4話 真っ暗
「う、う~ん・・・」
目を開けると、真っ暗だった。
星羅は目をこすりながら起き上がった。
「・・・?」
周りも自分の手すらも見えないほどの真っ暗で何も見えなかった。
(ここ何処?・・・状況的にあの世かな?)
「・・・」
(スマホの光で周りを見れないかな?)
ポケットに手を入れた。
(ないか、スマホだけじゃなくて、財布もない・・・)
手を戻した。
「おーい!誰かいない!?」
星羅は起き上がりながら叫んだ瞬間、
「いた!?」
頭に何か固い物にぶつかった感覚がした。
「くそ!?」
星羅は頭を抑えた。
「星羅なの!?」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「え?鈴鹿?」
「星羅か!良かった!!」
鈴鹿は手を握ってきた。
「いや、目の前が真っ暗になったと思ったら、気が付いたらここに居たんだよね!」
「フーン。」
「ここ何処か分かる?」
「暗闇の中。」
「そのまんま・・・」
「トイレ何処?」
また聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「え?静ちゃん?」
「そうだよ!!トイレ知らない?うんこしたいんだけど・・・」
「流石!こんな状況でもぶれないね!」
星羅は笑顔で言った。
「それで、ここが何処か分かる?」
鈴鹿は聞いた。
「あの世じゃないの?」
「え!?どういう事!?」
静は身を乗りだして聞いた。
「覚えていないの?鳥頭なの?」
「え?意味が分からないんだけど?」
鈴鹿は首を傾げた。
「仕方ないわね・・・法定速度を余裕で越えた車が、私達に向かって突っ込ん出来て、静はブロック壁に頭を打ち付けられて、鈴鹿は電柱と車に挟まれて即死していた。」
「・・・」
「まあ、そんな感じだね、で、その後、」
「ちょ、ちょ、ちょっと!待って!」
鈴鹿は星羅の両肩の上に手を置いた。
「なに?」
「意味が分からないんだけど!?要するに死んだの!?」
「電柱と車にスクラップにされて生きている人はいないと思うけどね。」
「・・・そ、そんな・・・わ、私死んじゃったんだ・・・」
鈴鹿は涙声で床に手を置いた。
「ということは、私たち幽霊っていう事!?」
静は聞いた。
「そうなるかな?」
「おお!!これが幽霊か!でも、体が浮いたり、フアフアしたりしないんだけど・・・全然、期待外れなんだけど・・・」
静はため息を吐いた。
「ショックするところはそこか・・・」
星羅は呟いた。
「・・・せ、星羅はどうやって死んだの?」
鈴鹿は恐る恐る聞いた。
「信じられない話だけど、あの後・・・」
星羅はこれまでの経緯を話した。
「うわ・・・首切断・・・」
鈴鹿は想像して鳥肌が立った。
「切断後も意識あるんだね・・・」
星羅は思い出して暗い顔をした。
「良かったじゃん!ギロチンで首を切断されても意識があるていう事を実際に証明できたじゃん!」
静は明るい声で言った。
「静ちゃん、もう一回殺すよ?」
目が笑っていない星羅は笑顔で言った。
「ごめんなさい。」
(でも、光が見えた時、あの時は迎えが来たのかと思ったけど、よく考えたら本が光っていたよね・・・もしかしたら、今、近くに本があるのかも?)
星羅は周りを手で探ると、本らしきものに触れた。




