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ぼエ恋  作者: えび
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エイリアンの立場

ぼくは思う。

エイリアンは、この時代では人類から見れば畜生でしかない。

ぼくら、エイリアン捕獲業に従事する者は、人類の欲求に応えているにすぎない。



■人類は捕獲したエイリアンをどうするか。大きく分けて下記のとおり3つに分類される。


①【見世物として】

•低俗な使い道では、奇妙なエイリアンを見世物として扱う。


•エイリアン同士の決闘を見て楽しむ。また、その決闘に対する賭け事も盛んに行われている。

格闘技の1つとして世間に定着したスポーツと化した。


•決闘用エイリアン(戦闘タイプとも言われる)は、各国に組織されている文化スポーツ庁またはそれに準ずる組織が、最強のエイリアンを捕獲するため、総合商社に依頼している。


•6年に1度のエイリアン決闘会は各国の宇宙開発の深度を表し、威信をかけ盛大に執り行う。


•当初はエイリアン愛護団体とのトラブルもあったが、その組織の会長がエイリアンにより殺害されたことで多くの会員も脱退し、もはや影響力を失っている。



②【薬剤精製または遺伝子工学における研究として】

•実験材料や貴重な素材となることが判明している。製薬会社が望む捕獲対象エイリアンはスペースモンスター討伐委員会(通称:スペモン、各国の軍部や製薬会社役員の天下り先)に依頼される。

各国の製薬会社等は、1年に1度、議案として諮問するが、棄却されることが多いとのこと。


•エイリアン及び植物等の動植物を含む地球外生命体を地球に持ち込むことは、感染症やウイルスの蔓延のについて危惧され、国際的な議論の対象となった。

活発な議論の最中、惑星ごとのウイルスには共通したセンテンスが存在することが判明した。

逆説的ではあるが、地球のウイルスのみ受け付ける身体となる免疫薬をすべての人類に投薬することが義務付けられた。その結果、人類は地球外のウイルスのセンテンスを受け付けない身体となったのであった。



③【愛玩動物として】

•エイリアンといっても凶暴ではなく、かわいらしいエイリアンも存在する。ただし、かわいらしいエイリアンは限られており、ペット業界においては新種を調達することが、売り上げに直結する。


※【その他備考】

エイリアンの軍事利用も当初、エイリアン捕獲の目的として掲げられたが、現時点では生物による兵器より機械による兵器が軍事には効率が良いと結論づけられた。大量のエイリアンを兵器として扱うには、輸送におけるリスクや能力開発等の莫大な労力を伴うものであることから、コストパフォーマンスが望めないと判断されたものであった。



この資料は、マキがぼくとジックを捕獲者、調教士としてスカウトするときに、見せてくれたものだ。


そのほかにも長々と記載されている項目があるが、ほぼ読んでいない。


ぼくがスカウトを素直に受けた理由は、ぼくの目的と一致していたからだ。友人のジックも乗り気だったことも理由の1つだ。


ぼくは、”アイツ”を殺すために、最高のエイリアンを捕獲することしか念頭にない。


武器として使い物にならなければ

宇宙に吐き捨てればいい、とすらおもっている。


愛玩動物や薬の原料になるのか、見世物にされるのか、ぼくの知らない世界でいい。エイリアンたちの行く末など一切、興味がない。



ぼくと違う夢をマキとジックは持っている。


お金を稼ぐことが、彼らの”夢”に、繋がるらしい。

彼らは、危険を顧みずエイリアンを捕獲し調教するという、この生業を実直に遂行する。

エイリアンの行く末は捕獲の報酬に大きく影響を受けるため、マキは特に気にしている。





マキはジックに話しかけた。


マキ「となりの星にいくよ。準備しな。」


ぼく「どうする?こいつ?」


先ほど捕獲した当該惑星 - 食物連鎖1位の階層に位置する9を指差しながらぼくはマキに聞く。


マキ「台帳にもないし、金にもならないし、うーん。そうだな。とりあえず連れてきて次の惑星で戦闘力ためしてみな」


マキは雑に答える。マキの興味は既に次の星にある。


台帳とは、企業から請け負った捕獲してほしいエイリアンのリストである。国家や製薬会社、総合商社の依頼や通知を基に作成されている。


ジック「ある薬を試す」


ジックはそうひと言いって、すぐに注射した。


そのエイリアンに変化はない。


ぼく「なんの薬だよ。」


ジック「恋の薬だよ」


ジックはにやにや笑いながら話し、唾を吐く。


ぼくは思う。

ジックの言葉に意味はない。

ジックはいいやつだが、言葉に無駄な感情と意味を乗せてくるタイプの人間だ。


ときに腹がたつ。

昔から無駄なポエムを挟んでくる。



球体の宇宙船に乗って、ぼくら3人と4体は次の星へ旅立った。


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