波乱の幕開け2
ルーファスは見た目こそ12歳くらいの少年の姿をしているが、実年齢は18歳だ。
七つの大罪、怠惰を司る悪魔・ベルフェゴールと契約したことで年を取らなくなり、見た目から世継ぎを作れないことを理由に王位継承権も放棄した。
しかし、ルーファスは見た目が幼いこと、世継ぎを作るのが難しいこと、側妃の子である以外には欠点はないのだ。
寧ろ、アレクシスより優れていた。
容姿も、勉学も、運動神経も、戦闘能力も、魔術も、帝王学も劣ることなど決してなかった。
そのため、多少の欠点こそあるものの、ルーファスの方が王に相応しいと騒ぐ連中は少なくないのだ。
例え、ルーファスは望んでいなく、面倒くさい、怠いと思っていたとしても。
今回のアレクシスの失態で第一王子派は意気揚々と騒ぐだろう、ルーファス様こそ王位に相応しいのだ、と。
再びため息を漏れそうになるのを抑え、疑問に思っていることを部下に訪ねた。
「あの子はどうしている?一応アレクシスとは婚約者だろ」
「どうやら、これ幸いとばかりに応援しているそうです」
「……」
アレクシスの婚約者にして公爵家令嬢、エミリア・カーティス。
実はルーファスの元婚約者なのであるが、ルーファスの王位継承権放棄に伴い、王太子となったアレクシスと婚約した。
そんな彼女は才色兼備で性格も良いのだが…。
「馬鹿なの?未だに俺に執着して、愛してるだなんて。ショタコンなの?」
婚約者候補であったときからルーファスに惚れていて、アレクシスの婚約者であるのに彼女は未だに俺が好きらしい。
謎だ。謎すぎる。一途といえば聞こえはいいが、俺は未だに幼い姿のままなのだ。ショタコンなのかと思うのも仕方ないだろう。