悠太くん、未亡人に恋をする
ふいに、蓮さんがさっきまで酒を飲んでいたグラスに目が止まる。
涼夏は寝てる、今なら蓮さんもトイレに行っていて、リビングには俺一人。間接キスのチャンスが巡ってきた。
いや、一度手を出したらもう止まれない。自然と伸ばしかけていた手を止める。
蓮さんは、俺と涼夏が付き合ってると思っている。
その俺が、本当は蓮さんが好きだってことは絶対に気取られちゃいけない事実だ。
蓮さんは涼夏の母親で、小さい頃の俺の世話もしてくれた。
風呂にも入れてもらったこともあって、涼夏と同じように叱ってくれたりもした。
俺に取って蓮さんは、第二の母親であり、蓮さんに取って俺は息子も同然。
おいそれと「好きです」なんて言ったら顔を真っ赤にして怒るだろうなぁ。
そう、目の前の蓮さんみたいに。
生まれてからずっと積み上げてきた信頼関係がパーになっちまう。
母親としての自分を優先するだろう。
涼夏を悲しませた俺に軽蔑の眼差しを向けてくる、「冗談です、あはは」なんて言っても、通じず、生きてりゃ御の字、最悪殺されるかも。
俺としても蓮さんを悲しませるようなことはしたくない。
この気持ちをずっと抱えて生きていくのは辛いことだが、彼女の幸せを願うならば、言わずが吉。
この気持ちは墓場まで持って行くとしよう。
「ねえってば」
憧れは憧れのままで。
「おい!くそがき!」
目の前には、文字通り顔を真っ赤にした蓮さんが俺を見下ろして立っていた。
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