2 港町アウビンの夜
ダッタザートから南西へ馬車で二日。海運で栄える港町アウビンに着いた三人は、早速港へと足を運んだ。
「思っていたより近代的な港だな」
岸壁に立ち周囲を見回したアキラは、賑やかな港を興味深げに観察していた。
石で立派に整備された岸壁には小型の船が数多く係留されており、大型船専用の浮桟橋もあった。建ち並んだ倉庫では人夫が忙しく働き、沢山の荷車が狭い道を衝突しそうな勢いで走っている。脇では人夫たちを顧客とした多くの屋台が並び、潮の香りと肉脂や魚を焼く匂いが絡み合ってあたりに漂い、人々の鼻腔と空腹を刺激していた。
「大型船が着岸する港なんだから、これくらいは整備されてて当然だろ」
「そーか? エンダンと雰囲気が違いすぎねー?」
エンダンの港町はもっと素朴でのんびりしていたとシュウが言うと、あれは役割が違うのだとアキラが説明した。
「エンダンで俺たちがいたのは漁師の港だ。もっと西寄りに大型船が着岸できる港があったはずだぞ」
大型船専用の港が別に作られていて、そちらには海運の安全を守る専用騎士団が常駐しているという話を誰かから聞いていたアキラは、海水浴の時にもそちらには近づかないように気を付けていた。
「おい、あれは銀の」
「なんでこんなところに?」
「あっちの眼帯はもしかして」
行き交う町の人たちの中に、アキラの銀髪やコウメイの眼帯を見て、何人かが素性に気づいたようだった。ここはダッタザートからも近く、冒険者も多く出入りしている。アキラはフードを引っ張ると顔を隠すように深く被りなおした。
「乗船申し込みはあっちだってよ」
人夫をつかまえてたずね、三人は教えられた倉庫列の脇に立つ小さな建物に向かった。煉瓦造りの小屋は、板を置いただけの椅子がある待合室のようになっていた。奥のカウンターでは中年女性が乗船券を販売している。壁に貼られた板紙には、船賃と客室の料金が記されていた。乗船料は人数単位だが、一等以上の客室は部屋単位の料金が掲示されている。
「ニーベルメアまでの乗船賃が五百ダルは安すぎねぇか?」
「客室も食事も別料金だからそんなものだろう。ほら、順番だぞ」
コウメイは東回りの周回船でニーベルメアまで三人分の運賃と、一番良い客室を申し込んだ。
「悪いけど、一等以上の客室は予約って扱いになるよ。入港した船に空き室がなかったら返金になるからね」
「それって部屋別に予約が必要なのか?」
自動的に上級客室や一等客室へ予約をスライドさせることはできないかとたずねたが、返事は否だった。
「それと特別室はおすすめしないよ。もしアウビンで空いていても、次の寄港地で貴族が乗船してきたら追い出されちまうからね。その時上級も一等も空きがなかったら二等に移るしかなくなるよ」
こちらの世界では平民同士なら早い者勝ちが通用しても、相手が貴族となるとそうはゆかない。貴族を相手に占有権を主張することは論外だった。
「じゃあ上級と一等をそれぞれ予約しておくよ。どの部屋が取れたかわかるのはいつだ?」
「明日の二の鐘が入港予定だよ。出港の六の鐘までにここに来てくれれば大丈夫だ」
上級客室と一等客室の予約券をもらって、コウメイたちは港を離れた。
「予約番号が上級が四番で一級が三番か」
周回船の客室数は船によって異なるが、だいたいは特別室と上級室が各一つか二つ、一等室が六部屋なので、アウビンで上級客室の乗客が全て下船しなければコウメイたちには回ってこないだろう。
「一等でも十分だろー。外野の目を気にしねーでいい空間があるだけでも気が楽だし」
「そうだな。寝心地はハンモックに期待するか」
「シュウは寝相がなぁ。絶対ハンモックから落ちるだろ」
「落ちねーよ。俺はベッドからだって落ちたことねーし」
身体の一部がベッドの上に載っているなら落ちたことにならない、というのがシュウの主張だが、主観と客観には温度差があるものだ。コウメイとアキラはシュウが寝ているハンモックには近づかないようにしようと視線で話し合ったのだった。
+
港に近い宿屋には明日の周回船の乗客が何人も泊まっていた。夕食をとりながら聞いた話では、二等や三等の客室は自分の寝床スペースを確保するために、着岸前から乗船者列に並び、場所を押さえに行くのだそうだ。込み具合によっては十人が定員の二等客室に定員以上の乗客を入れることもある。体格のいい者が場所を広く確保したりするので、とにかく早い者勝ちらしい。
「上級も一等も取れなかったらどーする?」
プライバシーのない雑魚寝部屋は嫌だぜ、とシュウが赤身魚のステーキを食べながらアキラに問うた。
「別に急ぎじゃないんだ、十日後の船に変更すれば問題ない」
「アレックスに頼まれた仕事は大丈夫なのか?」
焼き魚の小骨を取り除いていたコウメイは、アキラの返事に首を傾げた。アレックスのお使い仕事の都合で船便を選んだのではなかったかと問うコウメイの疑問に、アキラは肩をすくめた。
「日時も場所も何をどうするかのも一切指示なしだ。向こうから接触してくるから、荷物を受け取っておけ、だそうだ」
「ヤバイ裏取引みてーだな」
「なんか物騒なものでも運ばされるんじゃねぇだろうな?」
コウメイが心配するのも当然だろう。アキラだってこんな怪しげな仕事は嫌だと最初は断ったのだ。だが陸路を選んでも海路を選んでも、アレックスの知り合いが頃合いを見て接触すると言われてしまった。どういうルートを選びどんな旅程を組んだとしても、アレックスはそれを探知して接触することができるらしい。アキラは足掻いて挫折感を味わうよりは、諦めて受け入れた方が精神的に楽だと悟っていた。
「で、その荷物をどーしろって?」
「ニーベルメアの内偵が終わったら、ナナクシャール島まで持ってこい、だと」
「は? 何年かかるかわからねぇ内偵仕事だろ? その間ずっと保管しとけって?」
あまりにも大雑把すぎる指示にうんざりしたようにアキラが唇の端を吊り上げて笑った。
「必要であれば使ってもかまわないということだから、魔道具か魔武具じゃないかと思う。たっぷり使い潰させてもらうつもりだ」
アレックスからの指示は「受け取った品をナナクシャール島に持って帰れ」だった。品質に関しての注意はなかったのだ、使ってかまわないというなら存分に活用しようではないかとアキラは冷気を漂わせつつ笑んでいる。おい、誰か扉を開けたか? 窓を閉めろ、寒いぞ、と食堂の客の声が聞こえてきはじめたところで、コウメイは機嫌を取ろうと小骨を取り終わった焼き魚の皿をそっと差し出し、シュウは空になったアキラのカップにたっぷりと酒を注いだ。
「そういやニーベルメアでは何をするんだ?」
内偵といっても何を調査するのだろうか。まだ業務内容の説明を聞いてないぞと言うシュウに「詳細は部屋に戻ってから」と答え、アキラは焼き魚と穀物酒を堪能したのだった。
+
「今のところ分かっているのは、調査業務ということだけだ」
ミシェルからの指令書に書かれていたのは、ニーベルメア国のウナ・パレムの街にある魔法使いギルドを調査しろ、だけだった。
「何を調査しろって?」
「はっきりしないが、おそらく財務調査とか、在籍魔術師の照合とか、あとは他職ギルドとの関係あたりじゃないかと思うんだが」
「何だよ、曖昧だな」
アキラは手のひらでもてあそんでいた指令書の薄い本をコウメイに差し出した。
「この指令書、魔道具なんだよ。六ページしかないのに、ほとんどが真っ白なんだ」
受け取って開いてみれば、二ページ目の途中からは、行間が歯抜けのように開いていたり、何も書かれていない白紙のページまである。
「真っ白じゃねーか。書き忘れとか?」
「いや、ニーベルメアに入るまでは情報が伏せられているらしい」
「……なんかすげぇ面倒くさそうな予感がするんだが?」
引き受けてよかったのかとたずねるコウメイに、アキラは後悔中だとため息で答えた。まさかミシェルがこんな手の込んだ仕掛けを必要とする仕事を、魔法使いギルドのことなど何もわかっていない自分に振ってくるとは思ってもいなかったのだ。
「悪事を暴いて妨害しろとか、裏帳簿を入手して不正を暴けとか、そういう無茶振りじゃなきゃいいんだけどな……」
長年の借りには利息もついているだろうし、アレックスから旅費を受け取っているのだ、今さら断ることもできない。
「なんかスパイっぽくておもしろそーじゃん」
「シュウは何を期待してるんだ」
「キングスマンとか007みてーなやつ?」
「悪いが期待に沿えそうにはないな」
目を輝かせて俺も手伝うからなとやる気満々に宣言するシュウに、アキラは必要があれば指示を出すから、それまでは勝手に動くなよと釘を刺した。スパイごっこのノリでかき回されてはたまらない。
「じゃあアキラがスパイやってる間、俺らは何してりゃいーんだよ?」
「俺はウナ・パレムの街で薬魔術師として活動する予定だ。表向きは今まで通りに三人で冒険者をやりながら機会を待つことになる」
カモフラージュ用の表稼業だと聞いてやる気を出したシュウとは逆に、コウメイは別の言葉に引っ掛かったようだ。
「うん? 薬魔術師?」
「今回は薬魔術師として動け、だそうだ」
アキラは複数ある魔術師証の中から一枚を取り出した。
「白級薬魔術師、名はアキラ、年齢二十歳、出身はサンステン国マーゲイト村、師匠はリンウッド」
「身分証、増えたなぁ」
アキラの手元にある何枚もの魔術師証はどれも本物だ。コウメイが呆れたように言うと、全て正規に発行された本物なだけに質が悪いと皮肉気な笑みが返ってきた。
「新しく魔術師資格を取得した場合、それまでの魔術師証に追記するのが普通だ。わざわざ新しく発行してよこした理由がわかるだろ?」
「合法的な身分詐称ってわけかよ」
「俺、資格ごとに発行されるんだと思ってたぜー」
ババ抜きでもするかのようにシュウの前に突き出された魔術師証は、黒に灰に白に橙に赤とさまざまな色の紋章が記されていた。
「いっぱい持ってんだなー」
「欲しいならやるぞ」
「いらねーよ」
マーゲイトで初めて試験を受けて以降、必要があってミシェルに連絡を取るたびに、魔道具製作やら錬金術やらを叩きこまれ、強制的に試験を受けさせられて資格証が発行されてきた。アキラの手元には、偽名も含め六枚もの魔術師証がある。ダッタザートで作成した冒険者証と合わせれば七枚だ。
「ポイントカードか福引補助券みてーだな」
「集めたからって何ひとつお得なことはないけどな」
むしろ厄介事が増えるだけだ。アキラは薬魔術師以外の魔術師証を小さな布袋に入れて口を堅く縛り、荷袋の奥底へと隠しいれた。
「それでニーベルメアで使うパーティー名なんだが、どうする?」
「今まで三人で依頼を請けても、パーティー名とか使ったことねーよな?」
何故今さらと問うシュウに、パーティーを組んだら名前を付けるのが当たり前だからだ、とアキラは答えた。
「俺たちのように名無しで活動するパーティーは目立つ。できるだけ普通の冒険者らしく装うためにも、今回はパーティー名を使った方がいい」
「ウナ・パレム限定のなんだよな?」
「限定なんてもったいねーよ、ずっと使える名前考えようぜ」
かっこいい名前をつけたいと目を輝かせたシュウが、スリーメンズだとかヒーローズだとか言いながら「どれがいい」と二人に選択を迫る。
「何でもいいが、できれば目立たない名前で」
「今すぐ決めなくてもいいだろ。船旅の間にじっくり考えてくれ」
「おーし、じゃあ気合入れてかっこいーやつ考えるぜ?!」
「……かっこよくなくていいから、目立たないので頼む」
そういえばこいつも転移までのわずかな時間に獣人を選択するくらいには患っていたと思い出したアキラは、シュウに命名を頼んだことを早々に後悔しはじめていた。
+
宿の食堂が営業を終え静まったころ、アキラは大きなタライを借り部屋に戻ってきた。風呂に入るわけでもないのに、床に置いたそれの前に座り、上半身裸になると、髪を束ねていた紐を乱暴に引っ張りほどいた。
「何するんだアキ?」
「髪を染める」
ミシェルからの指令書にはしつこいくらいに目立つなと注意書きされていたし、銀髪の魔術師の名前が広がりすぎていて、このままでは内偵には向かないという自覚はあった。
「そーいや二人とも、昼間もチラチラ見られてたよなー」
「ニーベルメアは行った事ねぇんだ、心配ねぇだろ?」
内偵先が冒険者ギルドならこれほど用心はしなかっただろう。だが魔術師は自分以外の魔術師の存在を意外なほどに気にする者が多いのだ。アキラは何度かアレ・テタルに出入りしてギルド長の仕事を手伝ったこともあるし、ミシェルの弟子である銀髪の存在は広く知られていると覚悟しておくべきだ。
「だからって染めるのはもったいねぇよ」
「染めるのが駄目なら、坊主頭に」
「それだけはやめろ!」
もったいないと繰り返すコウメイをひと睨みで黙らせたアキラは、昼間購入した染髪剤の袋を手に取った。
「おい待て、アキ」
変装の手段として髪を染めるのが簡単で効果的なのは認める。だが染髪剤の分量に対しタライの湯の量は多すぎないかとコウメイが慌てた。タライの湯に直接放り込もうとするアキラの手を寸前で掴み止めてアキラに確認した。
「染髪剤の使い方はそれで正しいのか?」
「水で溶かして髪に塗り付けて待つ、と聞いたぞ」
堂々と答えたアキラに、コウメイは疑いの目を向けて問う。
「湯の分量は?」
「多いに越したことはないだろう? これだけあれば髪を漬けて一度に染められるし」
「アキ、店員に教わった方法を、一言一句変えずに教えろ」
コウメイが睨みつけると、アキラの視線が横に逃げた。
「アキ?」
「……器に染髪剤を入れ、一リルと半の水で玉ができなくなるまで練り溶き、染めたい部分に塗って四分の一鐘の間置いてから、染髪剤を水で洗い落とす」
水で溶かすしか合ってないじゃないかと、コウメイは染髪剤の袋を取りあげた。
「何で教えられた通りにしねぇんだよ!」
「面倒くさい」
染髪剤をちまちま髪に塗りたくるよりも、大量の水に溶かし、そこに髪を漬けこむ方が簡単だ。そう言って不貞腐れたようにそっぽを向いているアキラのこめかみを、コウメイはグリグリと拳で押さえつけた。
「お前ね……錬金薬の調合はレシピ通りにキッチリやるくせに、なんでこういうことは大雑把に手抜きして済ませようとするんだよ。斑ができたらどうする気だっ」
「……染まれば問題ないだろう」
「染まるわけねぇだろ」
錬金薬だって手順を守らなければ完成しないのに、手順と違う方法で染髪剤を使用して、何故銀髪に色が定着すると思うのか。
「俺がやる」
コウメイは奪い取った染髪剤を手順に従って練った。椅子に座らせたアキラの銀髪に泥状になった染料を塗りつけていく。五年もの間毛先を整えるだけで一度も切っていないアキラの髪は、腰に届くくらい長く伸びている。
「面白そー、俺にもやらせてくれね?」
パーティー名を考えるのに飽きたシュウは、部屋の片隅ではじまった即席美容室を見物していたが、面白そうだとやってみたくなったのだろう、コウメイの横に座って手を出した。
「じゃあシュウは毛先の方をやってくれ」
「りょーかい」
机の上に置いた容器から、即席で作った木のヘラで染髪剤をすくい取り、まだ染まっていない部分に塗ろうとするが、垂らされた髪が揺れて落ち着かない。シュウはグッと一房を握って引いた。
「い、痛いっ」
「わりー、塗りにくかったからさ」
「アキ頭動かすな、シュウ乱暴に引っ張るな」
「ごめーん、毛が抜けた?」
「やめろ、禿げる」
「おい」
ぼと。
「あ、泥が床に落ちた」
「……シュウはあとで手伝ってもらうから、今はそっちで見てろ」
コウメイはシュウの手からヘラを取りあげ遠ざけてから、手早く銀髪を染めてゆく。
「三十分くらいそのままなんだから、その間に説明終わらせろよ」
「いや、これ以上説明することはないんだが」
「ホントかよ」
「見ただろう、指令書は後半がすべて白紙だ」
染髪剤の臭いに顔をしかめながら、アキラは淡々と語った。ミシェルから届けられたのは大半が白紙の指令書と、連絡用の魔紙の束、そして常に身に着けているようにと書き添えられていた法螺貝のような形をした小さな銀のアミュレットだけだった。
「何のお守りなのかは書いてなかったのか」
「なかったな」
必要があって寄こしたのだろうからと、アキラは小さな銀の法螺貝をネックレスのようにしてぶらさげている。
「なんだかなぁ」
老獪な魔術師の考えることは理解できないとコウメイは頭を振った。
四半鐘後、染髪剤を洗い流したアキラの髪は、灰色がかったくすんだ茶色に染めあがっていた。
+++
予定より鐘一つ分ほど遅れて大陸周回船がアウビンの港に入港した。
「ようこそ、周回船アメリア号へ」
乗船前の身元登録でアキラは薬魔術師として署名した。深くかぶっていたフードを外して船員に顔を見せても特に怪しまれることはなかったので、変装は一応成功したようだと安堵した。
「やっぱり上級客室は無理だったか」
「一等でも十分だろう。窓もあるし、思っていたより広いし」
「このハンモックがいいよなー。ゆらゆらして気持ちいーぜ」
客室に入った途端に、シュウが畳まれていたハンモックを取り出して壁のフックにひっかけ、荷物の整理もそこそこに寝転がってその寝心地を楽しみはじめた。
一等客室は六畳間くらいの広さの板の間で、荷物を収納するクローゼットが一つと、折り畳みのテーブルが一つ。他には椅子代わりに使用する箱がいくつかあるだけの、殺風景な客室だった。
「土足なのは仕方がないが、落ち着かないな」
「靴はドアのあたりで脱ぐことにして、奥の方は土足禁止にしようぜ」
六つもある箱の半分をドアの側に並べて仕切り代わりにし、そこを靴置き場にした。折り畳みのテーブルは、足を折ったまま床に置いて低めのちゃぶ台として使うことにする。シュウが背負っていた荷箱の中身はクローゼットに片付け、保存食と普段使いの器は箱に入れたまま部屋の隅に置く。馬車の旅でも役立っている座布団を敷いて、ちゃぶ台のそばに座ってみた。悪くはない。
開け放たれた窓からは、潮の香りがそよ風とともに部屋を満たしていた。時を知らせる町の鐘が聞こえてくる。遅れて入港した船だが、出港は予定通りの六の鐘だった。鐘の音が鳴り終わる前に、船体が大きく揺れ、桟橋を離れたのが分かった。
「出港か」
「甲板に出てみようぜ」
ハンモックから飛び降りたシュウに急かされるようにして、三人は客室を出た。
甲板には陸地に別れを告げる乗客が集まっており、岸壁の見送りの人々に向かって手を振っていた。
「海風って思ってた以上に冷てーな」
「マント一枚でそれほど長居はしたくねぇな、風邪ひきそうだ」
「薬草ならたっぷり補充してあるから安心しろ」
それは味覚的にはとても安心できないなと苦笑いして、三人は船体の後ろに広がる引き波を見ながら、離れてゆく陸地を見送った。
※アキラの魔術師証コレクション(笑)
黒級 魔武具師/師匠ミシェル、リンウッド
灰級 錬金魔術師(アレン名義)/師匠ミシェル、アレックス
魔道具師/師匠ミシェル、リンウッド
白級 薬魔術師/師匠リンウッド
橙級 攻撃魔術師/師匠ミシェル、アレックス
赤級 攻撃魔術師(アレン名義)/師匠ミシェル
※ニーベルメアで使うパーティー名が思いつきません。
何か中二的な感じでシュウの考えそうなカッコイイ(笑)名前、無いですかねぇ。




