閑話 キルシエの花の思い出
この話、X(twitter)で公開している「アレ・テタルの花見酒」という短編を読んでいないと少し意味がわからない内容なので、前書き部分で先に公開します。
時系列としては幕間2の前半のどこかです。
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【アレ・テタルの花見酒】
「ジェイムズさん、大変ですっ」
庭師が血相を変えて駆け込んでくるのは十日ぶりだ。何が大変なのかは聞くまでもない。彼の天敵であるお嬢様の飼う悪童が、また庭師の丹精込めた作品を壊したのだろう。老執事は同情を込めて庭師の肩を叩き、悪童が何を壊したのかたずねた。
「敷き芝に穴が空きましたか? それとも花回廊の生垣が破られた?」
「キルシエの木の下に、あの三人が居座ってるんですっ」
「な、なんですとっ!!」
シュウの破壊活動に慣れつつあった老執事も、さすがに顔色を変えた。庭園の一角で大切に育てているキルシエは、お嬢様の大切な果樹だ。夏のはじまりに収獲する小さな実から作る酒は、彼女の大好物なのだ。それを折られるのだけは防がねばならない。
「シュウ様だけならまだしも、コウメイ様とアキラ様までとは、けしからんっ」
白い小さな花がいっせいに咲き誇るこの時期は、受粉のため庭師以外の立ち入りを禁止している。そこにあの悪童だけでなく手綱までが入り込んだと聞かされては、ジェイムズも黙ってはいられない。老執事は最近使うようになった杖を握りしめ、痛む膝をなだめながらキルシエの木に向かった。
「よー、じーちゃんも花見か?」
「風がとても心地よいですよ。ご一緒にいかがですか?」
「料理はたくさんあるぜ。そろそろ昼も近いし、食ってけよ、な」
息せき切ってやってきた老執事は、キルシエの木の無事を確認すると、三人を叱りつけた。
「ここは立ち入り禁止だと説明してあったはずですよ!」
木の根元に敷布を広げ、そこで料理と菓子と飲み物を囲んだ三人のくつろいだ様子に、ジェイムズの堪忍袋の緒が切れた。
「アキラ様なら魔道具に気づいていたはずです」
「壊していませんよ。止めましたが」
「わかっていて、どうして禁を犯そうとするのですか、あなたたちは!!」
「じーちゃん、あんまり興奮すると身体に悪いぜ」
「ほら、ここ座って」
「これを飲んで気持ちを落ちつけてください」
立ち上がったコウメイが老人の背を撫でながら敷き布の一角をすすめ、アキラがカップを差し出す。
「あなたたち、ここで何を企んでいるのです」
「何も企んでなんかねぇよ。言っただろ、花見だって」
腰をおろしたジェイムズの頬を、ふわりと風が撫でた。手渡されたカップの中に、キルシエの白い花びらが落ちて浮かぶ。
「……花見というのは、花を見るものです」
老人は料理に舌鼓を打つ三人に怪訝な目を向けた。庭師の手入れした花回廊を四阿から眺めるのが、ジェイムズの知る花見だ。茶や菓子とともに花を愛でるならわかるが、花は彼らの頭上にあるし、三人とも眺めてはいない。
「俺らの故郷では、花の下でこうやって料理や酒を楽しむのを花見って言うんだよ」
「花を見ていないのにですか」
「咲いているのを見るだけが、花の楽しみ方ではありませんよ」
アキラはそう言って、ジェイムズの茶器に浮かぶ花びらを指差した。
「咲き誇る姿もいいですが、散りゆく姿も美しいと思いませんか?」
そよりと吹いた風に、再び白い花びらがはらはらと舞い落ちた。その光景は胸に不思議な寂しさを抱かせる。だがそれは悲しみではなく、しんしんと積もる静かな美だと彼は思った。
ほう、と無意識に感嘆の息をこぼしたジェイムズは、悪くはない、と小さく呟いた。花びらの浮いた茶に口をつけ、ほのかに感じる甘い香りに顔をほころばせる。
「料理も食えよ、うめーぜ」
「お酒もありますよ」
「……昼間から酒とは」
「だから言ったろ、花見ってのは花の下で料理食って酒飲んで楽しむものだって」
「花を見ない花見とは、あなた方の故郷は変わっていますね」
呆れた老執事だが、たまには異国の花見に付き合うのも良さそうだと受け入れた。舞い散る花びらに感じた寂しさを、一人で抱えたくないと思ったからだろうか。
「料理と酒だけでなく、菓子もあるのですね。それもこんなにたくさん」
淡い赤に色づけされた饅頭に、草色の団子、チェゴのタルトに花の型にくりぬかれた焼き菓子。料理よりも気合いが入っている。
「俺らの故郷には、花より団子ってことわざがあるんだ」
「シュウ様のことですかな」
頭上の花も、散る花にも目を向けることなく、彼はひたすら料理を口に運び、菓子を楽しんでいる。
ふと頭に何かが乗ったような気がして、老執事は髪を探った。
「……花、ですな」
小さなキルシエの花が、形を残したまま落ちたのだ。
「見て見ろよ、小鳥が花の蜜を吸ってるぜ」
「吸い終わった花をちぎって捨てたようですね」
「……魔道具を止めたから、鳥がやってきたんですよ」
花を鳥についばまれてしまっては、結実は期待できないだろう。ジェイムズのついた深いため息を心配して、アキラが「何故魔道具を設置していたのですか」とたずねた。
「キルシエの木は、お嬢様の好物でございます。初夏のころに収獲した果実で作るお酒がことのほかお気に入りでして」
だが小鳥に花を散らされては、今年の収穫は諦めるしかなさそうだ。
「鳥の一羽や二羽が花をイタズラしたくらいで、収穫を諦めるなよな」
「どちらかというと、散った後のほうが重要ですよ。鳥たちは収穫前の実をついばみにやってくるでしょうからね」
魔道具の役割を理解したアキラは、収穫量までは鳥からもシュウからもこの木を守ると約束した。
「で、キルシエの果実って、どんなのなんだ?」
ジェイムズから聞き出したそれは、親指の先ほどの大きさの、桜桃のことだった。
「パイにすると美味いし、タルトもいいな」
「おー、いいねー。たっぷりクリームのせて食いてー」
「さくらんぼのお酒……味見させてもらえませんか?」
どうやら花より団子なのはシュウだけではないようだ。やわらかく目を細めた老執事は、コウメイとアキラにはキルシエの菓子と交換で酒を提供すると約束し、収獲を終えるまでに庭園を破壊すればお裾分けはしないとシュウに言い聞かせた。
終 アレ・テタルの花見酒
【キルシエの花の思い出】
数種類の豆とともにじっくりと煮込まれた暴れ牛の筋肉は舌の上でほぐれ、たっぷりの赤ヴィレル酒が濃厚なうまみとなって口の中に広がる。菜園から採ってきたばかりのエレ菜とピリ菜のサラダに使われているドレッシングは、蜂蜜でほのかな甘みがつけられており、ピリ菜の刺激をほどよく和らげていた。コウメイたちはパン、リンウッドは蒸し丸芋で煮込みのソースを最後まで味わって満足の夕食を終えた……はずだった。
「果物が足りない」
フォークを置いたアキラのその呟きは、誰に向けたものでもなかったのだが、コウメイの耳には切実な要求のように聞こえた。
「デザートは考えてなかったな。ドライフルーツと、あとはエリンのコンポートがあるぜ」
深魔の森暮らしは肉も野菜も薬草も不自由しないが、果物だけはいつでも好きなだけ、と言うわけにはゆかない環境だ。ハリハルタに出かけた際にまとめ買いしているが、新鮮な果実を楽しめるのはわずか数日で、そのほとんどは加工品にされている。コウメイは冷たいエリンのシロップ漬けを出した。
「いいのか、これ菓子にする用だろう?」
「本当なら新鮮な果物を食べたかったんだろ、遠慮するなって」
「えー、デザートならプリンとか芋ヨーカンとか焼き菓子でいいじゃねーか」
「それはおやつだ。今日のメインはこってりしてたし、アキは果物でスッキリと終わらせたかったんだよな?」
「強請ったつもりはなかったんだが」
申し訳なさそうに、だが果実の食感を残したコンポートを嬉しそうに、アキラは口に運んでいる。文句をこぼしつつペロリと一口でシロップ漬けを食べ終えたシュウは、甘味よりも酒がいいと言うリンウッド分に手を伸ばしている。
「次の買い出しで果物を見つくろえるといいんだがなぁ」
今の季節ならピアンかチータ、水瓜あたりが旬だが、どちらも田舎町では手に入りにくい高級果物だ。
「そーいや、森の奥に野生の果物がなってる木がいくつかあったぜー」
「食ったのか?」
「酸っぱそーだったから食ってねー」
野性味の残る果実は加工するには良いが、生で食べてもあまり楽しめない場合が多い。町で売られている果物は、野生種を品種改良して栽培したものが中心だ。
テーブルを片付け、リンウッドには酒のお代わりを、自分たちにはコレ豆茶をいれて落ち着いたコウメイは、アキラとシュウの表情を確かめながら提案する。
「敷地は余ってるんだし、果樹園を作るのも面白そうだと思わねぇか?」
菜園の管理にも慣れてきた。食生活が豊かになるのなら、果樹栽培に手を出すのも悪くはない。そんなコウメイの言い分に、シュウは口をぽかんと開け、アキラは「酔狂な」と眉をひそめた。
「丸芋やレト菜と違って、果樹は難しいぞ。それに苗木はどうやって手に入れるんだ?」
森に自生する野生種ならともかく、農園で栽培されている果樹木は農村単位で厳重に管理されており、よほどの伝手がない限り苗木を外部へ流出させはしない。種から育てることも可能だが、実際に収穫できるまでに時間がかかりすぎる。
「伝手ならあるぜ」
そう言ってコウメイは懐から金属製の小さな板を取り出した。目の前に出されたそれの紋章と文字を読み、アキラの表情が引きつった。
「……リアグレンの、農業ギルド証? 何を考えて」
「野菜の種を買うのに必要だったんだよ」
隠れ家の周辺に菜園を作ったとき、野菜の苗や種を入手するために農業ギルドに登録したのだが、取得は簡単ではなかった。仮登録後に実績を示さねばならず、コウメイはナナクシャール島に通うついでに書類を提出し、育てた野菜を持ち込んで本登録を果たしたのだ。
だがこれのおかげで、近隣農家からの種や苗の購入もスムーズだった。果樹の苗木も農業ギルドの証明があればそれほど難しくはないだろう。
「野菜の種を買うためだけに登録したのか?」
「だけってわけじゃねぇぜ。島に行く途中に余ってる野菜も売り払ってたし。ギルドでまとめて買い取ってくれるから助かってたぜ」
そういえば毎回のようにやたら大きな荷箱を背負って出かけていたが、あれはネイトや島への土産だと思っていた。まさか販売していたとは、とアキラの目が丸くなっている。シュウも呆れ顔でギルド証からコウメイへと視線を移した。
「コーメイはどこまで農業を極めるつもりなんだよー」
「極める気はねぇが、会員になっておけば損がねぇし、身分証は複数用意しといたほうがいろいろ使えるだろ」
魔術職ごとに身分証を用意しているアキラと同じだと言うコウメイの言葉に、シュウは納得したがアキラは憮然としている。
だが農業ギルドの伝手があるとわかり、果樹園作りは現実味を帯びてきた。コウメイは思いつく順に果樹名を板紙に書き記してゆく。
「何を育てたい? やっぱりレギルとレシャは定番だよな」
「ピナも」
「わかった、柑橘系はレシャとピナで。あとはバモンはどうだ?」
赤く丸々とした果実にかぶりついて味わった絶望を思い出したシュウが、口内によみがえる渋さに顔をしかめた。
「げー、あれ生で食えねーじゃん」
「ドライフルーツ用だよ。それとアレトバモンは生食できるぞ」
バモンが渋柿なら、アレトバモンは甘柿だ。ほとんど世話の必要はないのにたわわに実るため、農村や町の庭付きの家には植えられていることが多い。手間のかからない果樹は確保しておきたいとこれも候補に入れた。
「あとはエリンとかどうだ?」
「梨かー。俺は食えたら何でもいーけど、育てるのコーメイだろ。いっぺんにそんなにたくさん面倒見れるのかよー」
「やってみなきゃわからねぇが、売り物にするわけじゃねぇし、試してみてもいいだろ」
食べきれるだけ収穫できれば十分だし、余れば加工すれば良い。それでも消費しきれなくとも農業ギルド証があるのだ、ハリハルタやサガストに売ると言う手段もとれる。栽培に失敗し結実しなかったとしても、果物は嗜好品なのだから食べたければ町で購入すればすむ。日本の果物のような完成度は目指していないとコウメイが言うと、アキラは納得したように頷いた。
「そうか、失敗することも考えると、花を楽しめる果樹がいいかもな」
「おいアキ、失敗前提で話をすすめるんじゃねぇ」
「花なんて見ても楽しくねーよ」
「花見、したくないのか?」
野の花畑とは違う、果樹の花々だ。青空の下、花を愛でながら弁当を広げ、菓子を食う。こんな贅沢は他では味わえないぞとアキラがそそのかした。
「いーねぇ、花見団子食いてーな」
「酒を飲むのもいいな。果実酒とか最高だぜ」
酒と聞いて、それまで興味なさげだったリンウッドが顔を上げた。
「酒を作るならチータも栽培せねばならんな」
「俺は酒蔵を作るつもりはねぇぞ」
ヴィレル酒の工房などつくったら、ミシェルが入り浸るではないか。彼女に飲み尽くされるだけならいいが、くっついてくるであろうおまけは始末に負えない。コウメイがきっぱりと酒造を否定すると、リンウッドは残念そうに空になった酒杯を置いてリビングを出て行った。
「キルシエの木は外せないな」
満開の姿を思い出したアキラが、小さな実をつける果樹をリストに書き加えた。開花を楽しめる果樹といえば、レギルとエリンが定番だが、アキラにとってこの世界での花見といえば、キルシエだ。サクランボのような実のなるキルシエは、花も桜によく似ている。
はらはらと散る花びらの下、自分たちを叱りつける声が記憶の底からよみがえった。
「ジェイムズさんに教わったキルシエの酒、作りてぇな」
「パイとタルトもだ」
「じーさん、美味そうに食ってたよなー」
懐かしい声と景色、そしてほろ甘い酒の味を思い出した三人は、キルシエの木は絶対に手に入れようと決めた。
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思い立ったが吉日とばかりに行動を開始したコウメイは、リアグレンの街まで足を伸ばし、農業ギルドで果樹木の入手交渉にかかった。苗木の購入はそれほど難しくなかったが、どうしても収穫までに時間がかかる。どうせならどこかの果樹園で樹木を購入し移植できないだろうかと探りを入れた。
「できなくはないですが、少々面倒ですよ? それに費用もかかります」
「妥当な費用ならちゃんと払うぜ」
「それならちょうどいいものがありますよ」
ギルド職員によれば、リアグレンとサガストのちょうど中間地点あたりの西に、果樹栽培をしていた村があったのだという。
「その村はスタンピードによって廃村になったのですが、残されている果樹は近隣の村人や、討伐に訪れた冒険者らが採取しているらしくて」
もとは農業ギルドの出資で開拓された村だ、果樹木は農業ギルドの財産である。権利のない者に好き勝手にされるわけにはゆかないと、ギルドは村の復興を計画した。だがスタンピードの起きた村に住人は戻りたがらず、また移住したい者も現れない。
「収穫したものを大々的に販売していれば取り締まるのですが、自分たちで食べる程度ですから摘発も難しくてね」
復興が無理なら、果樹だけでもどこかの村に移植したい、ギルドは前々からそう考えていたらしかった。そこにコウメイが果樹の買取と移植を相談に来たのだ、ギルドとしても損のない話だと乗り気になった。
「取引き、成立だな」
「ええ、近いうちに職員を派遣して手筈を整えます」
廃村の果樹一覧を挟んで交渉を済ませたコウメイは、前金を支払って契約を交わした。予定していた以外の果樹も買い付けたが、アキラたちは文句は言わないだろう。いや、運動場が狭くなるとシュウは愚痴を言うかもしれないが、果実から作られる菓子を羅列すれば懐柔は可能なはずだ。
移植果樹のリストを持ってコウメイは深魔の森に戻った。移植作業は季節を選ぶため、農業ギルドに費用を支払って時期が来るまでの管理を依頼済みだ。
「十二月になったら移植の連絡が来るようになってる。街道沿いの街までは向こうが運んでくる。そこからここまではシュウに任せるぜ」
「力仕事はかまわねーけどさ、ちょっと買いすぎだろー」
予定では六種類の果樹をそれぞれ一株ずつのはずだった。なのにコウメイが契約してきたのは九種類、本数も増えている。
「レギルとエリンと刺の実が三本に、キルシエと青チェルが五本、ピアンとレシャとピナは一本ずつ、アレトバモンはどこに植える?」
コウメイの果樹リストを見ながら、アキラは広いシュウの運動場を見渡した。敷地は有り余っているのだ、一部が果樹園になってもシュウの運動不足の心配はないだろう。
「花見するんだろー、だったら家から遠くねー場所がいーぜ」
「そうだな、窓から見える場所がいいな」
「となると、菜園の一部を移動させなきゃならねぇな」
コウメイは拾った木の枝で地面に印を入れてゆく。ほどよい間隔をあけ、日照条件も計算して移植場所を決めた。
「なー、いつごろ植えるんだ?」
「冬に入ってからだな。移植した最初の年の収穫は期待するなよ」
「えー、レギル狩りしてーのに」
樹木に負担を強いるのだ、無理をさせると根付かずに枯れてしまう。せっかく果樹園から譲り受けたのだ、大切に育てなければもったいない。
「花見はできると思うからそれで我慢しろ」
「団子は?」
「料理も菓子もちゃんと作るから心配するな」
それなら文句はないと、シュウはまだ見ぬ花盛りの庭と団子に思いを馳せた。
「花見にはマイルズさんも誘うかな」
キルシエの花の下でのコウメイたちの奇行を遠巻きにしていたジェイムズも、すぐに彼ら流の花見を気に入り、毎年花が咲くのを楽しみにしていた。酒があればリンウッドも文句は言わないだろうし、マイルズも異国流の花見を面白がってくれるに違いない。
「キルシエの花が咲いたら、ミシェルさんにも声をかけないと」
こんな機会でもなければ、老執事との楽しく穏やかな思い出を語ることはない。
「面倒くせーのがついてきそーだよなー」
「……細目だけなら、金鞭鎖で縛っておけば」
「騒いだらジェイムスさんが階段駆け下りてくるぜって脅せば大丈夫だろ」
アレックスが老執事を苦手としていたのを知ってるコウメイは、ジェイムズとの思い出を語り合う会だと説明すれば、押しかけては来ないだろうと言った。
「もしくっついてきたとしても、ジェイムズさんとの思い出をぶち壊すようなことしたら、ミシェルさんが黙ってねぇだろうしな」
移植の予定地の前で、咲き誇る花とそこに集う人々の笑顔と、起きるであろう騒動を想像した三人は、思わず噴き出すのだった。
10章の連載は9月の22日もしくは25日を予定しています。
確定しましたら活動報告とX(旧Twitter)でお知らせいたします。




