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拝啓、死望者ども  作者: 丈藤みのる
四月
2/26

四月上旬・二

【四月上旬・一】の続きです。

 昼休み。授業が終わるなり手早く教科書類を片付けた僕は、昼食の弁当を持って、二階の図書室方面を目指していた。


 しかし、用があるのは図書室ではなく、その隣の空き教室に居を構えている文芸部だった。見学可能かを確認したあの後、「じゃあ、昼休みにでも来な」と先輩に言われたからだった。先輩から聞いた話によると、元々は倉庫だったところを初代文芸部員が片付けを条件に譲り受けたらしい。


 先輩呼びなのは、彼女の要求によるものだった。実は文芸部唯一の三年生且つ部長だった先輩本人曰く「先代から部長の座を継いでからずっと部長呼びだから飽き飽きしてたんだよね。先輩って呼ばれたいのよ先輩と‼ あ、でも引退まで部長名乗るのは辞めねえからな‼ ここテスト出るよ‼」らしい。取り敢えず、彼女が先輩とまともに呼んでもらえた例がない事と、感情の起伏が激しい事、ユーモアがある事だけは分かった。そんな事を思い返している内に文芸部前に辿り着く。


「入りたまえ…」


 深呼吸をしてから引き戸式のドアを軽く二回叩くと、教室から妙に厳かな声が発せられた。声質的に先輩である事は直ぐに察しがついた。演劇経験でもあるのだろうかと思いながら僕は「失礼します…」と一言断りを入れてドアを開けた。


「おっすおっす」


 僕が部室に入るなり、声質を朝に会った時の状態に戻して、先輩は軽く手を挙げた。先輩は窓と並行して縦に並んだ長テーブルにくっつけられた一人用の勉強机に座っていた。窓を背にしている分、陽か射したら暖かそうだった。


「こんにちは」


「いらっしゃい。立ち話もなんだし、適当に座って」


 挨拶を程々に、僕は部室に足を踏み入れる。


 入口から入って左側の壁には本棚が居座っていた。壁半分は裕に占めている。眺めてみると、学校の創立が三十年以上前というだけあってか、本棚に収納されている本は背表紙からしてかなり昔に出版されたものから最近のものまでと様々だった。僕は好奇心を刺激されてしまい、先輩の存在を忘れてついつい魅入る。


「おーい…?」


 先輩の声で僕は我に返り、意識が本棚から現実に引き戻される。「すいません」と謝ると、先輩は「いいよいいよ。本好きは大歓迎だし」とあっけらかんと許して、続けて言った。


「本、好きなんだ?」


「好きですね」


 事実なので、正直に答える。


「どのくらい好き?」


 先輩が、また訊いてくる。


「勉強時間外や休日は読書する以外の選択肢がほとんどないくらい、ですね」


 僕は休日になると、溜め込んでいる本を読み進めるか、未踏の本屋を巡り街中で自転車を漕いでいる、俗に言う『本の虫』だった。


「結構ぶっちゃけるね」


 先輩は笑う。


「……すいません」


 喋りすぎてしまうのは、僕の悪い癖だった。


「まあ、いいや。はっきり言えるってことは、自分の言葉に素直ってことだし、その方が書きやすいだろうし」


 僕は素直な人間ではない。そう反論したくなったが、それよりも後者の意味深な発言に気を取られる。


「書くって…、何をですか?」


「ん? ああ、後で説明するよ」


 回答を先延ばしにされるのは、あまり好きじゃなかった。


「それより昼飯食おうぜ。腹減ったろ?」


 言われてみて、初めて腹の虫が騒がしいのに気付いた。僕は「それもそうか」と心の中で思い直し、弁当箱を開けようと席に着いた。訊くだけなら、食べながらでも訊ける。


 ◇


「弁当、誰に作ってもらってんの?」


 先輩が食べながら、僕の弁当の中身を覗き込む。今日の弁当は鮭フレークがふりかけられた白米にきんぴらごぼうと、朝方家庭菜園で収穫したと思われる何かの葉っぱ、朝食に主食で食卓に並べられた魚の塩焼きだった。何の魚かは訊かなかったので分からない。


「祖母ですね」


「そちらのは?」と聞き返したくなるのを我慢して、僕は先輩が口の中の食物を飲み込むのを待った。


「母親じゃなく?」


 先輩は、口の中を空にするなり僕に喋る隙を与えず更に訊いてきた。言葉のキャッチボールをする隙がない。


 僕は聞く姿勢を保つことにした。


「現在は祖母の家に住んでいるので」


「何で? ここ通うため?」


「そうですね」


 僕は質問される側の姿勢を崩さず、受け答えをする。


「最初からこの学校狙いだったん?」


 何か尋問されてるように思えて、怖くなってきた。それと共に、息が段々と詰まる感覚を覚えながらも辛うじて答える。


「進路に悩んでいたところを、卒業生だった母に勧められまして」


「そうなんか」


 先輩は、一旦質問を止めると、自分の弁当に入ってあるプチトマトのヘタを摘まんで口に放り込んだ。


 ようやく先輩の質問攻めが一区切りつき、僕は細く長いため息を音も立てずに吹いた。質問をされると、緊張して呼吸が浅くなるところが、僕にはあった。


 先輩は、そんな僕の心境を察したのか、「すまんね。疲れさせちまったな」と一言謝罪して、またプチトマトを口に含んだ。


 プチトマトは明るい赤色だった。


「綺麗なプチトマトですね」


 我ながら何を口走ってんだと思った。「ちょっと呼吸が出来なかっただけで思考が働かなくなったか、水泳をやっていた頃の僕が呆れるぞ」と自分を責め立てた。


「おっ、分かる? これ、昨日買ったばかりの奴なんだ」


 しかし、先輩は困惑するどころか、凄いものでも見るように目を輝かせた。その目を見て、僕はちょっと得意気になる。


「実家が農家なので何となく分かるんです。兼業農家ですが」


「いやいや。それでも凄いよ。私ん家、そういうのないからさ」


 多分、野菜栽培をしたことがないという意味だろう。だとすると、先輩は市内の中心街若しくはその付近に住んでいるのかもしれない。


 僕は市内の中心部に住まう人たちは野菜を作らないという偏見を抱いていた。そう思って疑わなかった矢先に、特に農業をやっている訳でもない、小説家の中で一番尊敬している荒屋敷雅幸が「ふふっ」をコメントに自家栽培している万能葱の観察写真を自身のブログに投稿しているのを見つけて、その日の内に偏見を捨てた三年前を思い出した。実際は郊外に住居を構えているという話だが、今は関係ない。


「では、本家のお前にこれが美味かどうかを判断してもらおう」


 僕が自分の世界に入り込んでいると、先輩が三つ目のプチトマトを僕に差し出してきた。


「……すいません」


「お?」


「僕、トマト駄目なんです」


「ぬわにぃ⁉」


 先輩が驚いたような怒ったような声を上げる。前触れのない大声が大の苦手な僕は驚きのあまり身を竦める。僕はトマトのゼリー状の中身がどうしても苦手で、我慢した上で小分けにした物を噛まずに丸ごと飲み込むか、ハンバーガー等のそういった味の濃い食べ物と一緒じゃないと、噛むことすらできなかった。その他にも僕が苦手としている野菜は数知れず、多くが夏野菜を占めていた。


「おいてめえどういうことだ農家の血が泣くぞ‼」


 先輩がおどけた口調で一気に捲し立ててくる。


「本当に駄目なんですよ。中のゼリー状のが。ええ、はい」


 返答しにくい問いかけと騒がしい環境を嫌う僕は聞き流したい気持ちになって、顔を顰めながら答える。我ながら相当失礼な表情で受け答えをしていると思ったが、先輩なら許してくれるだろうと特に根拠のない確信が僕の中にはあった。実際に存在はしてないが、幼少期によく遊んでもらった近所の年上の幼馴染のように感じているのもあるかもしれない。もし表情が失礼極まりないと指摘されたら「トマトのゼリーを想像してしまった」と誤魔化そう。


「よし! なら今日克服しよう! いや克服させてやる! いやしろ! これは先輩命令だ!」


 案の定、僕の表情を無視してくれた先輩の声はふざけていたが、言っている内容は、横暴極まりなかった。


「間に合ってますので結構です。それと、最後の台詞パワーハラスメントです」


「あー…。それの所為で退職する人多いって話だからねえ…。って、話逸らすな‼」


 脱線に脱線を重ねたのはあんただろ。内心ツッコミを入れるが、流石に口が悪過ぎるので、口には出さなかった。


 ここまで会話をして、また分かったことが二つある。


 先輩はかなりの暴君であるが、本気で怒っていない時は基本ふざけた口調である。


 ◇


「じゃあ、食べ終わったところで、早速始めますか」


 昼食を食べ終わって弁当を仕舞うなり、先輩は机の中とリュックを漁り出した。これから一体何が行われるのだろうか。


 僕の考えてることが顔に出ていたのか、先輩は、僕をちらりと見た。


「昼飯前に言ってたやつ」


 そう言って先輩は「ほいこれ」と机の中から原稿用紙と筆記用具を取り出し、僕に手渡してきた。原稿用紙を見て、僕は先輩がこれから僕に何をさせようとしているのかを察した。


「読書感想文、ですか…?」


「違う」


 即座に僕の予想を否定しながら先輩は、腰のポケットからスマートフォンを取り出し、そのまま弄り始める。


 何をしているのかと気になっていると、先輩は言った。


「今からお前には、このタイマーが鳴るまで、自分史を出来る限り書いてもらう」


「自分史?」


 先輩の意図が分からず、思わずオウム返ししてしまう。


 先輩は構わず続ける。


「またの名を自分綴り若しくは自分歴史。……響き悪いな。ごめん、忘れて」


「忘れました」


「よろしい」と先輩は言って、続けた。


「昔を振り返って自分を見直すって大事だからさ。そこから自分がどんな人間なのか分かるってこともあるし」


 先輩は、いとも容易いことのように答える。


「……何を書けば良いんでしょうか」


『よい』と打たないと『良い』が一発で出てこないことと、どのようなものが正解なのか見当もつかないから、使ってはいけない言葉を書いてしまうかも知れない、と最初の一文を書き出すのにも困難を極める程、作文が宿題の中で一番と豪語出来るほど大嫌いで、長期休暇で宿題に出された時は決まって頭を悩ませていたことを思い出す。


「何でも正直に書けば良いよ。生まれてからの出来事とか好きなもののきっかけとか。先ずは筆を動かしてからだし、良い子ちゃん作文じゃなくてオッケーだから」


 先輩は自分の席に座り直し、リュックからは部室のではない、私物と思われる栞が挟まれた本を取り出すと、栞を外して真剣な表情でそれに読み耽り始めた。話しかけても無反応で返されるのは容易に想像がついた。先輩は「これ以上は言わないから後は自分で考えな」と表情で語っていた。


 僕は見捨てられたと感じたりはしなかった。見本なしに自分一人で零の状態から考えるのは苦手でも、独創的な文章が許されるなら、あとは僕の独壇場だからだった。


 僕は言われずとも所属クラスと名前を記入して書き出すと、本能の赴くままに書いた。左手に握った筆は不思議と止まることはなかった。それどころか、一項目書き終える度に更に加速していった。「正直に」書いて良い。「良い子ちゃん作文じゃなくてオッケー」と言われたことで、脳が固定概念と躊躇いを捨てたのかも知れない。


 僕は無心で殴り書いた。


 ◇


 幼稚園…

 ●同じ教室の園児に「絵本取りに行ってくるから待っててね」と言って図書室へ向かう先生の言葉を理解せずに後を付いて行ったりしていた。今になって思うと、とんだ問題児だった。


 小学校…

 ●敬語と礼儀を知らなかった一年生の頃、ジャングルジムにいる上級生に生意気な態度を取ってしまい、以降、ジャングルジムに赴く度にいじめを受けるようになる(彼女らの本意は定かではないが、少なくとも当時の僕にはそう感じられた。集団で石投げられたりしたし)。


 ●三年生。クラス替えが行われ、どんな人がいるのかと楽しみに入ったクラス。入って数時間(?)後、クラスに一~二年時にはなかった違和感を覚える。


 ●数日(?)後、名前も忘れたクラスの誰かからいじめられるようになり、いじめを避けるために図書室に入り浸る。その影響で、読書が好きになる。


 ●五年生。いじめを訴えると、先生は僕といじめてきた同級生を空き教室に呼び出し、僕の目の前で同級生に説教を始めた。自分自身が怒られているように感じ、泣いてしまう(先生は「君に怒ってるんじゃないから泣かなくていいんだよ」的なことを言っていたが、結局説教が終わるまで怯えていた)。以降、学年集会や外出先で他人が怒られている場面に立ち会うか、悩みを打ち明けた時の親や先生の険しい表情から自分が怒られているように感じるようになってしまい、それを恐れて悩み相談を減らす(というかしなくなる)。同時期から不登校・自殺願望を抱くようになる(不登校になったらなったで親に怒られそうなので不登校願望を打ち明けず、我慢して登校する日々を送る。自殺は失敗した場合の激痛と、勘付かれた場合が怖くて全て未遂に終わった)。


 中学校…

 ●小学校時代のいじめっ子が拡散した『いじめウイルス』に一部の生徒が感染。中学校でもいじめられるようになってしまい、中学生デビューが失敗に終わる。人間関係やり直せると思ったのに…。


 ●中学二年生からいじめが悪化。その内の一人に怒りが爆発して教室中を追いかけ回す。それが原因で孤立度が増す。(自分に非があるならはっきり言ってほしかったが、大体がはっきりしなかったのと、更なる暴言を恐れて訊けないまま日々を過ごす)。


 時期不明の心境…

 ●人怖い(信じるの怖い)


 ●僕、誰?


 ●誰か僕を殺して


 ◇


 惨たらしい人生だ、と深夜テンションに似た思考の暴走が静止して正気を取り戻した僕は、書き殴った自分史を読み返して戦慄した。どう足掻いても『不信病』と『死望病』を発症せざるを得ないような人生、そう思えてしまう程に悍ましい狂気に満ちた内容だった。頭が締め付けられたような気がした。


 そう脳内で長々と戯れ言を並べておきながら僕はどこか他人事のように自分史を読み返していた。自分が自分ではないような、他人の記憶を覗いて書き写したのを読んでるような感じだった。


 タイマーが鳴り響き、スマートフォンが机の上で振動する。先輩が「終わった?」と言いながら視線を本から外し、机越しに原稿用紙を覗き込もうとする。僕は刑事ドラマで取り調べを受けている容疑者のように全身を強張らせながら、書き直す訳にもいかない原稿用紙を先輩の席まで滑り込ませる。手の平には汗が滲んでいた。


 先輩は数十秒間文章に目を通すなり「結構エグい人生送ってるね…」と頬を引くつかせた。僕は申し訳ない気分になって「すいません…」と謝ると、「別に謝るこたあねえだろ」と至極尤もな正論を返される。


「これ書くの、かなりきつかったでしょ?」


「らしいですね」


「他人事かよ」と先輩が言った。


 実際、他人事に近かった。


「まあ、いいや。ごめんね、無理に書かせちゃって」と先輩は苦笑いを浮かべながら謝罪し、マジックペンを手渡してくる。


「何ですかこれ?」


「それで今書いたやつ、塗り潰しな」


 三秒間たっぷりと考えてようやく、書き上げたばかりの作文を台無しにするよう言ってるのだと理解する。


「……それ、本気で言ってます?」


「うん。ぐしゃーってやって。ぐしゃーって」


 先輩はそれだけ言うとだんまりを決め込んだ。「塗り潰すまで待ってるぞ」とじっと僕の手元を見つめている双眼が言っていた。


 僕は釈然としないまま、先輩に言われた通りに自分が書いた原稿用紙全てに大きな×印を書いた。


「塗り潰しました」


「じゃあ、それ書いたこと含めて、今までのことは全部忘れな」


「……はい?」


 先輩の突拍子もない無茶振りに、思わず声が裏返る。先輩は「小学生と中学生、就学前含めてだぞー」と付け加える。心臓の動悸が激しくなるのを感じる。


 僕が返答に困って焦りを感じ始めていると、「今迄の自分とはサヨナラしてしまえってことさ」と先輩は言った。


「お前。自分の人生区分けしたことある?」


 暫し考えて、僕は答える。


「……小学生の頃の自分って風にですか?」


「合ってるけど、お前のはちょっと違うんだな。さっきのやつ読んだ限り」と先輩は言って、「今から言うことは何様だ馬鹿野郎のスタンスで聴いてくれ…」と重々しい声を発して続ける。僕は「はあ…」と呟いて耳を傾ける。


「お前の場合、小学生から中学生に、中学生から高校生になった自分って感じで、存在を一貫しちまってる。言わば傷だらけの一号機に乗りっ放しなもんだから、機体にガタが来てんだよ。何時ノイローゼになってもおかしくない状態」


 ノイローゼという言い方には違和感があったが、精神疾患の可能性は否定できなかった。


 僕は内心嬉しく思った。自分の異常性に確信を抱けたからだった。自分の周りにはそういった可能性を提示してくれる人がいなかったし、自立していない以上、自分の主張は相手からすれば『馬の耳に念仏』だ。仮に訴えても「そんなのはお前の思い過ごしだ」と怒られて片付けられてしまうから、先輩のように客観的な意見を言ってくれる存在はありがたかった。「他人の癖に何知った風に語ってやがる」なんて憎悪は湧いてこなかった。


「だから、これからは傷なんか何一つない新品の二号機に一新して生きな」


「……とは言っても、僕、二号機なれますかね?」


 僕は自信無さ気に言う。


「……それはお前次第だけど、なれそうな予兆はあったぞ」


「……あったんですか…?」


「だって、おまー。朝、普通に私と会話してたじゃん」


 そう言われてみて初めて、今朝は『不信病』を患って以来激しい人見知りが先輩には発動していなかったことに気が付く。「あ…」と思わず言葉を漏らすと、「そういうこった」と先輩は言って、続けた。


「お前にゃ、まだやり直せる機会があるって事だよ」


 先輩は、微笑みを浮かべて言った。僕が先程書いた自分史からの引用だった。


 瞬間、心に何かがすとんと落ちる気配がした。


「おっと、もう昼休み終わるね」


 壁に掛けられた時計を見るなり先輩は「じゃあ、そろそろお暇しましょうかね」と言って部室の鍵を手に取ると、入口へと歩いて行った。


 僕は慌てて弁当箱を片付けて、それに続く。


 ◇


 鍵を職員室に返し、それぞれの教室の階に続く階段前で先輩と別れた。


 自身のロッカーから五時間目の授業の教科書を取り出そうと人々が集う廊下を歩く。何故だか気分は晴れ晴れとしていた。それに呼応したのか偶然か、外は雲一つとない快晴となっていた。


 僕は一つ決意を固める。


 今日の放課後、入部届出そう。勿論、文芸部で。

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