだろう。 

「知ってるよ。スフィーダファミリーのビルだろ?」

「そうだ!お前、スフィーダのモンじゃないだろ?この

 街で団員以外がこのビルに近づかないのは暗黙の了解

 だ!さっさと帰れ!」

男は「あっち行け」のハンドサインをする。


「いや・・・俺、このビルに用があるんだけど・・・」

「あぁ?なんだよ?」

「この組織に入団したいんだ。」

男は、一瞬キョトンとした顔をし、ニッと笑った後、頭突きをせんばかりのキャラまで顔を近づけてきた。

「は〜ん、そうかそうか!またマッテオさんに近づく奴

 が来たか!」

「え?えっと、誰・・・?」

「ねぇレオン、あいつ早口になる病気なのかな。」

リヒトは男を指差しながらジトッとした目で視ている。

「じゃあ、まず、俺を倒してから考えるんだな!」

 

 朱色の髪の男はこちらに向かって勢いよく突進し、拳を俺の顔面目掛け突き出した。


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