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ぼエ恋  作者: えび
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調教

小さい頃、ぼくの祖父のスズキが、いっていた。



———————西暦2098年 上野エイリアン展示園


スズキ「儂の小さい頃は、人間や牛が宇宙人に時々捕獲されていたんじゃ。こそこそとな。おまえたちには想像つかないかもしれないかもしれないがのう。」


展示されているプレートには、エイリアンの説明板よりも捕獲者の名前と写真が大々的に掲示されている。


6歳のぼく「信じられないや!いまは、人間が宇宙人を捕まえて、みんな楽しそうにしてるのにね!ぼくも、大人になったら、たくさんのエイリアン捕まえたい。捕まえた数でジックと勝負する!」


7歳のジック「ぼくは捕獲しなくてもいい。ぼくは、きみの捕まえたエイリアンが暴れないように、育てたいな。人間と同じように教育をすれば、一緒に暮らせると思うんだ。」


スズキ「そうだね。ジック。本当は調教ではなく教育なんだ。いつまでも、人間が上位だとは限らない。そのうち、人間と同じように、大々的にたくさんのエイリアンが地球に人間をさらいにくる時代がくるかもしれんぞ。


6歳のぼく「えーやだあ。こわい!」


スズキ(このこらが、おじいちゃんになるころには、人間とエイリアンが一緒に暮らせる世界に檻なっているかもなぁ)


ピンク色の夕焼けが雑居ビルに反射している。


…………



———————西暦2112年 惑星ドラス


9は3に殴られ、気絶している。

ゴリラのエイリアンはかすかに息があるが、死にそうだ。



ぼく「おい!ジック!どういうことだ?」


ジック「恋の薬っていったろ?」


マキ「まじめに答えろ。ジック」


ジック「マキ。おれはな、9は自分の気にくわないやつだけ攻撃できる能力をもっていることをさっきの惑星ミシリアで知った。9は、人間には見えない青い炎を吐き出すことができるんだよ。なあ、3には見えたろ?」


3「おまえらは見えていなかったのか...周囲を包むように青い炎が辺りに拡散していたのによ」


3の皮膚が一部焦げていることがわかる。ぼくは今、気づいた。


ジックの話のとおりであれば、9は3のことが気にくわないようだ。


3は攻撃されたことで9に殴りかかったということになる。


マキ「人間も9にとっては3と同様にエイリアンだろ?人間も気にくわないはずだよな?」


ジック「おいおい、それは、おれが宇宙船の中で調教した結果だ。まぁ、事前に人間に愛着をもたせるための即効性の薬を入れたけどな。」


マキ「そもそも調教でそんなことが可能なのか?」


ジック「もういいだろ?この話は。9は一位だぞ。マキも3もなめすぎなんだよ。よし、ゴリラにソルうつからてつだってくれ、ミウラ。」


ぼく「わかった。」


ぼくは思う。

ジックは、エイリアンと共存できる道を調教と薬剤を通して、本気で考えている。


ぼく「9いいかげん起きろ。」


ぼくは、9の頭を軽く蹴る。


9「うぅ…あれ?わたし倒したのですか?」


マキ「あぁ。おい9、次から攻撃するときの奇声はやめろ。わかったな?今度は確実に3に殺させるからな。」


9「分かりました。うぅ…努力します…」


先ほどの強烈な奇声を忘れてしまうほど、相変わらず弱々しい。


ぼく「ゴリラでかいな。うちのオンボロ宇宙船には入らないぞ。どうする気だ?ジック。ばらばらにしてもっていくのか?」


ジックなら、ばらばらにしても、元どおりに戻せるんじゃないかと、思ってしまう。


マキ「こいつは連れてかない。この星の一位をこいつに聞くだけだろ?」


ジックは頷く。

ジック「よし、打つぞ」


首元に針を刺した。

ゴリラはかすかに動いたが、死にかけなのか、あまり動かない。


3「死んだら、もともこうもないだろう!ソルだって、安いもんじゃないんだろ!9よ!ゴリラが死んだらおまえがお金稼いでこい!」


9「…すみません」


3は、おれらの財布事情まで気にしてくれている。すっかり仲間の1人の気でいる。


マキはにやにやしている。

異常なまでの赤紫の夕陽が、岩山とマキを照らしていた。


“ドシン!”

ゴリラはゆっくりと起き上がった。


もう少しで夜になる。


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