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自己紹介

 怒涛の清掃時間が過ぎてから、急に寮は静まり返った。寮は、流石は王国の施設なだけあって、魔法で光る高価な石を使っているので夜でも明るい。ただ、今は廊下の明かりは消されている。


 部屋の居室には僕の同期になる一年生が、何をしたらいいかわからずにソワソワしている。1人だけは大きな態度のようだが。


「よっしゃ! みんな、今日は色々忙しくて大変だったろう。だから今日はその労いと、みんなの自己紹介を込めて歓迎会をやろう!」


 居室には、部屋の両側に8つ机があり、部屋の中央は少し広いスペースがあった。4年生はそこに街で買ってきたであろうお菓子を並べる。


「ほら、みんなも座って座って」


 僕らは言われるがまま、お菓子を囲うように座った。


「おっし。じゃあまずは着校おめでとう! 俺は4年のカイン。5号室の部屋長だ」


「俺はハンス。サブ長な」


 カインさんはすごいがたいで、笑顔が素敵な、爽やかな印象の人だ。反対にハンスさんは目にかかるくらい長い前髪がちょっとミステリアスな雰囲気を醸し出している、そんな人だ。


「じゃあ、一年も自己紹介していこうか」


 カインさんは自分の隣に座っている1年生に振った。


「あ、僕はヒットと言います。一般採用で、田舎出身ですがよろしくお願いします」


 それから順に自己紹介が回っていく。ヒットから順にリン、クラウン、シウスという名前だ。


 そしてサウスの次、僕の隣に座っている態度のでかい子に回ってきた。


「俺はユリアン・フォン・フォードだ。貴族採用で、フォード家の次男だ。お前ら、()()()()()


 苗字までしっかりと言うし、よろしくなを強調して言った。たしかにユリアンは身なりも綺麗で貴族っぽい。態度が鼻につくが。


「えっと、僕はエレンです。一般採用でここにくるまでは実家の農作業を手伝ってました。よろしくお願いします」


 ユリアン以外はよろしくと返してくれた。


「よっし、自己紹介終わったな。君らも明後日の入校式が終われば晴れて騎士幹の学生だ! これから頑張っていこう!!」


「ほらほら、みんなもお菓子食べて、遠慮しないで」


 僕らは恐る恐るお菓子に手を出す。


「で、1日目どうだった?」


 カインさんがそう僕らに聞いた。僕らは互いに顔を見合う。誰が喋るかの譲り合い、というより擦り合いが始まっていた。


 この空気に耐えれなかった僕は、返事を話すことにした。


「あの、凄かったです。掃除の時とか、寝室でのこととか。僕らもあのようになるんでしょうか」


 カインさんとハンスさんは一瞬目を逸らした。


「大丈夫だよ! 騎士幹は楽しいところだからな!」


 なんだろうこの返事。僕らの不安を取り除こうとしてくれているのだろうか。


 その後も普通に話をして、歓迎会は終わった。ユリアンのことが気になるが、きっと仲良くできるだろう。


 消灯時間になって、僕らは寝室の指定されたベッドに寝転ぶ。


「朝に上対番が迎えにきてくれるから、指示に従ってな。じゃ、おやすみ」


 カインさんがそう言って寝室の明かりを消した。その時、消灯を告げるラッパが寮に響いた。



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